社労士と宅建の難易度はどちらが取得するのが難しいのでしょうか?

どちらの試験も国家資格であり魅力的な資格ですが、受験を目指す場合には合格率などの難易度も参考にしたいですよね。

そこで、このコラムでは社労士と宅建の試験内容や合格率、勉強時間などを比較して、どちらの試験の方が難しいかを解説します。

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社労士と宅建は社労士の方が難易度が高い

結論としては、社労士と宅建を比較すると社労士の方が難易度が高いです。

  • 社労士の方が試験内容が難しく、合格するために沢山の勉強が必要である
  • 合格率も社労士の方が低い
  • 合格までに必要な勉強時間も社労士の方が長い

といった観点から、社労士の方が合格しにくいといえるでしょう。

以下では、これらの各観点から比較していきます。

試験の難易度を比較

まず試験内容の観点から見ると、社労士の方が難しいといえるでしょう。

試験内容の観点からは、①受験資格、②試験科目、③出題形式、④試験時間といった点から比較を行います。

社労士試験の難易度

社労士試験の難易度は、難しい試験に分類されるでしょう。

①受験資格

社労士試験を受験するためには受験資格が必要で、学歴・実務経験・試験合格のうち1つを満たしていなければなりません。

そのため、受験にはハードルが設けられています。

②試験科目

社労士試験の試験科目は、以下の8科目です。

  • 労働基準法及び労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
  • 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

このように、多数の科目を受験しなければならないことが分かります。

③出題形式

社労士試験の出題形式は2つの形式があります。

まず、各問題に5つの文章が記載された選択肢があり、その中から適切な選択肢を選ぶ択一式があります。

そして、1つの問題に5つの空欄が設けられており、20ある選択肢の中から適切な語句を選択していく選択式もあります。

このように択一式の選択肢は五肢と選択肢が多く、また多数の選択肢から正解を選ぶため消去法で正解を導き出すのが難しい選択式問題もあります。

加えて、社労士試験では、総得点のみならず各科目にも合格基準点が定められています。
各科目の合格基準点とは、総得点が合格基準点を上回っていても、一部の科目で合格基準点未満の得点がある場合には不合格となるものです。

例外もありますが、択一式問題の場合は各科目5点満点中3点、選択式問題の場合は10点満点中4点が各科目の合格基準点となっています。
どの科目もまんべんなく得点が必要であるため、弱点を作ることが許されない試験です。

④試験時間

社労士試験は午前の選択式の試験時間が80分、午後の択一式の試験時間が210分となっており、併せて290分の試験を1日で行います。

5時間近くの試験を1日でこなさなければならないため、長時間に渡って集中力が要求される試験となっています。

宅建試験の難易度

宅建試験の難易度は、そこまで難しくない試験に分類されるでしょう。

①受験資格

宅建試験に受験資格はありません。

そのため、学歴や実務経験、試験合格に関係なく誰でも受験できます。受験自体にハードルが設けられていないことが分かります。

②試験科目

宅建試験の試験科目は、以下の4科目です。

社労士試験の半分ほどとなっており、また民法など幅広い分野で使われている法律も試験科目となるため、初学者でもとっつきやすい科目もあります。

  • 権利関係(民法、借地借家法、区分所有法など)
  • 宅建業法
  • 法令上の制限(建築基準法、都市計画法など)
  • 税、その他

③出題形式

宅建試験の出題形式は、四肢択一のマークシート式です。

社労士の択一式と比べ選択肢が1つ少なく、また選択式もありません。

また、社労士では必要とされた各科目の合格基準点は宅建にはありません。
総得点が合格基準点以上となっていれば合格です。

社労士試験と比較すると、合格は容易であると理解して頂けるのでははないかと思います。

④試験時間

宅建試験の試験時間は、120分間となっており、1日で終わります。

社労士試験の半分ほどの試験時間ではありますが、2時間と決して短くはなく、こちらも長時間の集中力が必要です。

このように、試験内容を比較すると、

  • 社労士試験には受験資格があり、試験を受験するハードルが設けられている
  • 宅建試験の試験科目は4科目、社労士試験の試験科目は8科目であり、社労士試験の方が試験科目が多い
  • 宅建試験は四肢択一のみであるが、社労士試験では五肢択一に加え選択式もあり正解を導き出すことが難しく、また各科目の合格基準点も設けられているため合格が難しくなっている
  • 宅建試験の試験時間は2時間、社労士試験の試験時間は5時間弱であり、両者とも長時間の集中力が要求されている

