「日本語教育能力検定試験って本当に役に立たないの？」
「資格を取っても意味がないって聞いたけど、本当？」

そんな疑問や不安を抱えていませんか？ 日本語教師を目指す方の中には、ネット上の情報や周囲の意見に振り回され、検定試験を受けるべきか悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

確かに、日本語教育能力検定試験には「役に立たない」という声も存在します。試験内容と実際の現場での業務に乖離がある、資格を取得しても就職に直結しないといった意見も耳にします。

しかし、結論から言うと、日本語教育能力検定試験は決して無駄なものではありません。

合格することで得られるメリットは大きく、日本語教師としてのキャリアを築く上で非常に役立つ資格です。

もちろん、一部で言われているようなデメリットが全くないわけではありませんが、それらを理解した上で対策を講じることで、十分に価値のある資格と言えるでしょう。

本コラムでは、日本語教育能力検定試験が「役に立たない」と言われる理由を解説しつつ、その真偽や合格するメリット、そしてデメリットへの対策について詳しく解説していきます。

日本語教育能力検定試験が役に立たないと言われる理由2つ

日本語教育能力検定試験は、日本語教師を目指す人にとって一つの目標になる資格です。

しかし、日本語教育能力検定試験は「役に立たない」という意見も聞かれます。その理由として、主に以下の2点が挙げられます。

1. 実践的なスキルが身につかない

検定試験は、日本語学、日本語教育学、学習者の心理など、日本語教育に関する幅広い知識を問うものです。

しかし、筆記試験が中心であるため、実際の教室でどのように教えるか、学習者の多様なニーズにどのように対応するかといった、実践的なスキルについては十分に評価されないという指摘があります。

筆記試験だけでは、教室でのコミュニケーション能力や問題解決能力を測ることは難しいからです。

そのため、試験に合格しても、実際に日本語教師として働く上で必要なスキルが不足していると感じることがあります。

2. 日本語教育能力検定試験は不要になるという誤解

2024年4月から、日本語教師として、国から認定を受けた「認定日本語教育機関」で働くためには、「登録日本語教員」という国家資格が必要になります。

このことから、「日本語教育能力検定試験はもはや不要になる」という誤解が広まっています。しかし、これは正確ではありません。

現行の日本語教師に対しては、一定の条件を満たせば「登録日本語教員」として認定される救済措置が設けられています。

また、日本語教育能力検定試験は、日本語教育に関する基礎知識を身につける上で依然として有効な手段です。

日本語教育能力検定試験が役立たないと言われるその他の理由

上記以外にも、日本語教育能力検定試験が「役に立たない」と言われる理由としては、以下のような点が挙げられます。

試験範囲が広範すぎる

日本語教育能力検定試験は、日本語学、日本語教育学、一般言語学、社会言語学、異文化間コミュニケーションなど、非常に広範な分野の知識が問われます。

そのため、試験対策には多大な時間と労力を要し、挫折してしまう人も少なくありません。

また、試験範囲が広すぎるため、学習内容が浅くなってしまい、実践で活かせる知識が身につかないという意見もあります。

合格率が低い

日本語教育能力検定試験は、合格率が30%前後と非常に低く、難関資格として知られています。そのため、何度受験しても合格できず、モチベーションが低下してしまう人もいます。

また、合格率の低さから、試験対策に特化した勉強法が必要となり、実践的なスキルを身につけるための時間が削られてしまうという問題点もあります。

資格取得後も就職が難しい

日本語教育能力検定試験に合格しても、必ずしも日本語教師としての就職が保証されるわけではありません。

特に、未経験者の場合は、採用条件として実務経験を求められることも多く、資格だけでは就職活動が難航することがあります。

また、日本語教師の求人自体が少なく、競争率が高いという現状もあります。

これらの点を踏まえると、日本語教育能力検定試験は、日本語教師になるための「万能な資格」ではないと言えるでしょう。

日本語教育能力検定試験は、実践的なスキルが身につきにくい、国家資格化によって不要になるという誤解があるなどの理由から、「役に立たない」という意見もたしかにあります。

