司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院(ロースクール)を修了する必要があります。

法科大学院といっても、多くの法科大学があるので、自分にあった法科大学を選ぶことが大切です。

「さまざまな法科大学院があるけれど、千葉大学法科大学院の評価はどうなの?」と考える人も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、千葉大学法科大学院の特徴や入試の内容、倍率などを最新の公表データから明らかにしていきたいと思います。

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千葉大学法科大学院の基本情報・特徴

以下では、千葉大学法科大学院の基本情報・特色を解説していきます。

基本情報

千葉大学法科大学院は、千葉県千葉市に位置しています。

所在地・アクセス・問い合わせ先は以下の通りです。

〒 263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
(最寄駅: JR総武線 西千葉駅下車 北口から徒歩1分(大学院までは、12分))

【問い合わせ先】
人社系学務課大学院学務室
 TEL:043-290-2349
 FAX:043-290-2356
 E-mail:gai2349@office.chiba-u.jp

千葉大学法科大学院は毎年の司法試験合格者を公表しています。

法科大学院が設置されている大学の中では、千葉大学法科大学院の合格者数はそれほど多いとは言えないものの、合格率は高いことが特徴です(累積合格率は60.5%)。

合格者が多く出ていることは、自習室が利用できるなど、終了後の環境の良さのあらわれとも言えるでしょう。

特色

千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)の特徴について、以下の3点に焦点を当てて解説します。

質問しやすい少人数教育・経済支援

千葉大学法科大学院は、少人数制の教育を重視しています。

この少人数教育のメリットは、教員と学生の距離が近く、わかりにくい点について、質問しやすい環境が整っている点です。

千葉大学法科大学院は、教育熱心な教員が”手作り”の教育を行うことにより、学生の真の理解を引き出すと考えています。

また、経済的な面でもサポートが充実しており、大学の支援を受けて多くの学生が入学金や授業料の減免、日本学生支援機構の奨学金の受給などを利用して、低コストで法科大学院の教育を受けることができています。