といったことから社労士試験の方が合格が難しいことが分かります。

合格率を比較

合格率の観点から両者を比較します。

社労士試験の合格率

社会保険労務士試験オフィシャルサイトが発表した令和6年度の第56回社会保険労務士試験の結果は、受験者数43,174人に対し、合格者数2,974人、合格率6.9%という結果でした。

社労士試験は例年、合格率が約6~7%となっており非常に低い合格率となっています。

今後も6%程度と低い合格率が続いていくことが予想されます。

※参考:第56回(令和6年度)社会保険労務士試験についての情報

宅建試験の合格率

不動産適正取引推進機構が発表した令和5年度10月実施分の土地建物取引士試験の結果は、受験者数233,276人に対し、合格者数40,025人、合格率は17.2%でした。

宅建試験の合格率は約15~17%となっており、こちらの合格率も決して高くないことが分かります。

今後も試験の合格率はそれほど変わらないでしょう。

合格率の観点から比較すると、どちらも合格率は低いものの、社労士試験は宅建試験より10%ほど合格率が低いことが分かります。

そのため社労士の方が合格することが難しく難易度が高いといえるでしょう。

※参考:和5年度宅地建物取引士資格試験実施結果の概要

勉強時間を比較

勉強時間の観点から比較します。

社労士試験合格に必要な勉強時間

2章の試験科目で見ましたように、社労士試験では8科目から出題されます。

そのため幅広い科目について勉強していく必要があります。

また、試験の出題形式は選択式があり、各科目の合格基準点も存在するため知識の正確性も求められます。そのため、長い勉強時間が必要となります。

具体的には、800~1000時間ほど必要とされており、合格には長時間の勉強が求められています。

宅建試験の合格に必要な勉強時間

一方、宅建試験は4科目から出題され、社労士試験の半分ほどの科目量となっています。試験に必要な科目数としてはあまり多いとは言えません。

また、四肢択一なので消去法でも正解を導き出すことが比較的容易となっており、社労士ほど正確な知識は求められていません。

ただし、合格率は上記のように15~17%となっており5人に1人も合格できない試験です。そのため、宅建でも長い勉強時間が必要です。

具体的には、300~400時間ほどが要求されており、こちらも長時間の勉強が必要です。

勉強時間の観点から比較すると、両方とも長時間の勉強時間が必要であるものの、社労士試験の方が宅建試験の倍以上必要とされています。

そのため社労士の方が難しい試験であるといえるでしょう。

まとめ

以上で社労士と宅建の難易度はどちらが難しいのかについての解説を終わります。

このコラムをまとめると、以下の点が重要です。

・試験内容の観点からすると、社労士試験は宅建士より試験科目が多いことや出題形式が正解を導き出しにくいものとなっているなどの理由から社労士の方が難しい

・合格率の観点からすると、社労士試験の合格率は宅建試験より10%ほど低いため社労士の方が難しい

・勉強時間の観点からすると、社労士試験合格に必要な勉強時間は宅建試験の倍以上必要であるため社労士の方が難しい

総じて社労士の方が難しいということが理解できたのではないかと思います。参考にして頂けましたら幸いです。

もっとも、社労士と宅建は職域が異なります。社労士は労務管理分野、宅建は不動産取引分野で仕事を行っており、どちらも重要な仕事です。

そのため、難易度は社労士の方が高いものの、自分の目指したい内容によって資格を選びましょう。

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