本記事では、陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士の違いについてご紹介します。

転職を考えている方や、無線に興味があって資格を取りたいけれど対象となる資格がわからないといった方に向けた記事となっていますので、参考にしてもらえると嬉しいです。

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陸上特殊無線技士とは?

陸上特殊無線技士とは、無線設備の操作やその監督をおこなう業務用無線の無線従事者となるために必要な資格のことであり以下のように区分されています。

  • 第1級陸上特殊無線技士
  • 第2級陸上特殊無線技士
  • 第3級陸上特殊無線技士
  • 国内電信級

また、資格の種類に応じて扱える電波の種類は異なっており、これらは全て法律で定められています。

上から3つの陸上特殊無線技士はテレビを含む無線設備を操作でき、音声通信だけでなく、文字や画像、動画、などの伝送に携わる職種に就くことができます。

以下にその例を記述します。

第1級陸上特殊無線技士

放送事業用(テレビ)や電気通信事業用(携帯電話)の固定局などの技術操作を行うことができ、地上波をはじめ衛星波による通信の操作、監督ができます。

第2級陸上特殊無線技士

衛星波によるVSAT制御地球局や警察等が使用する速度取り締まり用レーダーなどの技術操作の一部をおこなうことができます。

第3級陸上特殊特殊無線技士

第3級陸上特殊無線技士は地上波による通信に限定されています。

防災行政無線の固定局、消防無線、鉄道無線、タクシー無線などの陸上移動局や基地局などの技術操作の一部に携わることができます。

国内電信級陸上特殊無線技士

陸上にある無線局で国内でのモールス符号で国内での通信を行う資格です。業務上必要な人は皆無です。(自衛隊では使用しますが、電波法適用外です。)

アマチュア無線技士とは?

前項では陸上特殊無線技士についての説明をしましたが、アマチュア無線技士も操作できる電波に応じて4つの資格に分類されます。

  • 第1級アマチュア無線技士
  • 第2級アマチュア無線技士
  • 第3級アマチュア無線技士
  • 第4級アマチュア無線技士

また、アマチュア無線の特徴は個人の趣味による無線であり、業務用無線の運用はできないといった点にあります。

しかし、アマチュア無線では幅広い周波数帯域の電波を使用することができるため、上述した業務用無線の無線従事者よりも自由度が高い無線資格です。

以下に各資格で操作できる電波の範囲について記述します。

第1級アマチュア無線技士

アマチュア無線局の無線設備の操作

第2級アマチュア無線技士

アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備の操作

第3級アマチュア無線技士

アマチュア無線局の空中線電力50W以下の無線設備で18MHz以上または8MHz以下の周波数の電波を使用するものの操作

第4級アマチュア無線技士

空中線電力10W以下の無線設備で21MHzから30MHzまでまたは8MHz以下の周波数の電波を使用するものの操作

空中線電力20W以下の無線設備で30MHzを超える周波数を使用するもの

陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士の違い

これまで陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士についての説明をしましたが、両者の特筆すべき違いはアマチュア無線技士が商業用の利用もしくは営利目的としないという点にあります。

前陸上特殊無線技士は業務用無線従事者と言われますが、アマチュア無線はあくまでも個人の趣味や学究無線であるため、アマチュア無線の資格の有資格者であったとしても陸上特殊無線技士の有資格者と比較して就職等において優遇されるということはありません。

電波法上の違い

前述したものの違いの他にも、陸上特殊無線技士はアマチュア無線技士の操作範囲の操作は行えないことが法律上明記されており、陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士ではお互いに使用できる範囲の電波の棲み分けが整備されています。

試験内容の違い

アマチュア無線技士及び陸上特殊無線技士の試験内容には若干の違いはあるものの電気・電子回路などの基礎理論をはじめとした空中線系等の理論などはほぼ同様の試験科目として課されています。

特筆すべき違いとしては、一陸特は多重無線設備の理論が、二陸特・三陸特は取り扱い方法が主に出題されるのに対してアマチュア無線技士では単に無線設備の理論を問われるといった点です。

合格率の違い

以下で示した表の通り、アマチュア無線技士も陸上特殊無線技士も第一級は合格率は他の級に比べて格段と下がりますが合格率は概ね同等の水準であると言えます。

2020年2019年2018年
第一級アマチュア無線技士28%35%42%
第二級アマチュア無線技士53%47%47%
第三級アマチュア無線技士81%80%78%
第四級アマチュア無線技士82%78%78%
第一級陸上特殊無線技士42%34%37%
第二級陸上特殊無線技士84%73%73%
第三級陸上特殊無線技士85%89%89%
国内電信級18%17%19%
※令和3年度以降に関して電話で問い合わせたところ「公表していない」との返答がありました。

陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士、両方取るべき?

前述しているように陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士では、取り扱える電波が重複しないように制度化されています。

以下に記載されている内容に該当する方は陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士、両資格の取得を視野に入れるのも一つの手段です。

将来的には無線従事者として働きたい方ならアマチュア無線技士

今現段階では決めてはいないけれど、将来的に無線従事者として仕事に従事したいという方は、アマチュア無線技士をはじめのうちにとっておくのもおすすめです。

いきなり陸上特殊無線技士の資格をとったとしてもすぐに資格を活かせる職場が見つかるとは限りませんし、取得してから間が開くと陸上特殊無線技士の知識も忘れてしまいます。

アマチュア無線技士の資格を取り、自分の訓練として無線の取り扱いに慣れ親しんでおくことで陸上特殊無線技士の資格取得もスムーズになると思います。

すぐに無線従事者になりたいなら陸上特殊無線技士

また、今現段階で通信系インフラをはじめとした無線設備の操作に携わる仕事をしたいという方は、陸上特殊無線技士の資格を先に取得してしまうのが良いです。

理由は、無線従事者として働く上で、アマチュア無線技士の資格を持っていても求人募集の条件に合致しないことやそもそも陸上特殊無線技士でなければ無線に携わる仕事に従事できないからです。

いち早く無線従事者として働きたいのであれば陸上特殊無線技士の資格取得をおすすめします。

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この記事の監修者  橋爪 兼続 講師

橋爪 兼続 講師 講師紹介はこちら

【保有資格】
・第一級陸上無線技術士
・第一級海上無線通信士
・航空無線通信士
・第二級アマチュア無線技士

海上保安大学校卒業後、大型巡視船の主任通信士として通信業務に携わりました。
退職後、地場鉄道会社の子会社において、鉄道関連の無線設備の保守等に従事し、社内向けに第一級陸上特殊無線技士の取得講座を行っています。

その一方で、他社からの依頼により、第二級及び第三級陸上特殊無線技士並びに第三級及び第四級アマチュア無線技士の養成課程講師としても活動しています。

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