昔から憧れの職業のひとつとして挙げられてきた弁護士。
弁護士になるにはたくさん勉強して司法試験を乗り越えていかなければなりません。

弁護士になるには時間とお金がかかります。

ゆえに、夢を諦めてしまう方もいらっしゃるでしょう。

しかし、『予備試験』に合格すれば、学歴や年齢に関係なく、最短ルートで弁護士になることが可能なのです。

本コラムでは、弁護士を目指す方々に向けて、弁護士の業務内容、弁護士になる方法等について、詳しくご紹介します。

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【動画解説】最短ルートで弁護士になるには?

弁護士になるには「司法試験」に合格し「司法修習」を修了する必要がある

弁護士になるためには、司法試験に合格したのちに司法修習を修了する必要があります

弁護士になるためには、①司法試験の受験資格を取得する、②司法試験に合格する、③司法修習を修了するという3つのハードルを超える必要があります。

これは、法曹である検察官や裁判官も同様です。

弁護士になるには

①司法試験の受験資格を取得する

司法試験の受験資格を得る方法は大きく2つあり、「予備試験に合格すること」「法科大学院を修了する(もしくは卒業見込みとなる)」という条件が必要になります。

予備試験には受験資格の制限がなく、誰でも受験することができます。

予備試験は時間に余裕のある大学生はもちろん、働きながら司法試験合格を目指す社会人にもおススメ出来るルートです。

法科大学院には、法学未修者コース(3年)と法学既修者コース(2年)があり、法学部の方は既修コース、法律の学習をしたことがない人は未修コースを受験することが一般的です。

②司法試験に合格する

受験資格を得た後は、司法試験を受験します。
司法試験の合格率は20%~40%前後となっており、受験資格のある方であれば、5人~3人に一人合格できる試験となっています。
とはいえ、予備試験に比べれば難易度が高い試験になっているため、しっかりとした対策が必要です。
試験は、例年7月に行われ、論文式試験が3日間、短答式試験が1日あります。
合格発表は11月のはじめとなっています。

③司法修習を修了する

晴れて、司法試験に合格した後は、司法修習を受けることになります。
司法修習とは、弁護士になるために必要な放送教育制度であり、主に実務を学ぶ場となっています。
期間は約1年で、修習の最後には司法修習生考試(二回試験)という最終試験があり、合格することで正式に法曹資格を得ることができます。

予備試験ルートと法科大学院ルートのメリット・デメリット

司法試験の受験資格を得るには、予備試験ルートと法科大学ルートの2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
予備試験ルートのメリットは、予備試験自体に受験資格がないため、誰でも受けられる点や学費が抑えられる点、就職活動に有利な点などが挙げられます。
予備試験ルートのデメリットは、合格の難易度が高いことや自己管理して勉強をしなくてはいけない点です。
法科大学院ルートのメリットは、修了すれば自動的に受験資格が得られる点、カリキュラムに沿って勉強を進めるため、学習が進めやすい点などです。
デメリットとしては、予備試験合格者に比べ、司法試験合格率は低い点や学費がかかる点、2~3年の法科大学院通学が必要になる点などがあります。
それぞれのメリット・デメリットを知り、ご自身に合った方を選びましょう。

予備試験ルート法科大学院ルート
メリット・予備試験には受験資格がない
・学費が抑えられる
・予備試験合格者の司法試験合格率は90%以上
・就職活動に有利
・最短合格が目指せる
・修了すれば自動的に受験資格が得られる
・学習が進めやすい
・横のつながりができやすい
デメリット・予備試験合格の難易度が高い
・勉強の自己管理が必要
・予備試験合格者に比べ、司法試験合格率は低い
・学費がかかる
・大学卒業後、2~3年の法科学院通学期間が必要

弁護士になるには最短何年かかる?何歳でなれる?

