「登録日本語教員ってどんな資格?」
「登録日本語教員資格を取得するにはどうすれば良い?」
「現職の日本語教員も登録日本語教員の資格を取得した方がいいの?」

外国人に日本語を教えている教員の方やこれから外国人に日本語を教える教員を目指している方は、上記のような疑問を持っている方が多いのではないでしょうか。

今後は、登録日本語教員資格をもっていないと、認定日本語教育機関において日本語を教えることができなくなります。

したがって、今から正しく登録日本語教員制度や資格取得までのプロセスを理解しておくことが重要です。

そこで本コラムでは、登録日本語教員とはどのような資格かを解説します。

現職の日本語教員の方にも参考になるように、資格取得までの原則的なルートと一定期間のみ利用できる経過措置ルートも説明するので、ぜひ参考にしてください。

新試験・新制度に対応!

資料請求で無料プレゼント!
・サンプル(お試し版)テキスト
・サンプル講義動画 約4.5時間分

1分で簡単無料体験(会員登録→お申込み→視聴)!

合格までの最短ルート!

登録日本語教員とは

登録日本語教員とは、日本語教育の質の向上と教師の専門性を担保する目的で創設された新しい国家資格です。

登録日本語教員の制度は、外国人に日本語を教える日本語教師の専門性を確立し、教育の質を保証するために導入されました。

制度の導入は「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」に基づき、2023年5月26日に制定され2024年4月1日から実施されています。

登録日本語教員になるためには、原則として、基礎試験(日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能について判定する試験)と応用試験(応用に関する知識及び技能について判定する試験)を含む日本語教員試験に合格し、認定日本語教育機関において日本語教育を行うために必要な実践的な技術を習得するための研修である実践研修を修了しなければなりません。

実践研修は、文部科学大臣の登録を受けた登録実践研修機関で行われます。

令和6年度以降に実施される日本語教員試験の実施に向けて、試験の運営・実施を通して明らかになる課題の改善、試験問題の開発・分析・改善等を目的に、すでに試行試験が令和5年12月10日(日) 実施されました。

試行試験には、現職日本語教師や大学や大学院において日本語教員養成課程にある1,242名の協力者が参加しています。

試行試験を受けて、第1回目の登録日本語教員試験は、令和6年11月17日に文部科学省が実施することが決まっており、出願の受付は令和6年の夏頃に開始する予定です。

登録日本語教員は国家資格であるため、当然、資格取得のためには一定の努力が必要となりますが、制度導入により日本語教師としての資質が公的に認められ、教育機関や学習者からの信頼が得られやすくなります。

登録日本語教員の資格取得のメリットとしては、認定日本語教育機関での就労機会が増えることが挙げられます。

認定日本語教育機関とは、日本語教育課程を適正かつ確実に実施できる機関として、文部科学大臣から認定を受けた日本語教育機関のことを言います。

認定日本語教育機関は、日本語教育を適正かつ確実に実施することが求められるため、認定日本語教育機関で日本語教師として働くうえで、日本語教員は、登録日本語教員の資格を必ず取得していなければなりません。

