高齢化社会の現代において、社会福祉士という職業の需要が高まっています。

社会福祉士とは、高齢者福祉・障害者福祉・児童福祉などの福祉専門の資格であり、名称独占の国家資格です。

では、実際に社会福祉士の就職先はどういったところがあるのでしょうか。

本コラムでは、社会福祉士を目指す方に向けて、社会福祉士の働く場所や業務内容、やりがいを紹介します。

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社会福祉士の就職先は?

社会福祉士のおもな就職先として、以下のような施設・団体が挙げられます。

  • 児童福祉施設
  • 学校施設
  • 高齢者の介護などを目的とした高齢者福祉施設
  • 地域包括支援センター
  • 障害者施設
  • 地方自治体の福祉事務所
  • 社会福祉協議会
  • 病院などの医療機関

次の章で、それぞれの施設について詳しく解説していきます。

社会福祉士が働く場所を紹介

社会福祉士の主な仕事内容は、相談援助を通じて、身体的・精神的・経済的などの課題のある人の日常生活について様々な支援を行うことです。

また、他分野の専門職などと連携して包括的に支援を進めたり、社会資源などを開発したりする役割も求められます。

このような性格から、以下のような施設で社会福祉士が活躍しています。

児童福祉施設

児童福祉施設とは、国または都道府県などが設置する、児童及び妊産婦の福祉を図るための施設です。

働く場所

児童福祉法によれば、児童福祉施設は、以下の12種類の施設が定義されています。

  • 助産施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設
  • 保育所
  • 幼保連携型認定こども園
  • 児童厚生施設
  • 児童養護施設
  • 障害児入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター及び里親支援センター

主な仕事内容・役割

児童福祉施設で働く社会福祉士の主な仕事は、子どものケアをしたり、子どもの保護者と今後についての相談や支援をすることです。

各施設にどのような形で就職するかは、施設によって異なります。

たとえば、以下のような役割が挙げられます。

  • ファミリーソーシャルワーカー(家庭支援専門相談員)
  • 里親支援専門相談員
  • 家庭児童相談員 など

学校施設

小学校などの教育施設でスクールソーシャルワーカーとして働く社会福祉士もいます。

働く場所

小学校、中学校、高等学校など

主な仕事内容・役割

スクールソーシャルワーカー(SSW)は、児童・生徒が生活の中で抱えている日常の悩み、いじめ、虐待などの問題の解決を図る仕事です。

似たような職種でいうと、スクールカウンセラーが有名ですが、スクールカウンセラーが主に心理的にアプローチするのに対し、スクールソーシャルワーカーは主に環境の面からアプローチするところが異なっています。

スクールソーシャルワーカーの仕事内容は、児童・生徒の問題を直接的に解決することだけではなく、生徒本人や家族の家庭環境を改善する相談を行ったり、学級環境の整備をしたり、学校外で行われている支援活動の紹介をしたりといったことも仕事内容にふくまれます。

このように、スクールソーシャルワーカーは、生徒が抱える問題に様々な角度からアプローチすることによって、児童・生徒やその家庭の支援を行っています。

高齢者の介護などを目的とした高齢者福祉施設

高齢者の介護などを目的とした高齢者福祉施設は、主に特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービスセンターなどのことをさします。

働く場所

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • デイサービスセンター
  • ショートステイ(短期入所)施設
  • グループホーム など

主な仕事内容・役割

高齢者福祉施設では、実際に身体的な介護をすることもあります。

また、ショートステイと呼ばれる施設を使う場合には短期間の入所となるので、高齢者の方が施設を退所した後の生活についての相談に乗ることも、大切な仕事のひとつです。

地域包括支援センター

各市町村に設置されている地域包括支援センターも社会福祉士の働く場所です。

主な仕事内容・役割

地域包括支援センターは地域の高齢者を支えるために、

  • 介護が必要になりそうな高齢者の状況悪化を防ぐためのプランニングをする「介護予防ケアマネジメント」
  • 介護に関するあらゆる悩みに対応する「総合相談」
  • 地域の専門家や住民のネットワークを形成する「包括的・継続的ケアマネジメント」
  • 高齢者を詐欺などの被害から守る「権利擁護」

