このコラムでは、人気の民法の演習本「Law Practice 民法」の内容、特徴、そして本書を用いてどのような勉強をしていくべきか、そして本書をどのような人が使うべきかについて書いていきます。

民法は範囲も多く、また、概念の理解をするだけでも難解な範囲も多く、基本書や予備校の入門講義を終えただけでは答案への知識の反映の仕方がわからないという方も多いのではないのでしょうか。

そのため、基本的な論点の抽象的な理解をするにとどめず、事例問題を通じて民法の理解を深めていきたいが、どのような教材を使っていいのわからないという方も多いとは思います。

そこで受験生から人気のある演習本である「Law Practice 民法」を使うべきか、使うとしても普段の学習においてどのように使っていくべきかという点について解説します。

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Law Practice 民法の内容・特徴


※引用:amazon

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まず、Law Practice 民法は事例問題を用いて民法の基本論点が出てくる事例問題とそれに対する解説があります。

そのため、基本論点についての理解と事例においての処理を学べる書籍になっています。

このLaw Practice 民法シリーズはⅠからⅢまであります。

Ⅰは総則・物権編Ⅱは債権編Ⅲは親族相続編となっています。

それぞれ、潮見佳男先生はじめ3名程度の先生が編者を務め、各テーマについては多くの民法学者が執筆者が務めています。

以下では、本書の他の演習本と比較して特筆すべき点について書いていきます。

網羅性の高さ

Law Practice 民法シリーズの特筆すべき点として挙げられるのは、何といっても網羅性です。

総則物権編(第四版)の一冊だけも59もの章があり、その数の分だけの論点についての事例と解説がついています。

予備試験、司法試験の民法の範囲は膨大です。

そして民法の論文式試験の特徴として、その膨大な範囲のなかのどの分野が問われるかわからないという点が挙げられます。

そのため、とりあえず基本書でマイナー論点の概念は理解暗記して短答知識としては修得したものの、事案と論点の対応関係まで押さえなくてはなりません。

そこで他の演習本よりも網羅性の高い本書はオススメといえます。

民法改正への対応

2020年4月から、民法では大改正がなされました。

それに伴い、司法試験予備試験において問われる内容も大きく変わっていくと思われます。

この改正では、従来の判例法理が条文に明文化されたということのみならず、従来の解釈が変更された部分も多くあります。

それにもかかわらず、現時点で改正民法に完全対応した演習本自体が多くありません。

そのため、第四版において改正民法に完全対応している本書は改正法対策としても一定の意義を有するといえるでしょう。

勉強への使い方

上記の通り、本書の特徴は網羅性です。

そのため、民法の全範囲において事例に触れておきたいという方にはオススメできます。

やはり、概念として一応理解していることと、一度具体的な事例を通じて思考を巡らせたことがあるというのでは大違いです。

もっとも、範囲が膨大であるので問題を取捨選択することも一つの方法ではあると思います。

例えば、総則物権編では非営利法人と営利法人という範囲について扱っています。

この範囲は論文式試験において正面から問われるということは考えづらい(出題されたとしても多くの受験生は解けないことが予想される)です。

そのため、試験において問われやすい分野に時間をかけ、そうでない範囲はリスクヘッジ程度にとどめる、といった使い方を意識して本書を使ってみてください。

また、改正民法で初めて登場した分野については、過去問も旧法を前提として作問がされている以上、問題演習の機会を持てないことが多いでしょう。

そこで、改正前民法を前提とした教材を使っている受験生が、改正のあった分野に絞って解いていくという使い方もあると思います。

※関連コラム:【司法試験・予備試験】正しい演習書の使い方と科目別おすすめ本14冊

Law Practice 民法の評価

この書籍の良いところは繰り返し述べている通り、網羅性です。

民法の全範囲を事例を通じて学びたいという方にはオススメの書籍といえるでしょう。

もっとも、

  • そもそも民法の答案の型が分からない
  • 答案を書いたことがない
  • 完成形がイメージできない

という方には、オススメ出来ません。

本書は答案例がついていないので、事例と論点の対応関係、論点の知識については理解したがそれを文章の形で答案に反映できないという事態も想定されます。

その場合は、本書に併せて予備校の答案例付きの事例問題集等を使っていくと効率的でしょう。

なおアガルートアカデミーでは、「Law Practice 民法」解析講座を展開しています。

講師の答案例も付属しているので上記の懸念点も払しょくされると思いますので、こちらの活用もオススメです。

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