千瑞穂法律事務所の共同代表弁護士 守永 将大様にインタビューを行いました。

資格を取得しようと思ったきっかけから、実際の業務内容やスケジュール、今後の展望などを詳しくお答えいただいています。

これから弁護士を目指す方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

なぜ資格を取得しようと思ったのですか?

「組織人としては向いていない。資格を手にして、自分の名前と責任で仕事をしたい。」そう思ったからです。

大学では政治学と経済学を学び、卒業後は富士銀行(現在の「みずほ銀行」)に就職しました。当時、銀行は不良債権処理に追われており、マスコミが「銀行による貸し剥がし」を問題視する報道をしていました。

私も、銀行という組織の一員として、「貸し剥がし」の一翼を担っていたのですが、担当顧客から「銀行から借りてくれと言われて借りたのに」とか、「昔の担当者はいいことばかり言っていたのに、自分が苦しくなったら手のひら返しか」といった苦情の言葉を多く浴びせられました。

それらの厳しい言葉は、組織人としては甘受すべきものです。ですが、自分は腑に落ちませんでした。
そのとき、自分は「自分が判断し、実行したことについてこそ 、責任を負いたい」と思いました。そのような責任の負い方ができる仕事として、弁護士になろうと思いました。

主にどのような業務をされているのですか?

主に、遺言や相続に関する業務、不動産に関する業務を取り扱っています。

遺言や相続、また不動産に関するご相談は、それぞれの方、それぞれのご家族の歴史、いわゆる「ファミリー・ヒストリー」が背景にあります。そのため、単純な損得勘定では解きほぐせない、根深い感情の問題が根っこにある場合が多いです。

私は、そうした「ファミリー・ヒストリー」と、それにまつわる根深い感情の問題を、十分に踏まえた上で依頼者にとって「よりよい問題の解決」が実現できるように、いつも心がけています。

また、私は、家事事件の分野に関心を持っていたことから、募集に応募して、令和6年10月から広島家庭裁判所で非常勤裁判官(家事調停官)も務めています。

家庭裁判所での勤務は週1回ですが、多くの事件を担当して、各事件の解決に尽力しています。

1日の簡単なスケジュールを教えて下さい

09:30  事務所に到着。届いている郵便物、FAX、メールなどの確認や対処を行う。
11:00事務所内での「マーケティング活動」に関する会議。事務所としての「マーケティング活動」の状況確認や、今後の方針の議論を行う。
13:10裁判所の法廷で行われる第1回口頭弁論期日に出廷。最近は、ほとんどの裁判がWEBでリモートにより行われるが、この裁判は事情があって出廷。
14:00事務所に戻る。
14:30事務所内の会議室で、別の裁判のWEB画面での期日に参加。
15:00事務所内の会議室で、新件の法律相談。
17:00事件の依頼者に電話して、事件の状況について報告。今後の方針を協議。
17:30裁判所に提出する書面の作成。
19:00事務所代表として、事務所運営のための諸業務を実施。
20:00事務所を退勤。

仕事の魅力ややりがいを感じる時を教えて下さい

ご依頼された事件が終了した際に、依頼者の方から感謝のお言葉を頂けるときに、私は、この仕事のやりがいを感じます。

もちろん、依頼者のご希望通りの解決を実現することが、いつもできるわけではありません。訴訟でいえば、負けてしまう(敗訴)の場合もあります。

ただ、負けた場合であっても、長い間、依頼者に寄り添って、依頼者のために力を尽くして戦ったことを評価して下さり、負けたにもかかわらず、依頼者から感謝の言葉を頂けることもあります。

そのような時には、なおさら、私はこの仕事にやりがいを感じます。

印象に残っている仕事・案件のエピソードがあれば教えて下さい

兄弟間の遺産分割の争いで、大変長引いてしまったものの、最終的には自分の依頼者にご納得頂ける解決ができた案件がありました。

その案件は、もともと親が存命のうちから、親の介護方針をめぐって兄弟の間で対立がありました。

そして、実は親自身も、自分の介護に関して方針に迷いがあり、兄弟それぞれに別の話をしたり、話を二転三転させてしまっており、それが更に問題を複雑にしてしまっていました。

この案件でよかったのは、親のご存命中に、親と自分の依頼者との関係を良好にすることに成功したことです。

そのため、その親のご納得のうえで、自分の依頼者の考える「公平な遺産分割」を実現する内容の公正証書遺言を作ってもらえました。

親がお亡くなりになったあとも、兄弟間での紛争は続きましたが、しっかりと親の意向を確認できていたこともあり、最終的には、自分の依頼者にご納得頂ける内容で、紛争を解決することができました。

この案件は、紛争当事者の家族関係の調整等のために、弁護士が家族関係の中に、かなり深く踏み込んだ事案であり、その分、時間もかかり、大変なことも多かったです。

時には、依頼者とも意見が合わずに、依頼者と議論をするようなこともあったのですが、最終的に事件が終わったときに、依頼者から感謝の言葉を頂けたので、とても印象に残っています。

なぜ独立開業をしようと考えたのですか?

