司法試験に合格してもすぐに弁護士資格を得ることができるわけではありません。

司法試験に合格したあとは司法修習を1年間経験し、その締めくくりとして司法修習生考試、いわゆる二回試験に合格しなければなりません。

では、二回試験とは一体どのような試験なのでしょうか。

本コラムでは、二回試験の詳しい情報や対策についてご紹介していきます。

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二回試験(司法修習生考試)とは?

二回試験は、司法修習の最後に実施される卒業試験です。
法曹として認められるための最後の試験であり、合格しなければ、弁護士や裁判官、検察官になることはできません。

問題は論文式で、試験問題が多く、解答用紙20枚~40枚ほどに渡ります。

二回試験の内容・科目

司法試験に合格後、司法研修所で1年間法律実務を学んだ司法修習生に対し、5日間のスケジュールで実施されます。

正式名称は「司法修習生考試」ですが、司法試験につづき二回目に行われる能力判定という意味から、二回試験と呼ばれます。

二回試験では、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目が出題されます。

民事裁判科目

民事裁判科目では、与えられた民事事件の事件記録をもとに、民事判決を起案します。

具体的には、2つの記録のうちの1つについて要件事実に関する起案をし、もう1つの事件記録について事実認定に関する起案をします。

刑事裁判科目

刑事裁判科目は、与えられた刑事事件の事件記録をもとに、刑事判決を起案します。

事実認定はもちろんのこと、量刑判断についても起案する場合もあります。

また、刑事訴訟手続に関する小問が出題されることもあります。

検察科目

検察科目では、与えられた捜査記録をもとに終局処分を起案します。

検察でも、刑事訴訟手続に関する小問が出題されることがあります。

民事弁護科目

民事弁護科目では、与えられた民事事件の事件記録をもとに、最終準備書面を起案します。

また、民事執行・保全手続の小問が出題されることもあります。

刑事弁護科目

刑事弁護科目では、与えられた刑事事件の事件記録をもとに、弁論要旨を起案します。

二回試験のスケジュール

二回試験では、先述の通り、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目が出題され、1日1科目合計5日間のスケジュールで実施されます。

解答時間は1科目につき7時間半です。

つまり、5日間で合計37時間30分もの間、書面と向き合わなければなりません。

しかも例年5日間連続で行われており、間休みもないので、高い集中力が求められます。

例年、11月中旬から下旬にかけて実施されていましたが、2023年度からは司法試験の合格発表が11月に変更となったことに伴い、二回試験も時期が変わり、3月に実施されることが予測されます。

二回試験の不合格率

二回試験はほとんどの修習生が合格する試験なので、不合格者を発表する形で合格発表が行われます。

過去に行われた二回試験の不合格率は以下の通りです。

  平成27年
(69期)
平成28年
(70期)
平成29年
(71期)
平成30年
(72期)
令和元年
(73期)
令和2年(74期) 令和3年(75期) 令和4年(76期)
司法修習生採用者数 1787 1530 1516 1482 1473 1456 1328 1393
不合格者数 54 16 16 8 11 5
不合格率 3.0% 1.0% 1.1% 0.5% 0.7% 0.3% 0% 0%

※参考:司法修習生採用者数・考試(二回試験)不合格者数

表を見て分かる通り、二回試験に落ちる修習生は全体の1%程度と非常に少ないです。

不合格者数は年々少なくなっています。

したがって、普通にしていれば基本的に落ちることはない試験です。

二回試験に合格するために

もっとも、このようにほとんどの修習生が二回試験をパスできるのは、決して二回試験が簡単だからではありません。

では、二回試験に落ちる数名にならないためにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

とにかく油断しない

二回試験はほとんどの人が受かる試験ですが、決して簡単な試験ではありません。

皆ここで落ちてはならないという強い緊張感をもって試験に臨みます。

不合格率の低さゆえに二回試験を見くびっていると痛い目に遭うかもしれません。

起案の復習をする

二回試験で出題される各科目について、導入修習で1回・実務修習で1回・集合修習で2回ずつ起案をする機会があります。

これは二回試験の予行演習としての意味があるので、起案の解説をしっかり聞いて復習をしましょう。

禁止事項に気を付ける

二回試験には、「これを書いたら一発でアウト」という禁止事項があります。

たとえば、以下のようなパターンがあります。

・刑弁で、「被告人の供述が信用できないから被告人は有罪」と書く

・刑弁で、被告人が無罪主張をしているのに有罪を前提とする弁護をする

・民裁では、事案を4類型の中のどの類型にあたるか明示したうえで、それぞれの分類に応じた論じ方をしなくてはいけないのに、それをしない

起案をするときは禁止事項に触れないように注意しましょう。

※関連コラム:司法修習とは?修習生登録後の流れと5つの修習の内容

よくある質問

二回試験に落ちたらどうなる?再試験はあるの?

二回試験に不合格になった場合、翌年の試験をもう一度受けなくてはいけなくなります。

内定先が決まっている場合は、内定取り消しになる可能性があります。

二回試験の対策・準備はどうすればいい?

対策としては、司法修習で使用される白表紙と呼ばれるテキストの内容を十分に理解し、復習しておけば、知識面は問題ないでしょう。

また、過去問での対策も行っておくと良いでしょう。

司法修習前から、要件事実など対策できるところに取り組んでおけば、よりスムーズに二回試験を突破できるでしょう。

二回試験不合格の原因・ 理由で多いものは?

不合格の原因として多いものは、以下の通りです。

・途中答案

・問題文の読み間違い

・刑事弁護科目で、有罪弁論を行う

・民事弁護科目で、原告と被告を取り違えてしまう

・刑事裁判科目で、無罪判決を書く

・検察科目で、不起訴処分にする

合格発表はどのように行われる?

二回試験の翌月に、不合格者の番号が掲示板に貼りだされる形で発表となります。

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