登録日本語教員になるには?資格取得ルート

https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93982901_17.pdf

登録日本語教員になるには大きく2つのルートが用意されています。

一つは「養成機関ルート」、もう一つは「試験ルート」と呼ばれるルートです。

2つのルートは、登録日本語教員になりたい方の個々の経験や状況に応じて選択できるように設計されています。

養成機関ルートは、特定の養成機関で教育を受けることで、基礎試験が免除され、応用試験を受け、実践研修を受けることで登録日本語教員になれるルートです。

一方、試験ルートでは、基礎試験・応用試験を突破し、実践研修を受けることで登録日本語教員になれるルートとなります。

養成機関ルートの対象者と資格取得の流れ

養成機関ルートは、特に日本語教育の専門知識と技術を系統的に学びたいと考えている方に適したルートです。

養成機関ルートを選択する候補者は、文部科学省に認定された「登録日本語教員養成機関において座学プログラムを受講します。

養成機関における課程を修了した方については、基礎試験が免除され、応用試験を受けることになります。

その後、養育機関における課程で登録実践研修機関で行われる実践研修を受けていない場合は、実践研修を受けなければなりません。

試験ルートの対象者と資格取得の流れ

一方、試験ルートは、特定の養成機関を経ずに直接試験に挑戦したいと考えている方のために用意されているルートです。

試験ルートを選んだ場合、基礎試験と応用試験の両方に合格しなければなりません。

その後、文部科学省に登録された実践研修機関での実習も修了する必要があります。

登録日本語教員試験の概要

登録日本語教員試験の概要は以下のとおりです。

  基礎試験 応用試験
聴解 読解
試験時間 120分 50分 100分
出題数 100問 50問 60問
出題形式 選択式
配点 1問1点(計100点) 1問1点(計110点)
合格基準
(参考基準)
必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割の得点があり、かつ総合得点で8割の得点があること 総合得点で6割の得点があること
受験料 通常:18,900円
基礎試験免除:17,300円
基礎試験・応用試験免除:5,900円

なお、以下で説明する試験日以外の情報は確定したものではありません。

令和6年度 第1回登録日本語教員試験の試験日

第1回目の登録日本語教員試験は、令和6年11月17日に実施されます。

なお、出願期間は令和6年8月1日(木)~9月6日(金)となっています。

登録日本語教員試験の開催地

登録日本語教員試験の開催地は、以下となります。

エリア会場住所
北海道TKP 札幌カンファレンスセンター北海道札幌市北区7条西2-9
東北TKP ガーデンシティ PREMIUM 仙台西口宮城県仙台市青葉区花京院 1-2-15
関東駒澤大学(駒沢キャンパス)東京都世田谷区駒沢 1-23-1
TOC 五反田東京都品川区西五反田 7-22-17
TKP ガーデンシティ PREMIUM 品川高輪口東京都港区高輪 4-10-18
TKP 新橋カンファレンスセンター東京都千代田区内幸町 1-3-1
中部名城大学(天白キャンパス)愛知県名古屋市天白区塩釜口一丁目 501 番地
近畿大阪公立大学(中百舌鳥キャンパス)大阪府堺市中区学園町 1 番 1 号
中四国TKP ガーデンシティ PREMIUM 広島駅前広島県広島市南区大須賀町 13-9
九州九州大学(伊都キャンパス)福岡県福岡市西区元岡 744
沖縄沖縄コンベンションセンター沖縄県宜野湾市真志喜 4-3-1

令和6年度の第1回日本語教員試験については、紙ベースの試験として実施する方針が決定されています。

ただし、今後、受験機会の拡大等を目的として、日本語教員試験のCBT(Computer Based Test)化も検討されています。

登録日本語教員試験の受験料

登録日本語教員試験の受験料は通常18,900円です。

基礎試験免除の場合は17,300円となり、基礎試験及び応用試験も免除の場合は5,900円となります。

登録日本語教員試験の科目・出題内容

登録日本語教員試験のうち、基礎試験では日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能を区分ごとに出題することになっています。

登録日本語教員試験のうち、基礎試験における5つの区分とその出題割合は以下の表のとおりです。

全体目標 一般目標 必須の教育内容 基礎試験
おおむねの
出題割合(※)
1.社会・文化・地域 ①世界と日本 <1>世界と日本の社会と文化 約1~2割
②異文化接触 <2>日本の在留外国人施策
<3>多文化共生(地域社会における共生)
③日本語教育の歴史と現状 <4>日本語教育史
<5>言語政策
<6>日本語の試験
<7>世界と日本の日本語教育事情
2.言語と社会 ④言語と社会の関係 <8>社会言語学
<9>言語政策と「ことば」
約1割
⑤言語使用と社会 <10>コミュニケーションストラテジー
<11>待遇・敬意表現
<12>言語・非言語行動
⑥異文化コミュニケーションと社会 <13>多文化・多言語主義
3.言語と心理 ⑦言語理解の過程 <14>談話理解
<15>言語学習
約1割
⑧言語習得・発達 <16>習得過程(第一言語・第二言語)
<17>学習ストラテジー
⑨異文化理解と心理 <18>異文化受容・適応
<19>日本語の学習・教育の情意的側面
4.言語と教育 ⑩言語教育法・実習 <20>日本語教師の資質・能力
<21>日本語教育プログラムの理解と実践
<22>教室・言語環境の設定
<23>コースデザイン
<24>教授法
<25>教材分析・作成・開発
<26>評価法
<27>授業計画
<29>中間言語分析
<30>授業分析・自己点検能力
<31>目的・対象別日本語教育法
約3~4割
⑪異文化間教育とコミ ュニケーション教育 <32>異文化間教育
<33>異文化コミュニケーション
<34>コミュニケーション教育
⑫言語教育と情報 <35>日本語教育とICT
<36>著作権
5.言語 ⑬言語の構造一般 <37>一般言語学
<38>対照言語学
約3割
⑭日本語の構造 <39>日本語教育のための日本語分析
<40>日本語教育のための音韻・音声体系
<41>日本語教育のための文字と表記
<42>日本語教育のための形態・語彙体系
<43>日本語教育のための文法体系
<44>日本語教育のための意味体系
<45>日本語教育のための語用論的規範
⑮コミュニケーション能力 <46>受容・理解能力
<47>言語運用能力
<48>社会文化能力
<49>対人関係能力
<50>異文化調整能力

