司法試験にチャレンジしよう!と思っても、具体的にどんな勉強をしたらいいのでしょう。

司法試験は全8科目の論文式試験が勉強の要となります。

その8科目とは、選択科目、公法系科目、民事系科目、刑事系科目にカテゴライズされています。

本コラムでは、これから司法試験を目指す方に向けて、司法試験論文式試験のうち、公法系科目について詳しく解説します。

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アガルートアカデミー司法試験の谷山政司講師が、学習をある程度進めている方に向けて、公法系科目の対策法や注意点について解説します。

公法系科目が苦手な方が最初に修正すべき点や、根本的に理解しておかなければならない点をテンポよく解説していきます。ぜひご覧ください。

司法試験の公法系科目とは?

公法とは、国家・公共団体に関わる法をいいます。

司法試験で出題される公法系科目とは、憲法、行政法の2科目を指します。

公法系科目の試験は選択科目に続いて1日目に実施されます。

試験時間はそれぞれ2時間です。

公法系科目の特徴

公法系科目は比較的苦手意識が強い受験生が多いです。

憲法は何を書けばいいのか判然としないことも多く、人によって書くことがかなり違ってくるので、その分どう評価されるかも分かりにくいといえます。

また、行政法は初めて見る法律が出題されることに加え、問題文が非常に長く、時間内に処理しきれないことが多いです。

以上の理由から、公法系科目を苦手とする受験生は多いのです。

しかし、司法試験は相対評価です。

公法系科目を苦手とする受験生が多いということは裏を返せば、得意科目としたときに非常に高い評価を取りやすいということでもあります。

ではどうやって公法系科目をマスターしていけばいいのでしょうか。

※関連コラム:司法試験・予備試験の論文式試験の勉強法(総論)

公法系科目の勉強の進め方

憲法の勉強法

(1)判例の重要性

憲法は判例の学習が全てと言っても過言ではありません。

では、判例の学習とは具体的に何をすればよいのでしょう。

よく判例の言い回しを覚えるといいますが、それだけでは足りません。

『判例の射程』を理解する必要があります。

『判例の射程』とは、判例が提示する一般的法命題が妥当する範囲のことをいいます。

付随的違憲審査制を採用する我が国では、いくら先例的拘束力がある判例とはいっても、その全ては個別の事例に即した判断です。

したがって、判例を学習するときは、よく使われる判例の言い回しだけでなく、いかなる事例において、どのような事実が影響して、当該判断がされたのかを具体的に把握するよう努めてください。

はじめはとりあえず流し読みするのでも構いません。

繰り返し勉強していく度に、他の判例との比較から、判例をより深く理解することが出来ます。

そうすれば、いわゆる『判例の射程』がつかめてくるはずです。

(2)答案の書き方

憲法答案は一般的に『保護範囲論証→規範定立→あてはめ』という流れを辿ります。

論述のバランスは問題によりますが、基本的には2:3:5くらいのイメージです。

保護範囲論証とは、被侵害利益が憲法上保障される範囲に含まれるかという問題です。

論証パターンが用意されているとは思いますが、被侵害利益(特に幸福追求権など)は個別の事案により様々です。

判例を参考にしてなるべく個別の事案に即した論証ができれば、高く評価されます。

次に、規範定立では先述した『判例の射程』が特に効いてきます。

『紋切り型の論証パターン』ではなく、『判例の射程』を意識した緻密な規範定立が高く評価されます。

もっとも、重要なのはあてはめなので、ここまでの論証はあたまでっかちにならず、なるべく簡潔にとどめましょう。

そして、あてはめは『事実&評価』の積み重ねです。

なるべく多くの問題文の事情を拾って自分の言葉でそれを評価し、結論を導きましょう。

想像力に富んだ、充実したあてはめが高く評価されます。

基本的に以上のポイントをクリアできれば上位答案が書けるはずです。

(3)最近の傾向

憲法においては、以前は、もっぱら『三者間方式』(ある法律やそれに基づく処分の憲法適合性が問題となる事案につき、原告(被告人)、被告(検察官)、私見(裁判所)について、三者それぞれの立場から、憲法上の主張を論じさせるもの)による出題がされていました。

そのため、三者間の論述バランスを図ることが非常に難しく、時間内にバランスよく回答することが非常に難しいものになっていました。

ただし、近年では、このような三者間論述が必ず出題されるわけではなく、ある法律を新しく施行した場合の問題点について、弁護士の立場から助言をするといった体裁の問題も出題されるようになっています。

※関連コラム:【司法試験予備試験】論文式試験における憲法の勉強法

行政法の勉強法

(1)頻出の分野

行政法の試験では、訴訟選択及び訴訟要件の問題と違法事由(特に裁量逸脱・濫用)の問題がほぼ毎年必ず問われています。

したがって、やらなければいけないことは明白です。

まずは処分性、原告適格、訴えの利益に関する論証を暗記し、重要判例で具体的な価値判断を学ぶこと。

次に裁量の逸脱・濫用のあてはめを過去問を使って学習すること。

他の問題が出ることもありますが、ひとまずこれさえ出来ていれば合格答案が書けます。

(2)答案の書き方

行政法は、出題形式が毎年同じパターンであり、今後もそれが継続することが予想されます。

具体的には、問題文記載の行政法の案件を受けた若手弁護士の立場で論述せよという問題で、ベテラン弁護士との議論の結果を記載した『会議録』が添付資料として付いてきます。

そこで、解答は基本的にこの『会議録』に記載された指示をガイドラインにして行うことになります。

したがって、行政法の答案では何を書けばいいか分からないということにはなりにくいです。

また、ガイドラインが明確に記載されているので、合格答案はおおむね同じような答案になります。

逆に言えば、ガイドラインから外れてしまうと、厳しい評価になってしまいますから、きちんと問題文と会議録を読むことが重要です。

行政法の問題では、2時間という試験時間内に、問題文に加え議事録や関連法令まで確認する必要があるので、高い事務処理能力が要求されます。

したがって、マーカーなどで重要な部分を整理しながら事案を処理することをおすすめします。

行政法の問題は毎年パターン化されています。

したがって特に過去問演習が重要です。

むしろ、出題形式に慣れてしまえば安定して得点源になってくれるので、必要以上に身構えず、淡々と勉強していきましょう。

※関連コラム:【司法試験予備試験】論文式試験における行政法の勉強法

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この記事の監修者 谷山 政司 講師

谷山 政司 講師

平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。

自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。

また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。

谷山講師の紹介はこちら

ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924

 

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