「最近AIが普及してきて、仕事が無くなると言われているけど、臨床工学技士は大丈夫だろうか?」

このような疑問を抱えている方に向けて、臨床工学技士の仕事が無くならない理由を説明していきます。

臨床工学技士は医療機器の管理を行う職種です。

そのため、AIのような最先端技術を搭載した医療機器も臨床工学技士が管理するので、仕事が取って代わられることはあるません。

この記事では臨床工学技士の仕事内容、将来性について具体例を挙げながら説明します。

最後まで読むことで、臨床工学技士の仕事が今後増えていく理由が理解できます。

ぜひ最後までご覧ください。

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臨床工学技士とはどのような職業?

臨床工学技士は、生命維持管理装置を使用し、医療機器を安定稼働させるために管理する職業です。

生命維持管理装置や医療機器がどの様なものか、一般的な急性期病院を例に説明していきます。

急性期病院で臨床工学技士が行っている業務はこちらです。

  • 透析業務
  • 内視鏡業務
  • 機器管理
  • カテーテル治療業務
  • 急性血液浄化業務
  • 手術室業務

順番に説明していきます。

透析業務

臨床工学技士として働く上で、透析は必須といえるスキルです。透析が出来ない臨床工学技士は、クリニックでも病院でも必要とされません。

ここまではっきり言い切れるほど、臨床工学技士は透析との関わりが深いです。

透析業務での仕事内容は以下の通りです。

  • 穿刺~透析開始作業
  • 透析中のアラーム対応
  • 透析終了後の回収・止血作業
  • コンソールの保守点検
  • 水処理装置の保守点検
  • 翌日の透析準備

病院によっては、透析室で働くスタッフの割合が看護師より臨床工学技士の方が多いです。

内視鏡業務

近年、内視鏡業務に臨床工学技士が従事している病院が増えてきています。

理由は検査や内視鏡機器のトラブル対応、安定稼働させるための保守管理を行うためです。

内視鏡業務での仕事内容は以下の通りです。

  • 内視鏡システムの始業点検
  • 処置具の在庫確認
  • 胃カメラ、大腸カメラの検査補助
  • 検査後のカメラ洗浄
  • 内視鏡故障時のメーカー対応
  • 内視鏡システムの保守点検
  • 洗浄機の始業点検
  • 洗浄機の保守点検
  • レンタル物品の手配
  • 緊急内視鏡での呼出し対応

内視鏡業務での仕事内容は、各病院により大きく違いがあります。

参考程度に見ていただければと思います。

機器管理業務

機器管理業務は、病棟で使用している医療機器の保守点検や修理対応です。

管理している医療機器を紹介します。

  • 輸液・シリンジポンプ
  • 人工呼吸器
  • 低圧持続吸引機
  • モニタ
  • 除細動器
  • 血圧計
  • 吸引器

上記に使用する消耗品の管理も行います。

カテーテル治療業務

カテーテル治療業務は心カテ、脳カテの2種類に分かれ、どちらか一方、もしくは両方の治療に参加することになります。

治療中の臨床工学技士の仕事は「ポリグラフの操作」と「医師のカテーテル操作の介助」です。

緊急での治療も多く、夜間での呼出し対応も行っており、ミスが許されない責任の重い仕事です。

急性血液浄化業務

急性血液浄化業務は医師からCHDFやPMXの依頼が入った際に対応します。

常時行う業務ではないため、依頼が入った際に透析・機器管理を担当している人が行うケースが多いです。

手術室業務

手術室は医療機器が最も多い部署です。

内視鏡と同じく、最近臨床工学技士が手術室で起用され始め、医療機器の点検や手術での直接介助を行っている病院が増えています。

臨床工学技士は将来性がないって本当?

結論から入ると臨床工学技士の将来性に不安を抱く必要は全くありません。

順番に説明していきます。

医療業界の機械化・デジタル化

医療業界は、常に新しい治療用・診断用機器が登場し続けていて、近年はAIによる診断補助機能を有したものまで販売されています。

複雑になり続ける医療機器がトラブルを起こしたとき、医師や看護師では対応できません。

医師や看護師は医療機器の仕組みに詳しくないため、なぜトラブルが起きたのかわからないからです。

そのため、医療の現場には必ず臨床工学技士が必要です。

透析人口の増加

透析治療が必要な患者の数は年々増え続けており、2020年12月時点で34万人以上います。

先に説明したように、臨床工学技士と透析治療は密接に関わっており、透析患者が0にならない限り、臨床工学技士の需要が減ることはありません。

病院内での仕事の増加

近年、医師・看護師業務の軽減を目的に医師・看護師が行っていた仕事を、臨床工学技士の資格の範囲内で代替可能な業務のみですが、代わりに行うようになってきました。

一部例を挙げます。

  • 手術室での直接介助
  • 内視鏡検査の補助
  • カテーテル治療での直接介助

これらの業務は無資格で行えるので、臨床工学技士が医師や看護師の代わりに勤めても問題ありません。

また、令和3年に行われた臨床工学技士法改正に伴い臨床工学技士が行える業務が拡大しました。

以上の理由から、今後臨床工学技士の仕事が増えていくことが予想されます。

臨床工学技士の将来性に不安を抱く必要は一切ありません。

臨床工学技士の需要を求人数から調査

ハローワークで臨床工学技士と、その他医療従事者の募集件数を比較したものがこちらです。

看護師75,766件
臨床検査技師2,474件
放射線技師948件
臨床工学技士643件
参照:ハローワークインターネット

見ていただくとわかる通り、臨床工学技士の求人件数は最も少ないです。

看護師、臨床検査技師の男女比は女性が多いです。

女性は結婚・出産・育児をきっかけに休職や退職が多く、求人件数も増えます。

一方、男性の多い放射線技師と臨床工学技士は、女性に比べライフイベントでの転退職が少ないため求人件数も増えません。

男女比が似通っている放射線技師と臨床工学技士の求人件数には300件も差があります。

しかし、差が開いているからと言って悲観することはありません。

臨床工学技士は、医療系国家資格の中で新しい資格なので、徐々に病院内での立場が確立され求人件数が増えてくると予想されます。

根拠は先に述べた通り、

  1. 医療業界の機械化・デジタル化
  2. 透析人口の増加
  3. 病院内での仕事の増加

上記の3つが背景として存在しているからです。

まとめ

今回は臨床工学技士の将来性について解説してきました。

要点を以下にまとめます。

  • 医療業界の機械化・デジタル化で医療機器を管理する臨床工学技士の需要は今後高まっていく
  • 病院内での仕事の増加により臨床工学技士が起用されている現場は増えている
  • 透析人口の増加、臨床工学技士法改正に伴った業務拡大で臨床工学技士の求人も今後は増えていく

以上のことから臨床工学技士の需要がなくなることはありません。

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