【2024最新】司法試験・予備試験の試験内容・試験科目・問題を解説
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法曹になるには司法試験に合格しなければなりません。
また、司法試験は誰でも受験できるものではなく、予備試験に合格するか、法科大学院を修了しなければなりません。
では、司法試験・予備試験では実際にどんな問題が出題されるのでしょうか。
本コラムでは、これから司法試験・予備試験を目指す方に向けて、試験内容や試験科目、さらに司法試験・予備試験の出題パターンや対策法などをお伝えします。
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予備試験の試験内容
予備試験は短答式試験、論文式試験、口述試験の3つの試験があります。
予備試験は短答式試験に合格することで論文式試験を受験することができます。
さらに論文式試験に合格することで口述試験を受験することができます。
関連コラム:予備試験とは?日程・配点、司法試験との違い等を解説
予備試験の試験科目
短答式試験の試験科目は、民法・商法・民事訴訟法、憲法・行政法、刑法・刑事訴訟法、一般教養科目の8科目です。
論文式試験の試験科目は、 憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法 、民事実務基礎、刑事実務基礎、選択科目の10科目です。
口述試験の試験科目は民事実務基礎、刑事実務基礎の2科目です。
司法試験の試験内容
司法試験は短答式試験、論文式試験の2つの試験があります。
司法試験は予備試験とは違い、論文式試験に続けて短答式試験が行われます。
関連コラム:司法試験とは?日程・配点・試験時間等について解説
司法試験の試験科目
司法試験の科目は、短答式が民法、憲法、刑法の3つ、論文式が憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、選択科目の8つです。
短答式は、民法が75点満点、憲法、刑法が50点満点、論文式は各科目100点満点となっています。
令和5年(2023年)に出題された司法試験と予備試験の問題
予備試験で出題された問題は法務省の令和5年司法試験予備試験問題で確認することができます。
司法試験で出題された問題は法務省の令和5年司法試験問題で確認することができます。
関連コラム:司法試験・予備試験における過去問の使い方!何年分解く?いつから始める?
予備試験の問題の型とは?
予備試験は、憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法の法律基本科目7科目に一般教養を加えた8科目を内容とする短答式試験。
法律基本科目7科目に民事実務・刑事実務・選択科目の3つを加えた10科目の論文式試験。
民事実務・刑事実務の2科目を内容とする口述式試験に分かれています。
短答式試験は例年7月、論文式試験は例年9月、口述式試験は例年1月に試験が行われます。
短答式試験はマークシート式で、六法を参照せずに判例知識や条文知識を問われる試験です。
一般教養からは、日本史・世界史・文学・論理学などの文系科目のみならず、物理や数学などの理系科目も出題されますが、約50問の中から自分の解けそうな問題を20問選んで解くことになります。
配点は60点です。
法律基本科目は、憲法・行政法が各12問、民法・商法・民事訴訟法が各15問、刑法・刑事訴訟法が各13問出題されます。
配点は各30点、合計で210点です。
具体的なイメージを持ってもらうために、以下法務省のHPから過去問をいくつか抜粋します。
短答式試験の例文
平成30年度民法からの抜粋です。
このように正しい(若しくは誤っている)選択肢を選ぶ問題などのような「正誤問題」が多く出題されます。
平成30年度刑法からの抜粋です。
刑法では特に、このような知識だけでは解けない、見解と事例を結びつけて考える問題なども出題されます。
論文式試験の例文
論文式試験は、六法を参照しながら、答案用紙に筆記する形式の試験で、事例問題が出題されます。
試験時間は、憲法・行政法が合わせて2時間20分、刑法・刑事訴訟法が合わせて2時間20分、民法・民事訴訟法・商法が合わせて3時間30分、民事実務・刑事実務が合わせて3時間、選択科目が1時間10分です。
答案用紙の上限は4枚です。
論文式試験は予備試験の天王山と言われ、最も難易度が高く、多くの受験生がふるいにかけられます。
では、実際にどんな事例問題が出されるのでしょうか。
平成30年度刑事訴訟法の論文式試験を見てみましょう。
これくらいの分量の問題を大体1時間~1時間10分で解かなければならないので、厳格なタイムマネジメント力が求められます。
以下ではいくつかの典型的な事例を挙げて、さらに予備試験の出題例を見てみます。
(1)あなたの見解を述べる問題
〔設問〕
Xの提起しようとしている訴えの法律上の争訟性について言及した上で,Xの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,あなた自身の見解を述べなさい。 (司法試験予備試験平成30年憲法参照)
このような出題形式のポイントは、多角的な検討です。
この問題文は、以下の3つの立場からの検討を求めています。
①Xの主張
②想定される反論
③あなた自身の見解
これは憲法でよく出題されている傾向です。
もっとも、令和元年以降の憲法では、厳密に3つの立場から検討が求められているわけではなく、③あなた自身の見解を中心に問うものになってきてはいますが、その分析の過程においては、やはり①②のような当事者の主張の視点を分析すること自体は重要です。