他方で、応用試験は、基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力が測定される試験です。

問題解決能力とは、教育実践において発揮されるものと捉えられており、応用試験は、教育実践と関連させて出題されることになっています。

そのため、上記の区分を横断する出題がなされることから、領域ごとの出題割合は示されていません。

応用試験の一部は、日本語学習者の発話や教室での教師とのやりとりなどの音声を用い、より実際の教育実践に即した問題が出題され、問題解決能力や現場対応能力等が測定されます。 

登録日本語教員試験の試験時間・出題数

基礎試験は全体で120分の試験時間が設定されており出題数は100問です。

各問題の配点は1点、全体で100点満点となります。

この試験では1問あたり約72秒で解答しなければなりません。

応用試験は音声による問題と文章問題の二部構成です。

聴解問題は50分間で50問、読解問題は100分間で60問となります。

文章題には途中休憩があります。

各問題の配点は1点で、全体で110点満点の試験です。

聴解問題では、1問あたり約60秒、読解問題では1問あたり約100秒で解答する必要があります。

登録日本語教員試験の出題形式

登録日本語教員試験の出題形式は、基礎試験、応用試験ともに選択式となっています。

選択肢が何択あるのかなど、詳細な情報は公表されていません。

登録日本語教員試験の配点・合格基準

基礎試験の配点は1問1点の合計100点、応用試験の配点は1問1点の合計110点となっています。

基礎試験の合格基準は「必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割の得点があり、かつ総合得点で8割の得点があること」、一方、応用試験の合格基準は「総合得点で6割の得点があること」となっています。

登録日本語教員試験の時間割

令和6年度第1回登録日本語教員試験の時間割は以下の通りです。

  着席時刻 所要時間
開場 9:00~9:40
試験①
基礎試験
9:40 10:00~12:00
(120 分)
昼休憩 12:00~13:00
試験②
応用試験Ⅰ(聴解)
13:00 13:20~14:10
(50 分)
休憩 14:10~14:30
試験②
応用試験Ⅱ(読解)
14:30 14:50~16:30
(100 分)

※着席時刻までに自席に着席してください。試験開始時刻までの間に、注意事項の説明及び問題冊子の配布を行います。
※解答終了時刻の後、試験問題冊子とマークシートの回収及び確認作業がありますので、試験監督の指示があるまで、試験室で待機してください。試験問題冊子を持ち帰ることはできません。
※基礎試験、応用試験Ⅱ(読解)について、試験開始時刻に遅刻した場合は、20 分までの遅刻に限り受験を認めます。試験を開始してから 20 分以内に試験室に入室していない場合は受験することができません。遅刻が20 分以内であっても遅刻した時間に係る試験時間の延長はありません。
※応用試験Ⅰ(聴解)については、遅刻は一切認めません。

登録日本語教員資格を現職が取得するには

すでに日本語教員として働いている方であっても、認定日本語教育機関で働くためには登録日本語教員資格を取得していなければなりません。

認定日本語教育機関以外の教育機関であれば登録日本語教員資格が無くとも働くことができるものの、認定されていない教育機関で学びたいと考える留学生は今後減少していくでしょう。

したがって、現在、日本語教員として働いている方も、登録日本語教員資格の取得を検討するべきであると考えられます。

実際、多くの現職の日本語教員の方が登録日本語教員資格取得を目指しています。

もともと、登録日本語教員制度が導入されたのは、日本語に関して質の高い指導ができる教員を確保することにありました。

しかし、現職の日本語教員が今回の登録日本語教員資格を取得しなければ、制度の趣旨に反することになります。

そのため、登録日本語教員制度を管轄する文化庁は、「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置」を設けて、現職の日本語教員が登録日本語教員資格を得られるルートを用意しています。

