中学校や高校の数学教員を目指している方の多くは、試験の難易度や倍率について気になっているのではないでしょうか。

数学教員の難易度を知っておけば、どこまで試験対策をすれば良いのかの目安になるでしょう。

本コラムでは、数学教員の試験難易度、倍率などを紹介します。

数学教員になるための流れについても解説するため、目指している方はぜひ今後の参考にご覧ください。

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数学教員の難易度は高い?倍率を紹介

令和3年〜5年における教員採用試験の数学教員の倍率は、全国の中学教員で約4.0〜4.3倍、高校教員で約5.5〜7.9倍で推移しています。

小学校の教員の倍率が全国平均で約2.5倍のため、数学教員の難易度は比較的高いといえるでしょう。

しかし、教員採用試験の難易度と倍率は、受験する年や受験する都道府県によって大きく異なります。

また、紹介した倍率は公立中学校・高校のデータです。

中学校や高校には私立があり、私立は学校によって難易度や倍率が変わります。

独自の採用試験を行っており、採用形態が学校によって異なるため、現段階では倍率を比較することは難しい状況です。

ほかの教科との倍率を比較

以下、数学とほかの教科の倍率について比較した表です。

紹介する倍率は、令和3年〜5年の3年間の全国平均倍率になります。

中学校数学国語社会理科音楽美術家庭技術保体英語
4.1倍3.2倍6.1倍3.1倍4.6倍3.0倍2.6倍2.1倍8.9倍3.5倍
高校数学国語地理歴史公民理科音楽美術保体
6.5倍3.8倍6.7倍8.8倍6.1倍6.0倍5.5倍11.1倍
書道看護家庭農業工業商業水産
8.7倍1.8倍3.1倍4.4倍3.2倍6.4倍2.2倍

中学校では、数学の平均倍率が4.1倍でした。

令和3年〜5年における倍率がもっとも高い教科は保健体育で、平均倍率は8.9倍でした。

保健体育と比較すると数学の倍率は低い傾向です。

しかし、国語・理科・美術は平均が3.0〜3.2倍のため、中学校の教科の中では難易度は高いほうの教科だといえます。

また、高校では、数学の平均倍率が6.5倍です。

高校になると専門性の高い教科もあるため比較することは難しいですが、全15教科の中で数学は5番目に倍率が高いです。

国語や理科などの倍率と比べると高くなり、高校の数学教員になる難易度も高い傾向があると考えられます。

数学教員になるためには?

数学教員になるための流れは、以下のとおりです。

  • 教員免許を取得する
  • 教員採用試験に合格する

教員免許を取得する

数学教員になるためには、まず教員免許を取得しなければなりません。

教員免許の種類は、普通免許状・特別免許状・臨時免許状の3種類です。

教員免許を取得する場合は、一般的に普通免許状を取得している方が多いです。

また、普通免許状は卒業した学校、過程によって専修、一種、二種の3区分にわかれます。

以下、免許状の3区分と必要とされる条件をまとめた表です。

普通免許状専修免許状大学院での博士課程修了程度の単位を取得後、申請すると授与される
一種免許状大学卒業程度の単位を取得後、申請すると授与される
二種免許状短大卒業程度の単位を取得後、申請すると授与される

さらに、中学校・高校どちらの数学の教員を目指すかによって、取得する教員免許の種類も異なります。

中学校の数学教員になるためには、以下のいずれかの教員免許が必要です。

  • 中学校教諭専修免許状(数学)
  • 中学校教諭一種免許状(数学)
  • 中学校教諭二種免許状(数学)

次に、高校の数学教員になるために必要な教員免許は以下のとおりです。

  • 高等学校教諭専修免許状(数学)
  • 高等学校教諭一種免許状(数学)

高校は中学校と異なり、二種区分がありません。

つまり、高校教員になるためには、大学卒業もしくは大学院修了の学歴が必要となります。

高校の教員になりたい場合は、教職課程を設けている大学に進学すべきでしょう。

教職課程があるほとんどの大学では、中学校と高校の教諭免許の同時取得が可能です。

教員採用試験に合格する

教員採用試験に合格し、採用されれば正式に中学校・高校の数学の教員として働けます。

教員採用試験は、一般的に都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施しており、公立の小学校・中学校・高校の先生として相応しいかどうかを判断する試験です。

教員採用試験は、以下の試験が実施されます。

  • 筆記試験
  • 論文試験
  • 面接試験
  • 実技試験

一般的に、一次試験で筆記試験や論文試験などが実施され、二次試験では面接などの人物試験が行われます。

ただし、教員採用試験で実施される内容は、各自治体によって異なるため注意が必要です。

合格すると各自治体の教員採用候補者名簿に自分を登録することができ、年度の採用予定人数に選ばれると教員として働くことができます。

教員採用試験の数学の難易度は?

