陸上特殊無線技士の級の違いは?1級・2級・3級・すべて解説
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陸上特殊無線技士には3種類資格が存在します。
このコラムでは、1級・2級・3級で何が異なるのか、操作範囲、仕事・働き方、試験内容、難易度の違いについて説明します。
どれを取得されるか迷われている人にとって参考になればと思います。
陸上特殊無線技士の1級・2級・3級資格の違い
陸上特殊無線技士には一級~三級、国内電信級までの4種類あります。その上に陸上無線技術士があります。
ここでは、それぞれ、どのような操作範囲かを説明します。
法令において、それぞれ次のように規定されています。
資格名 | 操作範囲 |
一陸技 | 無線設備の技術操作 |
二陸技 | 次に掲げる無線設備の技術操作 一 空中線電力2kW以下の無線設備(テレビジョン基幹放送局の無線設備を除く。) 二 テレビジョン基幹放送局の空中線電力500W以下の無線設備 三 レーダーで第一号に掲げるもの以外のもの 四 第一号及び前号に掲げる無線設備以外の無線航行局の無線設備で960MHz以上の周波数の電波を使用するもの |
一陸特 | 一 陸上の無線局の空中線電力500W以下の多重無線設備(多重通信を行うことができる無線設備でテレビジョンとして使用するものを含む。)で30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作 二 前号に掲げる操作以外の操作で第二級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属するもの |
二陸特 | 一 次に掲げる無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 イ 受信障害対策中継放送局及び特定市区町村放送局の無線設備 ロ 陸上の無線局の空中線電力10W以下の無線設備(多重無線設備を除く。)で1,606.5kHzから4,000kHzまでの周波数の電波を使用するもの ハ 陸上の無線局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの ニ 陸上の無線局で人工衛星局の中継により無線通信を行うものの空中線電力50W以下の多重無線設備二 第三級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属する操作 |
三陸特 | 陸上の無線局の無線設備(レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除く。)で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 一 空中線電力50W以下の無線設備で25,010kHzから960MHzまでの周波数の電波を使用するもの 二 空中線電力100W以下の無線設備で1,215MHz以上の周波数の電波を使用するもの |
国内電信 | 陸上に開設する無線局(海岸局、海岸地球局、航空局及び航空地球局を除く。)の無線電信の国内通信のための通信操作 |
このように操作できる範囲は一陸技>二陸技>一陸特>二陸特>三陸特と順番に限定されていきます。
なお、国内電信級については、和文モールスを使用するための資格なので、ここでは省略します。
これらの資格により、以下のような無線局の技術操作ができるようになります。
資格名 | 操作範囲 |
一陸技 | 全ての無線局 |
二陸技 | 小規模のテレビ放送局テレビ以外の大規模無線局 |
一陸特 | 多重無線設備 |
二陸特 | 受信障害対策中継放送局特定市区町村放送局レーダーVSAT地球局 |
三陸特 | 陸上移動局携帯局基地局 |
なお、これらに該当しても操作に一部制限がかかっている場合もあるので注意してください。
仕事・働き方の違い
無線従事者資格をとると、以下のような仕事をすることができます。
資格名 | 操作範囲 |
一陸技 | テレビ局やラジオ局の技術部門 警察庁の技官採用 無線従事者養成課程の講師 測定器の較正員 |
二陸技 | 小規模テレビ局やラジオ局の技術部門 |
一陸特 | 多重無線設備の無線従事者 登録検査等事業者の点検員・判定員 携帯基地局等の建設 |
二陸特 | レーダーを使用する団体の無線従事者 VSAT地球局を有する団体の無線従事者 |
三陸特 | 免許が必要となる無線局を有している団体の無線従事者 |
なお、二陸特と三陸特のみでは、それをもって仕事があるということではなく、他の仕事に付随して資格を持っていないといけない、ということになります。
試験内容の違い
試験内容は次の通りとなっています。なお、今回は、陸特についてのみ説明します。
一陸特 |
二陸特 |
三陸特 |
||
科目の種類 |
法規 |
法規 |
法規 |
|
科目合格制度 |
なし |
なし |
なし |
|
科目免除制度 |
あり |
なし |
なし |
|
問題数 | 法規 |
12問 |
12問 |
12問 |
無線工学 |
24問 |
12問 |
12問 |
|
試験時間 |
3時間 |
1時間 |
1時間 |
|
試験頻度 |
年3回 |
常時(CBT) |
常時(CBT) |
|
受験資格 |
なし |
なし |
なし |
また、試験範囲は次の通りとなっています。
資格 | 法規 | 無線工学 |
一陸特 | 電波法及びこれに基づく 命令の概要 |
(1)多重無線設備(空中線系を除く。)の理論、構造及び機能の概要 (2)空中線系等の理論、構造及び機能の概要 (3)多重無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の概要 (4)多重無線設備及び空中線系並びに多重無線設備及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の概要 |
二陸特 | 電波法及びこれに基づく 命令の簡略な概要 |
無線設備の取扱方法 (空中線系及び無線機器の機能の概念を含む。) |
三陸特 | 電波法及びこれに基づく 命令の簡略な概要 |
無線設備の取扱方法 (空中線系及び無線機器の機能の概念を含む。) |
なお、陸上特殊無線技士の試験は全てマークシート方式の多肢選択問題で、合格点は各科目で6割以上となっています。
試験難易度の違い
一陸特 | 二陸特 | 三陸特 | |
2020年度 | 42.6% | 84.5% | 85.9% |
2019年度 | 34.6% | 73.9% | 89.0% |
2018年度 | 37.3% | 73.1% | 89.7% |
2017年度 | 31.6% | 74.2% | 89.4% |
2016年度 | 29.5% | 74.0% | 89.4% |
このように二陸特と三陸特については、若干二陸特の難易度が高くなりますが、7割以上が合格する難易度がそこまで高くない試験となります。
一陸特は、受験資格こそありませんが、受験者層として、社命等によりしっかり対策を行った人が多くなりますので、合格率に比べて難易度が高くなります。
なお、一陸特は二陸特から難易度が格段と高くなります。
どの級から取得すればよい?
無線従事者試験はどこからでも取得可能です。
いきなり一級から取得することも可能です。
従って、自分に必要な所からスタートしてみてください。
具体的な例としては、ドローンやその他の一般的な無線局に従事するのみであれば、三陸特で十分です。
また、携帯基地局建設や登録点検事業者等であれば、一陸特を必要とします。
なお、無線を本業としようとする人は、まずは一陸特を受験し、その後二陸技、一陸技とキャリアアップしてみるのもいいかもしれません。