法科大学院(ロースクール)の奨学金・授業料免除制度一覧!返還免除を行っている大学院は?
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多くの法科大学院では、奨学金制度や学費免除の制度が設けられており、学費の全額免除や半額免除を受けられることがあります。
法科大学院(ロースクール)に通う場合、年間80万円以上かかるのが通常ですので、奨学金を利用したいという方も多いのではないでしょうか?
そこで、このコラムでは、各法科大学院の奨学金制度や授業免除制度について詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
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主な法科大学院の奨学金制度・授業料免除制度一覧
この章では、主な法科大学院の奨学金制度・授業料免除制度を一覧にしてまとめています。
大学名 | 名称 | 人数 | 金額 | 形式 |
京都大学法科大学院 | 授業料免除 | 60名程度(前期・後期で異なる) | 授業料全額 | 免除 |
一橋大学法科大学院 | 一橋大学法科大学院奨学金 | 2 | 月額5万円(総額60万円) | 給付 |
慶應義塾大学法科大学院 | 慶應義塾大学法務研究科(法科大学院)奨学給付制度 | 15 | 基準授業料全額 | 免除 |
東京大学法科大学院 | 授業料免除 | 57 | 授業料全額免除もしくは半額免除 | 免除 |
神戸大学法科大学院 | 授業料免除 | 予算額まで | 授業料全額又は半額 | 免除 |
名古屋大学法科大学院 | 千賀法曹育英会奨学金 | 1 | 月額10万円(給付3万円,貸与7万円) | 給付/貸与 |
早稲田大学法科大学院 | 稲門法曹奨学金(年間授業料相当額) | 20 | 年間授業料相当額(136万円(新入生の場合は116万円)) | 給付 |
大阪大学法科大学院 | 大阪大学大学院高等司法研究科奨学金 | 1 | 年額30万円 | 給付 |
中央大学法科大学院 | 中央大学大学院法務研究科特別給付奨学金制度 第一種特別給付奨学金 | 20名上限 | 入学金除く学費相当額(130万円) | 給付 |
北海道大学法科大学院 | 千賀法曹育英会 | 1 | 月額7万円(総額84万円) | 給付 |
岡山大学法科大学院 | 岡山大学大学院法務研究科金光法曹養成奨学金 | 1 | 授業料年間相当額(80.4万円) | 給付 |
愛知大学法科大学院 | 専門職大学院給付奨学金 | 1~4 | 授業料及び教育充実費年額相当額(117万円) | 給付 |
筑波大学法科大学院 | つくばスカラシップ | 制限なし | 20万円(1回のみ) | 給付 |
同志社大学法科大学院 | 同志社大学大学院司法研究科奨学金(第1類奨学金) | 53 | 年間の登録単位数に応じた単位授業料相当額を2年間継続して支給 | 給付 |
創価大学法科大学院 | 創価大学法科大学院牧口記念教育基金会奨学金Ⅰ種 | 16 | 年額100万円 | 免除 |
東北大学法科大学院 | 東北大学法科大学院奨学生(新入生) | 26 | 入学料及び初年度授業料年額相当額(108.6万円) | 給付 |
専修大学法科大学院 | スカラシップ入試奨学生 | 28 | 入学金・授業料・施設費相当額 | 給付 |
明治大学法科大学院 | 専門職大学院法務研究科給費奨学金 | 49 | 入学金・授業料・教育充実料免除 | 免除 |
法政大学法科大学院 | 入学時特別奨学金(A) | 8 | 年額108万円 | 給付 |
奨学金・学費免除制度の種類
奨学金や学費免除制度の中には、様々な種類のものがあります。
法科大学院の奨学金・学費免除制度には、大きく分けて以下の4つがあります。
- 法科大学院独自の制度
- 大学が設置している法科大学院生も利用可能な学内制度
- 日本学生支援機構の奨学金制度
- 民間奨学財団・地方自治体等の奨学金制度
ここからは、それぞれについて、詳しく解説していきます。
法科大学院独自の制度
法科大学院独自の制度は、それぞれの法科大学院が独自に設けている奨学金や学費免除の制度であり、基本的には各法科大学院のロースクール生のみが対象になります。