高校の数学教員を目指す場合には、高校数学レベルが教えられる実力を持っている必要があるでしょう。

教員採用試験の専門教養「数学科」で出題される問題のレベルは、高校1年生のレベルから大学入試共通テストレベルまでと幅広いです。

また、試験の問題は、中学校・高校の数学教員が指導する以下の科目から出題されます。

  • 数学Ⅰ
  • 数学A
  • 数学Ⅱ
  • 数学B
  • 学習指導要領、指導法

ただし、出題範囲や問題の傾向は、自治体によって大きく異なります。

中には数学Ⅲや数学Cの問題が出される自治体があるため、注意が必要です。

教員採用試験を受験する際には、受験する自治体の過去問をチェックして、どのような問題が頻度高く出題されているのか把握しましょう。

数学教員に向いている人の3つの特徴

中学校・高校の数学教員に向いている人の3つの特徴は、以下のとおりです。

  • 数学が好きな人
  • 数学について深く理解している
  • コミュニケーション能力がある

数学が好きな人

数学教員に向いている人は、数学が好きな人です。

自分自身が数学が好きだと、生徒たちに対して熱意をもって指導できます。

実際に、教員として働いている方の多くは、学生時代から数学が得意もしくは好きで先生になった方が多いです。

また、数学は生徒によって好き嫌いがはっきりわかれる教科です。

中学校・高校の数学は、小学校と比べて概念や理論、問題解決の導き方など、より高度なスキルを数学が嫌い・よくわからないという生徒にも指導しなければなりません。

数学が好きな教員であれば、多くの生徒に対して数学の楽しさや数学の必要性などを授業を通して伝えられるでしょう。

数学について深く理解している

数学について深く理解している・知識力がある人は、教える立場である数学の教員に向いています。

数学は、論理的な思考が求められる教科です。

数学を深く理解していなければ複雑な概念などを論理立てて説明できず、生徒に対してもわかりやすく教えられない可能性があります。

また、数学について深く理解していなければ、大学入試に出題される問題などの指導を求められた際に、うまく説明できず困ってしまうかもしれません。

教員として数学を教える立場になるためには、数学という学問をしっかり理解し、数学の奥深さや考え方についてきちんと指導できることが大切です。

情熱をもって指導できれば、生徒たちに対して質の高い教育を提供できるでしょう。

コミュニケーション能力がある

中学校や高校の教員は、生徒たちやほかの教科の先生、保護者など、多くの人と接する機会が多い職業のため、コミュニケーション能力がある人が向いています。

数学の教員は、数学が苦手・嫌いという生徒とも向き合わなければなりません。

相手に合わせて話ができる、相手の立場に立って伝えようとしていることを汲み取るなどの力が求められます。

また、教員になると授業を行うほかに、学級の担任や部活の顧問、進路指導の担当などさまざまな業務も行います。

多くの生徒とコミュニケーションを取って信頼を得られなければ、クラスや部活をまとめたり、進路指導を行うことは難しいでしょう。

生徒や保護者から信頼を得るためには、真摯にコミュニケーションを取っていくことが重要です。

まとめ

本コラムでは、数学教員の難易度や倍率、数学教員になるための流れについて解説しました。

以下、コラムの要点です。

  • 数学教員の倍率は、中学教員で約4.0〜4.3倍、高校教員で約5.5〜7.9倍を推移している
  • 倍率から比較的難易度が高い傾向はあるが、倍率は受験する年や各自治体によって大きく異なる
  • 数学教員になるためには、教員免許を取得後に教員採用試験に合格しなければならない
  • 教員採用試験の数学のレベルは、高校入学から大学入試までと幅広い
  • 数学教員に向いている人の特徴は、数学が好きな人・数学について深く理解している人・コミュニケーション能力がある人の3つ

教員採用試験は、受験する自治体によって倍率や試験内容が変わるため、過去問などから例年の傾向を把握して対策を行うことが重要です。

教員採用試験に対して何をすれば良いのかわからないという方は、通信講座を活用して受験対策してみても良いでしょう。

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