社会保険労務士(以下、社労士)について調べると、検索結果やYahoo!知恵袋をはじめとする掲示板に「やめとけ」「意味ない」などのネガティブな言葉が出てくることがあります。

社労士を目指したいと考えている時に、ネガティブな意見を見つけると不安になってしまいますよね。

本コラムでは、社労士が意味ない、やめとけ、食えないと言われている理由について解説します。

さらに、社労士になるメリットや社労士に関するよくある質問についても紹介します。

コラムを読んで、社労士に対する不安や疑問を払拭しましょう。

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社労士はやめとけ、意味ないと言われる5つの理由

社労士はやめとけ、意味ないと言われてしまう理由は、以下のとおりです。

  • 知名度が低く認知されていない
  • 求人数が少なく就職できない
  • 資格を持っていても実務経験がないれば意味がない
  • 独立しても廃業するリスクがある
  • AIに仕事を奪われている

知名度が低く認知されていない

社労士は国家試験ではありますが、ほかの士業と比べると知名度が低い資格です。

中でも弁護士や税理士などは知名度が高く、仕事内容なども広く認知されています。

対して、社労士の仕事は社会保険や労務に関する業務であり、一般の方に広く理解されているとは言い難い状況です。

また、社労士試験は合格率が約5〜7%と難易度が高い試験です。

試験難易度に対して知名度が釣り合っていないことも、やめとけと言われる要因のひとつと考えられるでしょう。

しかし、知名度が低くても社労士は世の中に必要とされている職業です。

独占業務もある社労士は、企業と労働者が安心して活躍できる環境を整える重要な役割を担っています。

求人数が少なく就職できない

社労士になっても求人数が少なく、就職できないと言われている点も、意味ない、食えないと言われる理由になっています。

ただし、求人数が少ないのは、あくまでも社労士事務所に就職したい場合です。

社労士事務所は小規模な事業体が多く、一般的に従業員数は多くありません。

そのため、新しく求人を募集する頻度が低く、新規採用枠も限られてしまいます。

少ない求人数に対して多くの応募がある状態になり、結果的に社労士事務所に就職することは難しいのが現状です。

しかし、一般企業では社労士資格の保有者を歓迎する求人は多くあります。

社労士資格を取得しても全く就職できないということはないため、安心してください。

資格を持っていても実務経験がなければ意味がない

社労士に関して、キャリアアップのために資格を取得しても、実務経験がなければ採用されない、未経験なら意味ない、役に立たないという話があります。

しかし、実際のところ最初から経験者の方はいません。

一部の企業や事務所では、資格よりも実務経験を優先するかもしれませんが、すべての企業や事務所が未経験者を雇わないということはあり得ないでしょう。

社労士資格は国家資格のひとつであり、試験難易度も高い資格です。

社労士資格の保有者は専門的知識やスキルを持っていることはもちろん、試験を突破する実力や意欲を持っていることも証明できます。

未経験でも応募できる社労士資格に関する求人はたくさんあるため、合格したら積極的に応募してみましょう。

社労士専門の転職エージェントなどを活用することもおすすめです。

独立しても廃業するリスクがある

独立開業しても廃業している人がいるという意見が、社労士資格が意味ない、やめとけと言われる要因のひとつになっています。

確かに独立しても集客できずに仕事を確保できなければ、廃業しなければなりません。

しかし、独立開業はリスクが伴うことであり、これは社労士だけに限ったことではありません。

また、開業後の努力次第では、事務所に所属して働いていた頃よりも大きく稼ぐことは可能です。

現代は、サラリーマンになれば定年まで安泰と言われる時代ではありません。

社労士として独立開業に挑戦することは意味のあることであり、自身のキャリアアップにも繋がります。

AIに仕事を奪われている

社労士はAIに仕事を奪われていると言われる点も、やめとけという意見が多くなる理由のひとつです。

実際に、労務管理や社会保険手続きに関するITソフトなどが進化し、社労士の業務が一部自動化されています。

ルーティン化できる業務に関しては、今後AIや電子申請などの活用の影響で縮小していく可能性はあるでしょう。

しかし、社労士の業務にはAIでは対応が難しいものがあります。

例えば、労働問題を未然に防ぐための対策や就業規則の整備、人事評価制度の策定・運用、各企業から相談を受けて解決に導くコンサルティング業務などです。

多くの人が働きやすい環境を整備するには、AIだけでなく人の力が必要でしょう。

業務の中でAIを活用することは増えるかもしれませんが、社労士の仕事がすべてAIに奪われることは考えにくいです。

社労士資格取得のメリットとは

社労士の資格を取得することで得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 就職・転職に強くなる
  • 労働関係の法律を知り、自分を守ることができる
  • 自分に付加価値を付けることができる
  • 開業を目指せば高収入の可能性も

