「日本語教師の国家資格である『登録日本語教員』に興味はあるけれど、どのくらい難しいのだろう?」

「事前に行われた登録日本語教員試験の施行試験(事前試験)の結果を見て自分にできるか不安になっている…」

そんな悩みを抱えている方も少なくありませんよね。

新たに導入された国家資格『登録日本語教員』は、これまでの資格制度と何が違うのか、実際にどれほどの難易度があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、国家資格『登録日本語教員』の難易度について、施行試験の結果をもとに解説します。

施行試験の内容を詳しく知ることで、試験の実態や難易度がより明確になりますよ。

資格取得を目指す上での不安を解消し、自信を持って挑戦するための情報が得られる内容となっています。

このコラムを読むことで、試験対策の方向性も見えてくるはずです。

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日本語教員試験の試験の難易度

令和6年に実施される予定の日本語教員試験(登録日本語教員の試験)の難易度は、国家資格の中では「やや難しい」程度の試験になると予想されています。

この予想は、今後実施される日本語教員試験について、従来行われていた「日本語教育能力検定試験」と「日本語教員試験の施行試験」と比較した結果算出されたものです。

まず、日本語教育能力検定試験は、合格率が25〜30%と比較的低く、難易度が高いことで知られています。

一方、日本語教員試験の施行試験結果をもとにすると、日本語教育能力検定試験と比べてやや難易度が低くなることが見込まれます。

そのため、日本語教員試験の合格率が日本語教育能力検定試験よりも少し高いと仮定すると、難易度は「やや難しい」と言えるでしょう。

ただし、注意が必要なのは、今後の試験実施や試験問題の開発・分析を通じて、日本語教員試験の難易度が変わる(調整される)可能性があるということです。

試験の運営や実施方法、出題傾向の改善などが進むにつれて、試験の難易度が上下することも考えられます。

そのため、受験者は最新の情報に基づいて試験対策を進めることが重要です。

今後の試験の動向にも注意を払いながら、しっかりと準備を整えて試験に臨みましょう。

日本語教育能力検定試験と日本語教員試験の難易度比較

日本語教員試験と日本語教育能力検定試験は、いずれも試験に合格することで日本語教師として活躍するための知識を有していることが証明できるものです。

日本語教育能力検定試験と比較すると、日本語教員試験の方が「やや易しい」試験であると言えるでしょう。

このように考える理由として、日本語教育能力検定試験は広範囲で詳細な知識が求められる試験である一方、日本語教員試験の施行試験では、基礎的な知識を確認する問題が多かったことが挙げられます。

日本語教育能力検定試験には、複雑な問題や高度な理解を必要とする内容が含まれます。

一方、日本語教員試験は基本的な知識の確認に試験の重きを置いていることから、基礎的な理解があれば解ける問題が多くなると予想されています。

ただし、注意が必要なのは、日本語教員試験の難易度が試行試験とは変わる可能性があるということです。

日本語教員試験は令和6年から始まる新しい試験であり、過去に行われた試行試験の結果に改良が加えられることが見込まれます。

今後、実際の試験が実施されたあとで、試験内容や難易度が変わっていくこともありえるため、最新の情報に基づいて試験対策を行うことが重要です。

基礎試験では基礎の基礎が問われる

日本語教員試験は基礎試験と応用試験(聴解・読解)から構成されます。

基礎試験は、日本語教育能力検定試験の試験Ⅰに形式が近く、日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識や技能が区分ごとに問われる試験です。

例えば文法の分野では、イ形容詞とナ形容詞の区別や、動詞のグループ分けのような基本的な知識が問われます。

具体的には、「きれい」というナ形容詞がイ形容詞の選択肢に混じっている場合や、Ⅱグループ動詞の中にⅠグループ動詞が含まれている場合に、異なるものを選ぶ問題などが考えられます。

また、「高コンテクスト・低コンテクストとは何か?」や「メタ認知ストラテジーとは?」、「ポジティブフェイスとは?」といった基本的な概念の理解を問う問題も出題される傾向にあります。

基礎試験の問題は、受験者を迷わせたり、混乱させるようなひねった問題は少なく、基礎知識がしっかりと身についていれば解答できる内容が中心となっています。この意味でも、基礎試験の難易度は高くないと予想されます。

応用試験は知識があれば解ける問題が多い

日本語教員試験の応用試験では、出題される問題の多くが、その場でじっくり分析を必要とするものではありません。

既に知っているかどうかで解ける問題が多いという特徴があります。

従来の検定試験に見られた、聞いたことがない、あるいは見たこともないような用語はほとんど出題されておらず、既存の知識を確認する内容が中心です。

実際、応用試験は、「実際に日本語教育を行う際の現場対応や問題解決を行うことができる基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定する」ことを目的とした試験として位置づけられたものです。

また、応用試験には、日本語教育能力試験の試験Ⅲにあったような記述式の問題が出題されないので、時間に追われることなく落ち着いて解答することができ、見直しの時間も十分に確保できます。

