会社法を勉強するにあたって、

「会社法の基本書は文量も多く、内容も難しいことから、どれを参考にしたらいいかわからない・・・。」

「そもそも会社法は、専門用語が多く、具体的なイメージが湧かない・・・。」

といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?

そこで本コラムでは、会社法の基本書である『会社法(高橋美加 笠原武朗 久保大作 久保田安彦 著)』の司法試験に向けた勉強での利用方法や特徴について解説していきます。

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『会社法』の内容と特徴

本書を通読することで会社法の無味乾燥とした条文が1つ1つ生きた条文へと移り変わる様を実感することができるのが、本書の大きな特徴です。

会社法の条文は、非常に多いだけでなく、内容も難解で、イメージが湧かないことが多いです。

本書初版はしがきにも、「会社法が難しい。会社法を自習するのはさらに難しい。学生にとってイメージしにくい分野であるし、手続に関する規定が多くて退屈であるし、法文の構造がきわめて複雑でパズルのようである」と記載がなされています。

そのような会社法を勉強するにあたり、本書は、まさに「なぜそのように規定されているのかがわかる教科書」をコンセプトに作成されています。 

司法試験の勉強での使い方

それでは 会社法 の司法試験勉強での効果的な活用方法を解説していきます。

結論から先に申し上げると下記の3点を意識すると良いでしょう。

  1. 基本的な利用方法|まずは何度も通読し、内容を理解する
  2. 見出しを参照|どのような問題提起のもと論じられているのか、という視点で読み進める
  3. コラムを読む|会社法をより深く理解する

1.基本的な利用方法|まずは何度も通読し、内容を理解する

本書の基本的な利用方法は、「何度も本書のみを通読をする」ことです。 

基本的に、会社法の基本書は、本書1冊で必要十分です。

それほど、内容が充実しているだけでなく司法試験という観点からも非常に相性のよいものとなっています。

そのため会社法においては、本書のみを徹底的に通読し、内容を理解することをお勧めします。 

2.見出しを参照すること|どのような問題提起のもと論じられているのか、という視点で読み進める

次に問題提起となる見出しを参照し、本文に記載されている内容はどのような問題提起のもと論じられているのか、という視点から読み進めると良いでしょう。

上述いたしましたが、本書の特徴は「なぜそのように規定されているのかがわかる教科書」です。

そのための工夫として、本書は問題提起のような見出しが随所になされています。

例えば、「(1)株主による取締役の違法行為等の差止め」という見出しの他に、「差止請求を行使できるのは誰か。」、「差止めの要件は何か。」、「なぜこのように厳しい要件を課しているのか。」、「差止請求権の行使はどのような手続によるか」といった見出しも記載されています。 

このように読者に問いかける見出しが設けられていることで、漠然と基本書を読み進めるのではなく、問題提起を踏まえたうえで本文を読み進めることができるため、非常に理解しやすく、かつ、記憶にも定着しやすい文章構造になっています。

会社法を理解するうえで、非常に大切なのは、条文です。

商法に限らず、司法試験の問題では、条文を引けるか否かが合否に大きな影響を与えると言っても過言ではありません。

そのうえで、会社法は特に条文数が膨大であり、本試験の緊張のもと適切な条文を探し出す能力も試されています。  

本書の見出しを利用することで、条文の趣旨を深く理解することができます。

なぜこのような規律・規定になっているのだろうか、なぜこのような条文が定められ、ここに規定されているのか・・・等を本書を読み進めていくだけで、自然と理解することができる構造になってます。

3.コラムを読むこと|会社法をより深く理解する

本書を通読したら、コラムにもぜひ目を通しましょう。 

本書のコラムは、本文を読む中で疑問に抱くことや分かりづらい部分について、より分かりやすくより深く解説をしているのが特徴です。 

会社法は専門性の高い言葉が頻繁に出てくることから分かりづらくなっていることが多々あり、そこから苦手意識を持ってしまう受験生も多いのではないでしょうか?

本書では本文それ自体が大変わかりやすいだけでなく、コラムにて本文だけでは補いきれなかった内容について詳細にわかりやすく解説をしています。

特に学説の対立については、単に学説対立が存在すると紹介するにとどまらず、学説の対立を踏まえたうえでそれぞれの学説の妥当性や判例との整合性、結論の妥当性等、一定の結論を示しています。

様々な見解があるとしても、司法試験を見据えると結局どの見解を自説にするのが穏当であるのかがわからない・・・と感じている方にとっても、何らストレスなく読み進めることができます。

『会社法』の評価

『会社法』は、

  1. 読者に問いかける見出しになっており、問題の所在が一目でわかる構造になっている。
  2. コラム充実しており、きちんと一定の結論を示している。

を特徴とする会社法の基本書です。

難解な会社法を理解するにおいて、本書1冊があれば必要十分であるといえます。

これから会社法を学ぼうとする初学者の方も、学習が進んでいらっしゃる中~上級者の方も、司法試験対策として会社法を学ばれるすべての方にお勧めすることができる一冊です。

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