自己紹介

名前:上野祐一郎さん
年代:40代前半
属性:社会人

受講されていた講座

法曹を目指すきっかけ

裁判官であった祖父が亡くなり、弁護士をやっていた伯母が亡くなり、親族に法曹関係の仕事を行う者がいなくなりました。いとこ達は、旧司法試験を受験していましたが、年齢的にも法曹になることを諦め、就職してしまいました。

私は、いとこ達の中では唯一、司法書士という法律関係の仕事に就いていたため、親族のなかで法曹になれる可能性が残っていると思い、5年間の勉強期間という家族との約束の下で法曹を目指すことにしました。

アガルートアカデミーを知ったきっかけや選んだ理由

私が、アガルートアカデミーを知ったきっかけは、2回目の予備試験受験で受けた論文試験の結果が散々だったときです。

私は、社会人受験生であり、かつ、高卒であるため予備試験予備校の情報を知っているような知り合いはいませんでした。そこで、勉強を始めた当初は、受講する時間を自由に選べるオンライン予備校であればどこでもいいと考え、適当にオンライン予備校を選びました。

しかし、最初に選んだオンライン予備校では情報量が足りず、他の予備校の書籍などを買い足しながら、勉強を進めていました。

短答式試験は、過去問を繰り返し行うことで突破することは可能でしたが、初めての論文試験を体験して、今まで行ってきたような半分独学ともいえる勉強方法では到底5年間以内には合格することができないと感じました。

そこで、徹底的に各オンライン予備校の授業内容等を調べ、書籍内容を本屋に行って調べました。その結果、アガルートアカデミーの一問一答シリーズや論証集が一番予備試験合格に必要かつ最低限の知識のみを網羅しているという結論に至り、アガルートアカデミーを選びました。

勉強の方針とどのように勉強を進めていたか

勉強の方針としては、スケジュール管理を徹底的に行うことに一番気を使ったと思います。

社会人受験生が一番ネックになるのは、可処分時間が圧倒的に少ないことです。もちろん、大学生や法科大学院生には授業やゼミがあるでしょうし、アルバイトしないといけないときもあると思います。そうだとすれば、社会人受験生でなくとも可処分時間がないということもできます。しかし、社会人が、大学生や法科大学院生と圧倒的に異なるのは、可処分時間を作るためには社会的責任を伴うことになるということです。社会人は、仕事を行い、その対価として給与や報酬を貰って生活をしています。その仕事を後回しにすることや誰かほかの人に代わって貰うことはできません。繁忙期になれば、徹夜で仕事をしなければ納期に間に合わないということもよくあります。そのような状況に置かれているなかで、予備試験という難関試験を突破するためにはスケジュール管理を徹底的に行う必要があります。

特に、私が行っていたスケジュール管理は、合格までに必要な勉強量から逆算して、その勉強量を1週間ずつ割り振るというものでした。

この方法のメリットは、1週間分の目標を立てたら、それさえ終わらせれば、残りの日程は休んでいいということと、仮に仕事の状況により1日分の勉強が遅れたとしても、他の日に挽回すれば、1週間以上勉強が遅れることは決してないということです。

デメリットとしては、順調に進んでいるときはいいのですが、3日分勉強が遅れると、1週間以内に挽回することが不可能になるため、スケジュールを完遂するために、かなり精神を削られるというところです。

なお、勉強の失敗体験や挫折については、他の予備校を受講していたときには「このまま勉強していて、本当に受かるのか?」という不安があったため、挫折しそうになったことが何回もありましたが、アガルートアカデミーを受講してからは、「これ(教材・重問等)をすべてできるようになれば必ず受かる。」という安心感があったため、特に無かったです。

学習時間はどのように確保し、一日をどのように過ごしていたか

学習時間は基本的に可処分時間を増やすことによって確保しました。

社会人受験生にとっては、とにかく時間を作るということが重要となります。私は、毎月楽しみにアガルートアカデミーのホームルームを聞いていたのですが、社会人受験生の質問で多いのが「可処分時間が少ないのですがどのように勉強を進めればいいでしょうか?」という趣旨の質問です。