また、憲法以外の科目でも原告の立場からの主張を検討せよ、というものや、想定される反論に言及しつつ私見を述べよというものなど、この出題形式に近いものが頻出です。
この形式に対応するためには、一つの論点について平版に暗記するのではなく、普段の学習から他説も含めて多角的に理解していくことが必要です。
(2)当事者の主張の当否を問う問題
〔設問1〕
Cは,平成26年3月に開催されたX社の取締役会において,X社のY社からの借入れが無効であると主張している。この主張の当否について論じなさい。(司法試験予備試験平成26年商法参照)
この出題形式は、あらかじめ検討しなくてはならない請求や主張が明示されており(主に裁判所の立場から)客観的にその当否を検討するものです。
民事系でよく問われる形式です。
この形式のポイントは、各請求(主張)の成立要件を条文から丁寧に検討していくことです。
多くの問題はこの要件該当性の検討に際していわゆる論点が出てくることが多いです。
(3)当事者の主張が明示されていない問題
〔設問2〕
Eは,Bに対し,甲土地について,どのような権利主張をすることができるか。また,その結果として,甲土地の所有権について,どのような法律関係が成立すると考えられるか。それぞれ 理由を付して説明しなさい。(司法試験予備試験平成24年民法参照)
この出題形式は、(2)でみたように当事者の主張が明示されておらず、そもそも当事者がどのような主張をするのが適切かということから検討していく必要があります。
このような問題形式を解く際にポイントとなるのが事案の整理です。
誰が誰に対して不満を持っているのか、誰のどのような権利が誰により侵害されているのかを適切に把握することが大切です。
そのためには、事案の登場人物の相関図を簡単に書くのもおすすめです。
(4)刑事系特有の設問
事案が長すぎるため、本コラムでの引用は省略しますが、刑事系の多くの問題では、上記(1)~(3)のような誘導が無く、単に「以下の事例に基づき,甲及び乙の罪責について論じなさい」というような出題がなされます。
これは刑法の例でしたが、刑事訴訟法でも「①の逮捕及び勾留の適法性について論じなさい」とだけ書かれた設問も出題されています。
これらの出題では、自分で長い事案を丁寧に分析し、事実から法的な論点を抽出する能力も必要です。
そのため、普段のインプットでは、単に抽象的に法律論を押さえればよいのではなく、事案にそって事実評価をするという点まで押さえておくのが良いでしょう。
口述試験について
口述式試験では、民事実務・刑事実務に関する問題を面接での口頭のやりとりで出題されます。
出題内容は、実体法上の論点から、訴訟法上の手続まで様々です。
また、条文番号を答えさせられる問題もあります。
試験室では六法を参照することが可能ですが、見ない方が印象はいいです。
質問に対する「正解」を出すというよりも、「問いに答える姿勢」が問われる試験です。
具体的には、回答に「誤り」があったとしても、試験委員がそのように考えた理由等について誘導をしてくれますので、その誘導に乗ることが大事です。
司法試験の問題の型とは?
司法試験は、憲法民法刑法の3科目を内容とする短答式試験と、それらに民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法・選択科目を加えた8科目の論文式試験を、5月中旬の4日間で一気に実施します。
短答式試験の問題の型
司法試験や予備試験の短答式試験では各科目ごとに出題の特徴が異なります。
そこで以下科目ごとにその例題を見てみましょう。
公法系科目
公法系科目には二種類の出題形式があります。
(1)1種類目は以下のような出題です。
《例題》
日本国憲法の改正に関するアからウの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい
ア・・・省略・・・
イ・・・省略・・・
ウ・・・省略・・・
この出題の特徴は出題された各肢すべてについて正誤判定をし、そのすべてをマークしなければいけない点です。
憲法では肢が合計3つ、行政法では肢が4つあることが多いです。
つまりこの一問でマーク欄は憲法では3つ、行政法では4つ使用することになります。
基本的にこの出題の配点は3点で、憲法では3つの肢のうち2つの正誤判定が正しければ部分点が1点、行政法では4つのうち3つ正しければ部分点2点がもらえることが多いです。
(2)二種類目は以下のような出題です。
《例題》
日本国憲法の改正に関するアからウの各記述について、それぞれ正しい場合には〇、誤っているものには×を付した場合の組み合わせを、後記1から8までのうちから選びなさい
ア・・・省略・・・
イ・・・省略・・・
ウ・・・省略・・・
1 ア〇 イ〇 ウ〇
2 ア〇 イ〇 ウ×
3 ア〇 イ× ウ〇
4 ア〇 イ× ウ×
5 ア× イ〇 ウ〇
6 ア× イ〇 ウ×
7 ア× イ× ウ〇
8 ア× イ× ウ×
全ての肢について正誤判定が必要になるのは一種類目と同じですが、各肢の〇×の正しい組み合わせを一つ選ぶ(マーク欄が一つ)という点で一種類目と異なります。
肢の数は憲法も行政法も3つのものが多いです。
このタイプの出題は基本的には配点は2点で、一種類目のように部分点はありません。
民事系科目
民事系科目も出題の形式は2種類に分けられます。
(1)1種類目は以下のような出題です。
《例題》
取得時効に関するアからオまでの記述のうち判例の趣旨に照らして正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか
