司法試験の受験者数・合格者数・属性と今後の合格者数についての考察
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司法試験というと合格率数パーセントの超難関試験というイメージかもしれません。
しかし、令和6年(2024年)司法試験の合格者数は1,592人で、出願者数は4,028人、実受験者数は3,779人です。
合格率(実受験者ベース)にすると約45%と、上記のイメージよりは高い合格率であることが分かります。
このコラムではこのようなデータに触れつつ司法試験の合格者数をはじめ、合格率や、合格者の属性、そして、それらから読み取れることを考察していきたいと思います。
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アガルートアカデミー司法試験の谷山政司講師が、司法試験の合格者数・合格率について解説します。
また、今後のどのように推移していくか、大きく変動する可能性があるか考察していますので、ぜひ参考にしてください。
司法試験の受験者数(出願者数)・合格者数
直近5年間の合格者数
法務省が発表した令和6年(2024年)司法試験の出願者数は4,028人、受験者数は3,779人に対し、合格者数は1,592人でした。
平成28年から令和4年までの過去7年間の受験者数は6,899人から3,082人と約3,800人ほど減っています。
ですが合格者数は1,583人から1,403人とほぼ変わりません。
ただし、令和5年からは、法科大学院在学中でも司法試験の受験が可能となったため、受験者・合格者ともに人数が増えています。
試験年度 | 受験者数(出願者数) | 合格者数 |
---|---|---|
平成28年 | 6,899人(7,730) | 1,583人 |
平成29年 | 5,967人(6,716) | 1,543人 |
平成30年 | 5,238人(5,811) | 1,525人 |
令和元年 | 4,466人(4,930) | 1,502人 |
令和2年 | 3,703人(4,226) | 1,450人 |
令和3年 | 3,424人(3,754) | 1,421人 |
令和4年 | 3,082人(3,367) | 1,403人 |
令和5年 | 3,928人(4,165) | 1,781人 |
令和6年 | 3,779人(4,028) | 1,592人 |
※参考:司法試験の結果について
令和5年からの変更はあるものの、平成29年(2017年)以降はおおむね1500人前後を基準にして合否を分けていると考えてよいと思います。
毎年合格最低点にバラツキがあることを考慮しても、合格ラインは点数ではなく、人数で決められていると考えるのが自然です。
この点の分析、考察については後述します。
合格者の属性について
司法試験の受験資格は法科大学院修了者または司法試験予備試験合格者に与えられます。
そこで両者の属性を比較してみます。
予備試験合格者の合格者数
まず予備試験合格者の受験資格で、令和6年司法試験を受験した者の合格者数は441人です。
予備試験合格者の司法試験受験者数が478人であることを考えると、予備試験合格者はかなり高い合格率(90%以上)であるということが分かります。
法科大学院修了者の合格者数
他方で法科大学院修了者の合格者数について見ていきます。
令和6年司法試験において、最も多くの合格者を輩出したのが慶應義塾大法科大学院であり、合格者数は146人です。
また、合格率が最も高かったのも慶應義塾大法科大学院で59.35%です。
いまから法科大学院選びをする方は、司法試験の合格率等も判断材料にしてみるのもいいかもしれません。
なお、法科大学院別の合格者数を見るときに注意しなくてはならないのは、法科大学院進学者でも、予備試験合格者の受験資格で司法試験を受験する人も存在するという点です。
例えば法科大学院1年目で予備試験に合格した場合には、大学院の修了を待たずに司法試験を受験することが出来ます。
この場合、合格者数の算定は、その受験者の在籍法科大学院修了者としてでは無く、予備試験合格者という算定がされるので注意が必要です。
司法試験の合格者数は1500名が目標とされている
2000年以降に行われてきた司法制度改革の一環として、司法試験の合格者数を増加させ、法曹人口を増加させるという目標が掲げられてきました。
その影響もあってか2008年から2013年までの間の合格者数は毎年2,000人程でした。
しかし、出願者数の減少もあってか現在では上述のとおり、1500人程度の合格者数を確保するという方針になっているということが推測できます。
(あくまで合格者数のデータからの推測ですが。)
また、第198回国会、参議院(法務委員会)の議事録においても「司法試験合格者については、当面千五百人規模は輩出されるような必要な取組を進めるということとされており」という発言もみられます。
これらの事からすれば、1500人程度に合格者数を維持していることは、ある程度意図的なものであるということが予想出来るといってよいでしょう。
そして、実態を見ても、コラムの冒頭で見たように、司法試験の合格者数はおおむね1,500人程度で維持されています。
たしかに2015年は1850人の合格者数、その前の年も同様に1800人台の合格者が出ています。
この数字のみを見ると2016年を境に司法試験の合格難易度が高くなったと感じる方も多いかもしれません。
しかし、2015年の出願者数は8016人となっており、2020年と比べると4000人程度も多いということになっています。
合格倍率でみると、概ね22~40%になっており、2016年を境に合格難易度が上がったかというと、そうではありません。
むしろ、近時は受験者数の減少に伴って合格率が上昇する傾向にあります。
もっとも令和3年の出願者数が3,754人であったことからもわかるように、司法試験受験者数は減少傾向にあります。
そのため、今後も1,500人程度の合格者数が維持されるかは未知数といえます。
実際に、令和3年司法試験合格者数は若干ではありますが減少がみられ、1,500人を割り込んでいます。
合格者数が減少すれば、相対的に合格率が上昇する可能性があります。
まとめと今後の合格者数についての考察
以上のように、過去数年のデータから考察すると、合格者数は1,500人程度になっているということが分かります。
もっとも、2016年には出願者数の減少に合わせて300人程度合格者数を減少させたことからしても、今後1500人の基準から合格者数が減少するということは十分に考えられます。
いずれにせよ、合格率は20~40%程度を維持しているということがわかります。
そうだとすれば、受験生としては過度に難しい試験であると構える必要は無く、全受験者の中で相対的に上位に入れるような勉強を確実にしていくことが大切であるといえます。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 谷山 政司 講師
平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。
自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。
また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。
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ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924