ここで、かなり厳しい意見になるとは思いますが、可処分時間は自分で能動的に作るものであって、予備試験は少ない可処分時間でどうにかできるような難易度の試験ではないということです。そして、可処分時間を作る方法はその人の置かれた具体的状況により異なるため、講師の方に聞くようなことではないということです。

参考までに、これから予備試験の合格を目指す社会人受験生のために私個人の可処分時間の作り方を記載します。

まず、前提として、私は司法書士として独立開業している自営業です。平成20年から独立開業しているため、一定数の顧客がいて仕事量は一般の司法書士と比べるとかなり多い部類に入ります。あわせて、4人家族で妻・小学生の子供が2名おり、妻は専業主婦なので、家庭の収入は全て私に依存しています。

このような状況で、仕事の量を減らすことは一切できません。自営業者は弁護士であれ、司法書士であれ同じですが、仕事の量を減らせばその分、収入がダイレクトに下がります。これは家族の生活水準を落とすことを意味するため削ることができません。

そこで、仕事以外に削れるものを検討しました。まず、趣味です。勉強を始める前は休日にはゴルフに行ったり、ギターを練習したり、ゲームをしたりして過ごしていました。この時間を合格するまで全て削って勉強に充てました。ちなみに、私は心が弱いのでギターは捨て、ゲームは全て売却しました。

次に、お酒を飲むことです。仕事の付き合いや、中学からの友人と週末になると定期的にお酒を飲んでいましたがこの時間は全て削って勉強に充てました。私は、予備試験の勉強をしていることを友人や取引先には話していないので、急に付き合いが悪くなったと怪訝に思っていると思います。

最後に、父親でいる時間をほとんど削って勉強に充てました。例えば、休日に子供と遊ぶ時間、家族旅行に行く時間、家族と週末に外食をする時間、子供の学校行事に参加する時間などです。

趣味の時間や、お酒を飲むことは自分が我慢すればいいだけなので、何とも思わないですが、最後の父親でいる時間は妻にも子供にも迷惑をかける行為であり、かつ、二度と取り戻すことができない大切な時間です。これは精神的にかなり負担となりました。多分、合格前に心が折れたとしたら、この時間を削ったことが原因だと言い切れるほど悲しかったです。しかし、予備試験という難関資格に合格できたのも、この重大な対価を支払ったからだと自信をもって言えます。

以上が、予備試験合格までの私の可処分時間の作り方です。

一日の過ごし方については、上記のように確保した学習時間(可処分時間)を効率的に使用していきます。

まず、平日は、朝4時30分に起きて準備を始め5時30分に自分の事務所に出勤します、自宅から事務所までは1時間弱かかり、始発駅に住んでいるということもあり、電車で座りながら1時間弱で短答の過去問を勉強します。6時30分に事務所に到着したら、まず、重問の勉強を始業時間(9時00分)まで行います。その後、終業時間まで仕事をし、帰りの時間で論証集を暗記する、家に帰ってから夕食まで予備試験論文過去問のノルマを行う、それが終わったらその日にわからなかった部分のテキストや解説をインプットして終わったら寝るという生活を繰り返しました。これだけで、少なくとも平日フルに働いても6時間程度の勉強時間が確保できました。

休日も、起床時間は同じで、勉強内容もほとんど変わらず、それに追加して、マネージメントオプションをとっていたので、土曜日にはマネージメントオプションのカウンセリング、日曜日にはマネージメントオプションの課題作成を行い、余った時間で苦手な科目を復習するというような方法をとっていました。これだけで、土日は15時間程度の勉強時間が取れました。

直前期の過ごし方

1短答試験の直前期

短答試験の直前期(一ヶ月前)には論文のアウトプットはやりませんでした。その代わりに、暗記アプリに転記していた論証集を繰り返し暗記し、論文の勉強内容だけは忘れないようにしながら、全年度の司法試験・予備試験の過去問を2周しました。