弁護士になるための最短コースは予備試験ルートです。

予備試験合格から司法試験、司法修習を修了して弁護士になるまでに2年必要です。

予備試験合格に必要な勉強時間が短くて3000時間だとすると、1日8時間の勉強時間で約13か月かかるため予備試験の勉強時間を含めると弁護士になるまでに3年はかかることになります。

関連コラム:予備試験合格に必要な勉強時間はどれくらい?配分についても解説

予備試験ルートは最短で何年かかる?何歳でなれる?

予備試験は受験資格がないため、例えば高校生であっても受験することが可能です。

実際に令和3年度予備試験の最年少合格者は17歳となっています。

そして令和4年度司法試験の最年少合格者は18歳となっているので、仮にこの方が翌年の司法修習を修了した場合、最短で19歳で弁護士になることができます。

法科大学院ルートは最短何年かかる?何歳でなれる?

法科大学院入学から最短で3年かかります。

法科大学院は受験資格に大学卒業が必要なため、大学入学(18歳)から最短で、6年かかることになります。

法科大学院に入るには法曹コースを利用することで、最短で大学を3年で早期卒業することができます。

つまり、大学4年生の年齢(21歳~22歳)で法科大学院2年生(既習1年生)になることができます。

関連コラム:法曹コースとは?設置大学一覧とメリットデメリット

法科大学院在学中に司法試験を受験することが認められるようになりました。

法科大学院3年生(既習2年生)で司法試験を受験し合格すれば、22歳~23歳で司法試験合格、23~24歳で司法修習を修了し弁護士になることが可能です。

法科大学院には、法科大学院入学前に法律に関する学習の有無を問わない「未修者コース」と、法律の学習をしている人向けの「既修者コース」があります。

未修者コースは修了まで3年、既修者コースは修了までに2年かかります。

そのため、法科大学院入学後、司法試験合格、司法修習を修了して弁護士になるまでは約3年~4年ほどかかると考えられます。

関連コラム:法科大学院(ロースクール)とは?入るにはどうすれば良い?メリットも簡単に解説

弁護士になる人の平均年齢

一般的に弁護士になる人の平均年齢はどれくらいでしょうか。

令和5年度の司法試験合格者の平均年齢は26.6歳となっています。

司法試験合格者の平均年齢は例年20代後半となっておりますので、翌年の司法修習を修了した場合は26歳~30歳で弁護士になることが可能です。

予備試験と司法試験に合格、司法修習を修了して弁護士になるまで何年かかるのかは人によって様々ですが、予備試験ルートで弁護士になる人の平均年齢は29歳~30歳前後と考えられます。

関連コラム:予備試験とは?司法試験との違い・日程・配点等を解説

弁護士になるのはどれくらい難しい?難易度は?

弁護士になるためには司法試験に合格し、司法修習を修了する必要があります。

司法試験の難易度は一つの指標で判断することが難しいため、今回は勉強時間をもとに難易度について紹介します。

司法試験合格までに必要な勉強時間を他の資格取得に必要な勉強時間と比べると、かなり長いことが分かります。

試験名勉強時間(目安)
司法試験約6,000時間
司法書士試験約3,000時間
社労士試験約800~1,000時間
行政書士試験約600時間
宅建試験約300~400時間

学習時間は弊社独自で算出した時間になりますので、あくまでも目安としてお考え下さい。

関連コラム:司法試験の難易度・合格率をアガルート講師がお答えします

社会人や大学生が弁護士になる流れ

社会人から弁護士になるには?