平成28年度の文部科学省の調査によれば、法科大学院生が活用している経済的支援の内、約35%がこの「法科大学院独自の奨学金制度」となっています。
また、「法科大学院独自の奨学金制度」のうち、大半(86%)が給付型であり、金額に関していうと、約3割の法科大学院が100万円以上の給付を行っています。
また、どれくらいの大学で、独自の制度が設けられているか、という観点では、法科大学院全体の約3割が、授業料を全額免除する学費免除制度を設けていることがわかります。
このように、法科大学院独自の制度は、金額面で非常に充実しており、経済的な負担を大きく軽減してくれるものだといえるでしょう。
法科大学院独自の奨学金・学費免除制度の受給条件としては、入学試験成績や法科大学院在学中の成績により基準が設けられていることが多いです。人数については、法科大学院ごとに異なるので、自分の志望する法科大学院のホームページをチェックしておくのがおすすめです。
大学が設置している法科大学院生も利用可能な学内制度
大学が設置している法科大学院生も利用可能な学内制度とは、学部等も含めた大学全体で設けられている奨学金・学費免除制度のうち、法科大学院生も利用可能な制度をいいます。
平成28年度の文部科学省の調査によれば、法科大学院生が活用している経済的支援の内、約19 %が大学が設置している法科大学院生も利用可能な学内制度となっています。
大学が設置している法科大学院生も利用可能な学内制度の受給条件としては、成績要件のほか、収入要件なども加えて定められていることが多いです。
受給条件については各大学によって異なるため、ホームページ等で確認しておきましょう。
日本学生支援機構の奨学金制度
日本学生支援機構の奨学金制度とは、独立行政法人日本学生支援機構が運営する、法科大学院生向けの貸与型奨学金制度のことをいいます。
第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付)の2種類があり、第一種奨学金と第二種奨学金を併用することも可能です(最大月額22万円)。
いずれの奨学金も、貸与期間終了後に分割して返還しなければならないのが原則ですが、優れた業績を挙げた学生に対する全額または半額の免除のほか、返還期間中の資力状況等の変化に合わせた減額返還、返還期限猶予の各制度も用意されています。
民間奨学財団・地方自治体等の奨学金制度
民間奨学財団・地方自治体等の奨学金制度とは、各法科大学院や大学以外の、民間奨学財団・地方自治体等から拠出される奨学金制度のことをいいます。
受給要件や金額については、財団や地方公共団体によって様々ですが、公募制となっていることも多く、その場合には自ら書類等を作成し、応募する必要があります。
一例として、関西大学における民間奨学財団・地方自治体等の奨学金制度を紹介しておくので、関西大学 民間奨学財団・地方自治体等奨学生の募集についてをご覧ください。
給付型奨学金と貸与型奨学金の違い
奨学金には、「給付型奨学金」と「貸与型奨学金」があります。
違いは、支給された奨学金を返す義務があるかどうかです。
給付型奨学金は、給付を受けた後に返還する必要のない奨学金です。
給付型奨学金には、多くの場合成績要件等が設けられているため、法科大学院進学後も良い成績をキープすることが重要です。
貸与型奨学金とは、原則返還義務のある奨学金をいいます。
有利子貸与と無利子貸与の2種類があり、返還時期や期間は、法科大学院や奨学金の種類によって異なるので注意が必要です。
また、成績が優秀な場合や経済的に返還が難しい場合には、返還が免除・猶予される場合もあります。
日本学生支援機構の奨学金制度について解説
この章では、前の章でも説明した日本学生支援機構の奨学金制度について詳しく解説します。
奨学金制度の概要と種類
独立行政法人日本学生支援機構は、法科大学院生向けに毎月貸与の奨学金を用意しています。
第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付)の2種類があり、第一種奨学金と第二種奨学金を併用することも可能です。法科大学院生に対する月額の貸与額は第二種奨学金で最大22万円で、アル バイト等の定期収入がなくとも就学が可能となるよう配慮されています。