2周といっても、直前期までに数えきれないほど短答過去問を回していたので、2周目はほとんど忘れてないか確認する程度の作業で時間はそこまでかからなかったと記憶しています。

短答試験は、やることは全部やったので受かる可能性が高いだろうと算段していました。

2論文試験の直前期

論文試験の直前期(三ヶ月前)は、短答に染まった脳を論文脳に切り替えなければいけません。短答は「広く浅く知識を網羅する」のに対し、論文は「短答よりは広くない知識を深く理解する」です。私のような凡人は決して、論文は「狭く深く」ではありません。このときには、続けてきた論証の暗記がかなりの効力を発揮します。いままで論証を書くことですら詰まっていたのが、スラスラ書けるようになる結果として、いろいろな方向から事実や評価を加える心の余裕ができます。また、私は、法曹を目指した目的や今までの仕事から、単に資格が欲しいだけで上位合格など目指してもいませんでした。そこで、全教科C評価でいいんだという気持ちがあり、そこまでのプレシャーはありませんでした。

結果として、この気持ちが本番当日まで続き、焦らずに解けるところだけしっかり書いたため、文章が乱れず、他の受験生より評価が上がり、平均よりは高い得点で合格することができました。

3口述試験の直前期

口述試験の直前期(一ヶ月前)は、ほとんどの受験生がそうであるように初めての口述試験受験となります。どの試験よりもメンタルを削られました。口述試験までの一ヶ月で体重が5キロ落ちたくらいです。口述試験の勉強しながら、「口述試験ダイエット」って本出したら売れるな。と感じたぐらい追い詰められました。

私は、オンライン予備校の社会人受験生ですから予備試験を一緒に勉強する仲間がいません。そうすると口述試験の練習をすることができないので困り果てました。いままで、アウトプットを中心に勉強してきた私は実践的なアウトプットができないことの焦燥感に駆られました。しかも、ここで落ちてしまえば、短答試験からやり直しです。近年の傾向からみれば98%は受かると想定できました。しかし、例年の傾向からは40代の口述試験の不合格率が高く、私は、その40代に当てはまるのです。

そこで、社会人受験生ならではのメリットを使用して口述試験を乗り越えました。すなわち、経済力です。私は、論文合格の発表後、すぐに、予備試験口述模試を行っている予備校をピックアップし、その日のうちに見つけられた予備校全ての口述模試に申込みを行いました。

結果として、合計6校の口述模試を受け、本番はほとんど緊張せずに受け答えができました。ただし、終わったあとに思ったことは、「そこまでする必要はなかった。」です。

試験期間中の過ごし方

短答試験が始まってから、口述試験が終わるまで約六ヶ月の間は、とても大変でしたが過ぎてみればあっという間だったと思います。

特に社会人受験生は、一つ試験が終わるたびに、次の一週間でたまっていた仕事を片付けなければいけません。私も、仕事の時間は削れないとお伝えしましたが、流石に試験一週間前くらいは少し仕事の手を抜いていたのが事実です。

試験期間中に気を付けていたことは、自分が作成したスケジュールを信じて粛々とノルマをやり切ること、体調を崩さないことです。

結果として、ノルマを早く達成して時間に余裕ができたときには体を休め、アガルートアカデミーのテキスト以外に手を広げなかったことが合格につながったと考えています。

受験した時の手ごたえと合格した時の気持ち

1短答試験の手ごたえと合格した時の気持ち

正直なところ、過去問をほとんど理由付けまで覚えている状態で臨んだので、よっぽどのことがない限り落ちることはないだろうと考えていました。手ごたえとしても合格しただろうという感じで、解答速報の答え合わせも法律科目だけの点数で十分合格点だったのでそこでの感動はありませんでした。

2論文試験の手ごえと合格した時の気持ち

論文試験当日は、「やれることは全てやった」という気持ちで試験に臨みました。手ごたえとしては、「ギリギリ受かっているかも」という感じでした。合格者の中でも完全に受かったという手ごたえをもって帰る方は一握りの天才だけではないでしょうか。合格発表は、仕事を終えてから自宅で家族と番号を見ました。自分の番号があった瞬間、妻は「あった!」と叫び泣き出し、子供は、「これからはお父さんと遊べるの?」と私に聞きました。重大な対価の見返りを受けた瞬間です。このときの家族の様子を見ると続けてよかったと思える、とても幸福な時間でした。

