司法試験の勉強法を検索してみると、「早い段階からアウトプットの訓練をするべきである」という情報が入ってくると思います。

それは確かにその通りです。しかしそのアウトプットはどのような教材を用いてするべきなのでしょうか。

ここでは、知識のアウトプットや整理に非常に便利な問題集や参考書の使い方や、おすすめの書籍について紹介をしていきたいと思います。

司法試験・予備試験の問題集・参考書とは？

ここにいう問題集・参考書とは予備校等が司法試験対策のために作った書籍（いわゆる予備校本）をいいます。

例えば短答対策用の教材として肢別本や過去問問題集、論文対策用の教材として答案例つきの問題集や過去問解説、論証集などがあげられます。

予備校本は司法試験対策に特化しており、それを利用することで効率の良い学習を進めることができます

論証集・過去問の使い方

論証集について

まず参考書の代表格である論証集についてです。

論証集はいわゆる論点について答案にそのまま書ける形で記載されている教材で、それを覚えてしまえば一応答案を形にすることができます。

たしかに論証丸暗記の勉強はたびたび出題趣旨・採点実感でも批判されているところですが、論証集の使い方さえ間違えなければ論証集は非常に有用な学習用の教材になると思います。

具体的には、論証集をもっぱら知識のインプットの教材として使うのではなく、自分の知識を答案に落とし込むための知識の整理のツールとして使うことが肝要になります。

効率的な論証集の使い方は「論証集の使い方」講座などを利用して学ぶといいでしょう。

過去問について

次に過去問についてです。

短答の過去問であれば入門講座を受けながら、それの復習として講座と並行して利用すれば講座の定着率が大きくなると思います。

また論文過去問は大まかなインプットが終わった科目から、早い段階でどんどん答案を書いていくことをお勧めします。

これは知識ばかり蓄えても答案に表現できなければ意味がなく、早い段階から答案練習をし、答案に表現できる形で知識をつけるべきであるからです。

また、以下動画で紹介しているように、過去問を読む方法も効果的です。

おすすめの論証集3選

アガルートの司法試験・予備試験　合格論証集シリーズ

※引用：Amazon

いわゆる予備校の論証集は内容が正確ではないと批判されることがしばしばあります。

しかしアガルートの司法試験・予備試験　合格論証集（アガルートアカデミー編）は、工藤北斗講師をはじめとしたアガルートアカデミーの講師陣が膨大な数の基本書・判例解説・学術論文等を調べ上げたうえで作成しているもので内容の正確性に万全が期されている点がおすすめできる理由です。

また各論証ごとに出典が記載されているので、気になったところは原典に当たることができるのも大きいです。

予備校の論証集は通常予備校の講座に付随して販売されるため手に入れにくい難点がありましたが、この論証集は市販されているので是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

趣旨・規範ハンドブック

趣旨・規範ハンドブック（辰巳法律研究所）は、その名の通り条文の趣旨と規範をぎゅっと凝縮した論証集になっています。ここに掲載されている趣旨や規範さえ覚えてしまえば、基本的な論証であれば論証全てを暗記していなくとも、試験の現場で論証を組み立てることができることが多いです。そのため論証の数が多い民法や、論証の形で暗記するのがどうしてもつらい人はこのテキストを利用してみても良いでしょう。

論文ナビゲートテキスト

伊藤塾の「論文ナビゲートテキスト」は、基礎知識から参考判例の判旨、そして論文作成に必要な論証まで網羅的に掲載されており、その高い網羅性が大きな魅力です。

特に、伊藤塾の「基礎マスターテキスト」に準拠しているため、伊藤塾の入門講座「基礎マスター」を受講されている方にとっては、非常にスムーズに学習を進められるでしょう。

ただし、「掲載されている論証に出典が明記されていない」「講座を受講していない方が単体で入手するのは難しい」というのが注意すべき点です。

論証集と合わせて使うのにおすすめのテキスト2選

アガルートの司法試験・予備試験　総合講義1問1答シリーズ

※引用：Amazon

アガルートの司法試験・予備試験　総合講義1問1答（アガルートアカデミー）は、これは論文式試験で問われる知識を一問一答形式で整理した教材になります。

先ほど論証集の使い方で、「丸暗記」の勉強法は出題趣旨や採点実感で繰り返し批判されているというお話をしました。

この一問一答の教材はそのような「丸暗記」の勉強からの脱却をはかるものです。

本書は論証集で何となく気づかないうちに言葉を暗記して済ませてしまいそうな知識についてピンポイントで問いかけをして、論証を深く理解する手助けをしてくれます（まさに紙面上に再現されたソクラテスメソッドです）。