の4つの業務を行っています。

上記の業務を担うのが、社会福祉士の役割となります。

障がい者施設

障害者向けのサービスは、主に身体障害者向け、知的障害者向け、精神障害者向けなどに分けることができますが、そのいずれにも社会福祉士が必要とされています。

働く場所

  • 身体障害者更生施設
  • 知的障害者更生施設
  • 精神障害者生活訓練施設
  • 福祉ホーム など

主な仕事内容・役割

障がい者施設では、障がい者の日常生活における自立や就労などの訓練を行っています。

社会福祉士は、生活相談員・生活指導員・生活支援員などとして働きます。

また、「福祉ホーム」の管理人や「身体障害者福祉工場」などで相談援助を行う社会福祉士もいます。

地方自治体の福祉事務所

福祉事務所は、各都道府県・市区町村に設置された地域住民の福祉を行う行政機関です。

主な仕事内容・役割

福祉事務所は、福祉六法(生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、老人福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法)に関係する業務の総合的窓口として、各市区町村に設置されています。

社会福祉士が相談員として、地域住民の福祉に関しての相談に対応しています。

社会福祉協議会

社会福祉協議会は、「社協」という略称で知られており、市町村社会福祉協議会、都道府県社会福祉協議会、全国社会福祉協議会があります。

それぞれの市町村や都道府県において、関係機関の参加・協力のもと、「福祉のまちづくり」の実現をめざした様々な活動を行っています。

主な仕事内容・役割

地域住民の生活に関する困りごとについて、生活福祉資金貸付事業、日常生活自立支援事業などの制度を活用して、その解決に向けた支援にあたります。

そのほか、災害時には、災害ボランティアセンターを運営するなど、地域住民の生活に寄り添った様々な活動を行います。

病院などの医療機関

病院をはじめとした医療機関で活躍する社会福祉士もいます。

主な仕事内容・役割

医療機関で活躍する社会福祉士は、医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼ばれています。

医療ソーシャルワーカーは、患者やその家族の相談に対応したり、彼らが抱えている精神的・社会的・経済的問題の解決のため、様々な支援をすることが仕事です。

社会福祉士のやりがいとは

社会福祉士のやりがいとして、以下のようなことが挙げられるでしょう。

  • 社会的貢献
  • 多様な分野での活躍
  • チームワークを活かした支援

それぞれ解説していきます。

社会的貢献

社会福祉士は、高齢者や障害者、児童などの支援を通じて、社会全体の福祉向上に貢献できる仕事です。

活動を通じて、困難な状況にあった人々の生活や社会全体が、良い方向に向かっていくことは大きな達成感につながるでしょう。

多様な分野での活躍

社会福祉士は、児童福祉施設・学校・高齢者福祉施設・障がい者施設・社会福祉協議会・病院など、多岐にわたる分野で活躍しています。

さまざまな福祉的分野で自身の知識とスキルを活かすことができるのも、やりがいのひとつといえるでしょう。

チームワークを活かした支援

社会福祉士は、他の専門職(医師、看護師、心理士など)との連携を通じ、包括的な支援を提供することが必要です。

チームとしての一体感を感じることができ、共同で問題解決に導く達成感は大きいのではないでしょうか。

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橋口 貴俊 講師

この記事の監修者 橋口 貴俊 講師

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地元の都道府県社会福祉協議会で働く。
地域福祉の推進のため、県域における福祉人材の確保・育成・定着に関する業務に携わっている。

社会福祉士としての専門性を高めるため、社労士と行政書士の試験に、働きながら独学で合格する。
社会人のための効率の良い学習方法を追究した結果、80日の短期間で、難関と言われる行政書士試験の一発合格に至る。

受験生がつまずきやすい社会保障制度や法律について、社労士試験などで培った専門性を発揮し、合格に必要な知識だけに絞った分かりやすい講義を得意としている。