社会人を続けながら弁護士を目指す場合、予備試験ルートを選ばれる方が多いと思われます。

ほとんどの法科大学院は日中に授業があり、お仕事を続けながら法科大学院に通うことが難しいためです。

一般論として社会人受験生が勉強に割ける時間は学生の受験生に比べて少ないですが、そのような不利な条件でも予備試験に合格された方はいらっしゃいます。

短い学習時間で予備試験合格を勝ち取るためには、効率のよい学習が大切であり、そのためには予備校の講座を利用することがとても有効です。

アガルートでは司法試験予備試験の最短合格に必要なすべての要素が詰まった「司法試験・予備試験最短合格カリキュラム」をご用意しています。

勉強時間が確保できない社会人向けの、5分~10分の隙間時間に勉強できる動画や音声ダウンロード機能・倍速再生機能など、自分のペースで効率よく学習するための学習コンテンツです。

オリジナルのフルカラーテキストをデジタルブックで閲覧することができるので、どこにいても勉強することが可能です。

大学生が弁護士になるには?

大学生の段階から弁護士を目指す場合、最初から法科大学院ルートに絞る必要はなくまずは予備試験合格を目指して学習を進め、目標年度までに予備に合格しなかった場合に法科大学院進学というのが王道でしょう。

予備試験の学習と法科大学院入試の学習の大部分は重なるため、より短い時間で弁護士になれる予備試験を目指し、合格できなかった場合には法科大学院入試を受けるというのが合理的な選択といえます。

ただ、予備試験の学習は短くても1年程度はかかるため、できれば大学2年生頃には予備試験の勉強をはじめたいところです。

一般論として大学生は学習時間を確保しやすいですが、状況は様々であるため効率よく学習を進める必要があるのは社会人と変わりません。

そのため、上記のとおりアガルートの予備試験最短合格カリキュラムを利用して学習を始めて頂くことが有用であることは大学生であってもかわるものではありません。

弁護士になるなら予備試験ルートがオススメ

法科大学院ルートと予備試験ルートのどちらで弁護士を目指すか迷ったら、予備試験ルートがおすすめです。
予備試験ルートで弁護士を目指すことには以下の6つのメリットがあります。

1 費用が安い

予備試験ルートと法科大学院ルートの比較でよく出てくるのが費用面になります。

一般論としては法科大学院ルートの方が費用がかかり、予備試験ルートの方が費用がかからないと紹介されることが多いと思われます。

これは法科大学院ルートの場合は2年ないし3年分の学費を支払う必要がありますが、予備試験ルートではそれがかからないという点が最も大きな理由になっていると思われます。

これは一面そのとおりですが、法科大学院にも学費の免除制度があり、一方予備試験も完全独学では難しく、予備校を利用する方も多いので両者の費用面での比較はある程度相対的なものであるといえます。

2 短期合格が可能

法科大学院ルートでは少なくても法科大学院に入学し1年間は学習しないと司法試験を受けることができません。

その点、予備試験ルートはに早期合格すれば、すぐに司法試験を受験することが出来ます。

関連コラム:司法試験予備試験に1年(最短)で合格する勉強法

3 司法試験に受かりやすい

法科大学院を修了した人の令和5年度の司法試験合格率は45.3%であり、東京大学法科大学院の合格率は59.0%、京都大学法科大学院の合格率は68.4%など、法科大学院の司法試験平均合格率は約30%程度です。

