教員採用試験とは?試験概要・日程・申込方法・受験料・適性検査を解説
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教員になるための最後の関門となるのが、教員採用試験。
教員を目指している場合は、教員採用試験がどういうものなのか事前に知っておきたいという方も多いでしょう。
本コラムでは、教員採用試験の基本的な情報について解説します。
また、教員採用試験の試験概要や日程、申込方法、受験料などについても紹介するため、ぜひ最後まで読んで今後の参考にしてください。
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教員採用試験とは?
教員採用試験の正式名称は、教員採用候補者選考試験(検査)です。
都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施しており、一般的に公立の小学校・中学校・高校の教員採用試験のことを指します。
また、合格後すぐに教員として働けるということではありません。
合格すると各自治体が作成する教員採用候補者名簿に自分の名前を登録することができ、年度の採用人数に合わせて選ばれた場合に採用となります。
教員採用候補者名簿は成績順に記載されるため、その年の採用年度が少なかった場合には自分の順番まで回ってこない場合もあります。
教員採用試験の受験資格
教員採用試験を受験するためには、教員免許を取得している、もしくは取得予定であることが条件です。
そのほか、自治体によっては年齢制限が設けられており、一定年齢以上になると受験できない場合があります。
文部科学省の令和5年度公立学校教員採用選考試験の実施方法によると、令和5年度では年齢制限なしが68県市中53県市、上限の年齢51〜58歳が2県市、上限の年齢41〜50歳が11県市、上限の年齢36〜30歳が2県市でした。
以下、過去4回分の公立の教員採用試験の受験年齢制限の状況です。
制限なし | 51〜58歳 | 41〜50歳 | 36〜40歳 | |
---|---|---|---|---|
令和元年度(平成30年度実施) | 33 | 2 | 28 | 5 |
令和2年度(令和元年度実施) | 41 | 1 | 23 | 3 |
令和3年度(令和2年度実施) | 47 | 1 | 18 | 2 |
令和5年度(令和4年度実施) | 53 | 2 | 11 | 2 |
※単位は県市/68県市
年齢制限なしの自治体が多い傾向ですが、年齢が上がると受験できる自治体は減ってしまいます。
試験を受ける際には、希望する自治体の年齢制限を事前に確認しておきましょう。
また、教員採用試験の受験資格には欠格事項というものがあります。
地方公務員法、学校教育法で規定された欠格事項にひとつでも該当すると、受験することはできません。
欠格事項は以下のとおりです。
地方公務員法 第16条
次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
- 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
- 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、同法第六十条から六十三条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
※出典:地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条(欠格条項)
学校教育法第9条
次の各号のいずれかに該当する者は、校長又は教員となることができない。
- 禁錮以上の刑に処せられた者
- 教育職員免許法第十条第一項第二号又は第三号に該当することにより免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者
- 三教育職員免許法第十一条第一項から第三項までの規定により免許状取上げの処分を受け、三年を経過しない者
教員採用試験の内容は?
