『基本憲法Ⅰ』の司法試験へ向けた勉強での使い方と特徴
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このコラムでは基本憲法Ⅰについて紹介します。
受験生の皆さんは、「判例に言及する」答案の書き方に困っていませんか。
近年の憲法では、必要に応じて判例に言及することが設問で求められています。
一方で、答案を書く中で判例が想起できない、また、判例のどの部分をどのように引用すればいいのかが分からないという人もいると思います。
このコラムでは、判例に言及しながら答案を書く力をつけるうえで、基本憲法Ⅰが役立つということが分かります。
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基本憲法Ⅰは、現在多くの受験生に使われている基本書です。
本書は、憲法上の各人権について、保障の意義・権利の内容・判断枠組み・具体的問題(重要判例の解説)という段階に分けて、論じています。
本書の特徴は、各段階において判例の文言や考え方を踏まえた論述となっている点にあります。
そして、判例の解説では、難しい問題には深入りせずに、司法試験合格に必要な内容が書かれています。
憲法の基本書では、意義や規範が必ずしも判例の文言で書かれていなかったり、司法試験の合格というレベルを超えた細かい学説が紹介されたりしていますが、本書は、それらの問題点を克服しているといえます。
司法試験の勉強での使い方
では実際に、本書を司法試験の勉強でどう活用すれば良いのかについて、解説していきます。
論文試験対策について
①本書を通読
②司法試験の過去問等の問題演習
③どのように書けばよかったのか、正確な判例の文言を本書で確認
という方法が適しています。
本書では、各人権をどのような論述の流れで書けばいいのか、判例はどのような判断基準を用いているのかが書かれています。
それらを一通り学び、憲法の人権分野について全体像を掴んだ後、実際に答案を書くことをお勧めします。
そして、十分な論述ができなかった部分について本書を確認し、書き直すという作業を繰り返していくと、合格水準の答案を書けるようになると思います。
短答試験対策について
本書の内容は、人権についてのみなので、統治分野については他の学習が必要になります。
勉強法としては、本書を各章ごとに読み、1章読むごとにそれに対応する短答の問題集を解くという、インプットをし、すぐにアウトプットをするという勉強法が良いと思います。
論文試験において必ずしも頻出論点ではない人権(生存権・労働権等)については、上記の勉強法で十分合格水準に達することができると思います。
一方で、この点は本書の短所ともなると思いますが、短答試験で判例の細かい文言まで問われる人権(精神的自由・経済的自由)については、本書が判例を細かく引用することはしていないため、判例百選等での学習が必要となります。
基本憲法Ⅰの評価
本書のメリットは2点あります。
メリット① 内容がコンパクト
1点目は、内容がコンパクトな点です。
本書では、論文試験・短答試験(判例の文言が細かく出題される人権を除く)について、合格に必要かつ十分な内容が書かれています。
あまり細かい議論には深入りせずに、判例の必要な部分の解説がされている点が司法試験レベルに合っています。
メリット② 必要な部分が明示的
2点目は、判例の文言、考え方を前提に論述がされている点です。
判例のどこを読めばよいのか、答案でどの部分を引用すればよいのかを迷われている方も少なくないと思います。
本書では、論文試験で引用が必要な部分が明示的に書かれており、それらの迷いを払拭できると思います。
これらの点から本書は、憲法について初学者の方から、司法試験直を間近に控えた方まで幅広く役立つと考えられます。
デメリット
一方で、デメリットとしては、短答試験について判例の文言が細かく出題される人権は論述が足りないという点が挙げられます。
判例百選等で別途確認する必要があります。
しかし、これらを網羅的に書いている基本書はあまりないため、他の基本書と比べてデメリットが大きいということはないでしょう。
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