以下では、経過措置について簡単に説明していきましょう。

経過措置を利用して資格を取得する

日本語教員として働いている現職の方は、経過措置を利用して登録日本語教員資格を取得できます。

この経過措置は、一部の例外を除き、原則として法施行後5年(令和11年3月31日)までとするとされています。

経過措置には以下の表のように6つの区分があり、登録日本語教員資格取得までのプロセスが異なります。

区分 対象者 要件 必要な試験・研修 免除される試験・研修
C 現職者に限らず必須の50項目に対応した課程修了者 必須の50項目を実施していることが確認できた現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 ・応用試験 ・基礎試験
・実践研修
D-1 現職者のうち必須の50項目対応前の課程修了者① 上記の養成課程等以外で、5区分の教育内容を実施していることが確認できた現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 ・講習Ⅱ講習修了認定試験
・応用試験
・基礎試験
・実践研修
D-2 現職者のうち必須の50項目対応前の課程修了者② 上記2つに該当しないものの、現行告示基準教員要件に該当する養成課程等を修了し、学士以上の学位を有する者 ・講習Ⅰ講習修了認定試験
・講習Ⅱ講習修了認定試験
・応用試験
・基礎試験
・実践研修
E-1 現職者のうち民間試験に合格した者① 昭和62年4月1日~平成15年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)に合格した者 ・講習Ⅰ講習修了認定試験
・講習Ⅱ講習修了認定試験
・基礎試験
・応用試験
・実践研修
E-2 現職者のうち民間試験に合格した者② 平成15年4月1日~令和6年3月31日の間に実施された日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)に合格した者 講習Ⅱ講習修了認定試験 ・基礎試験
・応用試験
・実践研修
F 上記以外の現職者 上記に該当しない現職者 ・基礎試験
・応用試験
・実践研修

出典:  「登録日本語教員の資格取得ルート」文化庁を参考に作成

上記の表に出てくる、「講習Ⅰ講習修了認定試験」「講習Ⅱ講習修了認定試験」とは、次のような講習・試験のことを言います。

実施方法は、受講機会確保の観点から、自宅等で受講できるオンデマンドで実施される予定です。

  講習対象範囲 主な学習内容 時間 講習修了試験
講習Ⅰ ・平成12年報告により新たに追加された【社会・文化・地域】及び【言語と心理】の2区分を中心に構成

 (1)世界と日本の社会と文化
(2)日本の在留外国人施策
(3)多文化共生
(4)日本語教育史
(5)言語政策
(6)日本語の試験
(7)世界と日本の日本語教育事情
(14)談話理解
(15)言語学習
(16)習得過程
(17)学習ストラテジー
(18)異文化受容・適応
(19)日本語の学習・教育の情意的側面
・諸外国における言語政策
・言語教育の現状
・諸外国における日本語教育の現状
・日本の海外における日本語教育政策の現状
・国内の日本語教育の現状
・多文化共生施策
・地域における日本語教育施策
・在留外国人施策と日本語の試験
・言語理解の過程
・言語習得と発達
・第一言語と第二言語
・モチベーション、WTC、言語適性
90分×5コマ程度(各コマで単元確認(10問程度)を実施 50問程度
講習Ⅱ ・平成31年報告により教育内容として新たに追加されたもの
(20)日本語教師の資質・能力
(35)日本語教育とICT
(36)著作権

・入管法改正や「日本語教育の参照枠」等、近年の状況変化を踏まえた知識のアップデートが特に必要と考えられる教育内容
(2)日本の在留外国人施策
(4)日本語教育史
(5)言語政策
(13)ダイバーシティと社会的包摂
(18)異文化受容・適応
(21)日本語教育プログラムの理解と実践
(23)コースデザイン
(25)教材分析・作成・開発
(26)評価法
(28)教育実習
(30)授業分析・自己点検能力
(31)目的・対象別日本語教育法
 (32)異文化間教育
(33)異文化コミュニケーション
(34)コミュニケーション教育
・目的対象別日本語学習者及び教育内容
・6つの指導項目及び授業評価
・授業改善方法
・在留外国人概況(主な調査関連情報)
・入管法改正と日本語教育の関連
・日本語教育史(令和4年現在まで)
・政府方針及び政策、文化審議会国語分科会報告等での日本語教育
・CEFRと「日本語教育の参照枠」
・Can doベースのカリキュラムデザイン
・Can doベースの教材分析
・行動中心アプローチにおける評価(日本語教育プログラム評価)
・オンラインによる日本語教育のための理論
・成果物や教育活動に伴う著作権等
90×10コマ程度(各コマで単元確認(10問程度)を実施) 100問程度