しかし、日本語教育に関する基礎知識を身につける上で、依然として有効な手段であることは間違いありません。

日本語教育に関する基礎知識を習得し、自身の能力を客観的に評価するための一つの手段として、依然として価値があると理解すべきです。

日本語教師を目指す方は、検定試験のメリットとデメリットを十分に理解した上で、自身のキャリアプランに合わせて活用することをおすすめします。

日本語教育能力検定試験を突破するとどう役立つの？将来性は？

日本語教育能力検定試験は、日本語教師としての専門性を証明する資格として、様々な場面で役立ちます。

また、日本語教育の需要は国内外で高まっており、将来性も期待できるでしょう。

1. 就職や転職に有利: 未経験や異業種からの転職でも、日本語教師への道を切り開く

日本語教師の求人は、資格の有無を問わない場合もありますが、日本語教育能力検定試験に合格していると、採用において有利に働く可能性がぐっと高まります。

特に、4年制大学を卒業していない場合や、日本語教育の経験がない場合は、資格が自身の能力をアピールする上で非常に重要な役割を果たします。

また、全く異なる業種からの転職であっても、日本語教育能力検定試験の合格は、日本語教師としての熱意や基礎知識を証明する強力な武器となるでしょう。

採用担当者に、日本語教育に対する真剣な姿勢や学習意欲を示すことができ、未経験であっても採用される可能性が高まります。

2. 専門性を証明できる: 日本語教育のプロフェッショナルとしての信頼を獲得

日本語教育能力検定試験は、日本語学、日本語教育学、学習者の心理など、日本語教育に関する幅広い知識と理解を問う試験です。

合格することで、これらの分野における体系的な知識を習得していることを客観的に証明できます。

この資格は、日本語教師としての専門性を裏付けるものであり、学習者や同僚、採用担当者からの信頼を獲得することにつながります。

また、専門性を高めることで、キャリアアップやより高度な日本語教育の現場で活躍する道も開けるでしょう。

3. 海外での教育の機会に恵まれる可能性: 世界を舞台に活躍できるチャンス

日本語教育能力検定試験は、海外でも広く認知されている資格です。

そのため、海外の日本語学校や教育機関、企業などで日本語教師として働く際に、採用条件の一つとして求められることが多々あります。

資格を取得することで、海外で日本語教師として活躍するチャンスが大きく広がるでしょう。

また、国際交流基金などの機関が派遣する日本語専門家として、海外で日本語教育に携わる道も開けます。

世界を舞台に、日本語や日本文化を広めるというやりがいのある仕事に就くことができるでしょう。

4. 刺激のある環境で働くことができる: 多様な文化に触れ、人間的に成長できる

日本語教師は、様々な国や地域から来た学習者と接する機会があります。

年齢、性別、職業、文化、価値観など、実に多様なバックグラウンドを持つ人々と関わることで、自身の視野を広げ、人間としての成長を大いに促すことが可能です。

また、日本語を学びたいという共通の目標を持った学習者たちとのかかわりは、大きなやりがいと喜びをもたらします。

彼らの成長をサポートし、共に目標を達成していく過程は、日本語教師としてかけがえのない経験となるでしょう。

5. 日本の文化や魅力を伝えることができる: 国際交流の懸け橋となる

日本語教師は、日本語を教えるだけでなく、日本の文化や習慣、考え方などを伝える役割も担っています。

学習者との交流を通して、日本の魅力を発信し、国際理解を深めることができます。これは、日本語教師ならではの、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。

世界で活躍する日本人や、日本に関心を持つ外国人と交流する機会も多く、国際交流の懸け橋としての役割も期待されます。

日本語教育能力検定試験は受けるべき？

日本語教育能力検定試験は、就職や転職に有利になるだけでなく、専門性を証明し、海外での活躍の機会を広げるなど、様々なメリットがあります。

また、多様な学習者と関わりながら、日本の文化や魅力を伝えることができるやりがいのある仕事です。

日本語教育能力検定試験については、実践的なスキルが身につきにくい、試験範囲が広範すぎる、合格率が低い、資格取得後も就職が難しいといったデメリットが指摘されることがあります。

しかし、日本語教師として活躍したいと考えている人にとっては、これらのデメリットを上回るメリットがあり、受けるべき試験と言えるでしょう。

日本語教育能力検定試験のメリットを再確認

• 就職・転職に有利
  資格の有無は、採用選考において大きなアピールポイントになります。特に、未経験や異業種からの転職を目指す人にとっては、日本語教師としての適性や基礎知識を証明する有効な手段です。

• 専門性を証明できる
  合格は、日本語教育に関する幅広い知識と理解を有することを客観的に示すものです。これにより、学習者や同僚からの信頼を得やすくなり、キャリアアップにもつながります。

• 海外での活躍の機会
  日本語教育能力検定試験は国際的に認知されており、海外の日本語学校や教育機関で働く際に有利に働きます。海外で日本語教育に携わりたいと考えている人にとっては、大きなチャンスを広げる資格です。

• 自己成長の機会
  試験勉強を通して、日本語や日本語教育に関する知識を深めることができます。また、合格という目標を達成することで、自信とモチベーションを高めることができます。

日本語教育能力検定試験を受けるこうしたメリットは、2024年4月以降、日本語教師となり、認定日本語教育機関で働くために「登録日本語教員」という国家資格が必要になっても変わるものではありません。

日本語教育能力検定試験のデメリットへの対策

• 実践的なスキル不足
  検定試験でカバーされない実践的なスキルは、ボランティア活動やインターンシップなどを通して補うことができます。また、日本語教師養成講座を受講することも有効です。

• 試験範囲の広さ
  試験範囲は確かに広範ですが、過去問を分析し、効率的な学習計画を立てることで、合格に必要な知識を習得することができます。

• 合格率の低さ
  合格率は低いですが、諦めずに挑戦し続けることが大切です。日本語教師を目指す仲間と情報を共有したり、モチベーションを維持し合ったりすることで、合格の可能性を高めることができます。

日本語教育能力検定試験は、日本語教師としてのキャリアを築く上で、大きなメリットをもたらす資格です。

デメリットもありますが、それらを克服するための方法はあります。日本語教師として活躍したいという強い意志と情熱があれば、必ず乗り越えられるはずです。

日本語教育能力検定試験は、あなたの夢を叶えるための第一歩となるでしょう。日本語教師となることを考えている方は、ぜひ挑戦してみてください。