今回は、東京人事労務ファクトリーの山本多聞様にインタビューを行いました。

社労士業務の内容やスケジュール、独立開業までの経緯など詳しくご回答いただいています。

これから社労士を目指す方は、ぜひ参考になさってください。

なぜ資格を取得しようと思ったのですか?

就職活動のセミナーで「働く際の知識として労働基準法という法律があり、それを知らないことによってトラブルに巻き込まれることがある」と聞き、勉強をしてみようと考えました。

その際に社労士の参考書がよくまとまっており、勉強するうちに他の法律にも興味が出てきて、いつの間にか社労士の資格を取得することが目標になっていました

主にどのような業務をされているのですか?

職場における人事トラブルの予防や対処に関する相談、労働契約書や賃金台帳など法定書類の作成および内容の確認、就業規則など諸規程の作成および内容の確認、労働保険・社会保険に関する手続きの代行とその内容に関する相談、雇用に関する助成金の申請の代行とその内容に関する相談などです。

仕事の魅力ややりがいを感じる時を教えて下さい

自分の知識やアイディア次第で、様々なビジネスを前に進めることができる点が魅力でしょうか。

社内の問題を解決できた手ごたえを感じたとき、また、解決に至って依頼者の方から「ありがとう」と言われたときは、特にやりがいを感じられます。

印象に残っている仕事・案件のエピソードがあれば教えて下さい

建設業の安全大会で100人くらいの現場の職人さんに講演する機会をいただき、知識を強化するために事前に数か月かけ、職長訓練講師(RSTトレーナー)の資格をとって臨みました。

安全衛生に関する法律を踏まえ、現場で用いられる用語で話すことを心がけたところ、仕事上がりでお疲れのご様子だった職人の方々の表情が変わり、質問も多く出てきて、聞いていただいた手ごたえが感じられました

なぜ独立開業をしようと考えたのですか?

以前の勤務先(労働保険事務組合)では、いわば役所の出先機関として作業を定型的に行うことをモットーに仕事をしていました。

企業の方から相談を受ける際も方針に従い、法律に沿った一般的な回答をしますが、「それは分かっているが、何とかして欲しい、それでは会社がつぶれてしまう」といったことをしばしば言われ、もっと相談者(会社)の立場に寄り添ったアドバイスをしたいという気持ちがわき上がってきて、独立開業をしようと決心しました

開業後、最も苦労されたのはどのような部分ですか?

最初の1,2年は、社労士としてひよっ子の自分を自信を持って売り込めず、仕事が少なく経済的に苦労していました。

この時に残った時間を知識の習得に充てたことが、自分を自信を持って売り込むことができ、仕事を多くいただいている今の状況に繋がったと思います

今後の展望等がありましたら教えて下さい

ここ数年、従前から中心であった手続き業務に代わり、社労士事務所ならではの知識やノウハウを生かしたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング=専門業務の外注)が増えており、今後も力を入れていきます

これは他の業務にも通じることですが、社内の定型業務をそのままお引き受けするのではなく、クライアントにとって、より負担が少なく効率的な形を追求していくことに価値があるものと考えています。

これから資格取得を目指している方へメッセージをお願いします

社労士はAI技術の進展でなくなる仕事とも言われますが、法律と実態のすり合わせを行う職人的なスキルはこれからも必要とされていくと私は考えています

まずは資格の取得を通じて体系的に法律をマスターしていただき、ぜひそこから職場の課題に目を向けていってください。

皆様と一緒に仕事をできる機会を楽しみにしております。

この記事の著者 東京人事労務ファクトリー 山本 多聞

2002年より社労士事務所「東京人事労務ファクトリー」所長として、「ここでしか聞けない」ような知識とアイディアを発揮することを心がけ、数名から数万人規模まで、様々な企業の人事トラブルの予防と解決を図ってきました。 2023年からはとくに小規模企業へのサポートを手厚くするべく、労働保険事務組合「アライアンス」理事長となり、二足の草鞋を履いて企業の方々を支援しています。

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