論証集と併用することで勉強の効率がぐっと上がることでしょう。

アガルートの司法試験・予備試験 実況論文講義 シリーズ

※引用：Amazon

「アガルートの司法試験・予備試験 実況論文講義」シリーズは、「論文答案の書き方」を実況形式で解説する教材です。

本書は、問題処理のポイント、答案構成、予備試験合格者の参考答案・解答例を豊富に掲載。

難解な法律の論文の書き方を口語調で丁寧に解説することで、思考方法と論文作成スキルを身につけるための最良の一冊とされています。

見やすい2色デザインで、実践的なトレーニングが可能です。

アガルートアカデミーの「合格論証集」シリーズと併用することで、学習効果を最大化できます。

短答式試験のおすすめ過去問集6選

短答過去問パーフェクトシリーズ（辰巳）

辰已法律研究所による予備試験短答式と司法試験短答式の本試験過去問集。

科目別に、司法の短答式試験と予備の短答式試験の過去問をまとめています。裏面に解説があるので1問解いてすぐに解説をチェックすることができます。

短答上位層と下位層で差が大きい合否を分ける知識にはマークがあるので、振り返るときに重要な知識を身につけやすい作りになっています。

肢別本シリーズ（辰巳）

※引用：Amazon

辰巳法律研究所による予備試験・司法試験短答試験対策用の１問１答形式問題集。

B6判のコンパクトな作りで、左に問題、右に解説があり、サクサク進められます。

司法試験・予備試験の短答式問題をベースに、旧司法試験やオリジナル問題も収録。

頻出肢には★マークが付いているので、重要な論点がすぐにわかります。

知識の定着や正確性を高めたい方におすすめの、定評ある短答対策問題集です。

司法試験＆予備試験 短答過去問題集

該当年度の司法と予備試験の短答式試験の解答の解説が収録されています。

正解を導くために必要十分な情報(条文知識・判例の判示部分・基本的事項の説明等)が過不足なく解説されているので、効率よく試験対策ができます。

設問・各肢ごとに受験生の正答率が掲載されているので、自分がどの知識レベルなのか知ることもできます。

司法試験・予備試験 短答 過去問集 （スク短）

見やすくまとめられた司法試験と予備試験の短答式過去問集です。

法律科目が全問掲載されており、網羅的に過去問をクリアしたい方におすすめです。
短答式の問題集でありながら、論文的な形式で「条文の解釈」や、「あてはめ」まで書かれており、解説の詳しい書籍となっています。

司法試験・予備試験 体系別短答式過去問集シリーズ

※引用：Amazon

早稲田経営出版が提供する、司法試験・予備試験の短答式試験合格を目指す受験生に最適な過去問題集です。

本書は、各科目の全問題を体系別・テーマ別に収録しており、最新の法改正や判例に対応した解説が特徴です。

解説を通じて出題頻度の高い基本的知識を確実に理解・記憶できること、判例の論理を十分に理解できること、そして本試験で高得点を得るためのテクニックが詰まった「解答のポイント」が挙げられています。

過去問演習を通じて、実践的な知識と解答力を効率的に養えるでしょう。

伊藤塾 合格セレクション 司法試験・予備試験 短答式過去問題集シリーズ

※引用：Amazon

「伊藤塾 合格セレクション 司法試験・予備試験 短答式過去問題集」シリーズは、司法試験・予備試験の短答式試験合格を支援する教材です。

問題は正答率に応じ「フル問題」「CORE TRAINING」「CORE PLUS」の3段階でランク分けされ、効率的な学習を実現します。

紙ベースで使いやすく、問題ごとの解説も充実しており、短答式試験対策に役立つでしょう。

論文式試験のおすすめの過去問題集5選

論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本

論文過去問答案パーフェクトは、司法試験、司法試験予備試験の過去問の解説書です。

構成は辰巳法律研究所作成の模範解答（司法試験本試験のぶんせき本に関しては答案構成のみ）、上位合格者の再現答案、中位合格者の再現答案、出題趣旨や採点実感のぶんせき及び解説という形になっています。