ア・・・省略・・・
イ・・・省略・・・
ウ・・・省略・・・
エ・・・省略・・・
オ・・・省略・・・
1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 エ・オ
ア~オの5つ肢が示され、そのうちから正しいもの(もしくは誤っているもの)の組み合わせを選択する形式です。
この出題形式の場合はア~オすべての正誤判定ができなくとも消去法を用いれば、正解を絞り込むことができます(例えば上の例題で「エ」と「オ」の肢が確実に誤っていると判断できれば、正解は1か3のどちらかまで限定できます)。
民法のほぼすべて、商法や民事訴訟法の約半数がこの出題形式です。
この出題形式で出される問題の配点は2点になっています。
(2)2種類目は以下のような出題です。
《例題》
会社の設立に関する次の1から5までの記述のうち正しいものを2つ選びなさい
1・・・省略・・・
2・・・省略・・
3・・・省略・・・
4・・・省略・・・
5・・・省略・・・
これは1~5の5つの肢が示され、その中から正しいもの(もしくは誤っているもの)を選ばせる形式の問題です。
選ぶべき肢の数は1個ないし2個になっています。
1種類目と異なり組み合わせを選ぶ形式ではないので選択肢を絞り込むのはこちらのほうがやや難しいように感じます。
ただ、これも消去法を用いることができる点で、公法系の出題よりも容易であるといえます。
商法の約半数、民訴法の約半数がこの形式の出題です。
配点に関しては各2点で、2つの肢を選ぶ問題に関しては1つの肢につき1点が振られている(2つのうち、1つしか正しい肢を選べなくても部分点が1点入る)場合が多いです。
刑事系科目
刑事系科目の出題の種類は様々で4種類に分けられます。
(1)1種類目は、公法系の1種類目と同じく各肢について正しいものに「1」、誤っているものに「2」をマークさせる出題形式です。
もっとも公法系の出題と異なり肢は5つに増え、配点も4点に増加します。
また部分点も5つのうち4つ正しい判定ができて初めて2点が入るという形になっており、公法系科目よりも厳しい採点基準になっているので注意が必要です。
(2)2種類目は、民事系の一種類目と同じく、ア~オの5つの肢のうち正しい(もしくは誤っている)ものの組み合わせを選ばせる問題です。
これに関しては出題形式、配点も民事系と同じになっています。
(3)3種類目は民事系の2種類目と同じく5つの肢のうち正しいもの(もしくは誤っているもの)を1~2個選択させる問題です。
これに関しては出題形式の面では民事系と異なる点はありません。
配点に関しては2つの肢を選択する場合、民事系は各肢に1点の部分点が振られている一方、刑事系は部分点がなく2つ両方正しい肢を選べて初めて2点が入る形になっているので注意が必要です。
(4)4種類目は刑事系科目独自の出題形式で以下のようなものです。
《例題》
次のアからオの各記述のうち、判例の立場に従って検討した場合、正しいものの個数を後記1から6から選択しなさい
ア・・・省略・・・
イ・・・省略・・・
ウ・・・省略・・・
エ・・・省略・・・
オ・・・省略・・・
1,0個
2,1個
3,2個
4,3個
5,4個
6,5個
これはア~オの5つの選択肢のうち正しいもの(もしくは誤っているもの)がいくつあったのか、その個数を答えさせる形式です。
基本的にはすべての肢について正誤判定をしなければ答えることができず難易度の高い出題になっているといえます。
このパターンの出題は基本的に配点は2点になっています。
論文式試験の問題の型
論文式試験は、予備試験と大きく異なります。
出題内容は予備試験と同じく事例問題ですが、問題文の長さが予備試験に比べて格段に多いです。
したがって、書くべき答案の枚数は上限8枚、試験時間は2時間(選択科目は2問で3時間)と多くなります。
また、行政法や民事訴訟法は、法律事務所の会議録や修習生と教官との会話をガイドラインとして答案を書くという、独特な出題方式が採用されています。
予備試験においては、民事訴訟法でたまにこのような形式の出題がされます。
問題文が長いので、ここでは紹介できませんが、感覚的には予備試験の問題文の3倍くらいのボリューム感です。
司法試験の問題を解くために高めたい能力
司法試験・予備試験ではとにかく限られた時間の中で自己の思考をまとめあげ、他人に伝わるように表現しなければなりません。
そこでは、論理的思考力・読解力・表現力・書くスピードなど複合的な力が求められます。
そしてそれらは過去問を解いていく中で身についていくものです。
また、司法試験は六法を丸暗記するものというイメージを持たれていることが多いようですが、決してそんなことはありません。
たしかに、短答式試験では相当な量の暗記を求めらますが、論文式試験では六法を参照することができます。
したがって重要なのは論理的思考力とそれを分かりやすく表現する力であるといえます。
司法試験は暗記が苦手であっても合格することは可能です。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 谷山 政司 講師
平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。
自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。
また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。
谷山講師の紹介はこちら
ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924