近年の司法試験では「参考とするべき判例に言及」することが要求されています。

そういった問題を目にしたときに、

「どのように言及するのだろうか」
「そもそもどの判例を参考とするべきなのだろうか」

という疑問を持つ受験生は多いこと思います。そのような受験生にお勧めしたいのが「判例から考える憲法」という演習書です。

ここではその判例から考える憲法の特徴や利用方法について解説していきたいと思います。

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判例から考える憲法の内容・特徴

※引用:amazon

「判例から考える憲法」司法試験憲法の答案で憲法判例をいかに活用するべきかを示してくれる受験生の間で人気の高い演習書です。

憲法的な思考を習得するために判例百選をひたすらに通読しようとする受験生がいます。

たしかに憲法的思考を身に着けるためには判例を読み込むことは非常に重要です。

しかし判例を読む視点を得ずにやみくもに判例と格闘しているのでは消化不良を起こし、結局はなにも残らなかったということになりがちです。

判例を読む際にはまっさらな頭で読むのではなく、ある分野で基本的な思考枠ぐみを与えてくれる判例やその分野の典型判例を常に念頭に置いて読み進めることが必要です。

つまり判例をほかの判例と有機的に結び付けて学ぶことが肝要なのです。

本書では各章の冒頭にあげられた例題を処理するにあたって、参考とする判例を示しそれを軸として問題への解答を示していきます。

当然その過程では軸とすべき判例以外の関連判例の解説もされますし、各判例相互の関係も示されます。

たとえば、団体と構成員との間で生じた憲法問題について考えるにあたって重要なのは団体の性格であるところ、それの軸となるのは八幡製鉄事件と南九州税理士会事件です。

その両判例を軸として例題の労働組合は団体としてどのような性質を有しているのかという観点から検討されていくのです。

近年の司法試験の問題では「参考とするべき判例に言及」することが要求される傾向にあります。

そこで本書を利用し各判例相互間の関係や、それの答案への活用法を学んでみてはいかがでしょうか。

勉強への使い方

1 まず自分で設例の答案構成をしてみる

本書に掲載されている設例は司法試験予備試験の憲法問題に近い分量になっています。

また自分の論旨とは逆の立場への言及を求められる点でも司法試験や予備試験と共通しています。

したがって本書の設例を検討することは司法試験本試験や司法試験予備試験対策として非常に有益です。

そこで難易度は高いかもしれませんがまず設例を読んでみて自分で答案構成をしてみることをお勧めします。

なお答案構成をするにあたって手も足も出ないということはあるでしょう。

その時は設問の次に記載されている「判例から考える」の部分を読んでみてください。

検討にあたってのヒントを与えてくれるでしょう。

2 つぎに判例百選を参照しつつ解説を読んでみる

ある程度答案構成をしてみたら、解説部分に目を通してみましょう。

自分では思い浮かべもしなかった判例が設問と結び付けられ解説されていて、目からうろこの体験ができるでしょう。

本書は判例については比較的詳しく解説されていますが、判例の事案などはページ数の関係で省略されている場合も多いです。

解説を読んで出てきた判例に関しては判例百選を読んで、再度設問との関係性を整理しておくとより理解が深まることでしょう。

本書の解説に書かれていることを百選に書き込んで、判例百選に情報を一元化しておくのもよいかもしれません。

3 さいごに「要点整理」部分を読んで思考を整理する

本書の素晴らしいところは各章の最後に「要点整理」が記載されているところです。

ここでは原告・被告の主張するべきこと、およびそれぞれが立脚するべき判例や学説の立場などが簡潔にまとまっています。

解説で身に着けたたくさんの知識をここで整理しましょう。

要点整理は答案に近い形で掲載されている場合も多いので、ここでの表現をストックしておくと、自分の答案にもすぐに活かせるため学習効果は絶大でしょう。

判例から考える憲法の評価

本書は、

多数の判例を有機的に結び付けて設例を解決する方法を示している点
各章の最後に要点整理という形で簡潔に重要ポイントをまとめている点

非常にお勧めできる演習書になっています。

本書は基本的な判例の事案と要旨は何となく知っている、中~上級者向けの教材といえます。

そのような段階にある受験生が本書を利用することによって、判例の今まで見えなかった一面を目にすることができたり、既知の判例をどのように答案に生かしていくのかを学ぶことができるでしょう。

※関連コラム:【司法試験・予備試験】正しい演習書の使い方と科目別おすすめ本14冊

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