出典:  「登録日本語教員の経験者講習について」文化庁を参考に筆者作成

なお、経過措置の詳細については、次の記事を参考にしてください。

【現職向け】登録日本語教員の経過措置とは?6つのルートと講習内容を解説

登録日本語教員資格は取得したほうがいい?

現職で日本語教員をしている方も登録日本語教員資格を取得した方が良いでしょう。

また、日本語教育能力検定に合格している場合も、登録日本語教員資格を取得した方が良いと考えられます。

現時点では、経過措置が設けられているため、効率的に登録日本語教員資格が取得できるからです。

経過措置は時限的措置であるため、期間を過ぎた場合、通常ルートでの資格取得ルートしか取得する方法はなくなります。

登録日本語教員資格を取得するタイミングは個人の判断で決定すればよいでしょう。

しかし、認定日本語教育機関で教える日本語教師は全員、登録日本語教員の資格が必要となることから、現在認定日本語教育機関で働いている人、将来職場の選択肢を狭めたくない人は経過措置で免除のあるうちに合格したほうが良いといえます。

参照:令和5年度日本語教員試験(試行試験)の概要

令和5年12月10日(日)に実施された登録日本語教員の試行試験についての情報です。

  基礎試験 応用試験
試験時間 120分 音声による出題:45分
文章題:120分(休憩45分あり)
出題数 100問 音声による出題:50問
文章題:60問
出題形式 選択式 選択式
配点 1問1点(計100点) 1問2点(計220点)
合格基準
(参考基準)
必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で約7割程度の得点があり、かつ総合得点で約8割程度の得点があること 総合得点で約6割の得点があること

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の試験日

令和5年度日本語教員試験は令和5年12月10日(日)に実施されました。

オンライン協力申請期間は、令和5年10月18日(水)~11月8日(水)、受験票連絡日は令和5年11月18日(土)、結果通知連絡日は令和6年1月26 日(金)でした。

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の開催地の試験時間・時間割

  時間割 時間
会場入場時間 9:00~9:40  
試験① 基礎試験 10:00~12:00
着席時間:9:40
120分
昼休憩 12:00~13:00 60分
試験② 応用試験Ⅰ(音声) 13:15~14:00
着席時間:13:00
45分
休憩 14:00~14:30 30分
試験② 応用試験Ⅱ (文章問題) 14:45~16:45
着席時間:14:30
120分
実施後アンケート 16:45~17:00  

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の開催地

本試験に先立って行われた試行試験では、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の5か所で実施されました。

地域場所
仙台TKPガーデンシティ仙台 (宮城県仙台市青葉区中央1-3-1AER)
JR東北本線 仙台駅 西口 徒歩2分
仙台市地下鉄南北線 仙台(地下鉄)駅 北8出口 徒歩2分
東京TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区内幸町1-3-1)
都営三田線 内幸町駅 A5出口 徒歩1分 JR 新橋駅 日比谷口 徒歩7分 
名古屋TKPガーデンシティPREMIUM名古屋新幹線口
(愛知県名古屋市中村区椿町1-16)
JR名古屋駅 太閤通口 徒歩3分 名古屋市営地下鉄名古屋駅 徒歩5分 
大阪TKPガーデンシティ大阪梅田(大阪市福島区5-4-21 TKPゲートタワービル)
JR 福島駅 徒歩3分 大阪メトロ 西梅田駅 地下街6-2番出口から 徒歩2分 
福岡TKPガーデンシティ博多新幹線口(福岡市博多区博多駅中央街5-14 福さ屋本社ビル)
JR博多駅 筑紫口 徒歩1分 地下鉄空港線 博多駅 筑紫口 徒歩1分