就職・転職に強くなる

社労士資格を持っていると、企業内での就職を希望する場合に就職・転職に強くなります。

企業では、入社する者が社会保険に入る場合に必ず申請を行わなければなりません。

社労士が企業内にいれば、社会保険の申請書作成業務などの代行ができ、外注をせずに済みます。

そのほか、労務に関する複雑な業務も社労士が行うため、社内業務の効率化にも繋がります。

そのため、社労士を求めている企業は多く、資格を持っていると就職や転職に有利になるでしょう。

社労士資格は、社労士として働きたい方だけではなく、未経験から人事や労務の仕事に転職したい方や、人事・労務としてキャリアアップしたいという方にもおすすめの資格です。

労働関係の法律を知り、自分を守ることができる

労働関係の法律の知識が身に付くため、自分が働いている環境についても精査でき、自分自身を守ることができます。

また、労働法は改正の多い法律です。

会社が改正したことを知らずに違反している場合、社労士資格を持っていれば気づくことができるでしょう。

労働法の違反は労働者として主張することができ、法律に沿った運用や改善を求めることも可能です。

自分に付加価値を付けることができる

社労士試験を突破して資格を取得すると、自分に付加価値が付きます。

社労士試験は合格率が低く、国家資格の中でも難易度が高い試験です。

合格に向けて勉強することは、狭き門に挑戦する力や実力、意欲などを養うことに繋がります。

また、合格後は難易度の高い試験を突破したという自信が付くでしょう。

開業を目指せば高収入の可能性も

社労士は専門性が高く独占業務もあるため、独立開業が目指せます。

簡単な道ではありませんが、経営が軌道に乗れば高収入を得ることも可能です。

令和5年度賃金構造基本統計調査では、独立した社労士の年収は約724万円です。

対して、令和5年度民間給与実態統計調査では、正社員の平均年収が約460万円のため、平均よりも高い年収が得られると予想できます。

また、自営業のため、自由度の高い働き方ができるメリットもあるでしょう。

自分の裁量や能力を生かしてもっと稼ぎたいという方は、社労士資格を取得して独立開業を目指してみましょう。

社労士に向いてるタイプ6選

社労士に向いているタイプは、以下の6つです。

  • 独立やキャリアアップを望む方
  • 会社の発展に役立ちたいと考えている方
  • 正義感があり、規範意識が高い方
  • 数字に強い方
  • 忍耐力のある方
  • コミュニケーション能力が高い方

