社労士と公認会計士の違いは何でしょうか。

これらの資格は両方とも独立を目指せる資格であり、キャリアアップにおすすめの資格といえます。

今回は、社労士と公認会計士の仕事の違い、資格の難易度、それぞれの資格に向いている人、ダブルライセンスのメリットといったことを解説します。

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社労士、公認会計士の違い

社労士と公認会計士の違いから解説します。

専門領域の違い

社労士の正式名称は「社会保険労務士」といいます。

社会保険労務士とは、労務という名前からわかる通り、労働に関する専門的事務をつかさどります。

そのため、社労士は労務管理のエキスパートといえるでしょう。

一方、公認会計士は会計という数字を扱う仕事だということが分かります。

企業の業績など、会計は社会の根幹をなすもので、それを士業として支える公認会計士は会計のエキスパートといえます。

年収

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、社労士の平均月収は61.8万円、年間賞与等が206万円となっています。

ここから平均年収を単純に計算すると、社労士の平均年収は947.6万円となります。サラリーマンの平均年収が国税庁『令和5年分民間給与実態統計調査結果』によると460万円なので、社労士の平均年収はサラリーマンより高いことが分かります。

次に公認会計士の平均年収です。同調査によると、平均月収は50.6万円、年間賞与等が139万円となっています。

社労士と同様の方法で計算すると、公認会計士の平均年収は746.7万円となりました。

難易度が高いのは?

次に、社労士と公認会計士では、受験資格、試験内容、合格率、合格までの勉強時間といった点を比較し、どちらが難しいのかを解説します。

受験資格

社労士試験には受験資格があります。

以下の3つの属性のうち1つを満たさなければなりません。

①学歴…大学や短大を卒業した場合や大学で62単位以上習得している者など

②実務経験…社労士事務所で3年以上勤務している者など

③厚生労働大臣に認める試験に合格…行政書士試験に合格しているなど

一方、公認会計士試験に受験資格はありません。

性別、学歴、年齢などに関係なく、誰でも受験することが可能です。

試験内容

社労士試験の出題形式は、択一式及び選択式です。

試験科目は、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険料徴収法、労務管理その他労働に関する一般知識、社会保険に関する一般常識、健康保険法、厚生年金法、国民年金法です。

労務管理のエキスパートとして労働に関する知識が試されていることがうかがえます。

択一式と選択式それぞれに基準点が設定されており、択一式と選択式を合わせた総合計点で合格点以上を取っていたとしても、どちらかの方式で基準点を下回っていた場合には不合格となります。

公認会計士試験は短答式試験のほか、論文式試験があります。

短答式試験では会社法、管理会計論、監査論、財務会計論の4科目をマークシート式で解くことになります。

これに合格すると論述式試験を受験できます。

仮に論述式試験に不合格になっても、短答式試験は合格後2年間は免除されており、論述式試験に集中して勉強できるようになっています。

なお、社労士試験と同様、基準点が設けられており、各科目で40%未満の得点があった場合には不合格となることがあります。

論述式試験は科目別の筆記試験となっています。

必須科目:財務会計論(簿記・財務諸表論)、管理会計論、監査論、企業法、租税法

選択科目:経営学、経済学、民法、統計学 ※この科目から1つ選択。

論文得点の偏差値52以上で合格となります。

論述式試験にも基準点があり、40%未満の科目がある受験生は不合格になることがあります。

合格率

社労士の合格率は例年6~7%で推移しています。

合格率が10%に満たないので極めて難しいとも思えます。

公認会計士試験の合格率は10%前後で推移しています。

100人受験して10人ほどしか合格できない試験となっており、こちらも難しい試験であるといえます。

合格までの勉強時間

一般に、社労士試験の合格までに必要とされる勉強時間は、1,000時間程度となっており、かなりの勉強時間を要することが分かります。

社会人にとっては、勉強時間を削り出し、腰を据えて勉強する必要があるので大変な試験といえます。

公認会計士試験の合格までに必要とされる勉強時間は、2,500~3,500時間といわれています。

社労士より2倍以上の勉強時間が必要となっており、社労士に合格するより大変な試験ということが分かります。

以上の点を比較すると、社労士よりも公認会計士の方が難しいといえるでしょう。

【目的別】どちらの資格を取得したらいいのか?

ここまでで資格の概要や難易度が判明しましたが、どちらが自分に合っているのか分からない人もいるでしょう。

そこで、目的別にどちらの資格を目指すべきかを記載していきます。

社労士に向いている人

労務に興味がある人

社労士は労務管理のエキスパートなので労務に関する仕事をします。そのため労働問題などの労務に興味があれば仕事への高い意欲が湧いてくるでしょう。

几帳面な人

保険給付の申請や助成金の申請など、社労士の仕事の多くは期限を伴います。
そのため、期限を正確に管理する几帳面さが求められます。

また、個人番号や基礎年金番号、履歴書など高度な個人情報を扱う仕事ですから、管理能力は欠かせません。

正義感の強い人

ブラック企業など労働環境の改善が必要な場合には毅然とした態度で指導を行わなければなりません。

正義感の強い人はこのような指導でも委縮することなく助言や指導を行うことができるので向いています。

公認会計士に向いている人

経営に興味がある人

公認会計士は監査や経営コンサルなど経営に関する幅広い分野を仕事とします。

そのため、経営に興味があれば働く意欲が湧いてくるでしょう。

健康管理やセルフコントロールができる人

監査業務は期限があり、しかもその期限が集中しています。

日頃から健康に気をつけ、長時間働くことができる人が求められているため、健康管理などができる人は向いています。

数字に強い人

公認会計士は、膨大な資料を見ながら監査を行い、計算書類が正しいかをチェックすることがあります。

そのため沢山の数字と向き合う必要があり、間違いや不正を見逃さないようにしなければなりません。

数字に強い人はこのような作業をこなしやすく、向いているといえます。

ダブルライセンスを目指すメリット

社労士と公認会計士の2つを別個に見てきましたが、この2つを取得するダブルライセンスも魅力的です。

ダブルライセンスには以下のようなメリットがあります。

職域が広がる

公認会計士が税務に関してアドバイスをしている際、顧客が気にするのは税金という税務関係の相談のみならず、社会保険料の相談も多いです。

そのため公認会計士資格のみならず社労士を持っている場合、顧客から税務顧問業務だけでなく、給与計算及び労働社会保険手続業務等を依頼され、より多くの仕事が入ることになります。

そのため職域が広がり、高い報酬がきたいできます。

専門性を持つことができる

ダブルライセンスの場合、1つの資格しかもっていない人より労務・会計分野について詳しくなります。

そのため他者にはない専門性を持ち、「労務に強い公認会計士」又は「会計分野に強い社労士」として働くことができます。

専門性を持つことにより依頼が多く舞い込むでしょう。

ダブルライセンスを目指す場合の理想の取り方

ダブルライセンスを目指す場合、公認会計士から目指すべきでしょう。

社労士には受験資格があり、その中に「厚生労働大臣が認めた国家資格に合格した者」について受験資格が与えられます。

公認会計士試験はその中に含まれており、公認会計士の取得が社労士試験に役立つからです。

まとめ

以上、社労士と公認会計士の違いでした。

社労士も公認会計士も年収がサラリーマンより高く、キャリアアップに向いています。

資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?

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この記事の監修者 竹田 篤史講師

社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。

短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。

これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。

自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。

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