判例百選の内容と司法試験に向けた勉強での使い方
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このコラムでは多くの受験生が使用している判例百選について書いていきます。
判例の知識は予備試験、司法試験、ロー入試でも不可欠です。
短答でも論文でも判例百選に掲載されている判例は必ず毎年出ます。
しかし、予備校のテキストや基本書にも判例の引用はあるし、わざわざ判例百選という書物を用いて学習する必要があるのかという疑問を持たれる方も多いかと思います。
そこで、判例百選シリーズの内容や特徴の紹介をしたうえで、現実的な司法試験の勉強への使い方やおすすめの科目、判例百選シリーズを使うべき人のタイプなどについて言及します。
なお、判例百選を受験勉強に使うべきかという点については様々な意見があるので一つの考え方として見て頂ければ幸いです。
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判例百選の内容・特徴
そもそも判例百選と呼ばれているものは何かというと、株式会社有斐閣から出版されている『〇〇判例百選』というものです(〇〇という部分には科目名が入ります)。
その科目で重要な判例や先例的意義の高い裁判例がおおむね100程度掲載されている判例集です。
各判例の構成としては、①事実の概要(紛争の生じた状況など)②判旨(裁判所の実際にした判断)③解説(学者や実務家等による当該判例への解説)という3つのブロックにより構成されています。
この判例百選という書籍の特徴は、その名の通り判例、裁判例しか掲載されていないということです。
そのため、各科目のインプットには基本書や予備校の入門講義テキスト等を要します。
また、判例集の中でもこの判例百選は最もシェアの高いシリーズであると思われ、試験において百選掲載判例か否かという点は、多くの受験生が知っている知識であるかどうかを分ける分水嶺になるといえます。
勉強への使い方
いづれにせよ判例百選は、各科目の入門レベルを終えた人用の教材であるといえます。
司法試験の答案は、事案に対して法律を解釈した上で適用し、結論を導きだすというものです。
判例もその点については同じなのですが、判例は受験生の学習の便宜のために書かれるものでは無いので、どの部分がどの条文のどの要件を解釈しているのか、また、どの部分からがあてはめなのかがわかりづらいものも多く見られます。
また最高裁の判断は、上告理由にしか判断がされない場合もあるので、司法試験の答案であれば不十分なものも多くあります。
そのため、判例をしっかり読み、それを答案に反映させるのにはある程度、各科目の論点への理解が不可欠であるといえます。
そして、判例百選にまで手が回らなかったとしても、百選掲載判例の大半は手持ちの基本書やテキストに掲載されているはずです。
司法試験対策において百選掲載判例の知識を持っていることは必要ですが、必ずしも判例百選という教材を用いなくてはならないということはありません。
そのため、自分のレベルの応じて本書を使うかを慎重に考えるべきです。
判例百選の評価
短答対策
まず、短答対策としては公法系を除き、オーバースペックです。
短答式試験において判例百選掲載判例が頻出します。
しかし、判例百選は詳細な事案の概要を記載しているものも多く、判例の結論や主要な理由づけを覚えれば(基本的には)足りる短答式試験においては一つの知識に時間がかかりすぎてしまうというデメリットがあります。
多くの範囲からまんべんなく問われる短答式試験においては、基本書や予備校のテキスト等の判例の引用部分で(少なくとも合格ラインとの関係では)足りるといえるでしょう。
もっとも公法系科目に関しては基本書等の引用部分から外れた細かい部分からの出題も多いので判例百選を使うことも一つの選択肢になると思われます。
論文対策
論文対策として、判例百選を用いる受験生は多く存在しますし、実際に合格者の中にも判例百選を使っていた人は多くいます。
しかし勉強の中での役割をよく考えなくては効率的な勉強であるとはいえません。
まず判例百選の役割の一つは判例のロジック、理由付けなどを深く学ぶという点にあります。
いわゆる判例射程問題のよく出る民事訴訟法などではこの勉強が効果的であるということが出来ます。
また、刑事訴訟法なども判例の法解釈を前提とした緻密な論証が求められるので効果的であるといます。
また、もう一つの役割としては事案の概要を掴むことが出来るという点です。
抽象論として判例のロジックを理解できていたとしてもどのような事案についての判断なのかを把握していなければ試験において適切に解答できないでしょう。
このような視点で勉強することは、上述の判例の射程を(明示又は黙示に)問う問題に対応する力を涵養することにつながるといえます。
※関連コラム:【司法試験・予備試験】正しい判例集の使い方とおすすめ本7冊
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