社会福祉士国家試験を受けるには、受験資格が必要となります

その上、受験資格を得るためのルートは12通りもあり、一見よく分からないほど複雑です。

この記事では社会福祉士国家試験の受験資格を得るために必要な12のルートについて、詳しく解説しています

試験の概要や合格後の手続きにも触れていますので、社会福祉士を目指している方は参考にしてください。

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社会福祉士になるには受験資格・国家試験合格・登録証申請が必要

社会福祉士は、いわゆる「名称独占資格」の一つ。つまり、社会福祉士を名乗るには資格の保有が必須となっています。

そして資格の保有には、社会福祉士国家試験の合格に加えて、その後の登録証申請が必要です。

一般の資格試験の場合は、特段の受験資格が設けられていないことも珍しくありません。

しかし、社会福祉士国家資格の受験資格に関しては12通りものルートが存在し、一見かなり複雑な仕様になっています。

そこで、以下では始めに社会福祉士国家資格の「受験資格を得る」ためにある12のルートについて解説していきます。

そして次に、社会福祉士国家資格の概要についてもご説明します。

最後に、国家試験合格後に必要となる「登録証の申請」についても確認していきます。

社会福祉士国家資格の受験資格を得る12のルートについて

最も短いルートで受験資格を得られるのは、福祉系の4年制大学を卒業している方です。

在学中に「指定科目」と呼ばれる社会福祉士に関する科目を履修している方は、そのまま国家資格を受験することができます。

指定科目とは「社会福祉士に関する科目を定められた19科目(新カリキュラムでは23科目)」のことです。例えば「現代社会と福祉(新カリキュラムでは『社会福祉の原理と政策』)」「社会福祉調査の基礎」といった科目がこれに該当しています。

