中学校や高校で社会科を教える社会科の教員。

専門性の高い職業のため、就職する難易度や試験倍率について気になる方も多いでしょう。

本コラムでは、社会科教員の倍率や難易度について詳しく解説します。

社会科の教員になるための方法や教員採用試験の対策、社会科の教員に向いている人の特徴についても触れるため、教員に興味がある方はぜひ今後の参考にご覧ください。

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社会科の教員になるのは難しい?

社会科の教員採用試験の倍率が高いため、社会科の教員になることは難易度が高いといえます。

以下、令和3年〜5年における中学校・高校の教員採用試験の全国平均倍率です。

中学校

教科倍率(全国平均)
社会6.1倍
国語3.2倍
数学4.1倍
理科3.1倍
英語3.5倍

高校

教科倍率
公民8.8倍
地理歴史6.7倍
国語3.8倍
数学6.5倍
理科6.1倍
※参考:公立学校教員採用選考:文部科学省
※過去3年間の倍率の平均値です。

中学校における社会科教員の倍率は、6.1倍でした。

主要教科である国語・数学・理科・英語の倍率よりも大幅に高い数値であり、社会科教員になることは難易度が高いといえます。

また、高校の社会科の教科は、公民と地理歴史の2つがあります。

データによると公民の教員の倍率は、8.8倍でした。

地理歴史の教員の倍率は、6.7倍です。

どちらも中学校の社会科教員の倍率である6.1倍よりも高い数値です。

さらに主要教科である国語の3.8倍、数学の6.5倍と比較しても、公民・地理歴史の倍率のほうが高くなりました。

平均倍率の結果から、高校の公民・地理歴史の教員になることも難易度が高いといえるでしょう。

ただし、教員採用試験の倍率は受験する年や自治体により異なるため、受験する自治体によっては倍率が高いもしくは低い場合があります。

社会科の倍率はなぜ高い?

社会科教員の倍率が高い要因として、受験者数の多さが考えられます。

以下、中学校・高校における教員採用試験の受験者数をまとめた表です。

中学校

教科受験者数合格者
社会7,675名1,261名
国語4,237名1,329名
数学5,812名1,403名
理科3,908名1,263名
英語5,207名1,497名

高校

教科受験者合格者
公民842名97名
地理歴史2,963名445名
国語2,299名614名
数学3,448名531名
理科2,829名470名
※参考:公立学校教員採用選考:文部科学省
※過去3年間(令和3〜5年)の受験者数の平均値です。

中学校のデータでは、社会科の受験者数の平均が7,675名でした。

ほかの主要教科と比較すると、社会の受験者数は多い傾向があります。

しかし、合格者数はほかの教科と変わらないもしくは少ないため、社会科教員の倍率が高くなり難易度も高くなっています。

また、高校における公民の受験者数は少ないですが、受験者数に対する合格者数が少ないため倍率が高いです。

地理歴史の受験者数においても、ほかの教科に比べて大幅に多くはありませんが、受験者数に対する合格者が少ないため倍率は自ずと高い傾向になります。

社会の教員採用試験の難易度は高い?

例年の倍率に注目すると「試験の問題がすごく難しいのでは?」と感じるかもしれませんが、教員採用試験の専門教養である社会科が特別難しいということはありません。

社会科の出題範囲は、高校入試〜高校1年生レベルを中心に大学入試共通テストレベルまで幅広く設定されています。

難関問題が出題されることは少ないため、しっかり勉強をして臨めば合格できる試験です。

また、範囲となる科目は、中学校・高校で指導する以下の科目です。

  • 世界史
  • 日本史
  • 地理
  • 政治経済
  • 倫理
  • 学習指導要領、指導法

基本的に中学校の社会科教員試験は全科目から出題されます。

対して、高校の教員採用試験では、以下の3パターンに分類されて出題されます。

  1. 地理歴史と公民(政治経済倫理)にわけて出題
  2. 日本史、世界史、地理、政治経済、倫理ごとに出題
  3. 地理歴史・公民すべてから出題もしくは一部選択

ただし中学校・高校にかかわらず、教員採用試験の試験内容や出題範囲、例年の傾向は自治体によって異なるため注意が必要です。

受験対策を講じる前には、受験する自治体の過去問などを確認して難易度が高いかどうかを判断しておきましょう。

社会科の教員になるためには?