私は、地方都市で活動する弁護士、いわゆる「街弁(マチベン)」です。ですから、一般的に想定される弁護士としての業務は、何でも、ひと通りは取り扱うことができます。

どんな事案でも対応できるのが「街弁(マチベン)」のよいところですが、他方で、専門性が深まらずに、依頼者のための適切な対応ができない可能性もあります。

この点、お医者さんの世界では、何でも診断してくれる「街の診療所のお医者さん」だけでなく、複数の専門医・専門診療科が集まった「総合病院」もあります。

私は、弁護士の世界でも、専門性や得意分野を持ち、依頼者に対してより高度な法的サービスを提供できるような「総合病院」のような法律事務所が必要だと思っています。

そこで私は、所属している複数の弁護士がそれぞれの専門性・得意分野を伸ばすこと、そのような弁護士が集まり、事務所全体で「総合病院」のような、総合的な法的サービスを提供できる事務所を作りたいと思いました。

このような自分の考えについて、受験勉強時代からの仲間で修習同期の加藤健一郎弁護士も同様の考えを持っていたことから、それでは一緒にそのような事務所を作ろうと意気投合し、共同代表として事務所を設立しました。

開業後、最も苦労されたのはどのような部分ですか?

当事務所には、それぞれの分野において十分な知識・経験を有する良い弁護士が揃っていると自負しています。ただ、そのことを広く人々に知って頂けなければ、私たちの知識・経験を活用する場を得られません。

そこで当事務所では、事務所のこと、所属弁護士のことを、広く人々に知っていただくために、マーケティング活動にも力を入れています。

もっとも、マーケティング活動についての専門的な知識や経験のない「0(ゼロ)」からマーケティング活動を始めたので、いろいろと苦労の連続でした。

試行錯誤の連続でしたが、今現在では、企業法務(人事労務)の分野では、マーケティング活動の成果が出ています。

他の分野でも、引き続き、マーケティング活動に力を入れて、当事務所の所属弁護士の活躍の場を広げたいと考えています。

今後の展望等がありましたら教えて下さい

当事務所は「総合病院」のような法律事務所になること、専門的な法的サービスを組織的に提供することを目指しています。

そのためには、様々な得意分野・専門性を持った弁護士が当事務所に多く集まっていることが必要になります。

そのような事務所の体制を構築し、また維持していくためには、当事務所の考え方に共感を持っていただける弁護士を増やしていく必要があります。

また、当事務所の考えに共感を持って事務所に所属してくれた弁護士には、弁護士人生の最後まで、ずっと事務所に所属し続けて頂きたいと思っています。

所属してくれた弁護士に、そのようにしてもらえるためには、当事務所が魅力ある存在であり、かつ、そうあり続ける必要があります。

そこで、私は、これからも、ずっと、当事務所が 「弁護士にとって働きやすく、魅力あふれる場所」であり続けるように努力しようと思っています。

これから資格取得を目指している方へメッセージをお願いします

弁護士の仕事は、「人のため」また「社会のため」になる仕事で、とてもやりがいがあります。

人の人生を左右する点で重い責任がある仕事でもあるため、法律や判例、ひいては法的思考法(リーガルマインド)について、正しい知識と理解が不可欠です。

そのため、資格取得のためには、難しい司法試験を突破する必要があります。司法試験の受験は大変なことが多いと思いますが、ぜひ、それを乗り越えて、私たち弁護士の一員に加わって下さい 。

私たちと一緒に、「人のため」「社会のため」に、良い仕事をしましょう!

この記事の著者 守永 将大弁護士

早稲田大学政治経済学部を卒業。

都市銀行での勤務を経て、広島大学法科大学院を修了。

司法試験合格後、弁護士法人千瑞穂法律事務所を設立。

得意分野は、遺産分割紛争の解決、生前対策(遺言・民事信託)、不動産問題(事業者側)、労働問題(企業側)など。

2024年10月から、広島家庭裁判所の非常勤裁判官(家事調停官)。

千瑞穂法律事務所