基本重視のカリキュラム

千葉大学法科大学院のカリキュラムは、基本を重視しています。

どの法分野についても、学部卒業段階で十分な理解を得ている者は稀であるとの考えのもと、基礎からの積み上げ型の教育を行っていることが特徴です。

基本重視のカリキュラム教育は、法学に最適な対話形式で実施され、予備試験経由では得られない深い理解を学生にもたらします。

学習環境の整備・良好な住環境

学習環境の面では、全学生に固定席のある24時間使用可能な自習室を提供しています。

さらに、3つの法学系データベースの導入など、法科大学院を大学全体がサポートする体制が整っていることも特徴の一つです。

住環境に関しても、緑豊かな高台に位置する大学キャンパス周辺には、都内に比べて非常に低廉な価格で住宅を借りることができる物件が多数存在します。

このため、首都圏での経済的な負担を感じることなく、学生生活を送ることができます。

司法試験合格実績

千葉大学法科大学院の令和4年司法試験までの修了生の合格状況は次の通りです。

修了年度 修了者数 合格者数 合格率
平成17年度 2年コース 28 25 89.3%
平成18年度 2年コース 34 22 64.7%
3年コース 21 17 81.0%
合計 55 39 70.9%
平成19年度 2年コース 42 30 71.4%
3年コース 9 6 66.7%
合計 51 36 70.6%
平成20年度 2年コース 32 28 87.5%
3年コース 7 4 57.1%
合計 39 32 82.1%
平成21年度 2年コース 24 17 70.8%
3年コース 17 12 70.6%
合計 41 29 70.7%
平成22年度 2年コース 27 22 81.5%
3年コース 21 12 57.1%
合計 48 34 70.8%
平成23年度 2年コース 20 13 65.0%
3年コース 12 4 33.3%
合計 32 17 53.1%
平成24年度 2年コース 28 21 75.0%
3年コース 14 8 57.1%
合計 42 29 69.0%
平成25年度 2年コース 30 24 80.0%
3年コース 14 1 7.1%
合計 44 25 56.8%
平成26年度 2年コース 22 7 31.8%
3年コース 8 5 62.5%
合計 30 12 40.0%
平成27年度 2年コース 25 14 56.0%
3年コース 11 4 36.4%
合計 36 18 50.0%
平成28年度 2年コース 19 8 42.1%
3年コース 8 5 62.5%
合計 27 13 48.1%
平成29年度 2年コース 9 6 66.7%
3年コース 6 1 16.7%
合計 15 7 46.7%
平成30年度 2年コース 10 6
(予備試験合格者資格で合格した修了生を含む)
60.0%
3年コース 7 2 28.6%
合計 17 8 47.1%
令和元(平成31)年度 2年コース 7 2 28.6%
3年コース 5 3 60.0%
合計 12 5 41.7%
令和2年度 2年コース 9 0 0.0%
3年コース 6 1 16.7%
合計 15 1 6.7%
令和3年度 2年コース 12 3 25.0%
3年コース 8 1 12.5%
合計 20 4 20.0%
令和4年度 2年コース 16 10 62.5%
3年コース 8 0 0.0%
合計 24 10 41.7%
累積合格率
(令和5年司法試験まで)
2年コース 394 261 66.2%
3年コース 182 86 47.3%
合計 576 337

60.2%

「修了生の動向」千葉大学法科大学院より

千葉大学法科大学院の入試情報

ここからは、千葉大学法科大学院の入試情報についてまとめていきます。

試験科目・入試内容

千葉大学法科大学院には、3つの入試コースがあります。詳細は次のとおりです。

(1)一般入学者選抜(2年コース・法学既修者向け)

2年コースの一般入学者選抜の評価は、法律関連の科目の試験と面接によって総合的に行われます。

原則として、法学既修者のための試験です。

法律関連の科目の試験では、憲法、民法、刑法の論述試験を行います。

面接では、学歴、過去の実績、志望の理由など多岐にわたる質問をされます。

また、提出した書類の内容も評価の対象となるので注意してください。

2年コースと3年コースを同時に希望する受験生の面接は、2つのコースの内容を合わせて実施されます。

(2)一般入学者選抜(3年コース・法学未修者向け)

3年コースの一般入学者選抜の評価は、小論文の試験と面接を基に総合的に行われます。

基本的に、法学未修者向けのコースです。

小論文の試験では、文章の読解や問題の分析・整理能力を評価する論述試験を行います。

面接では、学歴、過去の実績、志望の理由など多岐にわたる質問をされます。

また、提出した書類の内容も評価の対象となります。

2年コースと3年コースを同時に希望する受験生の面接は、2つのコースの内容を合わせて実施されますので注意が必要です。

(3)特別入学者選抜(2年コース・法学既修者向け)

特別入学者選抜の評価は、書類審査と面接を基に総合的に行われます。

書類審査では、提出された成績証明書をもとに、連携法曹基礎課程の学習状況を評価します。

面接では、学歴、過去の実績、志望の理由など多岐にわたる質問が行われることが特徴です。

成績証明書以外の提出書類の内容も評価の対象となります。

地方大学の枠で応募する受験生の面接は、オンラインで行われるため、地元からも受験可能です。

募集定員

千葉大学法科大学院では、入学定員40名を次のように2つのコースに分けて、コースごとに入学者選抜を実施しています。

コース募集定員
2年コース(法学既修者)一般入学者選抜19名
6名(うち地方大学枠1名)
特別入学者選抜
3年コース(法学未修者) 一般入学者選抜15名

「入学者選抜」千葉大学法科大学院より

(1)2年コース(法学既修者)

2年コースは、法学既修者向けのコースです。

基本的実定法の基礎的な学識を有すると認められた方が2年間の在学で修了することを予定するコースです。

(2)3年コース(法学未修者)