社会科の教員になるためには、以下の過程が必要です。

  • 教員免許を取得する
  • 教員採用試験に合格する

教員免許を取得する

社会科の教員になるためには、教員免許を取得しなければなりません。

教員免許には、以下の3種類があります。

  • 普通免許状
  • 特別免許状
  • 臨時免許状

中学校・高校で働く多くの教員が取得しているのは、教員免許の普通免許状です。

また、普通免許状は卒業した学校により、以下の3区分にわかれます。

  • 一種免許状:大学を卒業し、学士を取得した人が取得できる
  • 二種免許状:短期大学を卒業し、学士を取得した人が取得できる
  • 専修免許状:大学院などを卒業し、修士の学位を取得した人が取得できる

さらに、教員免許は教科別になっています。

中学校・高校の社会科教員になるためには、以下のいずれかの教員免許が必要です。

中学校

  • 中学校教諭一種免許状(社会)
  • 中学校教諭二種免許状(社会)
  • 中学校教諭専修免許状(社会)

高校

  • 高等学校教諭専修免許状(公民)
  • 高等学校教諭一種免許状(公民)
  • 高等学校教諭専修免許状(地理歴史)
  • 高等学校教諭一種免許状(地理歴史)

高校で教員になるためには、一種もしくは専修免許状が必要です。

つまり、大学に進学しなければ取得できません。

また、高等学校教諭免許状(公民)を取得すると、高校で現代社会・倫理・政治経済を教えることができます。

対して、高等学校教諭免許状(地理歴史)は、日本史A・日本史B・世界史A・世界史B・地理A・地理Bを教えることが可能です。

教員採用試験に合格する

実際に社会科の教員として働くためには、教員免許取得後に教員採用試験を受験し、合格しなければなりません。

教員採用試験は、都道府県や政令都市の教育委員会が実施しており、公立の小学校・中学校・高校の教員を採用するために行われる試験です。

しかし、合格すればすぐに教員として働けるわけではありません。

教員採用試験に合格すると、合格した自治体の教員採用候補者名簿に自分の名前を登録でき、年度の採用人数内に選ばれると正式に社会科教員として採用されます。

一般的な教員採用試験では、一次試験で筆記試験(教職教養・一般教養・専門教養)、二次試験で論文試験や面接、実技試験などの人物試験が行われます。

ただし、教員採用試験の内容は自治体によって異なるため注意が必要です。

例えば、筆記試験で教職教養や一般教養を省いている自治体や、論文試験が一次試験で実施されるケースもあります。

受験する際には、希望する自治体の試験内容や出題範囲を必ずチェックしましょう。

社会科の教員採用試験の対策3選

社会科の教員採用試験対策としておすすめの方法は、以下の3つです。

  • 自治体の試験内容と過去問を把握する
  • 面接対策に力を入れる
  • 通信講座を利用する

自治体の試験内容と過去問を把握する

社会科の教員採用試験を受験する際には、まず受験する自治体の試験内容と過去問をしっかり把握することが重要です。

教員採用試験の内容は各自治体によって異なり、きちんと試験対策を行うには一次試験や二次試験で何が実施されるのか知る必要があります。

一般的に筆記試験では、教職教養・一般教養・専門教養の試験科目が実施されますが、自治体によっては一般教養や教職教養を省いて試験を行っているケースがあります。

また、人物像や教育への考え方が問われる論文試験なども実施されますが、すべての自治体で行われているわけではありません。

筆記試験のレベルや出題範囲も自治体で変わることが多く、合格するためには過去問を確認して自治体が求めるレベルや試験の傾向を確認することが大切です

さらに、過去問を解くことは自分自身の今の実力を把握することにも繋がります。

過去問演習で自分の苦手な分野や問題がわかったら、試験までに克服しておくと良いでしょう。

面接対策に力を入れる

社会科の教員として合格するためには、人物像を判断される面接試験の対策に力を入れる必要があるでしょう。

昨今の教員採用試験は、知識力よりも人柄を重視する傾向があります。

教員採用試験の面接対策のポイントは、以下の5つです。

  • 面接に相応しい服装と髪型にする
  • 質問に対して明確に答えられるようにする
  • 質問内容をいくつか想定しておく
  • 教育関係のニュースや雑誌で最新情報をチェックしておく
  • 模擬面接を行う

