弁護士が転職してインハウスローヤー(企業内弁護士)になるには?転職成功のポイント4つ
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転職してインハウスローヤーになりたいとお考えの方も多いのではないでしょうか?
インハウスローヤーへ転職するなら、必要な情報は入手しておきたいですよね。
このコラムでは、インハウスローヤーと法律事務所弁護士の違いやインハウスローヤーのメリット・デメリット、転職成功のポイントについて解説していきたいと思います。
インハウスローヤーに興味がある弁護士の方にとって参考になれば幸いです。
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インハウスローヤー(企業内弁護士)とは?
インハウスローヤーとは、一般に「企業の社員として雇用される弁護士」をいいます。
企業以外に、国や地方公共団体などの組織内弁護士全般も指します。
インハウスローヤーの業務内容
インハウスローヤーの業務内容は、企業法務が中心です。
具体的には、取引先や行政当局との交渉、契約書審査、社内規程の策定、M&A計画の立案・実行やコンプライアンス体制の策定・実施、知的財産戦略の立案、訴訟管理、株主総会の準備などです。
インハウスローヤーと法律事務所弁護士との違い
インハウスローヤーは企業が持つ、法的問題を解決することが主な仕事であり、反対に法律事務所勤務の弁護士は、顧客の様々な問題を解決する役割を担っています。
法律事務所に勤務する弁護士の多くが、個人や法人の依頼者からの依頼を受けて紛争の相手方と解決に向けて訴訟、調停、和解契約の締結などを行うことを日常的な業務とするのに比べて、インハウスローヤーは、直接相手方の交渉・折衝を行う機会は少ないといえるでしょう。
インハウスローヤーの年収
インハウスローヤーの年収は、750万円~1000万円未満の弁護士が最も多いと言えます。
令和4年分民間給与実態統計調査によると、日本人の平均給与は458万円であり、インハウスローヤーの年収はそれに比べると大きく上回っていることがわかります。
年収 | 人数 | 割合 |
250万円~500万円未満 | 6 | 2.9% |
500万円~750万円未満 | 27 | 13.2% |
750万円~1000万円未満 | 50 | 24.5% |
1000万円~1250万円未満 | 42 | 20.6% |
1250万円~1500万円未満 | 27 | 13.2% |
1500万円~2000万円未満 | 20 | 9.8% |
2000万円~3000万円未満 | 20 | 9.8% |
3000万円~5000万円未満 | 9 | 4.4% |
5000万円以上 | 3 | 1.5% |
インハウスローヤーが活躍する業界
インハウスローヤーが活躍する業界は、メーカー、M&A、IT・通信、知的財産分野などです。
国や地方公共団体で働く弁護士や法曹有資格者(弁護士登録をしていない法曹資格を有する者)もいます。
企業で働くインハウスローヤーの中には、インハウスローヤーの経験を活かして、より条件の良い企業や、興味のある業種・業態の企業などへ転職していく弁護士もいます。
業種・業態が変わっても担当する法律事務はそれ程大きく変わらないこともあります。
インハウスローヤーを置く企業には外国との取引を行う企業が大多数ですので、英文契約のチェックなど、英語力も求められます。
企業の海外法人や海外事務所で勤務する場合もあります。企業のコンプライアンス、内部統制の強化、グローバル化の進展などにより、活躍する分野はより広がって来ているといえるでしょう。
また、国や地方公共団体で働く弁護士・法曹有資格者には、5年以内といった任期付きの者も多くいます。
インハウスローヤー(企業内弁護士)に転職する方法
インハウスローヤーに転職するには「転職エージェントを利用する」「インハウスローヤーからの紹介」といった方法があります。
多くの場合は、転職エージェントを利用することが多いと言えます。
転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用するのは、主な転職方法の一つです。
まずは転職エージェントで求人情報の収集からスタートしましょう。
転職エージェント・サイトなどで検索できる公開求人もありますが、転職エージェント・サイトに会員登録をして初めてアクセスできる非公開求人情報もありますから、より良い条件で希望に合った転職先を見つけるには、登録して、担当者と話をすることをおすすめします。
インハウスローヤーへの転職に興味をお持ちの場合は、是非、弊社のグループ会社が運営する弁護士専門の転職エージェント「アガルートキャリア」までお気軽にご相談ください。
アガルートキャリアではこれまで多くの弁護士や法務人材のキャリア支援を行っており、インハウスローヤーへの転職支援実績も多数ございます。
大企業・外資・スタートアップまで、豊富な非公開求人をご紹介可能です。 転職相談の依頼を頂いたからといって、必ずしも求人に応募しなければいけないわけではありませんので、今すぐの転職をご検討されている方は勿論、中長期的なキャリア支援をご希望の方もお気軽にご相談ください。
インハウスローヤーからの紹介
