【司法試験・予備試験】短答式試験における憲法の特徴

大きく分けて3つの分野から出題される

短答式試験の憲法では、大きく分けると、総論分野、人権分野、統治分野の3つの分野から出題されます。

分野ごとに有効な勉強法は異なるので、それぞれの分野の出題傾向を押さえることが大切です。

すべての選択肢の正誤を判断する必要がある

短答式試験の憲法の特徴として、すべての選択肢の正誤が分からなければ解けない問題が多くあることが挙げられます。

そのため消去法が使える科目と比べて正解するためのハードルは高いといえます。

なお、この傾向は憲法だけでなく行政法にも妥当します。

【司法試験・予備試験】短答式試験における憲法の勉強法

総論分野の勉強法

総論分野は、天皇、憲法9条など繰り返し問われている分野があるため、まずはその分野の問題を落とさないようにすることが大切になってきます。

学習の方法ですが、論文では馴染みの薄い分野であると思いますので、まずはテキストで概要を掴んで頂き、その後は過去問とテキストを往復するなかで徐々に正確な知識を身に着けて頂くのが王道だと思います。

人権分野の勉強法

人権分野では判例の正確な理解が要求されているため、判例の判旨を丁寧に読む必要があります。

例えば予H26-7は以下のような問題でした。

公務員の争議権に関する次のアからウまでの各記述について,いわゆる全農林警職法事件判決(最高裁判所昭和48年4月25日大法廷判決,刑集27巻4号547頁)以降の最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.国家公務員は,その地位の特殊性や職務の公共性に加え,勤労条件が法律・予算により定められており,人事院をはじめとする代償措置が講じられていることなどからすれば,その争議行為を全面的に禁止することは,やむを得ない制約である。

イ.人事院勧告の実施が凍結され,労働基本権の制約の代償措置がその本来の機能を果たさず実際上画餅に等しいとみられる事態が生じた場合には,国家公務員がその正常な運用を要求して相当な手段態様で争議行為を行うことは,憲法上保障される。

ウ.非権力的な労務に従事する現業の国家公務員は憲法第28条の勤労者にほかならず,労働基本権の保障を受けるから,全体の奉仕者であることを理由として,非現業の国家公務員と同様に争議行為を全面的に禁止することは,合理的な理由を欠く。

この問題は、全農林警職法事件判決のみからの出題になりますので、かなり深く1つの判例の理解を聞いていることがわかります。

このような問題に対応するためには、判例百選などで基本的な判旨を押さえることはもちろん、精読判例憲法など百選よりも詳細に判旨を確認できる書籍を見ることが有効になります。

この学習は本当に骨の折れる作業なのですが、短答式だけではなく論文にも跳ね返ってくるところなので、一石二鳥の気持ちで頑張ってほしいです。

統治分野の勉強法

統治分野については、総論分野と同じように過去問をメインに勉強することをお勧めします。

総論分野と同じく、特定の分野(政党、条約、憲法改正など)から繰り返し出題される傾向があるためです。

※関連コラム:司法試験・予備試験の短答式試験の勉強法(総論)

まとめ

短答式の憲法は全体的に難易度が高く苦戦する方が多いと思います。

苦手意識がある方は、お手元のテキストから「頻出の分野」を探し出し、その部分を徹底的に鍛えてみてください。
そうすればある程度安定した得点が取れるようになると思います。

そのうえで、論文の勉強も兼ねて判例の学習をしてみましょう。

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この記事の著者 富川 純樹 講師

富川 純樹 講師


関西学院大学法科大学院(未修)を卒業後,平成27年に司法試験に合格(69期)。


アガルートアカデミーでは,ラウンジ(個別指導)や受験生の受講相談も担当している。


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Twitter:@dsx79079

 

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