法曹コースとは?設置大学一覧とメリットデメリット
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司法試験を目指す法学部生は、学部4年間を修了した後、法科大学院2年間を修了するのが一般的です。
つまり、法曹になるには6年間もの教育課程をクリアしなければなりません。
さらに、司法試験・司法修習も経験しなければならないことを加味すると、非常に多大な時間とお金が必要となります。
そこで新しく導入されたのが『法曹コース』です。
法曹コースとはどういった制度なのか、どの大学・法科大学院が法曹コースを導入しているのか。
詳しく見ていきましょう。
目次
法曹コースについて動画で解説
アガルートアカデミー司法試験の谷山政司講師が、法曹コースの概要やメリット・デメリットについて図や表を使って分かりやすく解説をしています。
法曹コースとは?わかりやすく解説
『法曹コース』とは、法曹を目指す方が学部段階から法曹になるための一貫教育を受けることが出来るコースです。
法曹コースは、早期卒業を前提とした制度であり学部3年+法科大学院2年の教育課程で法曹を目指すことになります。
なお、法曹コースを3年間で修了できなかった場合(早期卒業できなかった場合)でも、卒業要件を満たせば大学を卒業することができ、一般選抜で法科大学院に進学することも可能です。
法曹コースの授業は、法科大学院未修者コース1年目の内容を代替するものであり、法曹コース修了後はスムーズに連携法科大学院の既習コースに接続することが想定されています。
法曹コースはいつから?
法曹コースは2019年度以降入学者が選択できます。
法曹コースに入るには?
法曹コースが設置された大学に進学し、法曹コースを選択します。
多くの場合、学部2年次に選択することになります。
大学によっては試験が課される場合もあります。
法曹コースで法曹になるまでにかかる期間は?
従来は大学入学から法曹になるまで約8年間の時間が必要でした。
法曹コースでは学部を3年間で卒業することが前提となっており、進学した法科大学院でも所定の単位を取得し、1年以内に修了見込みの者は司法試験が受験できるようになりました。
そのため、法曹コースから法曹になるまでの期間は約6年となり従来よりも約2年短縮となります。
法曹コースから法科大学院への進学方法
法曹コースから法科大学院への進学方法は3つあります。
特別選抜「5年一貫型教育選抜」
在学中の大学に設置された法曹コースと協定を結んだ法科大学院へ進学する方向けの入試です。
法曹コースの成績、面接など、法科大学院が適当と認める資料により選抜されます。
この選抜方法では法律科目の論文試験は課されません。
特別選抜「開放型選抜」
連携法曹基礎課程(法曹コース)を修了見込みの方向けの入試です。
5年一貫型教育選抜との大きな違いは協定を結んでいない大学院でも、法曹コースを修了見込みの方なら受験することができます。
法曹コースの成績、面接、法律科目の論文式試験など、法科大学院が適当と認める資料により選抜する方法です。
この選抜方法では法律科目の論文試験が課されます。
一般選抜
一般的な法科大学院入試です。
既修コースは法律科目試験、未修者は小論文+(出願書類)で選考を行います。
法科大学院によりますが、既修コース、未修コース、開放型選抜の併願をすることが可能です。
法曹コースがある大学と連携している法科大学院
法曹コースと法曹養成連携協定を締結している法科大学院の一覧になります。
特別選抜「5年一貫型教育選抜」での進学を検討されている方は参考にしてください。
「文部科学大臣認定を受けた法曹養成連携協定一覧」をもとに作成
関東の法曹コースがある大学と連携している法科大学院
大学 | 大学院 |
一橋大学法学部法曹コース | 一橋大学大学院法学研究科法務専攻 |
慶應義塾大学法学部法律学科法曹コース | 慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
学習院大学法学部法学科法曹コース | 慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
学習院大学法学部法学科法曹コース | 中央大学大学院法務研究科法務専攻 |
上智大学法学部法曹コース | 上智大学大学院法学研究科法曹養成専攻 |
千葉大学法政経学部法政経学科法学コース法曹コース・プログラム | 千葉大学大学院専門法務研究科 |
創価大学法学部法律学科グローバル・ロイヤーズ・プログラム | 創価大学大学院法務研究科法務専攻 |
早稲田大学法学部法曹コース | 早稲田大学大学院法務研究科法務専攻 |
中央大学法学部法律学科法曹コースにおける一貫教育プログラム | 中央大学大学院法務研究科法務専攻 |
東京大学法学部法科大学院進学プログラム | 東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻 |
東京都立大学法学部法学科法律学コース法曹養成プログラム | 東京都立大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻 |
日本大学法学部法律学科法曹コース 日本大学法学部法職課程法曹コース履修プログラム |
日本大学大学院法務研究科法務専攻 |
法政大学法学部法律学科法曹コース | 法政大学大学院法務研究科法務専攻 |
