本記事では社会福祉士国家試験科目の1つである「社会学と社会システム」の概要や勉強法について紹介します。

本科目の出題範囲は、社会や生活、人と社会の関係性から時事的問題まで、非常に広範囲に及ぶため、全体を完璧に対策することが難しい科目となります。

そのため、重要な部分を確実に押さえるという方針で学習を進めていく必要があります。

試験対策の参考にしていただき、効率的に学習を進めていただければ幸いです。

関連コラム:社会福祉士試験の19の試験科目(共通科目・専門科目)について解説

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「社会学と社会システム」とは?

社会学と社会システムの概要

「社会学と社会システム」は、旧カリキュラムの「社会理論と社会システム」に相当する科目になります。

社会構造、社会課題、生活状況などについての知識や理解が問われます。

私たち社会福祉士には、個別援助だけでなく、社会変革・社会開発を実践していくことが求められています。

社会構造や社会課題、生活状況などを理解することは、これらの社会的な実践に当たる上で欠かせない基礎になるため、大事に学習を進めていきましょう。

社会学と社会システムの難易度

社会や生活、社会問題など大きいテーマが出題範囲となるため、求められる知識が多岐にわたり対策が難しいことから、難易度は高いといえます。

また、耳なじみのない用語や独特の言い回しが多く、問題文や参考書の文章を理解することが難しいため、苦手意識を持たれる受験生が多いのもこの科目の特徴になります。

社会学と社会システムの重要度

上記の通り、出題範囲の広さ、理解の難しさから難易度が高いため、得点源にできる科目とはいえず、学習の重要度はやや低いです。

また、文章を読み解くことが苦手な方は、試験本番においても、読解に時間を費やしてしまい、他の得点できるはずの科目を取り損なうおそれがあります。

本番では、問題文を読んで理解ができない問題はとりあえず後回しにする、という戦略をとってもよいでしょう。

「社会学と社会システム」の勉強法

まずは、3年分の過去問題を読んでみて、頻出のポイントを見つけることから始めるとよいでしょう。

また、過去問を読むことは、独特な言い回しが多い本科目の問題文読解の訓練にもなります。

以下は、本科目の学習を進めていく上でのポイントについて紹介します。

1. 日頃から問題に出そうな情報をキャッチする習慣を身につけておく

本科目は、難易度が高く得点源にしづらいことから、学習の範囲を絞り、基礎的な知識を問う問題だけは落とさないというスタンスでの学習がおすすめです。

ただし、ニュースなどで見た内容がたまたま出て答えることができたというようなラッキーもよくあります。

そのため、ニュースを見る時は「このニュースが問題で出るならどんな風に出るだろう?」という思考を習慣づけることが大切です。

また、ニュースの内容について家族や友人と話すことも記憶には有効なので、積極的に会話のネタにしていきましょう。

特に「人口」「少子高齢化」「家族」「移民」「環境」「雇用・労働」「福祉政策」「災害」「いじめ・ハラスメント」などに関連するニュースの内容には意識を向けるようにしましょう。

2. 重要用語の意味(基本的な知識)を押さえる

本科目は、参考書を熟読し全て暗記するという方法で覚えることも可能ですが、覚えるべき内容が多く、非常に時間がかかってしまいます。

そこで、試験に頻出の範囲から優先的に理解・暗記していくことをおすすめします。

ここでは、確実に押さえておきたい内容を紹介するので参考にしてください。

頻出の社会学者の理解

本科目では、多くの社会学者が登場しますが、その中でも特に頻出の社会学者がいます。

まずは、「デュルケム」「ヴェーバー」「マルクス」「ブルデュー」「マートン」など頻出の社会学者から理解を進めていきましょう。

また、社会学者を学習する際は、提唱した学説と特徴を整理しながら進めていきましょう。

学者名と学説が正しく結びついていないと、ひっかけ問題でつまずいてしまうことがあるので注意が必要です。

社会的役割の理解

具体例を交えた社会的役割の理解を問う問題は頻出です。

社会的役割の理解を進めるためには、役割の意味と具体例を合わせて整理していく必要があります。

代表的な社会的役割と具体例を表にまとめたので参考にしてください。

役割意味具体例
役割期待役割について、他者から寄せられる期待父親らしさ、上司らしさ、リーダーらしさ
役割取得役割期待や他者の視点を自己に取り入れて役割を形成すること父親らしさという期待を取り込むごっこ遊びで他者の視点を取り込む
役割葛藤与えられた2つの役割に矛盾や対立が生じ、どちらの期待に応えるべきかジレンマに陥る状態父から勉強を頑張るように言われ、母からスポーツを頑張るように言われ、板挟みになる
役割距離役割期待から少しずらした(距離をとった)行動をとること威厳のある上司が、会議中におやじギャグを言い、場を和ませる

このほかにも、役割形成、役割演技、役割分化、役割交換などが挙げられます。

一覧表などで整理をし、それぞれの社会的役割の違いが分かるようにしておきましょう

社会的ジレンマの理解

社会的ジレンマも具体例を踏まえて出題されます。

「囚人のジレンマ」「共有地(コモンズ)の悲劇」「フリーライダー」などの社会的ジレンマについて、これらの意味と社会的ジレンマが生じてしまった場合の帰結(どうなるか)を合わせて理解するようにしましょう。

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橋口 貴俊 講師

この記事の執筆者 橋口 貴俊 講師

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地元の都道府県社会福祉協議会で働く。
地域福祉の推進のため、県域における福祉人材の確保・育成・定着に関する業務に携わっている。

社会福祉士としての専門性を高めるため、社労士と行政書士の試験に、働きながら独学で合格する。
社会人のための効率の良い学習方法を追究した結果、80日の短期間で、難関と言われる行政書士試験の一発合格に至る。

受験生がつまずきやすい社会保障制度や法律について、社労士試験などで培った専門性を発揮し、合格に必要な知識だけに絞った分かりやすい講義を得意としている。