逆に、令和5年度の予備試験合格者の司法試験合格率は92.6%と高い水準を維持しています。

したがって、司法試験に確実に合格するには、予備試験に合格することが近道だと考えられるでしょう。

4 就活で有利

予備試験に合格すると就活で有利な傾向にあります。

予備試験は難関試験ですから、その難関試験をくぐり抜けてきたという経験が就活での大きなアドバンテージとなるのです。

予備試験合格者は司法試験の結果が出る前に事務所の内定をもらうことが少なくありません。

したがって、仮に司法試験の成績が悪かったとしても、就活で苦労しにくいのではないでしょうか。

5 年齢や学歴に関係なく受験できる

予備試験の受験資格は年齢や学歴などによる制限が一切ありません

誰でも受験を志せばチャレンジ可能です。

そのため、高校生や大学生でも予備試験合格に向けた勉強ができますし、30代40代50代の社会人でも、働きながら受験をすることが可能です。

現に、令和2年度司法試験予備試験の結果によれば、合格者の最高年齢は59歳です。

年齢に関係なく誰でも受験できるのは予備試験の大きなメリットではないでしょうか。

6 社会人でも受験しやすい

法科大学院ルートは、どうしても授業の出席や課題提出が必須となるため、お仕事との両立は現実的ではありません。

夜間コースがある法科大学院もありますが、数は少なく、経済的、時間的負担も大きくなってしまいます。

一方で、予備試験ルートであれば、会社に勤めながら休み時間や通勤時間、休日などを活用して、少しずつ効率的に学習していけます。

働きながらでも十分に合格を目指せるのは、大きなメリットであるといえるでしょう。

弁護士を目指す人のよくある質問

学歴はどれくらい必要?中卒・高卒でも目指せる?

繰り返しになりますが、弁護士になるための条件は司法試験に合格することのみです(厳密には司法修習生考試も突破する必要はありますが)。

そして司法試験は受験資格のない予備試験に合格すれば受験することができますので、弁護士になることとの関係で学歴が必須というわけではありません

そのため、あるタイミングで「弁護士になりたい」と思っても学歴の影響で目指すことができないということはありません。

弁護士になるまでの費用はどれくらいかかる?

法科大学院ルートを選んだ場合にかかる費用は概ね以下のとおりとなります。

  • 国立既修者コース→200万円弱
  • 国立未修者コース→300万円弱
  • 私立既修者コース→300万円前後
  • 私立未修者コース→400万円前後

予備試験ルートの場合、独学であればテキストなどの書籍にかかる費用だけで済みますが、多くの方が予備校を利用されますので予備校の講座を利用する費用をあげさせて頂きます。

例えばアガルートであれば予備試験合格のために必要な講座およびテキストが含まれる予備試験最短合格カリキュラムが768,460円(税込)となっておりますので、単純に比較すれば予備校を利用したとしても予備試験ルートの方がかかる費用を押さえることができます。

ただ、先でもご紹介したとおり法科大学院も学費免除の制度などがありますので、一概にはいえないところがあります。

独学で弁護士になることは可能?

予備試験の学習を独学で行うためには、①各科目のインプットテキスト、②各科目の問題集、③短答試験の過去問解説、④論文試験の過去問解説、⑤コンパクト六法あたりは最低限買いそろえる必要があるでしょう。

そのうえで、①各科目のインプットテキストを使用して知識を入れ、②各科目の問題集④論文試験の過去問解説で事例問題を解く練習をすることになります。

また、それとは別に③短答試験の過去問解説で短答対策も講じる必要があります。

現在は分かりやすいテキストが市販されているとはいえ、多くの人にとって①各科目のインプットテキストを読んで内容を理解することは難しく、論文は自分限りで出来不出来を判断することが難しいため、予備試験の学習を独学で行うことは難しいといえるでしょう。

関連コラム:司法試験・予備試験に独学で合格するのが難しい4つの理由

弁護士を目指す方へ

弁護士になるにあたって、予備試験は金銭面や時間面、勤務の両立の面から法科大学院ルートよりも大きなメリットがあることがわかりました。

前述したように、予備試験であれば、社会人や大学生、はたまた高校生も、弁護士を目指して学習をスタートすることが可能です。

もちろん注意点もあります。
それは、予備試験が最終合格率約3%という超難関試験であるということです。

したがって、勉強すれば必ず合格するとは言い切れません。

ずるずるやってしまうと、結局予備校代とロースクールの学費代とが二重にかかり、メリットのひとつであるコスト削減どころかコストがかさんでしまうことにもなり得ます。

しかし、予備試験を目指して勉強すれば、上位のロースクールに入れるだけの実力も身につきますし、ロースクールでも好成績を残すことが出来ます。

そうすれば司法試験でも早期合格・上位合格しやすくなるでしょう。

これから法曹を目指すのであれば、まずは予備試験合格を目標にして頑張ることを推奨いたします。

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