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の科目・出題内容

登録日本語教員試験のうち、基礎試験では日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能を区分ごとに出題することになっています。

登録日本語教員試験のうち、基礎試験における5つの区分とその出題割合は以下の表のとおりです。

5つの区分おおよその出題割合
(1)社会・文化・地域約1割
(2)言語と社会約1割
(3)言語と心理約1割
(4)言語と教育(教育実習を除く)約4割
(5)言語約3割

登録日本語教員試験の出題領域は、「社会・文化・地域に関わる領域」、「教育に関わる領域」「言語にかかわる領域」という3つの領域に分かれており、それぞれ領域が、5つの区分、さらに16の下位区分に分かれています。

基礎試験では、以下の表の(1)〜(50)で示された「必須の教育内容(必須の50項目)」から網羅的に出題がなされました。

5区分 16下位区分 16下位区分の解説 必須の教育内容 その他の教育内容の例
(1)社会・文化・地域 ①世界と日本  日本語教育が必要とされる社会的背景を考えるために、国際社会の実情と日本との関係、日本の社会・文化、学習者と日本との関係を理解する。  (1)世界と日本の社会と文化  歴史、教育、日本事情、海外の移民施策 等
②異文化接触  多様な背景を持つ学習者個々に必要とされる日本語教育を考えるために、学習者が日本語を必要とするに至った経緯や、学習者と周囲との接触の状況を理解する。  (2)日本の在留外国人施策
(3)多文化共生(地域社会における共生) 
国際協力、文化交流、地域協力、精神衛生、 外国人児童生徒等 等 
③日本語教育の歴史と現状 学習者に適切に接する態度や学習者の背景及び将来を考えるために、日本語教育の歴史や現状、制度を理解する。  (4)日本語教育史 
(5)言語政策
(6)日本語の試験
(7)世界と日本の日本語教育事情
教師養成、学習者の推移と多様化、 教育制度、各国語試験 等 
(2)言語と社会 ④言語と社会の関係  学習者の円滑な社会生活を実現するために、社会、文化、政策と言語との関係やそれによって生じる言語の有り様、また社会的な行動を支える社会的・文化的慣習について理解する。 (8)社会言語学
(9)言語政策とことば 
ことばと文化、言語社会学、教育社会学、 言語接触、言語管理、継承語 等 
⑤言語使用と社会  様々な社会的状況において円滑なコミュニケーションを実現するために、社会や集団における言語・非言語行動の様相や方略について理解する。  (10)コミュニケーションストラテジー
(11)待遇・敬意表現
(12)言語・非言語行動 
言語変種、ジェンダ一差・世代差、 地域言語と共通語、地域生活関連情報 等
⑥異文化コミュニケーションと社会  異なる文化・言語を持つ人々が共存する社会の在り方を考えるために、互いの文化・言語に対する態度や言語を用いた人との関係構築について理解する。  (13)多言語・多文化主義  言語・文化相対主義、自文化(自民族)中心主義、言語選択、アイデンテイテイ、 異文化間トレランス、言語イデオ口ギ―、 複言語・複文化主義 等 
(3)言語と心理 ⑦言語理解の過程  効果的な日本語教育を考えるために、学習者の言語情報の処理過程や学習の仕組み、学習の方法について理解する。  (14)談話理解
(15)言語学習 
言語処理、予測一推測、記憶、視点、 学習者要因 等
⑧言語習得・発達 個々の学習者に合わせた日本語教育を考えるために、言語の習得過程や学習者要因、また学習効果を高める方略について理解する。  (16)習得過程(第ー言語・第ニ言語)
(17)学習ストラテジー 
幼児言語、中間言語、言語喪失、 バイリンガリズム、学習過程、 学習者タイプ、学習障害・発達障害 等 
⑨異文化理解と心理 自文化とは異なる環境にある学習者に配慮した指導を考えるために、異文化接触によって生じる間題とその解決、また動機や不安などの心的側面について理解する。  (18)異文化受容・適応
(19)日本語の学習・教育の情意的側面
社会的スキル、集団主義、教育心理 等 
(4)言語と教育 ⑩言語教育法・実習 学習者の日本語能力と求められる日本語教育プ口グラムの目的や目標を踏まえた日本語教育を考えるために、コースを設計する方法、学習項目に合わせた教授法や教材の選択、授業を組み立てるための準備、学習の成果を測る観点と方法、教授能カを高めるための自他の授業分析に必要となる知識及び日本語教育を実践するカを身に付ける。 (20)日本語教師の資質・能カ
(21)日本語教育プ口グラムの理解と実践
(22)教室・言語環境の設定
(23)コースデザイン
(24)教授法
(25)教材分析・作成・開発
(26)評価法
(27)授業計画
(28)教育実習
(29)中間言語分析
(30)授業分析・自己点検能カ
(31)目的・対象別日本語教育法
学習者情報、教育情報、教室活動、 障害者教育 等 
⑪異文化間教育とコミュニケーション教育 文化の多様性を尊重し、異なる文化背景を持つ者同士の円滑なコミュニケーションを実現するために、文化を異にする者の物事の捉え方やコミュニケーション方略について理解する。 (32)異文化間教育
(33)異文化コミュニケーション
(34)コミュニケーション教育 
学習者の権利、国際・比較教育、 国際理解教育、開発コミュニケ一ション、 異文化マネージメント、コミュニケーションに関する言語間対照 等
⑫言語教育と情報 効率的で創造的な日本語教育を行うために、学習管理や教材作成等に必要となるにT活用方法を知るとともに、情報資源の扱い方について理解する。  (35)日本語教育とICT
(36)著作権 
 
