今回のコラムでは、司法試験と予備試験における制度改革を解説

具体的には次の4つをご紹介します。

  • 2019年入学者より、大学法学部と法科大学院が連携した「法曹コース」がスタート
  • 2023年から法科大学院在学中に司法試験受験可能
  • 2023年から司法試験と予備試験の試験日が変更
  • 2022年から予備試験の論文式試験の「一般教養科目」が廃止され「選択科目」に

現時点で予定されている改革をまとめましたので、これから法曹を目指す方は必読です。

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【2023年】法科大学院在学中の司法試験受験が可能に

これまで法科大学院生が司法試験を受験するには、2つのルートがありました。

  1. 法科大学院を卒業し、司法試験受験資格を得てから司法試験を受験
  2. 在学中に予備試験を受け、合格して司法試験受験資格を得てから司法試験を受験(この場合、法科大学院は中退することも卒業することも可能)

しかし、2023年からは、在学中でも所定の単位を習得し、1年以内に修了見込みの者は司法試験を受験できるようになります。

つまり、良い成績を取れれば、既修生は2年次に、未修生は3年次のうちに司法試験を受けることが出来るわけです。
これまで法科大学院が抱えていた「時間と費用がかかりすぎる」という課題の解決を見込んでの新制度となっています。

ただし、どれほどの人数がこの制度を活用できるのか、制度利用者の司法試験合格率がどうなるのか等、現状では不透明な部分が多く残されています。

※参考:法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案

【2023年】司法試験・予備試験の試験日の変更

前述した、法科大学院在学中の司法試験受験が可能になったことで、2023年(令和5年)の司法試験及び予備試験の日程も変更となります。
※例年、司法試験が実施される5月は法科大学院の前期授業中であるため

現行の実施時期
※2022年(令和4年)まで
変更後の実施時期
※2023年(令和5年)
司法試験5月7月中旬
予備試験・短答式試験:5月
・論文式試験:7月
・口述試験:10月又は11月
・短答式試験:7月中旬
・論文式試験:9月上旬
・口述試験:翌年1月中旬又は下旬

2023年(令和5年)司法試験の試験日は7月中旬に。
予備試験は、短答式試験が7月中旬・論文式試験が9月上旬、口述試験が翌年1月中旬又は下旬に実施されます。

なお、司法試験の合格発表は11月上旬、予備試験の最終合格発表は翌年2月上旬に行われる予定です。

※参考:司法試験委員会会議(第168回)議事要旨

【2019年実施済】法曹コースのスタート

司法試験を受けるためには受験資格が必要であり、そのためには「法科大学院ルート」と「予備試験ルート」が存在しています。

法科大学院ルートの場合、「大学4年間修了後⇒法科大学院2年間(既修)or3年間(未修)」で司法試験の受験資格を得るのが原則です。
しかしこの場合、司法試験合格まで「6~7年間」かかってしまうことになり、時間的・経済的な負担が大きい点が問題でした。

その問題を解決するべく2020年度より新設されたのが「法曹コース」です。

法曹コースとは、法曹志望者が大学の段階から法曹になるための必要な知識や応用力を養える教育制度のこと。
「大学法学部」と「法科大学院」が協定を結んだことにより、大学法学部3年間+法科大学院2年間の「計5年間」の一貫教育を受けられます。

これにより、法曹コースに入ると「法曹コース(大学法学部)3年間+法科大学院2年間=5年間(最短)」で司法試験の受験資格を手に入れることが出来るのです。

法曹コースは2019年入学者(2024年卒業予定)からが対象で、多くの大学では2年進級時に法曹コースに入るかどうか選択します。

課題点としては、 本来6~7年間で終えるはずだったカリキュラムを5年間という短期間で終えなければならない点が挙げられます。

※関連コラム:法曹コースとは?設置大学一覧とメリットデメリット

【2022年実施済み】予備試験 論文式試験の一般教養科目が選択科目へ

2022年より予備試験の論文式試験の「一般教養科目」が廃止され、「選択科目」に変更されます。

次の8つのうちから1科目を選択することになります。

  1. 倒産法
  2. 租税法
  3. 経済法
  4. 知的財産法
  5. 労働法
  6. 環境法
  7. 国際公法
  8. 国際私法

上記の科目は、今の司法試験の選択科目としても出題されています。

【予備試験 短答式試験の8科目一覧】
憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養

【予備試験 論文式試験の10科目一覧】
憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、法律実務基礎科目民事、法律実務基礎科目刑事、選択科目

論文式試験の一般教養科目が選択科目に変更となったものの、短答式試験に関しては一般教養科目のままとなっている点にはご注意下さい。

関連コラム:司法試験・予備試験の選択科目ごとの合格率・難易度をわかりやすく解説!

まとめ

今回は司法試験・予備試験の4つの改革についてご紹介しました。

  • 2019年入学者より、大学法学部と法科大学院が連携した「法曹コース」がスタート
  • 2023年から法科大学院在学中に司法試験受験可能
  • 2023年から司法試験と予備試験の試験日が変更
  • 2022年から予備試験の論文式試験の「一般教養科目」が廃止され「選択科目」に

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