『刑法(山口1冊本)』の司法試験へ向けた勉強での使い方と特徴
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「刑法の基本書はどれも分厚く、読み進めるのが難しい・・・」
「学術的な記述に終始するのではなく、司法試験に直結する実用的な基本書を探しているけれどもなかなか見つからない・・・」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、当コラムでは、そのようなお悩みを解決する基本書として、山口厚先生が執筆なされた『刑法』をご紹介したいと思います。
本コラムを読んで頂ければ、この基本書の特徴について理解できますので、ぜひご一読ください。
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まずは、本書の内容と特徴についてご紹介します。
内容
本書は、刑法総論と各論が1冊の本に凝縮されたものとなっています。
全体のページ数も500ページとなっており、刑法総論と各論が1冊にまとめられている本としては、かなり薄めの本といえるでしょう。
とはいえ、内容面につき、本書は一切無駄のない記載がなされています。
多くの基本書では、刑法学の由来や行為無価値・結果無価値の説明など、司法試験との関係では重要度の低い議論(いわゆる学術的な議論)が展開されているものが多くあります。
その一方で、本書は、総論と各論が合わせて500ページ以内に収録されており、学術的な議論はかなりカットされています。
また、判例の立場を明確にしつつ、自説を論理明快に摘示しています。
本文の構成は、「第1編 序論」、「第2編 総論」、「第3編 各論」となっており、第1編では刑法全体の総論を、第2編では刑法総論に関する解説を、第3編では刑法各論に関する解説をそれぞれ行っており、構成それ自体は極めてベーシックなものとなっています。
特徴
(1)無駄のない記載
本書の特徴は、何より、明確な論証がなされているという点です。
分量が少ない反面、無駄を全てなくし、端的に解説がなされています。
また、本文中になるべく解説をまとめており、注釈にて別途解説をしておらず、読み進めるうえでストレスが少ないことも特徴です。
読者としては、本文を上から読み進めていくだけで内容が理解できることが望ましく、別途詳細な引用などがあると、本文から離れてしまい、内容が頭に入らないことも多々あります。
その点、本書は判例の引用や解説について、本文にすべてまとめられており(注釈があるとしてもわずか数行程度になります)、スムーズに読み進めることができます。
(2)総論と各論が1冊にまとまっている
本書は、総論と各論が1冊にすべてまとまっており、総論と各論の知識が分断することなく、両者を相互的に学ぶことができます。
複数の本を行ったり来たりするのでは、情報が集約されず、理解も浅くなってしまうおそれがあります。
そのような中、本書は1冊に情報が集約されていますので、そのおそれは全くありません。
司法試験の勉強での使い方
それでは、次に本書をどのように司法試験の勉強で活用すれば良いのか、についてご紹介します。
まずは通読しましょう。
本書は、全体で500ページ程度ということもあり、通読をするにはちょうど良い分量となっています。
そこで、まずは刑法の全体像を掴むためにも、通読をすることをおすすめします。
その際は、わからないところがあったとしても、まずは読み飛ばし、最後まで読み切るという意識を持つことが大切です。
わからないところは、付箋などでメモをしておく等して、2回目以降に読み進める際にどこがわからないところであったのか、一見してすぐにわかるようにしておくのもポイントです。
総論と各論の知識を横断的に学びましょう。
本書を1度通読した後は、何度も何度も、本書を読み込みましょう。
その際は、本書の特徴である刑法総論と各論が1冊にまとまっているという点を活用し、総論で学んだ知識を各論でも意識すると良いでしょう(その逆もまた然りです)。
よく総論と各論を分断して勉強を進める方が多いのですが、総論であっても各論であっても、刑法の体系上、どの部分を論じているのかを意識することが非常に重要です。
そのために、本書の特徴を活かして、総論と各論部分をそれぞれ意識したうえで、読み進めるとより効率的な学習をすることができると思います。
疑問点が出る度に付箋でメモをしておくこと
本書を何度も読み進める中で、疑問点が少なからず出てくるかと思います。その際は、忘れない内にその場で簡単にでもメモをしておくことが大切です。
備忘メモとして、わからないリストを作成しておくと、1度本書を読んだだけではわからなかったことが、何度も本書を読み込むことで理解につながることもあり、徐々に備忘メモが少なくなっていく(つまり、本書の内容が理解できてきている)という視覚的な効果もあり、やる気にもつながります。
このように、以上3点を意識したうえで、本書を活用して頂ければ、司法試験との関係で効率よく刑法総論と各論の知識を身につけることができるでしょう。
刑法(山口1冊本)の評価
本書は、司法試験の学習という観点から必要十分な刑法総論と各論の情報が1冊の本にまとまっています。
司法試験との関係で無駄な記載もなく、刑法総論と各論を相互的に学習することができる本書は、冒頭に述べた悩みを持たれている方にとっては、非常に良書となっております。
ぜひ一度ご自身で本書を手に取って頂き、本コラムでご紹介した活用法を参考にしつつ、学習して頂ければと思います。
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