第一種奨学金(無利子)
第一種奨学金は、無利子の貸与型奨学金です。
貸与額
月額5万円又は8万8千円のいずれかを選択
条件
・大学等並びに大学院における成績が特に優れ、将来、研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を備えて活動することができると認められる者。
・本人(配偶者含む)の収入金額合計が概ね541万円以下。
第二種奨学金(有利子)
第二種奨学金は、有利子の貸与型奨学金であり、在学中は無利息です。
貸与額
月額5万円、8万円、10万円、13万円、15万円、19万円、22万円のいずれかを選択
条件
・第一種奨学金と同じ又は大学院における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者。
・本人(配偶者含む)の収入金額合計が概ね595万円以下。
第一種奨学金・第二種奨学金併用の場合
上記の第一種奨学金と第二種奨学金は併用することも可能です。
貸与額
月額最大30万8千円
条件
本人(配偶者含む)の収入金額合計が概ね316万円以下。
入学時特別増額貸与奨学金(有利子)
入学時特別増額貸与奨学金は、第一種奨学金(無利子)または第二種奨学金(有利子)に加えて、入学した月の分の奨学金の月額に一時金として増額して貸与する有利子の奨学金で、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」に申し込んだけれども利用できなかった世帯の学生・生徒を対象とする制度です。
H5貸与額
10万円、20万円、30万円、40万円、50万円のいずれかを選択
条件
第一種奨学金又は第二種奨学金の申込者で奨学金申請時の収入金額が120万円以下の人等。
奨学金の申請、受給~返還までの流れ
奨学金は、法科大学院入学後に法科大学院を通じて申請を行い、法科大学院の標準修業年限が終了する月まで受給することができます。
貸与期間終了の翌月から数えて7か月目の27日が第1回目の返還日です。 例えば、2012年3月に貸与が終了する場合、同年10月27日が初回の返還日になります。
返済期限と返済額
返還回数(年) は、貸与総額によって変わります(12年から20年)。
例えば、貸与額120万円で12年、792万円で20年です。
第一種奨学金の返還例
①月額5万円を2年間受給した場合
貸与総額 | 1,200,000円 |
貸与利率 | なし |
返還総額 | 1,200,000円 |
月賦返還額 | 8,333円 |
返還回数 | 144回(12年) |
②月額8万8000円を3年間受給した場合
貸与総額 | 3,168,000円 |
貸与利率 | なし |
返還総額 | 3,168,000円 |
月賦返還額 | 14,666円 |
返還回数 | 216回(18年) |
第二種奨学金の場合の返還例
①月額8万円を2年間受給した場合
貸与総額 | 1,920,000円 |
貸与利率 | 3.0% |
返還総額 | 2,349,227円 |
月賦返還額 | 15,059円 |
返還回数 | 156回(13年) |
②月額22万円を3年間受給した場合
貸与総額 | 7,920,000円 |
貸与利率 | 5,400,000円につき3.0%(基本月額)2,520,000円につき3.2%(増額分) |
返還総額 | 10,721,397円 |
月賦返還額 | 44,672円 |
返還回数 | 240回(20年) |
返済の負担を緩和する制度
ここからは、返済の負担を緩和する制度について詳しく解説していきます。
返還が困難な場合等のために用意されている制度・措置には以下のようなものがあります。
- 減額返還
- 返還期限猶予
- 死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除
- 特に優れた業績による返還免除
以下、それぞれについて詳しく解説していきます。
減額返還
災害・傷病・その他経済的理由(年間の収入 300 万円程度以下、所得 200 万円程度以下)等により奨学金の返還が困難な場合に、返還期間を延長することによって、一定期間、毎回の返済金額が半減する制度です。
