一陸特(第一級陸上無線技術士)の養成課程を受講しようとすると、一番最初に立ちはだかる壁が受講要件です。

このコラムでは、受講要件や難易度、試験内容について説明します。

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一陸特の養成課程の受講要

陸上特殊無線技士を取得する方法として養成課程を受講するという方法があります。

二陸特や三陸特は受講要件がないですが、一陸特には受講要件があります。

具体的には次のような受講要件があります。

  1. 学校教育法第1条の規定する高等学校又は中等教育学校の電気科又は電気通信科を卒業者した者
     
  2. 学校教育法による大学、短期大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校(高等学校又は中等教育学校の電気科又は電気通信科を除く。)の電気通信に関する課程を有する学科を卒業した者
     
  3. 学校教育法による大学の電気通信に関する課程を有する学科を1年次以上修了した者又は高等専門学校の電気通信に関する課程を有する学科を3年次以上修了した者
     
  4. 入学資格を学校教育法第57条に規定する者とする修業年限が3年以上の学校等の電気通信に関する課程を有する学科を卒業した者
     
  5. 入学資格を学校教育法第90条に規定する者とする修業年限が1年以上の学校等の電気通信に関する課程を有する学科等を卒業し又は修了した者(「修了した者」については、1年次以上を修了した者に限る。)
     
  6. 2総通、3総通、1海通、2海通、4海通又は航空通の資格を有する者
     
  7. 当該認定の申請前5年以内に通算して3年以上(学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者及びこれに準ずる者の場合は、1年以上)多重無線設備の保守の補助又は搬送端局設備若しくは電力線搬送端局設備の保守に従事した経歴を有する者。この場合において、高等学校を卒業した者に準ずる者は、学校教育法第90条第1項に規定する大学に入学することのできる者とする。
     
  8. 1陸特の資格に係る選抜試験に合格した者。

一陸特の養成課程を受講するためには、電気科又は電気通信科の卒業若しくは実務経験が必要となります。

この実務経験も、常時これらの業務に従事している必要があり、かつ、事業主の証明も必要となります。

通常であれば、これらを満たすことは非常に難しく、選抜試験を受けることになります。

選抜試験の内容

選抜試験の内容は次のようになります。

試験項目 試験内容 試験
問題
試験
時間
合格点 レベル
数学 ①代数
(二次方程式、複素数、不等式及び対数)
②三角関数
(加法定理、二角の和及び差の正弦余弦の積、二倍角及び半角の公式並びに正弦余弦の乗積公式)
③微分、積分の初歩
(関数の極限、微分法、極大極小及び積分の基礎公式)
6問
各5点
2時間 60点 高等学校又は中等教育学校の電気科又は電気通信科卒業程度
電気物理 ①静電気
(電界、クーロンの法則、静電誘導、コンデンサ及び静電容量)
②電流
(オームの法則、ジュールの法則及び抵抗率)
③電流の磁気作用
(右ねじの法則、ビオ・サバールの法則、電磁誘導、フレミングの右手の法則及びインダクタンスの計算)
4問
各5点
電気回路の基礎 ①直流回路
(電流の接続、抵抗の接続及びキルヒホッフの法則)
②交流回路
(基本交流回路、直並列回路、共振及び相互インダクタンス)
6問
各5点
電子回路 ①増幅作用
(原理、回路動作、等価回路並びに電圧及び電力増幅)
②発振作用
(原理及び発振器)
③変調作用
(変調波の種類、振幅変調の原理及び周波数変調の原理)
④復調作用
(原理(振幅変調波の復調及び周波数変調波の復調))
⑤整流作用
(原理、種類及び平滑回路)
4問
各5点

選抜試験のレベルは、どこの会社も難易度は同じですが、会社によっては、直前などに対策講座を開設している所もあります。

なお、選抜試験を受験する会社は、受講しようとする養成課程の実施会社のものでなければなりませんので、ご注意ください。

選抜試験の難易度

難易度としては高等学校又は中等教育学校の電気科又は電気通信科卒業程度となっています。

内容から考えると、普通科高校の理系で物理選択者は、試験範囲のうち、数学、電気物理、電気回路の基礎の一部は勉強しており、新たに勉強しなくても合格することが可能です。

一方で、高校で物理を選択していなかったり文系だった人は、一から勉強しなければならず、難しいと思います。

非常に難しそうに見えますが、多くの場合は、選抜試験を実施している会社が事前に対策講座を実施していたりしますので、それを受講することにより、十分対策が実施可能です。

国家試験を受験すべきケース

さて、一陸特を取得するケースとしては、いろいろとあると思いますが、その一例について、国家試験を受験すべきか養成課程を受講すべきか説明します。

出世のために取得する必要がある場合

この場合も一陸特の国家試験を受験することをお勧めします。

基本的に出世等の目標があれば、勉強にも身が入ります。

2~3日の養成課程で取得できるのであれば別ですが、一陸特のように長期間にわたるので、本末転倒となってしまいます。

個人的な趣味のために取得する場合

この場合は、基本的に国家試験を受験してください。

一陸特を趣味で取得するのであれば、時間をかけてゆっくりと勉強することができます。

一陸特は時間をかければ確実に合格できる資格ですので、国家試験を頑張りましょう。

このように、基本的に養成課程を受講するとなると、長期間会社を休む必要がある等、社命以外で養成課程を受講する事は非常に難しいです。

したがって、国家試験を受験する事をお勧めします。

国家試験を独学でとなると、難しいと思いますので、一陸特の対策講座を実施している所が多数ありますので、受講してみることをお勧めします。

養成課程を受講すべきケース

社命で取得する必要がある場合

社命で取得する場合は、殆どの場合は、養成課程の費用を出してくれると思います。

その場合は、選抜試験を受講して養成課程を受講する事をお勧めします。

なお、養成課程の費用が出ない又は休めない等場合は、一陸特の国家試験を受験することをお勧めします。

理由としては、養成課程では約2週間会社を休む必要があります。

通常の会社でそこまで長期間休むのは非常に難しいと思います。

選抜試験に合格できるなら国家試験を受けて合格するほうが早い

選抜試験を独学で対策できる人は、一陸特に合格できる可能性は高いです。

理由としては、次の物があげられます。

選抜試験に無線の基礎部分が出題される

難易度としては高くないですが、無線機器についての出題があります。

この分野は基本的に高校などで習うことは少ないため、独学となります。

即ち、独学で勉強ができないと選抜試験に合格することができません。

それなら、最初から国家試験に向けた勉強をしたほうがスムーズです。

選抜試験は過去問がない

対策講座等を受講した場合などは別として、選抜試験は公開されていません。

そのため、一陸特のように過去問題が公開されている試験に比べて対策が非常に難しい問題です。

従って、選抜試験を独学で合格できる人は、一陸特の国家試験に合格する素質を秘めています。

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この記事の著者  橋爪 兼続 講師

橋爪 兼続 講師 講師紹介はこちら


【保有資格】
・第一級陸上無線技術士
・第一級海上無線通信士
・航空無線通信士
・第二級アマチュア無線技士

海上保安大学校卒業後、大型巡視船の主任通信士として通信業務に携わりました。
退職後、地場鉄道会社の子会社において、鉄道関連の無線設備の保守等に従事し、社内向けに第一級陸上特殊無線技士の取得講座を行っています。

その一方で、他社からの依頼により、第二級及び第三級陸上特殊無線技士並びに第三級及び第四級アマチュア無線技士の養成課程講師としても活動しています。

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