明治学院大学法学部法律学科法曹コース | 慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
千葉大学大学院専門法務研究科 | |
早稲田大学大学院法務研究科法務専攻 | |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
東京都立大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻 | |
明治大学法学部法律学科法曹コース | 慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
明治大学法学部法律学科法曹コースにおける一貫教育プログラム | 中央大学大学院法務研究科法務専攻 |
明治大学専門職大学院法務研究科法務専攻 | |
明治大学専門職大学院法務研究科法務専攻 | |
立教大学法学部法学科法曹コース | 慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
早稲田大学大学院法務研究科法務専攻 | |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
専修大学法学部法律学科法曹コース | 専修大学専門職大学院法務研究科法務専攻 |
近畿地方の法曹コースがある大学と連携している 法科大学院
大学 | 大学院 |
関西学院大学法学部特修コース法曹養成連携プログラム | 関西学院大学大学院司法研究科 |
関西大学法曹コース | 関西大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
京都大学法曹基礎プログラム | 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 |
神戸大学法学部法科大学院進学プログラム | 神戸大学大学院法学研究科実務法律専大学院 |
大阪公立大学法学部法学科法曹養成プログラム | 大阪公立大学大学院法学研究科法曹養成専攻 |
大阪公立大学大学院法学研究科法曹養成専攻 | |
大阪市立大学大学院法学研究科法曹養成専攻 | |
大阪大学法学部連携法曹基礎課程 | 大阪大学大学院高等司法研究科法務専攻 |
同志社大学法学部法律学科法曹養成プログラム | 神戸大学大学院法学研究科実務法律専攻 |
同志社大学大学院司法研究科法務専攻 | |
立命館大学法学部法曹進路プログラム | 中央大学大学院法務研究科法務専攻 |
神戸大学大学院法学研究科実務法律専攻 | |
立命館大学大学院法務研究科法曹養成専攻 | |
名古屋大学大学院法学研究科実務法曹養成専攻 |
北海道の法曹コースがある大学と連携している 法科大学院
大学 | 大学院 |
北海学園大学法学部法曹養成プログラム | 北海道大学大学院法学研究科法律実務専攻 |
北海道大学法学部法専門職コース法曹養成プログラム | 北海道大学大学院法学研究科法律実務専攻 |
東北地方の法曹コースがある大学と連携している法科大学院
大学 | 大学院 |
新潟大学法学部法学科法曹養成プログラム(※) | 東北大学大学院法学研究科総合法制専攻 |
東北大学法学部法曹コース | 東北大学大学院法学研究科総合法制専攻 |
中部地方の法曹コースがある大学と連携している法科大学院
大学 | 大学院 |
愛知大学法学部法学科法科大学院連携コース | 愛知大学大学院法務研究科法務専攻 |
金沢大学人間社会学域法学類総合法学コース法曹養成プログラム | 金沢大学大学院法務研究科法務専攻 |
信州大学経法学部総合法律学科法曹養成プログラム(※) | 慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
新潟大学法学部法学科法曹養成プログラム(※) | 慶応義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻 |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
神戸大学大学院法学研究科実務法律専攻 | |
名古屋大学法学部法律・政治学科法曹コース | 名古屋大学法学研究科実務法曹養成専攻 |
中国・四国地方の法曹コースがある大学と連携している法科大学院
大学 | 大学院 |
岡山大学法学部法曹プログラム | 岡山大学大学院法務研究科法務専攻 |
広島大学法学部法曹養成プログラム | 広島大学大学院人間社会科学研究科実務法学専攻 |
九州地方の法曹コースがある大学と連携している法科大学院
大学 | 大学院 |
九州大学法学部法科大学院連携プログラム | 九州大学大学院法務学府実務法学専攻 |
熊本大学法学部法学科アドバンスト・リーダー・コース(法学特修クラス)法曹プログラム(※) | 早稲田大学大学院法務研究科法務専攻 |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
神戸大学大学院法学研究科実務法律専攻 | |
九州大学大学院法務学府実務法学専攻 | |
鹿児島大学法文学部法曹養成連携プログラム(※) | 千葉大学大学院専門法務研究科法務専攻 |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
神戸大学大学院法学研究科実務法律専攻 | |
九州大学大学院法務学府実務法学専攻 | |
西南学院大学法学部法務コース | 学習院大学大学院法務研究科法務専攻 |