面接試験に合格するためには、事前の準備が重要です。

まず、あらかじめ面接官からされる質問内容を想定して、回答する内容を考えてまとめましょう。

中には、現在の教育に対する考え方や時事問題に関する質問がされるため、ニュースや雑誌などで情報を確認することも必要です。

回答内容などがまとまったら、質問に対して自分の考えを明確に答えられるよう、何度か模擬面接を実施しましょう。

面接の練習で慣れておけば、面接当日も普段の実力が発揮できます。

通信講座を利用する

独学だけで教員採用試験に合格できるのか不安、自分一人だと十分に面接対策できないという場合には、通信講座を活用した対策がおすすめです。

通信講座では、教員採用試験の筆記試験や人物試験対策用の講座があります。

通信講座であれば、各自治体の傾向を分析して組まれたカリキュラムがすでに用意されているため、自治体の傾向や過去問の情報などを自分で調べる手間が省けます。

普段、学校生活などで忙しい方でも通信講座を活用すれば、十分な受験対策が可能です。

中でもアガルートの教員採用試験対策講座は、1次試験(筆記試験)と2次試験(人物試験)の両方の対策が可能で、効率的に合格が目指せます。

一次試験対策では、出題範囲が広い教職教養・一般教養を効率的に学べるだけでなく、どのように学習すれば良いか、どの分野が頻出問題なのかなど、合格に近づくポイントも教えています。

また、アガルートの教員採用試験対策講座の二次試験対策は、採点官が見るポイントや高評価を得るための言動などを解説し、人柄重視の採用試験に対してしっかり対策できるようなカリキュラム構成です。

さらに、受験予定の自治体に合わせた模擬試験が実施できるオフィスアワーも含まれているため、独学では対策しづらい二次試験対策がバッチリできます。

社会科の教員に向いている人の特徴3選

社会科の教員に向いている人の特徴は、以下の3つです。

  • 社会科が好きな人
  • 社会科について深く理解している
  • コミュニケーション能力がある

社会科が好きな人

社会科の教科が好きな人は、社会科の教員に向いているでしょう。

小さい頃から社会科の教科が好きだと、熱意を持って生徒に指導することができます。

また、日本史や世界史、地理などの社会科に分類される教科は、多くの知識量や専門性の高さが求められます。

好きだと各教科を積極的に学ぶことができ、教員免許を取得する大学時代までには、生徒に教えられるレベルの知識量を得ている人が多いでしょう。

さらに社会科が好きな人であれば、各教科が嫌い・苦手という生徒に対して地理や歴史を学ぶ楽しさも伝えられます。

社会科について深く理解している

生徒に教える立場である社会科の教員には、社会科について深く理解している人が向いています。

社会科の教科には、世界史や日本史、地理、政治経済などがあります。

覚えるべき知識量が膨大であり、社会科について深く理解していないと生徒に指導することは難しいでしょう。

また、中学校の教員になった場合は、社会科の全教科を教えることになります。

高校よりも教えるレベルは低いですが、社会科全体についての知識や理解度が求められます。

高校の社会科教員は、公民と地理歴史でわかれますが、大学入試レベルの高度な分野まで教えられる実力が必要です。

社会科の教員になりたい方は、社会科の深いところまで理解できるよう勉強しておきましょう。

コミュニケーション能力がある

社会科の教員は、コミュニケーション能力がある人が向いているでしょう。

中学校や高校の教員は、生徒や保護者など多くの人と接する機会が多い仕事です。

また、教員として働くと、社会科が嫌いという生徒に向き合わなければなりません。

相手に合わせて話す、相手の立場に立って考えるなどの力も必要となり、生徒に寄り添いながらコミュニケーションを取ることも重要です。

さらに、社会科教員は、学級の担任や部活の顧問、進路指導などの業務も行います。

多くの生徒とコミュニケーションを取って信頼を得られなければ、クラスや部活をまとめることは難しいでしょう。

まとめ

本コラムでは、社会科の教員の難易度や倍率、社会科教員になるための方法などを解説しました。

以下、コラムの要点になります。

  • 教員採用試験の倍率が高いため、社会科の教員になることは難易度が高いといえる
  • 社会科の教員採用試験自体は特別難しいことはなく、出題範囲は高校入試〜大学入試共通テストレベルまで幅広く設定されている
  • 社会科の教員になるためには、教員免許を取得して教員採用試験に合格しなければならない
  • 教員採用試験の対策には、自治体の試験内容と過去問を把握する、面接対策を入念に行う、通信講座を利用するの3つが大切
  • 社会科の教員に向いている人の特徴は、社会科が好きな人、社会科について深く理解している人、コミュニケーション能力がある人の3つ

倍率が高い社会科教員に合格するためには、きちんと試験対策することが重要です。

独学での対策が難しい場合は、通信講座を上手に活用しながら効率的に合格を目指しましょう。

社会科教員に興味がある方は、難易度の高さで諦めずに、ぜひ教員採用試験に挑戦してみてください。

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