「教員の人事異動ってどうやって決まるんだろう」

「教員は人事異動をいつ知るのかな」

上記のように、教員の人事異動について疑問に思ったことはありませんか?

結論、公立学校の教員の人事異動は、教育委員会が決定します。

ただ、その背景にはさまざまな理由が絡んでいることも事実です。

このコラムでは、教員の人事異動の仕組みや人事異動がわかる時期について解説します。

人事異動になる4つの理由についても解説するため、教員を目指している方は最後までチェックしてみてください。

教員の人事異動はどうやって決まる?

公立学校の教員の人事異動は、最終的には教育委員会が決定します。

しかし、その過程では校長の意見や教員個人の希望も考慮されます。

教員の人事異動の具体的な流れは以下の通りです。

  1. 教員が校長に異動の希望を伝える
    まず、教員が校長に異動の希望を書面で伝えます(勤務先の学校による希望調査)。
    希望の地域や校種などについて、第1希望から第3希望まで選べるのが一般的です​。
    また、校長が教員と面談し、異動の希望を詳しく把握します。
  2. 校長が教育委員会に意見を伝える
    次に、校長が教員の希望や学校全体の状況を総合的に判断し「誰を異動させるか」について教育委員会に意見を提出します。
    例えば「〇〇さん(教員名)は異動して新たな経験を積んでもらいたい」「〇〇さん(教員名)は現状の役割を全うしてもらいたい」などです。
  3. 教育委員会が人事異動を決定する
    最後に、教育委員会が各学校の校長からの意見や教員配置のバランスなどを考慮し、教員を「どこに異動させるか」を決めます。

このように、公立学校の教員の人事異動は、校長の意見や教員個人の希望も考慮される仕組みになっています。

ただし、必ずしも希望通りになるとは限りません。

教員の人事異動はいつわかる?

一般的に、公立学校の教員の人事異動は、3月初旬から中旬頃にわかります。

具体的には、3月初旬〜中旬頃に異動予定の「地域」が伝えられ(内々示)、その約1週間後に異動先の「学校名」が知らされます(内示)。

具体的な人事異動の流れの例は以下のとおりです。

時期教員の人事異動の主な動き
前年10月~11月教員が校長に異動希望を伝える(異動の希望調査)
3月初旬~中旬3月初旬〜中旬頃に異動予定の「地域」が通知される(内々示)
3月初旬~中旬内々示の約1週間後、異動先の「学校名」が通知される(内示)
3月下旬~4月初旬異動する教員が引継ぎなどを行う

ただし、これはあくまで一般的な時期です。

各自治体の教育委員会の方針や、各教員の事情によって異なる場合があります。

転居を伴う異動がある場合は、1月から2月頃に人事異動の旨を伝えられることもあります。

教員が異動になる理由4選

ここからは教員が異動になる主な理由を4つ紹介します。

  • 個人の要望による異動
  • 昇進による異動
  • 教員の増減による異動
  • 自治体の方針による異動

順番に解説します。

個人の要望による異動

教員が異動になる主な理由の1つ目は、個人の要望による異動です。

10月〜11月頃に、勤務先の学校で異動の希望調査が行われ、教員は異動したい旨を校長に伝えます。

例えば以下のような希望を提出。

  • 異動希望の地域
  • 異動希望の校種
  • 希望の担当業務

教員個人の希望や個別の事情が考慮され、異動になることがあります。

昇進による異動

2つ目は、昇進による人事異動です。

教頭や校長などの管理職に昇進すると、勤務校が変わる可能性が高い傾向にあります。

また、学校間の異動にとどまらず、学校現場から教育委員会への異動となる場合も少なくありません。

教員が管理職へ昇進した場合、現場の教員業務から離れ、自治体の教育政策や管理業務に携わることもあります。

教員の増減による異動

3つ目は、教員数の増減による異動です。

例えば、退職や休職などによる欠員補充のため、ほかの学校から教員を異動させる場合があります。

また、地域の人口増加に伴い生徒数が急増すると、教員の人数調整のため人事異動が行われる場合も少なくありません。

自治体の方針による異動

最後は、自治体の方針による異動です。

各自治体には、一定の在籍年数を超えた教員を異動させる方針があります。

なぜ自治体ごとに異動の方針が決まっているかというと、人材の流動化や指導力の向上を図るためです。

例えば、名古屋市の場合は同一校に8年以上在籍した教員が異動の対象になります。

また、新規採用後に同じ学校で6年以上勤務した教員も異動が推奨されています。

一方、鳥取市の場合、同じ学校で7年以上勤務すると異動対象です。

また、新規採用後に同じ学校で3年以上勤務した教員も異動対象になります。

自治体名異動対象となる年数
名古屋市8年以上(新規採用は6年以上)
鳥取市7年以上(新規採用は3年以上)
参考:名古屋市公立学校教職員人事異動基本方針
参考:令和6年度末公立学校教職員人事異動方針等について

異動対象となる年数やそのほかの条件は自治体によって異なるため、詳しくは自治体の公式サイトで確認してください。

まとめ

このコラムでは、公立学校の教員の人事異動教員の人事異動の仕組みや人事異動がわかる時期について解説しました。

教員の人事異動は、教育委員会が最終決定を行いますが、その過程で校長の意見や教員本人の希望も考慮されます。

毎年3月初旬〜中旬に内々示があり、そのあと1週間ほどで具体的な学校名が内示されるのが一般的です。

また、教員が人事異動になる主な理由として、以下の4つを紹介しました。

  • 個人の希望による異動
  • 昇進による異動
  • 教員数の増減による異動
  • 自治体の方針による異動

異動の方針や条件は、各自治体によって異なる場合があります。

具体的な異動の方針や条件について知りたい場合は、勤務を希望する自治体の公式サイトを確認するのがおすすめです。

教員の人事異動の流れを理解して、今後のキャリアプランの参考にしてみてください。