早稲田大学大学院法務研究科法務専攻 | |
中央大学大学院法務研究科法務専攻 | |
同志社大学大学院司法研究科法務専攻 | |
九州大学大学院法務学府実務法学専攻 | |
福岡大学法学部法律学科法律特修プログラム法曹養成連携基礎クラス | 福岡大学大学院法曹実務研究科法務専攻 |
琉球大学人文社会学部国際法政学科法学プログラム特修法曹コース | 琉球大学大学院法務研究科法務専攻 |
法曹コースのメリット・デメリット
法曹コースのメリット
(1)経済的・時間的コスト削減
法曹コースの最大のメリットは、なんといっても教育課程の短縮化です。
今まで合格までの道のりが長いことから法曹になることを諦めていた方でもチャレンジしやすくなりました。
また、早期卒業をすることで1年分の学費が浮くため、経済的にもメリットがあると言えるでしょう。
(2)教育内容
先に紹介したとおり、法曹コースは連携法科大学院との接続が図られています。
そのため、これまでは切り離されていた学部での学習と法科大学院での学習がスムーズに接続されるため学習効率が上がることが期待されます。
具体的には以下のような工夫がされているようです。
授業で使用する教材の統一や少人数かつ双方向・多方向で行う科目の開設
法科大学院における教育の導入としての科目の開設
法律基本科目について、法曹コースに開設された基礎科目の履修にとどまらず、連携法科大学院が開設する応用科目の科目等履修や連携法科大学院と法曹コースによる共同開講科目として開設された応用科目の履修ができるようにすること
出典「文部科学省」
法曹コースのデメリット
(1)カリキュラムの短期間化
法曹コースは早期卒業を必須とする制度です。
本来は4年間で取得すれば良かったはずの卒業単位を、3年間に詰め込んで取得しなければなりません。
そのため、かなり忙しい大学生活となってしまうでしょう。
(2)未知数な部分もある
法曹コースは2019年以降入学者に適用される新しい制度です。
実際のところ法曹コースの教育にどれだけの効果があるのかは未知数と言えます。
また、具体的にいかなる教育改革を行っていくかは各大学に委ねられています。
したがって、一口に『法曹コース』と言っても、その内容は大学によって大きく異なります。
あらかじめ各大学のパンフレットなどを参照し、いかなる教育制度が構築されているか確認するべきでしょう。
法曹コースの選び方
ひとくちに『法曹コース』といっても、具体的な教育内容は大学により様々です。そこで、何を重視して大学を選ぶかが重要になってきます。
合格率
法曹になるには司法試験に合格しなければなりません。
したがって、大学・法科大学院選びにおいて最も重要なことは司法試験の合格率と言えます。
司法試験の合格率は上位ローになればなるほど高くなります。
法科大学院ごとの合格率は関連コラム:法科大学院の司法試験合格率・合格者数ランキング!既修・未修でどう違う?をご参照ください。
そして、法曹コースは基本的には在籍する大学の連携法科大学院に進学することが予定されているといえるので、学部段階から上位ローと連携する大学に進学することが重要と言えます。
カリキュラム
法曹コースでは、学部段階から法科大学院未修コース一年次に相当する授業を受けることができます。
カリキュラムは各大学によって異なりますのであらかじめパンフレット等で確認する必要があります。
早期卒業要件
先のとおり法曹コースは、学部を早期卒業することが前提となっています。
したがって、早期卒業の要件についてもあらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
また、大学によっては連携法科大学院に進学することが早期卒業の要件となっている場合があるので、注意が必要です。
他大学院との連携
法曹コースを設置する大学であっても法科大学院が設置されていない場合もあります。
その場合でも、先のとおり他大学との連携によって、他大学の法科大学院に優先的に進学することが出来る特別枠を設けていることがありますので、この点についてもしっかり確認しましょう。
法曹コースを利用している人はどれくらいいる?
法曹コース利用なし | 49名 |
法曹コース在籍中 | 17名 |
法曹コース既卒 | 3名 |
法科大学院合格者に対して、法曹コースの利用状況を尋ねるアンケート調査を実施したところ、利用なしが49名、在籍中が17名、既卒が3名という結果になり、全体の29%が法曹コースを利用していることがわかりました。
アガルート受講生を対象としたアンケート調査概要
概要 | 法科大学院合格者に対し、法曹コースの利用状況を調査 |
調査方法 | アガルートアカデミー内でのアンケート調査 |
調査対象 | アガルート受講生の中で法科大学院に合格した者(令和5年度) |
調査対象者数 | 69名 |
調査対象地域 | 日本国内 |
アンケート回答者の属性
年齢 | 20代前半:60名、20代後半:5名、30代前半:1名、30代後半:3名 |
性別 | 男性57名、女性12名 |
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この記事の監修者 富川 純樹 講師
富川 純樹 講師
関西学院大学法科大学院(未修)を卒業後,平成27年に司法試験に合格(69期)。
アガルートアカデミーでは,ラウンジ(個別指導)や受験生の受講相談も担当している。
富川講師の紹介はこちら
Twitter:@dsx79079