(5)言語 ⑬言語の構造一般 学習をより効率的なものにするために、言語を分析的に観察する方法を理解し、世界の言語及び日本語を系統的・類型的に捉えるとともに、学習者の言語と日本語学習の関係を理解する。 (37)一般言語学
(38)対照言語学 
世界の諸言語、言語の類型、音声的類型、 形態(語葉)的類型、統語的類型、 意味論的類型、語用論的類型、言語学史 等
⑭日本語の構造 日本語そのものに関する知識を学習者に正確に伝えるために、日本語を分析的に捉える方法を理解し、言語教育的な観点から多面的に整理された日本語に関する知識を体系的に身に付ける。  (39)日本語教育のための日本語分析
(40)日本語教育のための音韻・音声体系
(41)日本語教育のための文字と表記
(42)日本語教育のための形態・語葉体系
(43)日本語教育のための文法体系
(44)日本語教育のための意味体系
(45)日本語教育のための語用論的規範
日本語の系統、日本語史、日本語学史 等
⑮言語研究     理論言語学、応用言語学、情報学、 社会言語学、心理言語学、認知言語学、 言語地理学、計量言語学、歴史言語学、 コミュニケーション学 等
⑯コミュニケーション応力 学習者の日本語によるコミュニケーション能力を育成するために、コミュニケーション能カに関する知識を身に付ける。また、 日本語教育を実践する上で必要となるコミュニケーション能力を向上させる。 (46)受容・理解能カ
(47)言語運用能力
(48)社会文化能カ
(49)対人関係能力
(50)異文化調整能カ 
表出能力、談話構成能力、議論能力 等

出典: 「日本語教育の質の維持向上の仕組みについて(報告)p.37」文化審議会国語分科会

他方で、応用試験は、基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力が測定される試験となっています。 

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の試験時間・出題数

基礎試験は全体で120分の試験時間が設定されており出題数は100問、配点は1点、全体で100点満点でした。1問あたり約72秒で解答することになります。

応用試験は音声による問題と文章問題の二部構成です。

音声問題は45分間で50問、文章問題は120分間で60問でした。

文章題には途中45分の休憩がありました。

各問題の配点は2点で、全体で220点満点の試験です。

音声問題では、1問あたり約54秒、文章問題では1問あたり約2分で解答する必要がありました。

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の出題形式

登録日本語教員試験の出題形式は、基礎試験、応用試験ともに選択式でした。

令和5年度日本語教員試験(試行試験)の配点・合格基準

試行試験の基礎試験の配点は1問1点の合計100点、応用試験の配点は1問2点の合計220点でした。

 基礎試験においては、必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で約7割程度の得点があり、かつ総合得点で約8割程度の得点、応用試験においては総合得点で約6割の得点が基準とされました。

新試験・新制度に対応!

資料請求で無料プレゼント!
・サンプル(お試し版)テキスト
・サンプル講義動画 約4.5時間分

1分で簡単無料体験(会員登録→お申込み→視聴)!

合格までの最短ルート!