教員採用試験の内容は、一般的に以下の試験内容が実施されます。
- 筆記試験
- 論文試験
- 面接試験
- 実技試験
ただし、教員採用試験の内容は自治体によって異なる場合があります。
本コラムでは、一般的に行われる試験についての解説となる点に注意してください。
筆記試験
筆記試験は、以下の3つにわかれます。
- 教職教養試験
- 一般教養試験
- 専門教養試験
教職教養試験
教職教養試験は、文部科学省が目指す日本の教育の方向性を理解しているかどうかが問われる試験です。
主な出題分野は、教育原理・教育法規・教育心理・教育史・教育時事の5つです。
そのほか、道徳教育や人権教育の原理などの分野からも問題が出題されます。
一般教養試験
一般教養試験では、教科問題と時事問題、一般常識の分野から問題が出題されます。
教科問題は国語、算数、英語、理科、社会の5教科から均等に出題されますが、高校レベルまでとなっているため、そこまで難易度は高くありません。
時事問題と一般常識では、過去約3年間に起きた出来事やニュースから問題が出されます。
幅広い知識が求められるため、日頃から社会に関心を持って新聞やニュースなどをチェックしておきましょう。
専門教養試験
専門教養試験は、志望する教科に関する専門知識と教科に応じた指導要領や指導方法などが問われる試験です。
志望先が小学校の場合は、出題される問題のレベルは高校までの標準的なものです。
ただし、中学や高校の各科目を志望する場合は、志望教科の専門的な内容や大学入試レベルの内容からも問題が出題されます。
また、学習指導要領からの出題は、主に教科の目標や各学年の目標および内容などが中心です。
論文試験
論文試験は各自治体によって内容が異なりますが、基本的に約1時間の制限時間の間に約600〜2000字の小論文を作成します。
また、試験で問われる論述テーマはさまざまです。
「教師になるために大切な資質とは」などの教育論や教師論が問われるテーマから、「生活指導の方法について」などの実践能力が問われるテーマまで幅広く出題されています。
面接試験
面接試験では、受験生の人間性や教育に関する考え方、指導能力などを総合的に判断されます。
また、最近の教員採用試験では、筆記試験よりも面接試験の方が重要視されている点に注意が必要です。
自治体によって面接試験の方法はさまざまです。
個人面接やグループ面接、集団討論のほか、模擬授業を実施するケースもあり、1回だけでなく複数回面接を実施する自治体が増えています。
面接試験の内容については、受験する自治体の方法を事前に確認しておきましょう。
また、従来、面接担当者は校長や教頭、教育委員会の職員が行っていましたが、客観的な判断をするために、最近では民間企業の人事担当者や弁護士などに依頼する自治体も増えています。
採用する側も人間性や実践力などを重視する傾向となっているため、筆記試験だけでなく面接試験についても事前の対策が必要になるでしょう。
実技試験
実技試験とは、面接官の前で希望する科目の実技を行う試験です。
基本的に1次試験の筆記試験・面接試験のあと、2次試験で実施されます。
対象となる方は、小学校教員を志望する方、中学校・高校の英語、音楽、体育、美術、家庭科の教員を目指す方です。
以下、実技試験の内容例一覧です。
科目 | 実技内容例 |
---|---|
英語 | スピーチ、ディスカッション |
音楽 | ピアノ演奏、歌唱 |
体育 | 跳び箱、マット運動、水泳 |
美術 | デッサン |
家庭科 | 調理、被服 |
実技試験では、高いスキルではなく基本的な内容・レベルが問われます。
また、試験に取り組む姿勢なども評価対象になる点も注意しておきましょう。
なお、自治体によっては実技試験を実施しない場合もあります。
教員採用試験の日程はいつ?
教員採用試験の一般的な日程は、以下のとおりです。
試験日 | 6〜9月 |
出願 | 3月下旬〜4月 |
一次試験 | 6〜7月 |
二次試験 | 8〜9月 |
合格発表 | 9月下旬〜10月 |
試験時期については自治体ごとによって異なるため、注意が必要です。
自分が受験を希望する自治体のスケジュールは事前に確認するようにしましょう。
以下、主要都市の教員採用試験日程一覧です。
主要都市 | 申込期間 | 1次試験 | 2次試験 | ||
東京都 | 令和6年4月1日〜5月8日 | 令和6年7月7日 | 面接 | 令和6年8月17日・18日・19日 | |
実技(対象校・教科のみ) | 令和6年8月25日 | ||||
大阪市 | 令和6年3月15日〜4月22日 | 筆答 | 令和6年6月15日 | 筆答・実技・面接 | 令和6年8月中 |
面接 | 令和6年6月8日・9日・22日・7月6日・7日のいずれか | ||||
名古屋市 | 令和6年4月19日〜5月8日 | 令和6年6月15日 | 令和6年7月20日・21日 | ||
札幌市 | 令和6年4月8日〜5月2日 | 令和6年6月16日 | 令和6年8月2日~4日 | ||
横浜市 | 令和6年4月10日〜5月13日 | 令和6年7月7日 | 令和6年8月上旬〜9月上旬 | ||
京都市 | 令和6年4月10日〜5月10日 | 筆記 | 令和6年6月15日 | 実技 | 令和6年8月15日・16日のうち指定する1日 |
面接 | 令和6年6月29日・30日・7月6日・7日のうち指定する1日 | 面接 | 令和6年8月18日〜24日のうち指定する1日 | ||
神戸市 | 令和6年4月10日〜5月10日 | 筆記 | 令和6年6月15日 | 実技 | 令和6年7月20日〜8月17日 |
集団面接 | 令和6月28日・29日 | 個人面接 | 令和6年7月29日〜8月10日 | ||
広島市 | 令和6年4月8日〜5月8日 | 令和6年7月13日・14日 | 令和6年8月17日〜19日 | ||
沖縄県(夏選考) | 令和6年3月1日〜3月29日 | 令和6年6月16日 | 令和6年8月24日・25日 |
試験日程が異なるだけでなく、1次選考・2次選考の内容も各自治体によって異なります。
また、都市によっては、3次試験を実施することもあります。
詳しい日程を知りたい場合は、受験を検討している自治体のホームページを確認しましょう。
教員採用試験の倍率・難易度は?