既にインハウスローヤーとして勤務しているインハウスローヤーからの紹介で転職するという方法もあります。
普段から弁護士同士の交友関係を広くしておくことがこのような紹介の機会を増やすことにもつながるでしょう。
インハウスローヤー(企業内弁護士)への転職市場
インハウスローヤーの数の推移を見ると、2023年時点で953人だったのに対し、2023年には3184人となっており、3倍以上に増加しています。インハウスローヤーの需要は年々高まって来ているといえるでしょう。
2013年 | 953人 |
2014年 | 1179人 |
2015年 | 1442人 |
2016年 | 1707人 |
2017年 | 1931人 |
2018年 | 2161人 |
2019年 | 2418人 |
2020年 | 2629人 |
2021年 | 2820人 |
2022年 | 2965人 |
2023年 | 3184人 |
需要が高まっている理由として、コンプライアンス意識の高まりや企業のグローバル展開などが進んでいること、新しいビジネスや技術を展開する企業が増え、自社商材を守るため特許、著作権、商標などの知的財産に関する法律知識が必要になるケースが増えていること、スタートアップなどの企業の際にも法律知識が必要になること、などが挙げられるでしょう。
インハウスローヤー(企業内弁護士)に転職するデメリット
法律事務所からインハウスローヤーに転職する場合のデメリットは「年収・所得が固定」「法律事務所への復帰が困難になるケースがある」「企業によって業務分野が偏る」「弁護士同士の横のつながりが少なくなる」ということです。
デメリットについても知ったうえで、転職を検討してください。
年収・所得が固定
法律事務所の弁護士は、実力主義で業績、案件の数によって年収アップが期待できます。
それに対し、インハウスの場合、一定の収入になりやすいという特徴があります。
企業の給与規定に基づいて一定の額が支払われ、勤務年数に応じた定期昇給などの限度でしか収入は増えないというケースもあるでしょう。
このため、個人の業績によって大きな年収アップが期待しにくいと言えます。
ただ、企業によっては、業績賞与などの制度がある場合もあります。
転職する際には、候補企業の給与制度についてよく確認しておきましょう。
法律事務所への復帰が困難になるケースがある
インハウスローヤーの主な仕事は、企業が抱える法的問題を解決することであり、法律事務所勤務の弁護士とは異なる業務内容となります。
個人や法人の依頼者からの依頼を受けて紛争の相手方と解決に向けて訴訟、調停、和解契約の締結などの一般民事事件を扱うことはほとんどなくなります。
ですから、一度インハウスローヤーに転職すると、一般民事事件を中心とする法律事務所への復帰は困難になることもあります。
企業によって業務分野が偏る
企業によって業務分野が偏ってしまい、弁護士としての一般的業務に関する知識経験が乏しくなってしまう可能性があります。
また、入社した会社の業界によって業務領域が限定されるということもあります。
ある意味では専門性が高まるとも捉えられますが、今後の方向性も決めた上でその分野に特化したインハウスローヤーになるべきなのか?については検討しておいた方がいいでしょう。
弁護士同士の横のつながりが少なくなる
インハウスロイヤーの多くは、弁護士と名乗るために弁護士会に登録しているものの、勤務時間中は所属企業の業務に専念する必要があることや、利益相反(コンフリクト)を避ける必要があるなどの理由から、法律相談や委員会活動などの弁護士会の活動には参加していない弁護士が多いです。
社内で人間関係が完結してしまい、弁護士同士の横のつながりが希薄になる傾向があります。
インハウスローヤー(企業内弁護士)に転職するメリット3つ
法律事務所の弁護士からインハウスロイヤーに転職するメリットは「ワークライフバランスを重視した働き方ができる」「特定の業務に専念できる」「福利厚生が整っている場合が多い」ということです。
総じて、働きやすさを求める方にとってメリットが大きいと言えるでしょう。
ワークライフバランスを重視した働き方ができる
法律事務所だと、案件をこなすために残業時間過多になってしまう弁護士も多いですが、その点インハウスローヤーは社内の規定に従って勤務するため、残業も一定の範囲内に抑えられるケースが多くなっています。
企業の正社員として雇用されると、有給休暇、産休、育休の取得などの勤務条件が保障されていますから、結婚、出産、育児などのライフステージに合わせた働き方が可能です。
特定の業務に専念できる
インハウスローヤーが担う特定の企業内法務に従事することができます。
取引先や行政当局との交渉、契約書審査、社内規程の策定、M&A計画の立案・実行やコンプライアンス体制の策定・実施、知的財産戦略の立案、訴訟管理、株主総会の準備、海外市場開拓の際必要になる外国法の調査、などの分野のうち、任された特定の分野に専念することができます。
福利厚生が整っている場合が多い
法律事務所に比べ、企業に勤務した方が福利厚生が整っている場合が多いと言えます。
社会保険への加入のほか、企業によっては保養施設の利用、旅行代理店その他のレジャーや飲食店の割引サービスなどの福利構成事業のサービスを受けることができます。
インハウスローヤー(企業内弁護士)への転職で成功するポイント4つ
