平成29年 司法試験 合格者の声| 早い段階から民法の短答対策をする必要があった S.Sさん
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自己紹介
名前:S.Sさん
年代:30代
受講されていたカリキュラム
下記リンクは最新版です。
合格者の方の受講年度と異なります。
■ カリキュラム司法試験B
■ 短答知識完成講座Ⅰ/憲法・民法・刑法
合格体験記
純粋未修の3年生後期から本格的に司法試験対策を開始し,各科目一つ程度の「演習書」をひたすら繰り返し,そこから抽出した論証を暗記するというのを繰り返していました。
今考えると,演習書では論点の網羅性に問題があるため,この学習法は非常に駄目だったと思います。
ただし,刑法の演習書である『ロースクール刑法』だけは名著であり,論点の網羅性が高い上に内容が司法試験向きで正確なので,読んでおくべきだと感じました。
しかし,最初の司法試験では短答対策が不十分であり,足切り114点に対し108点程度で不合格となりました。
短答落ちとなった原因は,民法の短答の分量が多い上に純粋未修の自分にとってはチンプンカンプンであり,自分にも簡単に解ける刑法の短答や,量の少ない憲法ばかりやっていたからです。
刑法は勉強しなくてもそれなりに取れるため,伸びしろがなく,憲法は過去問をやっても伸びませんでした。
不合格後に民法の肢別本をしっかりやったら点数がかなり伸びたので,それだけで短答合格ラインに達した感じです。
短答対策は9割が民法だと思います。
無論,純粋未修者が民法の短答をやるには,過去問を何度も繰り返し,似たような問題で答えが違う設例に気づいたら毎回立ち戻って比較する作業が必要になるので,凄まじい時間がかかります。
暗記だから直前でいいというのは誤りで,知識は長年繰り返して定着するので,早い段階から民法の短答対策をする必要があります。
不合格後の論述対策としては,とにかく「何が合否を分けているのか」をネットで調べまくり,「法的三段論法がもっとも重要である」という結論に至りました。
これは同級生の一発合格者から意見を聞いたのもあります。
法的三段論法対策の問題は「どこを探しても正確な法的三段論法を説明してない」「細分化すると三段どころではない」という点にあり,また適切なナンバリングを振らなくてはならない点にあります。
大まかに言えば,
- 大問題提起(設問のコピペでも良い)
設問の分析(下記論点の前提事情の分析)(なくても一発合格している人はいるが,出題趣旨を見る限りあった方が良いと思われる)
- 中問題提起1
条文提示と,条文の法的解釈(条文に事実をそのままあてはめるのは原則駄目。必ず,条文を解釈しようという姿勢を見せる)
あてはめ(事実の提示と,その事実がどのような意味・性質を持つかの指摘)
結論
- 中問題提起2
同上
- 最終結論
などの形式になるでしょう。
厳密には,「問題提起と条文提示,法的解釈がセット」「あてはめと結論がセット」になっても文句は言われませんが,「条文にそのまま事実をあてはめてはならず,必ず法的解釈を示してからあてはめに入る」をできるだけ貫く必要があります。
本試験の答案では各所で設問の読み間違えを繰り返し,複数の設問を丸ごと落とす酷いものでしたが,ほぼ徹底した法的三段論法の構成だけで合格まで持っていきました。
上記の答案を書くために最も必要になるのは,「条文の法的解釈,つまり規範」の暗記です。
ここだけは覚えなければどうしようもありません。
つまり,論文対策で最も重要なのは暗記です。
それと実務家登用試験ですから,「法解釈=規範」を提示するのに「理由」は不要と思われました(知っているなら1行程度簡単に触れるのが望ましいかもしれませんが)。
実務家に必要なのは「ルールを知っていること」であり,「そのルールがなぜ導出されるのか」知っている必要性は必ずしも乏しいと思われます。
例えば,民法557条1項の「履行に着手」とは「客観的に外部から認識しうるような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした」ことを指しますが,「なぜそう言えるのか」を書く必要はないと思いました。
判例理論ですから,所与の前提として良いはずです。
合格した平成29年度本試験まで,予備校は伊藤塾の答練以外受講していませんでした。
しかし,論述だけでなく短答の対策に時間がかかりすぎていたことが気になり(試験直前12か月のうち8か月は短答対策をしていた),それが短縮されればとアガルートを受講することにしました。