地方公務員の代表格としていつの時代も一定の人気を誇る「教員」ですが、教員採用試験を突破しても離職してしまう人もいます。

業務内容的に長時間の業務を余儀なくされる職業でもあり、「離職率はどのくらい?」と気になっている志望者もいるでしょう。

当コラムでは、教員の離職率について詳しく解説します。

教職員を目指している方はぜひ参考にしてください。

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教員の離職率は高い?低い?

教員の離職率は9.33%と「低い」です。

総務省の「地方公務員の退職状況等調査」によると、令和4年の教育職の普通退職者は106万4,340名中9,929名。

厚生労働省が出している「雇用動向調査結果の概況」では、例年の「常用労働者」の離職率は15%ほどを推移しています。

労働者全体の平均と比較しても、教員の離職率は低い傾向にあるといえるでしょう。

教員の離職率が低い理由3選

教員の離職率が低い理由としては、以下の3つが挙げられます。 

  • 安定した職業だから
  • 転職しにくい環境にいるから
  • 一般職へ転職することへの不安

安定した職業だから

教員が安定した職業であることは、離職率の低さの一因と考えられます。

公立学校の教員は、代表的な地方公務員です。

定期的な学校間の異動はあるものの、基本的には終身雇用で在籍校ごとの給与差なども少なめ。

教員でいる限り収入の大幅な変動や失業のリスクは極めて低く、一般企業と比較して非常に安定感があることで在職を続ける人が多い可能性が高いです。

転職しにくい環境にいるから

教員の業務内容的に転職しにくく、離職したくても在職を続けている場合もあるでしょう。

教員は役職を問わず毎日多忙で、業務のかたわら転職活動を始める時間的余裕がないことも。

さらに、担当業務の引き継ぎが難しいことや、担任している生徒への影響などを考慮すると「簡単にやめられない」と感じやすい側面はあるでしょう。

一般職へ転職することへの不安

「新卒から教員一筋」のようなキャリアを築いてきた人の場合、一般職への転職に不安を感じて離職を思い留まっている可能性があります。

一般企業は基本的に自社の営利を目的としており、公務員である教員とは求められる姿勢が大きく異なります。

特に、離職時の年齢が高い場合の不安感は必然的に大きくなるでしょう。

「今さら一般企業に採用されて通用するのか」と思い悩み、転職を見送り続けているといった状況もあり得ます。

教員の離職は年々増加している 

労働者全体の離職率と比較すると低い水準にあるとはいえ、教員の離職率は年々増加傾向にあります。

以下は、令和4年から過去10年間の教員離職人数を表にまとめたものです。

年度普通退職者
令和4年9,929人
令和3年8,575人
令和2年6,801人
令和元年7,050人
平成30年6,622人
平成29年5,934人
平成28年5,755人
平成27年5,576人
平成26年5,423人
平成25年5,620人

年によって多少数値の前後はあるものの、全体的に教育現場からの離職者が増えていることがわかります。

特に、令和3年・令和4年では1年間の離職者が1万人に迫る人数となっており、離職の傾向が顕著。

平成25年と比較すると、10年間の離職率は2倍近くにまでなっています。

若い世代の離職者が増加している

近年の教育現場では、特に若い世代の離職率増加が懸念されています。

以下は、令和4年からの過去10年間で、「25歳未満」「25歳以上30歳未満」の教員が離職した人数をまとめたものです。

年度25歳未満25歳以上30歳未満
令和4年975人2,988人
令和3年701人2,511人
令和2年482人1,889人
令和元年467人2,059人
平成30年437人1,824人
平成29年356人1,599人
平成28年307人1,524人
平成27年254人1,511人
平成26年242人1,375人
平成25年256人1,372人