3年コースは、標準修業年限である3年間の在学で修了することを予定して入学するコースとなります。

法学未修者を前提として時間をかけて勉強するためのコースです。

法学未修者の方が2年コースに出願、もしくは法学既修者が3年コースに出願することもできます。両方のコースに併願することも可能です。

検定料は、1つのコースに出願した場合と同額となります。

併願者が両方のコースに合格した場合には、2年コースの合格者として取り扱われます。

千葉大学法科大学院の倍率と難易度

千葉大学法科大学院の倍率と難易度は次のとおりです。

入学年度 募集人員 志願者数(a) 合格者数(b) 入学者数 合格倍率(a/b)
平成31年度 2年コース(特別選抜) 若干名 2 0 0 0
2年コース 25 76 21 9 3.61
3年コース 15 55 24 9 2.29
合 計 40 133 45 18 2.95
令和2年度 2年コース(特別選抜) 若干名 0 0 0 0
2年コース 25 73 23 13 3.17
3年コース 15 35 17 10 2.05
合 計 40 108 40 23 2.7
令和3年度 2年コース(特別選抜) 若干名 2 2 1 1
2年コース 25 78 22 16 3.54
3年コース 15 60 22 9 2.72
合 計 40 140 46 26 3.04
令和4年度 2年コース(特別選抜) 若干名 4 4 4 1
2年コース 25 77 20 11 3.85
3年コース 15 71 30 13 2.36
合 計 40 152 54 28 2.81
令和5年度 2年コース(特別選抜) 6 11 7 3 1.57
2年コース 19 89 28 15 3.17
3年コース 15 80 31 14 2.58
合 計 40 180 66 32 2.72
令和6年度 2年コース(特別選抜) 6 13 10 6 1.3
2年コース 19 113 33 28 3.42
3年コース 15 83 34 17 2.44
合 計 40 209 77 51 2.71
※参考:過去の入試|入学者選抜|国立大学法人 千葉大学 大学院 専門法務研究科(法科大学院)より

2023年度の倍率から見る難易度は全34法科大学院中27番目でした。
千葉大学法科大学院の入試難易度は中程度と言えるでしょう。

関連コラム:法科大学院(ロースクール)入試の難易度を倍率と合格率から分析!

入学料・授業料、および奨学金制度

学費等の諸費用については、次のとおりです。

項目2年コース3年コース
学費入学金282,000円
授業料(年額)804,000円(前期分・後期分授業料は、それぞれ402,000円)
小計1,086,000円
その他費用学会費6,000円9,000円
学生教育研究災害傷害保険料1,750円2,600円
法科大学院生教育研究賠償責任保険料3,280円4,920円
小計11,030円16,520円
合計1,097,030円1,102,520円

令和6年度 千葉大学大学院専門法務研究科「学生募集要項」

千葉大学法科大学院には、さまざまな経済面をサポートする制度があります。

(1)入学料・援業料の減額•免除

令和4年度の実績では、入学料免除(全額)7名、(半額)1名、授業料(半期分)全額免除(402,000円)8名、授業料(半期分)半額免除(201,000円)22名となっています。

(2)日本学生支援機構による奨学金(貸与)

無利子貸与(第1種奨学金)と有利子貸与(第2種奨学金)の制度があります。

奨学金(貸与)の利用状況は以下のとおりです。

年度第1種奨学金第2種奨学金
平成29年度20名6名
平成30年度17名8名
令和元年度10名4名
令和2年度17名5名
令和3年度15名6名
令和4年度18名11名

千葉大学法科大学院 2023-2034 パンフレット

(3)千葉大学法科大学院奨学金(給付)

千葉大学法科大学院には、独自の給付型の奨学金も用意されています。

年度受給者数支給総額
平成29年度6名90万円
平成30年度2名25万円
令和元年度2名25万円
令和2年度3名30万円
令和3年度5名40万円
令和4年度2名25万円

千葉大学法科大学院 2023-2034 パンフレット

(4)千葉大学奨学支援事業による奨学金

法科大学院の奨学金制度だけではなく、千葉大学全体の奨学金事業からも奨学金を受けられます。

(5)外部の奨学財団の奨学金(給付・貸与)

育英奨学財団から奨学金を受けられます。その他各種奨学金の受給も準備されています。

過去問入手方法

過去問は千葉大学法科大学院のホームページからダウンロードすることができます。

過去問には解答はないので注意してください。出題意図については過去問から確認することが可能です。

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