【司法試験・予備試験】国際私法の勉強法!基本書のおすすめも紹介
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司法試験・予備試験を受験しようと考えている人で選択科目を何にするべきかという悩みを抱えている人は多いと思います。
そこで、ここでは科目選択のヒントとして、選択科目のなかで根強い人気を誇る国際私法、国際関係法(私法系)についてその科目特性や勉強法、近年噂される難化傾向の真偽等についてみていきます。
目次
【谷山政司講師が解説!】
アガルートアカデミー司法試験の谷山政司講師が、「選択科目」の国際関係法(私法系)の選び方について解説します。
国際私法は、やや難化傾向にあるとされますが、試験範囲の狭さや試験対策の充実度の高さ等から、根強い人気がある科目です。
ぜひ、国際私法のメリットそして勉強法を知って、選択するか、どう学習を進めるかといった判断にお役立てください。
国際私法とは?
国際私法とは、私人間における国際的な紛争の解決の場面で使用される法律です。
例えば、日本人とフランス人との間で紛争があったときに、その紛争は日本の法律とフランスの法律のいずれによって解決されるべきなのかという問題が生じます。
このように、国をまたぐ紛争が生じた場合に、いずれの国の法律を適用するべきなのかを決するための法を国際私法や抵触法といいます。
日本においては、「法の適用に関する通則法」が代表的な国際私法として制定されています。
また、上記のような国をまたぐ紛争について、日本の裁判所で審理・判断することができるのか、すなわち日本の裁判所に国際裁判管轄が認められるかという問題も生じます。
このような国際裁判管轄の問題は、日本の民事訴訟法や人事訴訟法の規定によって処理されることになります。
司法試験の国際私法においては、主に、法の適用に関する通則法や民事訴訟法や人事訴訟法の国際裁判管轄に関する規定について学習することになります。
国際私法の選択状況
国際私法の選択者の割合は平成29年度までは微増傾向にありましたが、それ以降やや減少傾向にあります。
国際私法の選択者の割合 | |
令和5年(司法試験) | 9.70% |
令和5年(予備試験) | 9.76% |
令和4年(司法試験) | 10.06% |
令和4年(予備試験) | 10.15% |
令和3年度 | 10.47% |
令和2年度 | 11.00% |
令和元年度 | 11.10% |
平成30年度 | 12.10% |
平成29年度 | 13.00% |
教材の充実度
しかし、なお根強い人気があることは確かで、予備校の講座、基本書、演習書といった教材も比較的充実しているといえます。
また、出題範囲も狭く、学習量も多くはない科目ですので、他の科目と比較しても勉強がしやすい科目であると考えられます。
※関連コラム:【司法試験・予備試験】選択科目ごとの合格率・難易度を解説!
国際私法の勉強法について
1 国際私法の出題範囲・頻出分野
司法試験の選択科目は第一問、第二問各50点の合計100点分出題されます。
例年、司法試験の国際私法では第一問が家族法分野から、第二問は財産権法分野から、それぞれ出題されています。
また、予備試験の選択科目としての国際私法(令和4年度)では、1つの大問の身が出題され、その中において家族法分野を中心とする出題がなされています。
このような出題方法を見ると、予備試験の国際私法においては、家族法分野又は財産法分野のいずれか一方を中心とする出題がなされる可能性が高いと考えられます。
国際私法の出題範囲は、
①国際裁判管轄の問題をはじめとした国際民事手続法
②国際的な私人間の紛争をどの国の法律に則って解決するのかという準拠法選択の問題
さらに財産法分野においては、
③条約なども関連する国際取引法の問題
も出題されることがあります。
このうち、①②については毎年出題されていますが、③については出題されない年もあります。
そのため、司法試験や予備試験の国際私法の主な勉強の対象は、「法の適用に関する通則法」と、民事訴訟法や人事訴訟法の国際裁判管轄に関する規定等になります。
そして、通則法を開いてもらえれば分かるとおり、条文数はたったの43条しかない上、国際裁判管轄等の国際民事訴訟手続に関する規定も数えるほどしかありません。
そのため、司法試験や予備試験との関係で学習するべき分量は、それほど多くはありません。
2 趣旨の重視
司法試験の国際私法の採点実感では「採点の基準」として「個々の法規範の趣旨を理解しているか」という点が明言されています。
したがって、国際私法の採点では条文の趣旨を答案に表現できているのかという点が重視されていると考えられます。
そこで、国際私法の答案においては、通則法の条文の趣旨を積極的に記載していくことになります。
そのため、条文を勉強する際には各条文の趣旨までおさえることが必要になってきます。
3 答案の型が決まっている
国際私法の答案は、「型」がほぼ決まっていると言っても過言ではありません。
国際私法においては、論じるべきことが大きく分けて4段階あるのですが、この4段階の「型」を身につけて、これに忠実に従うことで、答案の書き方に悩む必要がなくなります。
また、それぞれの論点についても、定着させた「型」の中のどの段階で論じていくべきなのかを意識してしまえば、記憶の負担もほとんど感じられなくなります。
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アガルートの「国際私法 総合講義」
司法試験国際私法に照準を合わせた実践的な講座です。
基本的な知識について講義するだけではなく、予備試験や司法試験を意識しながら具体的な処理手順や答案作成上の注意点を紹介していますので、司法試験にそのまま活かすことができます。
国際私法のおすすめ基本書
『有斐閣ストゥディア国際私法』(有斐閣・多田望・長田真里・村上愛・申美穂)
有斐閣の入門本として人気のあるシリーズの国際私法編です。
イラストや図表を用いた説明等、とにかく初学者に分かりやすい工夫が随所にされており、国際私法の全体像を一気につかむことができます。
まさに、国際私法の『一冊目』の本と言ってもよいでしょう。
『国際関係私法入門―国際私法・国際民事手続法・国際取引法』(有斐閣・松岡博編)
言わずと知れた国際私法のスタンダードテキストです。
「入門」というタイトルとはいうものの、予備試験・司法試験の受験のためには、十分な内容が記載されています。
このテキストを繰り返すことで「基本」を押さえ、本番において基本部分を正確に分析・論述することができれば、応用問題について論述ができなくても、合格答案を作成することができるでしょう。
『リーガルクエスト国際私法』(有斐閣・中西康・北澤安紀・横溝大・林貴美)
かねてより司法試験受験生に圧倒的な支持を得ている基本書シリーズ「リーガルクエスト」の国際私法編であり、近時人気を博しています。
上記『国際関係私法入門』の記載が薄い部分や記載がない部分を補うことができます。
また、改正法への対応も早く、使い勝手が良いので、所持していて損はない一冊と言ってよいでしょう。
試験対策としては、上記2冊及び、判例百選を読み込み、過去問演習をすれば万全であるということができます。
※関連コラム:司法試験・予備試験におすすめの基本書50冊【15科目・目的別】
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平成23年に予備試験後、平成24年に司法試験合格。
司法試験合格後,司法修習開始まで及び弁護士登録後の合計約3年間にわたり,伊藤塾にてゼミ(予備試験ゼミ,特進ゼミ等)を中心に受験指導を行い,多くの予備試験合格者を輩出した。
また,司法試験科目に限られない幅広い法的知識を有し,アガルートアカデミーでは,弁理士試験の講義も担当する。
丸野講師の紹介はこちら