独立やキャリアアップを望む方

独立やキャリアアップを望んでいる方には、社労士資格は最適です。

社労士は正社員の平均年収よりも年収が高く、労務に関する専門的な業務や独占業務を行うことができます。

企業では社労士資格を歓迎している求人も多く、現在の年収よりも高い企業への転職にも繋がりやすいです。

また、社労士は独立開業が目指せる資格です。

独立すれば働き方を自分で決められ、頑張りによっては高収入も得られます。

会社の発展に役立ちたいと考えている方

社労士が担当する業務は、会社全体の人事や労務管理にかかわる仕事です。

そのため、会社の発展に役立ちたいと考えている方は、社労士の仕事に向いています。

社労士がしっかりと仕事を行うと、会社全体の発展に繋がるでしょう。

特に労務管理や労働法に関する業務は専門的な知識が必要であり、複雑なことも多いです。

社労士が業務を担当することでほかの従業員は自身の業務に集中することができ、会社全体の仕事もスムーズに進みます。

また、社労士が担当することで、ほかの会社から労務管理をしっかり行っている会社という評価を得て信頼度もアップするでしょう。

正義感があり、規範意識が高い方

社労士は法律違反を指導する業務もあるため、正義感があって規範意識が高い方に向いています。

社労士は、すべての人が働きやすい労働環境を整えるという重要な役割を持っています。

そのため、労働基準法などの違反を無視する、もしくは違反していることを知らずに従来の方法を継続している企業に対して指摘を行う場面もあるでしょう。

難しい場面でも労働管理の専門家として、毅然とした態度とって業務を行える方は社労士として活躍できます。

数字に強い方

社労士は帳簿などの作成時に計算が必要になるため、数字に強い方におすすめです。

社労士の業務として、毎月健康保険料の計算や帳簿に記入作業が発生します。

従業員一人ひとりを計算しなければならないため、必然的に数字を扱うことが多くなります。

また、中にはお金を扱う業務もあり、計算を正確に行わなければなりません。

忍耐力のある方

社労士は、忍耐力がある方に向いている職業です。

社労士の業務は、地道にコツコツ行う作業が多いです。

企業を相手に仕事を行うため、途中で投げ出すことはできません。

帳簿の作成などは毎月行うため、地道な作業を継続できる能力が必要です。

また、社労士試験に合格するにも忍耐力がいります。

合格率が低く、難易度が高い社労士試験。

合格するまでに必要な勉強時間は約1,000時間と言われています。

たとえ不合格になったとしても、諦めずにコツコツと勉強していけると合格に繋がります。

コミュニケーション能力が高い方

社労士は、ほかの職種の方とコミュニケーションを行う場面が多い職業です。

そのため、コミュニケーション能力が高い方にも向いているといえるでしょう。

中でも労務管理の相談や指導を行う際には、相手の話を良く聞いて相談に応じる必要があります。

また、独立開業した社労士は、仕事を獲得するために営業を行わなければなりません。

人と会話することが好き、相談に乗るのが得意という方は、社労士の仕事に合っているでしょう。

社労士のここが知りたい!Q&A

社労士に関するよくある質問を紹介・解説します。

解説する質問は、以下のとおりです。

  • 社労士の仕事内容は?
  • 社労士の年収は?
  • 社労士になるにはどうすればいい?
  • 社労士の合格率と難易度は?

社労士の仕事内容は?

社労士は人事や労務管理の専門家です。

職場環境の改善や企業の経営や業務の効率化のために、人事や労務に関する業務や問題解決のサポートなどを行います。

社労士の主な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 行政機関に提出する労務管理書類作成の代行
  • 労務管理に関する帳簿の作成
  • 労務管理や社会保険に関する相談や指導

労務管理に関する書類作成の代行業務や帳簿の作成業務は、社労士の独占業務になります。

また、労務管理や社会保険に関する相談・指導は、コンサルティング業務にあたります。

独占業務ではないため、社労士資格を持っていなくてもコンサルティングを行うことは可能です。

しかし、コンサルティング業務を依頼する立場からすると、人事や労務に関する国家資格をもつ社労士のほうが安心でしょう。

独占業務以外のコンサルティング業務においても、社労士の資格が役立ちます。

社労士の年収は?

令和5年度賃金構造基本統計調査では、社労士事務所や企業に勤務する社労士の平均年収は約947.6万円です。

独立開業した場合の社労士は、約724万円でした。

一般的なサラリーマンの平均年収が460万円となっているため、社労士のほうが年収が多い傾向があります。

また、独立開業の社労士のほうが平均年収は低くなりましたが、多くのクライアントを持っている社労士は年収3,000万円を超えているとも言われています。

独立開業は定年制もなく、働き方や案件数などを自分で決められるため、自分の裁量次第で高い年収を得ることが可能です。

社労士になるにはどうすればいい?

社労士になるには、以下の3ステップが必要です。

  1. 社労士試験に合格する
  2. 実務経験を2年以上積む、もしくは事務指定講習を修了する
  3. 全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿に登録する

3ステップの中でも難しい点は、社労士試験に合格することです。

社労士試験に合格できたら、名簿に登録するために2年以上の実務経験を積みましょう。

もしくは、全国社会保険労務士会連合会が実施する事務指定講習を修了します。

2つ目の条件まで満たせたら社会保険労務士名簿に登録ができ、登録が完了すると正式に社労士になれます。

社労士の合格率と難易度は?

社労士試験の合格率は、例年約5〜7%です。

令和6年に実施した第56回社会保険労務士試験では、43,174人の受験者に対し、合格者は2,974人でした。

合格率は6.9%となり、例年どおり低い合格率でした。

順位名称合格率
1位司法書士約3.5%
2位技術士(1次試験・2次試験) 約4%
3位中小企業診断士(1次試験・2次試験) 約4%
4位社労士約5〜7%
5位土地家屋調査士約8%
6位弁理士(最終合格率)約8%
7位マンション管理士約8.5%
8位測量士(最終合格率)約10%
9位行政書士約11.5%
10位通関士約13%
※出典:国家資格の難易度ランキング!簡単な資格は?合格率や勉強時間より  |  資格試験コラム

合格率に注目すると、社労士試験は国家資格の中で4番目に低い合格率です。

試験難易度はかなり高いと考えられるでしょう。

そのため、合格するための勉強時間は約1,000時間必要だと言われています。

まとめ

本コラムでは、社労士が意味ない、やめとけと言われている理由について解説しました。

以下、コラムの要点です。

  • 社労士はやめとけと言われる理由は、知名度の低さ・求人数の少なさ・未経験だと就職しにくいという話・独立後の廃業リスク・AIに仕事が奪われるかもしれないという懸念などが要因だと考えられる。
  • 社労士は知名度は低いが多くの企業が歓迎する資格であり、未経験でも応募できる企業の求人は多い
  • 独立後の廃業リスクは社労士だけではない
  • 社労士の業務にはコンサルティング業務などもあるため、すべての仕事をAIに奪われることは考えにくい

社労士資格を取ると企業系の就職や転職に強くなり、キャリアアップに繋がります。

また、独立開業すると高収入が得られる可能性が高まるため、自分の裁量で仕事をしていきたい方はぜひ独立を目指してみましょう。

しかし、社労士試験は難易度が高い試験です。

合格するには、途中で諦めずにコツコツと勉強を続ける必要があるでしょう。

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