「出題趣旨によると…」「出題趣旨は…といっているので…」などといった説明を司法試験・予備試験予備校の講座や受講相談でよく耳にすると思います。

しかしそもそもその出題趣旨とは何なのでしょうか。

ここでは出題趣旨とは何なのか、それはどのように活用するべきなのかなどを見ていきたいと思います。

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出題趣旨とは?

出題趣旨とは、司法試験委員会が公開する論文式試験における出題者が想定する解答筋を示したメッセージです。

ではどのような形で解答筋が示されているのでしょうか。

ここで令和元年度司法試験憲法の出題趣旨の一部を見てみましょう。

「本年の問題は虚偽表現の規制の可否を問うものである。…本問の規制は内容規制という強力な制限の問題で…あり、表現の自由の自由の保障の意義といった基本に立ち返った検討が求められる」

このように司法試験出題趣旨では、

①どのような問題意識での出題なのか
②どのような方針で検討していくべきなのか


が示されています。

そのため、出題趣旨を読み解くことによって問題を見ただけでは気づけなかった問題点や、採点のポイントを知ることができるのです。

したがって司法試験合格の関係では出題趣旨を読み解くことが極めて重要になってきます。

出題趣旨はどこから確認できる?

司法試験の出題趣旨は法務省ホームページの司法試験の結果について記載されているページから見ることができます。

司法試験予備試験の出題趣旨は法務省のホームページのうち予備試験の結果についての記載されたページから参照することが可能です。

また出題趣旨は「できる限りすみやかに」公開するとされているのみで具体的にいつ発表されるかは明示されていません。

例年は司法試験の出題趣旨は5月半ばに試験が行われ、8~9月ごろに発表されていることが多いようです。

出題趣旨の活用法

出題趣旨がいかに重要な資料なのかは、ここまででわかっていただけたと思います。

ではその出題趣旨を効率的に活用するには、「いつ」「どのように」「どれくらいの」出題趣旨を読むべきなのでしょうか。

この点、出題趣旨は、学習初期、答案作成後の2回読むべきであり、それぞれについて活用法が異なりますので、ここではその2つを分けてみていきたいと思います。

学習初期の出題趣旨活用法

学習初期とは法律科目についてある程度外観がつかめてきて、問題演習を始めたくらいの時期を指します。

この時期に出題趣旨を読む目的は出題者の先生方がどのような答案を求めているのかを把握し、それ以後の答案練習をより効果的なものにする点にあります。

この目的は2年分程度の出題趣旨を読めば達成できると考えられるので、直近2年分程度の出題趣旨を読めば十分であり、すべての年度の出題趣旨を読む必要はありません。

また学習初期段階で出題趣旨の言っていることをすべて理解するのは困難なので無理にすべてを理解しようとする必要はなく、何となく出題者の意図がつかめる程度の読み込みで十分です。

なお出題趣旨分析講義は多くの予備校が出しており、無料で受けられる予備校もあるのでそれを利用すれば学習初期でも無理なく出題趣旨を読むことができると考えられるため、その利用を強く勧めます。

答案作成後の出題趣旨活用法

答案作成後とは、司法試験もしくは予備試験の過去問の答案ないし答案構成を作成した後を指します。

この時に出題趣旨を読む目的は、自分の答案と出題者の想定する解答とのずれを確認し、合格までの距離を測ることにあります。

そのため答案ないし答案構成を作成した過去問に関してはすべて出題趣旨を読むべきです(目安としては平成23年以降の司法試験はすべて、できれば平成18年以降の新司法試験の出題趣旨まで)。

この時、注意しなければならないのは、「完璧を求めない」ことです。

出題趣旨の中にはおよそ普通の受験生では答案に表現できないであろうレベルのことまで記載されていることがあります。

その点に拘泥し一喜一憂していたのでは学習の効率が落ちてしまいます。

そこで出題趣旨を読む際には出題趣旨に記載があるものの、自分が答案に書けなかった点を確認し、採点実感や再現答案を参照して当該問題点が合格レベルの答案に達するのに必要な点であったのかを確認するという流れで読んでいくといいでしょう。

効率よく合格のために必要な問題点を押さえていくことが司法試験合格への「最短ルート」です。

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