適用期間は 1 年間で、最長10 年まで更新可能です。
たとえば、返済金額が月額 1 万円で 1 年間適用を受けた場合、期間中の月額の返済金額は5,000 円となり、返済期間は6 か月間長くなります。
なお、返還総額(利息含む)は変わりません。
返還期限猶予
災害・傷病・経済困難など、奨学金の返還が困難な事情がある場合に、その期間中、返還猶予を与えてもらえる制度です。返還猶予期間中は返還する必要はありませんが、最終返済日が猶予期間分遅くなることとなります。
また、猶予期間は通算で 5 年(60 か月)までですが、災害・傷病・生活保護受給中は、当該期間には含まれません。
死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除
本人が死亡し返還ができなくなったとき、精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったときには、願出により返済未済額の全部又は一部の返還が免除される場合があります。
特に優れた業績による返還免除
特に優れた業績による返還制度は、第一種奨学金の貸与を受けた学生のみが対象となります。
在学中に特に優れた業績を挙げた学生の、奨学金の全額または半額が免除される制度です。
※出典:特に優れた業績による返還免除
対象となる奨学生は、貸与終了者のうち 3 割以下の人数と定められています。
2009年度までに、第一種奨学金受給者の概ね 3 割程度が、半額(全体の 2 割程度) または全額(全体の 1 割程度)の返還免除を受けました。
よくある質問
この章では、法科大学院の奨学金・学費免除制度についてよくある質問をまとめています。
奨学金や授業料免除制度は併用できる?
前の章でも説明したとおり、日本学生支援機構の第一種奨学金と第二種奨学金は併用可能となっています。
その他の併用については、法科大学院や制度によって異なるため、ホームページ等を確認するか、問い合わせを行うようにしましょう。
授業料の全額免除を行っている法科大学院は?
授業料の全額免除を行っている主要な法科大学院としては、以下のような学校があります。
- 東京大学法科大学院
- 京都大学法科大学院
- 東北大学法科大学院
- 一橋大学法科大学院
- 大阪大学法科大学院
- 神戸大学法科大学院
- 岡山大学法科大学院
- 大阪市立大学法科大学院
- 慶應義塾大学法科大学院
- 学習院大学法科大学院
- 上智大学法科大学院
- 明治大学法科大学院
受給条件等は法科大学院ごとに異なるため、ホームページ等を確認してみてください。
特待生制度を設けている法科大学院は?
特待生制度を設けている主要な法科大学院としては、以下のような学校があります。
- 筑波大学法科大学院
- 広島大学法科大学院
- 大阪市立大学法科大学院
- 福岡大学法科大学院
- 専修大学法科大学院
- 創価大学法科大学院
などがあります。
こちらについても、受給条件等は法科大学院ごとに異なるため、ホームページ等を確認するのがよいでしょう。
まとめ
今回のコラムの要点は以下の通りです。
・奨学金には、「法科大学院独自の制度」「大学が設置している法科大学院生も利用可能な学内制度」「日本学生支援機構の奨学金制度」「民間奨学財団・地方自治体等の奨学金制度」がある。
・奨学金には、「給付型」と「貸与型」があり、「給付型」は、返還の義務がなく、「貸与型」は返還の義務がある。
いかがだったでしょうか?
基本的には、各法科大学院ごとに奨学金・学費免除制度が設けられており、経済的に不安のある学生であっても、司法試験の学習に集中できる環境が整っているということが分かっていただけたと思います。
もっとも、奨学金や学費免除を受けるには、成績要件が課せられる場合もあるため、その点には注意が必要です。アガルートでは法科大学院入試(ロースクール入試)専願カリキュラムを用意しています。このカリキュラムは、約1年間の学習で、難関法科大学院入試(ロースクール入試)突破を目指す方のためのカリキュラムです。
ぜひ講座を上手く活用して、奨学金や学費免除の取得を目指してください。
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