そして、次の刹那、私が正直に思った気持ちは「やばい、口述対策してないけど、どうしよう。」でした。

3口述試験の手ごたえと合格した時の気持ち

口述試験は、社会人受験生の経済力によって、ほとんど緊張することはなく、各予備校の口述模試の延長のような状態で本番に臨めました。

私は、初日が刑事実務基礎、二日目が民事実務基礎だったのですが、初日の刑事実務基礎で想定していたヤマが完全に当たり、ミスなく答えることができました。また、民事実務基礎は、順番が午後組の一番最後だったため、六法に癖がついていて自然と正解の部分が開くという奇跡があり、わからなかった部分を難なく答えることができました。

合格した時の気持ちとしては、嬉しいというよりは「やっと、終わった。」という気持ちの方が大きかったというのが素直な感想です。

ちなみに、妻と子供は、論文合格の時の喜びがピークだったらしく、そこまで喜んではいなかったように感じます。少し、寂しかったです。

振り返ってみて合格の決め手は?それに、当該講座はどの程度影響したのか

合格の決め手は、勉強の無駄を省いて粛々とやるべきことを続けたことだと思います。

アガルートアカデミーの講座は、他の予備校に比べて全体としてインプットを少なめに、アウトプットを多めにしているという印象です。これは、自分でスケジュールを管理して進めていくうえで目標をしっかり定めることができる(目標に到達しているかがわかる)と思います。

また、予備試験合格には法律の膨大な知識量から必要な部分を理解して覚えることのほかに試験に慣れる必要があります。総合講義、重問、論証集は、その膨大な知識量の中から必要な部分が既に抜き出されており、その分の時間が短縮できます。また、重問をスラスラ解ければ、予備試験本番のとき初見の問題の事案を把握して、事実をピックアップし、それを論文答案として起案していくことが可能となります。

これらをアガルートアカデミーの講座によって習得したことが、勉強の無駄を省いて粛々とやるべきことを続けられた要因だったと考えています。

アガルートアカデミーを一言で表すと

膨大な法律知識という大海の中で予備試験合格までの道筋を示す羅針盤

受験生に対するメッセージ

私は、高卒、社会人、中年の受験生でした。テキストを1回読めば覚えられるような天才ではありませし、中学・高校の学校の成績は全て赤点でした。私のせいで、学校全体の赤点が35点だったのが30点に減ったぐらい勉強が苦手な少年でした。そんな私でも最終学歴高卒以下の合格者4名の中に入れたのは、ひとえに家族の支えとマネージメントオプションでお世話になった講師の方々の熱心な指導、アガルートアカデミーの講座の質の高さ、妻からの程よい日々のプレッシャーのおかげだと感じています。

これから受験する方々で、私より学校の成績が悪かったり、地頭が悪いという人はそうそういないと思います。そうだとすれば、受験生の皆様は必ず合格できるだけの可能性を秘めているということができます。

「努力は裏切らない」とか「夢は諦めなければ必ず叶う」という言葉が単なる綺麗事であることぐらいは社会人を経験している人ならわかっていることです。努力は裏切り者だし、夢の別名は呪いです。それでも、たまに起こる奇跡を信じて努力してみるのもたまには悪くないと思います。

つぎの奇跡を味わうのは、この文書を読んでいただいた皆様からも知れません。

応援してます。

頑張ってください。

余談ですが、この合格体験記を書いているときには、中学からの友人に予備試験に合格したことを伝えていません。「重大な報告があるから呑もう。」とだけいって集合をかけています。昔からの私を知っている友人達に合格証書を見せたら「奇跡だ。」っていうかどうか楽しみです。多分、彼らなら「ふーん」と言って話を変えると思うので、その時には朝まで自慢してやろうと思います。