この教材の大きいところは豊富な再現答案が記載されている点です。

司法試験や予備試験の論文式試験に関しては完璧な答案が書けなくても合格できる試験です。

そのため合格ラインを知ることが肝要ですが、司法試験員会からは明確な採点基準等は公表されません。

そこで受験生としては、再現答案を利用してその年の合格ラインをつかむ必要があります。

したがって上位答案にのみならず、中位答案まで掲載されているぶんせき本は合格ラインを知るという観点から非常におすすめできるシリーズになっています。

司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本

※引用：Amazon

「科目別・A答案再現&ぶんせき本」は、辰已法律研究所による司法試験・予備試験の論文答案作成能力向上に特化した必携教材です。

合格者・不合格者計16人分の成績データから合格ラインとポイントを考察し、上位合格者の論文全科目答案を掲載することで、高評価答案の具体的なイメージを提供。

法律必須科目では、問題文・出題趣旨解析に加え、A答案3通とC答案1通（講評付き）を掲載し、A評価獲得の条件と評価ポイントを比較分析できます。

全選択科目の問題・解答例も収録され、口述試験再現資料のダウンロード特典も付帯。

単なる知識の暗記に留まらず、実践的な論文答案作成スキルを効率的に習得するための、極めて有効な一冊です。

論文過去問 再現答案から出題趣旨を読み解く。

司法試験の必須7科目の再現答案各4通と、予備試験の必須8科目の再現答案各4通を順位・評価別に収録されています。

答案が上位、中位、下位、不合格レベルで収録されていて、答案を比較できるので、どのような答案が高い評価を得ることができるのか理解しやすくなっています。

伊藤塾試験対策問題集-予備試験論文シリーズ

※引用：Amazon

「伊藤塾試験対策問題集-予備試験論文」シリーズは、司法試験・予備試験の論文式試験対策に特化した問題集です。

予備試験合格者数で実績を持つ伊藤塾の豊富なデータに基づき、過去問とオリジナル問題を厳選して収録しています。
本書の最大の特徴は、合格者の「思考過程」や予備試験A評価の「優秀答案」を掲載し、実践的な答案作成スキルを効率的に習得できる点にあります。

最新の法改正にも完全対応しており、基礎から応用まで、出題必須論点を網羅的に学べます。

司法試験・予備試験 論文合格答案集 スタンダード100シリーズ

※引用：Amazon

「司法試験・予備試験 論文合格答案集 スタンダード100」シリーズは、早稲田経営出版の参考答案集です。

「基本論点」「予備試験」「司法試験」の3部構成となっていて、論点確認から段階的なレベルアップを図ることが可能です。

掲載されている参考答案は、合格者が実際に書いた答案を元に、複数の合格者が合議して修正した実践的なものです。

また、「問題文の分析・学説の分岐点」や「答案を作成するにあたっての注意」といった解説と併せて読むことで、合格者の思考プロセスや具体的な答案作成のコツを深く理解することができます。

最新の法改正や判例変更にも対応しており、実力が身につきにくい論文式対策に最適な一冊とされています

過去問題集以外に過去問を入手する方法は？

過去問集以外に実際に過去問を解いて勉強したい人には法務省のHPを利用しましょう。

旧司法試験を含めた司法試験・予備試験の全ての問題が掲載されています。

短答式試験は解答がありますが、司法試験は出題趣旨のみ掲載されていて論文式試験の模範解答は掲載されていません。

実際に問題を解きたい人や模試みたいに本番形式で練習したい人は、法務省のHPから答案用紙と問題を印刷して利用しましょう。

ただし、解答の解説が載っていなかったり、論文式試験の自己採点はしずらいので、わからない所や論文式試験の添削をしてもらいたい人は予備校や過去問集を利用することをおすすめします。

関連コラム：【司法試験・予備試験】論文式試験の問題文の長さと答案用紙について

関連コラム：司法試験・予備試験｜過去問総まとめ！何年分解く？使い方のポイントも

【おすすめ講座】司法試験・予備試験｜論証集の「使い方」

アガルートオリジナル論証集で論証を自分のものに！
論文のコアとなる論証を身に着けるための講座です。多くの合格者が絶賛した論証集を使って論証を自分のものにしてください！

【2026・2027年合格目標】司法試験｜論証集の「使い方」