インハウスローヤー(企業内弁護士)への転職で成功するためのポイントは「金融・知的財産の知識について積極的にアピールする」「都心を中心に探す」「人柄や熱意をアピールする」「企業研究を徹底する」ということです。
ポイントを押さえて、活動準備を進めましょう。
金融・知的財産の知識について積極的にアピールする
インハウスローヤーについては、現在様々な業種の企業で雇用が進んでいますが、特に需要が多いのは、金融や知的財産を取り扱う業種・業態の企業です。
このため、会社法のほか、金融商品取引法などの金融関係の法律や、著作権法、特許法、商標法などの知的財産に関する知識が豊富だと好条件で転職できる可能性が高まります。
都心を中心に探す
地方に本店を置く企業にもインハウスローヤーを複数人雇用している企業がありますが、やはり自分の希望にかなった業種・業態の企業を探すのであれば、都心を中心に探す方が確率は高いといえるでしょう。
可能であれば、都心を中心に転職活動することをおすすめします。
人柄や熱意をアピールする
企業の採用では、弁護士事務所と比べて人柄や熱意をより見られる傾向があります。
ご自身の人柄や熱意をアピールして、いかに自分がその会社のために役立てるか、業績アップに貢献できるか、伝えられるようにしておきましょう。
企業研究を徹底する
しっかりと企業研究をして、その会社の特徴を捉えておくことは重要です。
自分がいかにその会社のために役に立てるのかを説得力を持って説明するためには、希望する企業が現在積極的に取り組んでいる分野や主力商品、サービスなどについて事前に入念にリサーチしておくことが大切です。
自分の知識、経験がその企業の事業の拡大や業績アップのためにどのように生かせるのか、具体的に説明できるように準備しましょう。
インハウスローヤー(企業内弁護士)に向いている人
インハウスローヤーはどのような人に向いている人とは、安定的な収入や働き方を求める人と言えるでしょう。
また、企業経営に興味があり、学びたいと考えている人にもおすすめめです。インハウスローヤーは会社役員とコンプライアンスや経営戦略について話し合う機会などにも恵まれることが多いです。
さらに、特定の業務に専念したい人にも向いていると言えます。
インハウスローヤー(企業内弁護士)に求められるスキル4つ
インハウスローヤーに求められるスキルは「専門性の高さ」「コミュニケーション力」「交渉力」「英語力」です。ご自身の経験や実績の中で当てはまるものがあれば、積極的にアピールしていきましょう。
専門性の高さ
自分の得意とする専門分野は何か分析し、その専門性の高さをアピールできるようにしましょう。
守秘義務に反しない範囲で、過去に扱った訴訟やM&Aその他成功に導いた取引など、どのような分野の事件を処理してきたのか、自分の専門性、強みを具体的に説明できるようにしておくことをおすすめします。
特にその企業と親和性高い分野に関する専門性について伝えられると良いでしょう。
コミュニケーション力
インハウスローヤーであっても弁護士という職業柄、就職する企業の社員や役員とのコミュニケーションや取引相手と円滑なコミュニケーションを図ることができるかどうかは、採用担当者にとって重要な審査ポイントとなります。
大規模な取引を成功させたり、特許などの許認可を獲得したりするためにもコミュニケーション力は必須です。専門知識さえあればよいという訳ではなく、コミュニケーション能力も重視することは多いと思っておくと良いでしょう。
交渉力
弁護士には、当事者間の公平性、利害関係のバランスを測りながら、依頼者(企業)の利益を最大限に獲得できるよう相手方やその代理人と交渉する能力が必要です。
法律事務所の弁護士も同様ですが、インハウスローヤーの場合にもやはり企業の代理人として、相手方と交渉を成功させ、紛争を解決する能力が求められます。
英語力
最近は外国企業との取引がある企業が大多数ですから、英文契約のチェックなど、使用言語として英語は必須です。
重要な取引の場では通訳を介することが一般的ですが、メールや電話でのやり取りを含め、基本的なビジネス英語はマスターしていることが求められるでしょう。
TOEICのハイスコアなどを履歴書などに書けると、高い評価に繋がりますし、英語以外に中国語など第三の使用言語もあると有利になる場合があるでしょう。
まとめ
年々、都心部を中心にインハウスローヤーの需要は高まっています。
特定の分野の企業法務や会社経営に興味がある人や、安定的な働き方、ワークライフバランスを求める弁護士にとって良い選択肢となるでしょう。
インハウスローヤーとして転職を成功させるためには、転職エージェントなども上手に活用しながら、求人企業の情報収集を行い、これまで培った専門的な知識・経験が求人とマッチすることをアピールできるようにしておきましょう。英文契約のチェック、ビジネス英語などの外国語の能力も高めておくと役立つでしょう。
なお、弁護士専門の転職エージェント「アガルートキャリア」では、インハウスローヤーへの転職支援実績が多数ございます。 インハウスローヤーへの転職に興味をお持ちの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。司法試験・予備試験の受験を
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