令和5年度に実施した教員採用試験の全体平均倍率は、3.4倍でした。
ただし、区分ごとに倍率は異なり、高校だと4.9倍になっています。
倍率の観点から、教員採用試験は難易度が高い試験だといえるでしょう。
受験する場合は、事前に対策をする必要があります。
以下、令和5年度教員採用試験の実施状況です。
区分 | 受験者数 | 採用者数 | 競争率(採用倍率) |
---|---|---|---|
小学校 | 38,952 | 17,034 | 2.3 |
中学校 | 41,048 | 9,589 | 4.3 |
高等学校 | 22,463 | 4,599 | 4.9 |
特別支援学校 | 7,845 | 3,336 | 2.4 |
養護教諭 | 9,170 | 1,234 | 7.4 |
栄養教諭 | 1,654 | 189 | 8.8 |
合計 | 121,132 | 35,981 | 3.4 |
小学校・中学校・高校だけに注目すると、倍率は2.3〜4.9倍と幅があります。
また、小学校よりも中学校・高校の方が、受験を希望する数に対しての採用枠が少ない状況となっています。
しかし、直近の数年に注目すると、教員採用試験の倍率は下落傾向です。
倍率が下落している理由は、団塊世代が定年退職を迎えている時期が来ている点と民間における売り手市場などが考えられます。
民間でも同様の理由で人手不足となっている現状から、好条件で採用を実施している企業が多く、教員よりも給与面で待遇の良い企業で働くことを選ぶという方も増えています。
そのため、教員採用試験を目指している方にとってはチャンスであり、現在は合格する可能性が高い時期だといえるでしょう。
ただし、求められる知識やスキルに関しては大きな変化はありません。
現場で必要とされるレベルの知識やスキルを持っていなければ、教員採用試験に合格することはできないでしょう。
「しっかり勉強して対策を講じれば合格するチャンスがある」という程度に捉えておくのをおすすめします。
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まとめ
本コラムでは、教員採用試験の試験についての情報を解説しました。
以下、コラムの要点です。
- 教員採用試験は都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施し、一般的に公立小学校・中学校・高校の教員採用試験のことを指す
- 受験資格は教員免許を取得している、もしくは取得予定であること
- 自治体によっては受験資格に年齢制限を設けているケースもある
- 教員採用試験の内容は基本的に筆記試験・論文試験・面接試験・実技試験の4つ
- 教員採用試験は例年6〜9月で実施されるが、自治体によってスケジュールは異なる
- 令和5年度実施の教員採用試験の倍率は、小学校が2.3倍、中学校が4.3倍、高校が4.9倍
- 教員採用試験の倍率は直近の数年で下落傾向だが、求められる知識・スキルに変化はないため難易度は高い
教員になるためには教員免許を取得後、各自治体の教員採用試験に合格しなければなりません。
試験内容は、筆記から人物を評価する試験までさまざまです。
しっかり対策を行わないと希望する自治体での合格は難しいでしょう。
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