第一級陸上特殊無線技士(一陸特)と聞くと、難しいと思われる方が多いかもしれません。

本コラムでは、一陸特の難易度について解説します。

取得を考えている者に取って、受験する一助となればと思います。

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第一級陸上特殊無線技士の難易度は高め

一陸特は、合格率が30%前後そこそこの難易度となっています。

その理由としては、以下の通りです。

1 指数関数や対数関数の計算が必須

一陸特ではログの計算が必須となっています。

これには指数関数や対数関数が理解できていないと計算できません。

これらは高校で習う内容ではありますが、社会人になって、使用していないと思い出すのに時間がかかると思います。

2 内容が抽象的で理解しにくい

電波は目に見えません。ですので、何が起こっているのかなかなか理解しにくい所があります。

3 科目合格がない

無線工学と法規という2科目から成り立っていますが、科目合格制度がありません。

両方の科目に1回で合格する必要があります。

4 過去問が流用されるので傾向を掴みやすい

一陸特では、過去問がそのまま、または焼き直しで出題されることが多くあります。

過去問を行えば点数は確実に上がります。

このように、問題を理解するのであれば非常に難易度が高いですが、過去問から傾向をしっかりつかむことができれば簡単に合格することができます。

無線資格との難易度比較

一陸特の隣接科目としては、

  • 第一級陸上無線技術士(一陸技)
  • 第二級陸上無線技術士(二陸技)
  • 第二級陸上特殊無線技士(二陸特)
  • 第三級陸上特殊無線技士(三陸特)

があります。

これらと比較すると以下のようになります。

  一陸技 二陸技 一陸特 二陸特 三陸特
科目 法規
無線工学の基礎
無線工学A
無線工学B
法規
無線工学の基礎
無線工学A
無線工学B
法規
無線工学
法規
工学
法規
工学
科目合格 あり あり なし なし なし
受験資格 なし なし なし なし なし
合格率
(R2年度)
26.8% 32.8% 42.6% 84.5% 85.3%
養成課程 なし なし あり あり あり
累計取得者数 49,770人 34,739人 230,986人 1,275,090人 607,015人
ジュニアマイスターランク S A C D F

※令和3年度以降に関して電話で問い合わせたところ「公表していない」との返答がありました。

一陸技と二陸技については、合格率が高くなっていますが、他の資格と受験者層が異なることに注意してください。

参考までにジュニアマイスターのランクも記載していますが、実際の試験の難易度としては、

一陸技>>二陸技>>>>>一陸特>>>>二陸特>三陸特

という感じになっています。

このことは、三陸特、二陸特の養成課程を比較すると時間数から見て非常によく解ります。

  一陸特 二陸特 三陸特
受験資格 あり なし なし
受講時間 無線工学 48時間以上 4時間以上 2時間以上
法規 6時間以上 5時間以上 4時間以上
修了率 99% 99% 99%

なお、参考ですが、これらの資格の主な活躍の場は次の通りです。

資格 操作範囲
一陸技 放送局(NHK、民放)、官公庁、電気通信事業関係、無線機器メーカー、高専、高校、中学の教員等
二陸技 放送局( NHK 、民放)、官公庁、電気通信事業関係、無線機器メーカー等
一陸特 防災行政無線、無線中継所、放送局(テレビ中継)、電気通信事業関係等
二陸特 警察、消防、防災行政無線、MCA無線、タクシー無線等
三陸特 警察、消防、防災行政無線、MCA無線、タクシー無線等

このように操作範囲が増えるほど難易度が上がります。

また、一陸特以上の資格では、登録点検事業者の点検員・判定員、技術適合証明機関の証明員になることが可能です。

他にも一陸特があれば、技適未取得機器による実験等の特例における届出に際し、機器が電波法の技術基準に適合することの確認ができたりと幅が広がります。

一陸特の勉強を比較的簡単に進められる人は?

以下の資格を持っている人は難易度が低くなります。

  • 工事担任者
    (1級アナログ通信、1級デジタル通信、総合通信)
  • 伝送交換主任技術者
  • 線路主任技術者

これらの資格を有している者は、無線工学の基礎や法規については重複している所が多数あるので非常に難易度が低くなります。

また、実務で無線設備の点検や検査等を行っていると実務から得られる知識がありますので、比較的理解しやすくなります。

また、工学分野ですので、大学で工学系の人は当然難易度は低くなります。

理系科目に苦手意識がある人は講座の利用がおすすめ

無線従事者は工学系の資格になります。

従って、理系科目に苦手意識がある者にとっては、非常に難易度が高く感じると思います。

このような者は、独学で勉強すると挫折する可能性が高いです。

途中で挫折してしまいそうであれば、eラーニング(WEB講座)等を利用するのも一種の方法だと思います。

一見難しそうな資格ではありますが、対策さえすれば合格できる資格です。

ぜひ受験してみてはいかがでしょうか?

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この記事の著者  橋爪 兼続 講師

橋爪 兼続 講師 講師紹介はこちら


【保有資格】
・第一級陸上無線技術士
・第一級海上無線通信士
・航空無線通信士
・第二級アマチュア無線技士

海上保安大学校卒業後、大型巡視船の主任通信士として通信業務に携わりました。
退職後、地場鉄道会社の子会社において、鉄道関連の無線設備の保守等に従事し、社内向けに第一級陸上特殊無線技士の取得講座を行っています。

その一方で、他社からの依頼により、第二級及び第三級陸上特殊無線技士並びに第三級及び第四級アマチュア無線技士の養成課程講師としても活動しています。

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