応用試験とされているものの、現場での対応を問う問題であり、出題内容は基礎試験と難易度的に大差があるというわけではありません。

そのため、応用問題というよりも、特定の概念を知っているかどうかによって正解できる問題が多く、受験者にとっては比較的取り組みやすい試験内容と言えるでしょう。

この意味でも、日本語教員試験の方が簡単な試験だと考えられています。

日本語教育能力検定の合格率と難易度

登録日本語教員試験が導入されたとしても、日本語教育能力検定は、日本語教師を目指す多くの方にとって重要な試験であることに変わりはありません。

そこで、日本語教員試験と比較するために、日本語教育能力検定試験の合格率と難易度について詳しく見ていきましょう。

日本語教育能力検定試験は、試験範囲が広く、合格率も低いため、挑戦する価値がある反面、しっかり準備しなければ合格できない難易度の高い試験です。

より詳しい情報を知りたい方は、「日本語教育能力検定試験の合格率・難易度は?合格点も解説!」をご覧ください。

日本語教育能力検定の合格率

年度合格率全科目受験者数応募者数
令和5年度30.0%8,21110,170
令和4年度30.9%7,0548785
令和3年度29.8%8,26910,216
令和2年度28.9%9,03311,316
令和元年度28.3%9,38011,699
平成30年度28.5%6,8018,586
平成29年度25.5%5,7337,331
平成28年度25.1%4,9076,167
平成27年度23.0%4,7275,920
平成26年度23.5%4,3625,436
平成25年度22.9%4,3745,439
平成24年度23.1%4,7985,877
平成23年度26.6%5,7327,034

最新の令和5年度の合格率は30.0%で、全科目受験者数は8,211名、応募者数は10,170名でした。

過去10年間の合格率を見ると、概ね25〜30%の間で推移しており、少しずつ上昇している傾向があります。

この上昇傾向は、受験者の対策が進化していることや、試験内容に対する理解が深まっていることが影響していると考えられます。

しかし、それでも合格率は3割前後であり、依然として難易度の高い試験であることは変わりません。

日本語教育能力検定試験の難易度

日本語教育能力検定試験は難易度が高い試験だと言われています。合格率は25〜30%程度で、受験者のうち3〜4人に1人しか合格できない厳しい試験です。

合格率が低い背景には、試験範囲の広さが大きく影響しています。

試験では、「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の5つの区分にわたり、細かい知識が問われます。

さらに、日本語の文法や語彙の知識だけでなく、教育理論や異文化理解、音声学など多岐にわたる分野の知識が必要です。

日本語教育能力検定試験は、単に知識を暗記するだけではなく、深い理解と応用力が求められる試験です。

試験は年に1回しか行われないため、一度不合格になると次の挑戦は翌年になってしまいます。

こうした点からも、計画的な学習と時間管理が非常に重要であることがわかるでしょう。

日本語教育能力検定試験の受験を考えている方は、しっかりとした学習計画を立てて挑戦することをおすすめします。

日本語教師資格の取得の難易度

日本語教師として活躍するための能力を客観的に証明するためには、主に4つの方法があります。

それは、1.新設された「日本語教員試験」に合格する、2.「420時間日本語教師養成講座」を受講する、3.「日本語教育能力検定試験」に合格する、4.大学の「日本語教育専攻」を修了する、の4つです。

これらの資格取得方法は、それぞれ難易度や条件が異なり、自分の状況や目的に応じた選択が必要です。

ここでは、それらの資格取得方法を難易度の低い順に並べてご紹介します。

1.日本語教員試験に合格する

日本語教員試験は、2024年4月から始まった国家資格「登録日本語教員」を取得するための試験で、日本語教育能力検定試験に比べると難易度が低いとされています。

試験に合格し、実践研修を修了することで国家資格が得られ、「認定日本語教育機関」で働くことが可能になります。

特に受験資格の制限がないため、多くの人にとって挑戦しやすい資格と言えるでしょう。

また、この試験には「養成機関ルート」もあり、登録日本語教員養成機関で必要な課程を修了することで、試験の一部が免除される場合もあります。

国家資格を取得することで、安定した職場での雇用が期待できるため、多くの方が目指しています。

より詳しい情報を知りたい方は、「登録日本語教員とは?なるには?資格取得ルートと試験概要を解説」をご覧ください。

2.日本語教育能力検定試験に合格する

日本語教育能力検定試験は、日本語教員試験よりも難易度が高いとされていますが、こちらも試験に合格することで日本語教師としての知識を有していることが証明できます。

受験資格がないため、誰でも挑戦可能で、特に独学で合格を目指す方に向いています。

しかし、日本語教員試験に比べて難解な問題が出題されるため、しっかりとした準備が必要です。

また、今後の国家資格の導入に伴い、資格の立ち位置や運用が変わる可能性があるため、最新の情報を常に確認しておくことが重要です。

3.420時間日本語教師養成講座を受講する

420時間日本語教師養成講座は、講義に参加して学ぶスタイルのため、確実に知識と技能を身につけたい方に向いています。

また、座学だけでなく教育実習も含まれており、実践的なスキルを身につけることが可能です。

しかし、最短でも6ヶ月程度の期間が必要で、費用も50万円前後かかります。

さらに、令和11年3月31日までの経過措置期間中に法務省告示機関や認定日本語教育機関で日本語を教えるには、420時間日本語教師養成講座の修了に加えて4年制大学を卒業している必要があります。

4.大学の日本語教育を専攻し卒業する

大学で日本語教育を専攻して卒業するのは、最も時間と費用がかかる方法です。

まず、日本語教師養成を実施する大学の受験に合格する必要があり、その後4年間の課程を修了します。

学費は通常100万円以上かかるため、経済的な負担も大きいです。

ただし、大学での学位が得られるため、将来的に大卒の学歴が求められる求人にも対応できます。

また、通信制の大学や、大学中退者、短大卒、専門学校卒などの場合、取得単位が認められ、4年かからずに卒業できる場合もあります。

時間がかかりますが、学歴を持ちたい方には適したルートであると言えるでしょう。

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この記事の監修者 佐藤佳那

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