若年層の教員からの離職は平成から令和にかけて緩やかに増加傾向にありましたが、特に令和3年・令和4年で一気に増加。

「25歳未満」では令和4年に975人の離職者を出しており、平成25年と比較すると約4倍です。

教員採用試験の倍率も年々低下傾向にあり、業界全体の人手不足・人材不足が現状の大きな課題となっています。

若い世代の教員の離職率が増加している3つの原因 

若い世代の教員の離職率が増加している原因としては、以下の3つが挙げられます。

  • 長時間労働による退職
  • 業務過多による退職
  • 職場環境が悪い

長時間労働による退職

長時間労働による退職は、若い教員の離職を増加させる原因のひとつです。

令和4年の文部科学省「教員勤務実態調査の集計について」によると、週50時間以上働いている教員の割合は小学校で64.4%、中学校で77.2%。

一般的な法定労働時間は40時間であることを踏まえると、6〜7割の教員は法定を大きく上回る長時間労働に従事していることになります。

教員は授業の進度や学校行事に業務内容が左右されやすいため、長時間労働も暗黙の了解や慣習として行われている側面はあるでしょう。

一方、教育現場の慣習に対して若年世代の就業意識が時代とともに変化しつつある可能性も。

教員として採用されたものの、就業前のイメージと違った・自分の時間をもっと作りたいといった理由が離職理由として挙げられるでしょう。

また、長時間労働の環境下で体調を崩すなど、物理的に離職を余儀なくされるケースもあります。

業務過多による退職

教育現場の人手不足による業務過多の傾向も、若い世代の離職増加の原因のひとつ。

以下は、令和6年から10年間の教員採用試験の倍率の推移をまとめたものです。

倍率平均小学校中学校高校
令和6年3.2%2.2%4%4.3%
令和5年3.4%2.3%4.3%4.9%
令和4年3.7%2.5%4.7%5.4%
令和3年3.8%2.6%4.4%6.6%
令和2年4%2.7%5.1%6.1%
令和元年4.2%2.8%5.7%6.9%
平成30年4.9%3.2%6.8%7.7%
平成29年5.2%3.5%7.4%7.1%
平成28年5.2%3.6%7.1%7%
平成27年5.4%3.9%7.2%7.2%

教員採用試験の倍率は平成27年からの10年間で低下傾向にあり、「教員のなり手」自体が減少しつつあることがわかります。

公務員の安定感から一定の志望者はいるものの、現場の人手不足から1年目から担任や部活動の顧問を務めなくてはならないといった状況も増加。

新人のうちから業務量過多な状況に置かれることで体調を崩し、離職してしまう人もいるでしょう。

職場環境が悪い

職場環境の悪さも、若い教員の離職が増えている原因といえます。

例えば、業務過多でプライベートが犠牲になる・先輩教員と折り合いが悪いといった状況が考えられるでしょう。

ベテラン教員による旧態依然とした「慣習」「暗黙の了解」が根強く、若手が自分の意見を言いにくい環境という可能性もあります。

具体的な職場環境は在籍する学校によっても違いますが、教員は通常数年で学校間を異動します。

一度良好な職場に恵まれても定年まで維持できる可能性が極めて低く、モチベーションの維持が難しい側面もあるでしょう。

ただし、近年は国を挙げて教員の働き方改革が推進されています。

勤務時間の管理や就業環境の整備などが進められており、今後の教育業界はより「働きやすい」状態に整えられていく可能性はあるでしょう。

まとめ

当コラムでは、教員の離職率について以下の内容で解説しました。

  • 教員の離職率は9%ほどで、一般的な離職率の平均15%と比較すると低い。
  • 教員の離職率が低い理由としては、「公務員としての安定性」「業務内容や就業時間の長さで転職しにくい」「一般職に転職する不安がある」の3つ。
  • 教員の離職率は年々増加しており、特に30歳以下の若い世代で顕著。
  • 若い教員の離職率が増加している原因としては、「長時間労働」「業務過多」「職場環境の悪さ」などが挙げられる。
  • 近年は教員の働き方改革が推進されており、今後業界全体の職場環境改善の可能性には期待感がもてる。

教員は安定感や「教育者」への憧憬から常に一定の人気がある職業ですが、ここ数年は業務や職場環境の過酷さから敬遠される傾向も。

特に若年層の離職率は顕著に上昇しており、さらに人材不足が加速する悪循環が起きつつあります。

ただし、近年は教育業界全体で働き方改革が進められており、将来的に就業環境が整えられていく可能性は高いです。

「安定感のある公務員」としても「子どもの身近なお手本」としても、目指す価値は依然高い職業といえるでしょう。

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