詳細については、社会福祉振興・試験センターのHPにてご確認ください。

そして4年制ではなく3年制・2年制の大学や短大を卒業し、指定科目を履修していた方は、相談援助の実務経験をそれぞれ1年ないしは2年積むことで受験資格が得られます。

相談援助実務とは「厚労省社会局長、厚労省児童家庭局長通知により定められた施設、事業、職種」が対象となっています。

一例を挙げると児童分野・高齢者分野・障害者分野・その他の分野の相談員などの職業がこれに当たります。

次に、2つ目の分類に当たる区分です。こちらは、短期の養成施設(6ヶ月以上)に行く必要があるルートとなります。

短期養成施設とは、主に通信で通う専門学校のことです。養成施設では毎月の課題や、スクーリングなども必要になります。

なお、このルートでも福祉系大学に通っており、福祉に関する「基礎科目」を履修している場合は、養成施設に通う期間も短くて済みます。

基礎科目は全部で12科目あります。先ほどご紹介した指定科目と重なっている部分もあるので、気になる方は確認してみてください。

例えば、精神保健福祉士の資格を既に取得している方などは同じ福祉分野に含まれるので「基礎科目」を既に履修していることになり、短期の養成施設ルートに該当します。

こちらのルートに該当する方は4月から養成施設に通うことができれば、最短で次の試験を受験することも可能です。

また、この区分でも福祉系短大などに通った場合は、相談援助業務を経験することで短期の養成施設で受験資格を得ることができます。

さらに社会福祉主事養成機関を履修した場合も、こちらの区分に入ることがあります。

社会福祉主事養成機関とは、社会福祉主事任用資格を取得するための養成施設のことです。

ただし、このルートでは社会福祉主事任用資格の資格だけでは不十分な可能性もあります。

受験資格を得るためには、指定されている社会福祉主事養成機関を修了しなくてはなりません。

社会福祉士を目指している場合は、受験資格が得られるのかどうか事前に確認しておきましょう。

他にも、特定の実務経験が4年以上あれば短期養成学校に通うことが可能です。

特定の実務経験とは児童福祉士司・身体障害者福祉司・審査指導員・知的障害者福祉司・老人福祉指導主事の5種です。

これらの職種の実務経験が4年以上あることを証明できれば、短期養成機関に通うことで受験資格を手に入れることができます。

最後は、一般の養成施設の卒業を目指すルートです。こちらは主に福祉系大学に通っていない方が対象となります。

あるいは大学や短大を卒業していないが相談援助の実務経験が4年以上ある方もこちらに該当します。

一般養成施設は短期養成施設に比べると長期間履修する必要がありますが、昼間・夜間・通信など様々な形態があります。

もし大学や短大を卒業しておらず、実務経験も有していない場合には、大学や短大に入学するところからスタートです。

その場合には一般大学ではなく、福祉に関わる4年制大学で指定科目を履修することが最も早いルートとなるでしょう。

以上12通りのルートをまとめてご説明しましたが、種類も多く分かりにくいと感じた方も多いのではないでしょうか。

以下のコラムでは様々なケースに応じた受験資格獲得のルートについて解説しているので、こちらも参考にしてください。

社会福祉士国家試験について

社会福祉士国家試験は23科目の範囲から出題されます。

2023年度(第36回)の試験までは19科目の範囲から全150題が出題されていましたが、2024年度(第37回)の試験からは、新カリキュラムの内容となります。

2023年度(第36回)の試験までは、基本的な出題形式は五肢択一でした。ただし近年では正解が1つではなく2つ選ぶ問題も多くなっているので、各設問をしっかりと確認することが重要となるでしょう

試験時間は午前の部(10:00~12:15)と午後の部(13:45~15:30)に分かれており、1日を通して実施されます。

1日通しての試験となるため、体力・集中力ともに必要となる試験です。

例年、社会福祉士国家試験は年1回。2月上旬の週末に実施されています。

申し込み受け付けは9月から約1ヶ月間で、申し込みを逃してしまうとその年の試験は受けられなくなってしまうので注意しましょう。

なお、最新年度の社会福祉士試験の日程や申し込み方法については社会福祉振興・試験センターのHP等をご確認ください。

また社会福祉士国家試験や新カリキュラムについては、こちらのコラムでも詳しく解説しています。

登録証の申請について

社会福祉士国家試験の合格発表は毎年3月中旬ごろに行われ、無事に合格した方には合格通知とともに申請書類が送られてきます

同封書類に不備がなければ、必要書類を揃えて簡易書留で郵送しましょう。

必要書類は、社会福祉士登録申請書・貼付用紙・自身の身元を証明する書類の3点です。

社会福祉士登録申請書には、国家試験受験時の氏名や住所などが既に印字されています。変更がない場合、日付と名前の署名を行えば完了です。

また社会福祉士登録申請書は収入印紙を貼る台紙にもなっており、本誌の左下に収入印紙の貼付が必要です。

郵便局等で1万5,000円分の収入印紙を購入し、貼り付けておきます。

貼付用紙は、振替払込受付証明書を貼るためのものです。同封されていた払込取扱票に必要事項を記入して、郵便局などで登録手数料を支払い「振替払込受付証明書」を貼付します。

自身の身元を証明する書類は、住民票・戸籍抄本・個人事項証明書のいずれか1通で構いません。

ただし、いずれも原本が必要になるので注意してください。必要書類が揃ったら、簡易書留で所定の住所に送付しましょう

問題がなければ試験センターで受理され、審査に入ります。目安期間は概ね1ヶ月です。

不備がなければ1ヶ月程度で登録証が発送され、晴れて社会福祉士の仲間入りとなります。

まとめ

社会福祉士国家試験は受験資格を得るためのルートが12通りもあり、一見自分がどこに該当しているのか分からないくらい複雑な区分になっています。

もし自分が当てはまる区分が分からなければ、社会福祉振興・試験センターのHPからも確認可能です。

また、試験合格後には登録証の申請を行う必要もあります

無事に試験に合格したとしても、登録証の交付を終えるまでは社会福祉士を名乗ることができません。合格後は忘れずにこちらも行っておきましょう。

社会福祉士国家試験は1日を通しての試験となるので、体力・集中力が必要です。

試験範囲も広く、介護福祉士の11科目や精神保健福祉士の16科目に対し、社会福祉士は23科目と出題科目が一番多くなっています。

そのため、国家資格の中でも社会福祉士の難易度は比較的高いといえるのではないでしょうか。

独学で試験勉強をしていると、心が折れてしまうこともあるかもしれません。

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