近年、教員不足に関係するさまざまなニュースが報道されています。

そのため、教員を志望しながらも、教員不足による事務負担の増大や休暇の取りやすさなどの不安を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、教員不足の現状や教員が不足している理由を詳しく解説します。

教員不足を緩和するためにおこなわれているさまざまな取り組みについても紹介しているため、教員を目指す方はぜひ参考にしてみてください。

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教員不足の現状は?

文部科学省がおこなった「『教員不足』に関する実態調査」によると、小中高、特別支援学校のすべてで教員が不足している結果となりました。

校種教員の数教員の定数不足不足率
小学校379,59人380,198人979 人0.26%
中学校218,504人219,123人722人0.33%
高等学校159,688人159,837人159人0.10%
特別支援学校78,474人78,632人205人0.26%
合計836,264人837,790人2,065人0.25%
※参考:「『教員不足』に関する実態調査」文部科学省

とくに、小学校、中学校、特別支援学校の不足率は高等学校の約3倍となっています。

なお、すべての学校における人数をまとめると2,065人もの教員が不足していることが明らかになりました。

倍率は年々低下している

教員の人手不足が深刻化している要因のひとつが、教員採用試験における倍率の低下です。

教員採用試験の全国平均倍率を見ると、令和2年から令和6年までの5年間で少しずつ倍率が下がっていることがわかります。

年度受験者数採用者数倍率
令和6年115,619人36,421人3.2
令和5年121,132人35,981人3.4
令和4年126,390人34,315人3.7
令和3年134,267人35,067人3.8
令和2年138,042人34,875人4.0
※参考:「公立学校教員採用選考試験の実施状況」文部科学省

とくに、令和2年と令和6年を比較すると、増加している採用者数に対して受験者数が減少していることが顕著にわかります。

教員採用試験の倍率が低下している原因としては、民間企業への志願者増加が考えられるでしょう。

また、教員の仕事に対するイメージの悪化も志願者が減っている原因のひとつです。

「保護者対応が大変」「時間外の長時間労働が多そう」などのマイナスイメージから、教員を志願するハードルが上がっている面もあります。

教員が不足している5つの原因

教員が不足している5つの原因は以下のとおりです。

  • 教員を目指す人が減少している
  • 大量採用の世代が定年を迎えた
  • 学校に必要な教員数が増えた
  • 産休や育休が取りやすくなった
  • 若手教員の定着率の低下

教員を目指す人が減少している

教員を目指す人が減少していることも、教員が不足している原因のひとつです。

令和2年から令和6年度における教員採用試験を見ると、受験者数が年々減少していることがわかります。

年度受験者数
令和6年115,619
令和5年121,132
令和4年126,390
令和3年134,267
令和2年138,042
※参考:「公立学校教員採用選考試験の実施状況」文部科学省

なお、教員を目指す人が減少している理由としては、次のような内容が考えられています。

  • 長時間など業務に対しての給与が低い
  • 部活動など授業以外の業務負担
  • 保護者の対応など精神的な不安
  • 生活指導が必要な生徒への不安
  • 教材研究に時間を割けないことによる授業への懸念

教員に対して「キツそう」「ブラックな職場」などのイメージが先行していることも、志願者が減少しているひとつの要因といえるでしょう。

大量採用の世代が定年を迎えた

教員数が減少している理由として、1970年代のベビーブームに合わせて大量採用された教員が定年退職を迎えたことも考えられています。

学校教員時計調査によると、大量採用世代が退職期を迎えたことで近年では教員の平均年齢が下がっていることが明らかになりました。

しかし、定年退職により一気にポストが空いたものの、前述したように教員を目指す人は年々減少しています。

そのため、大量採用世代の穴を埋められずに、教員不足に陥っている現状があります。

※引用:「令和4年度学校教員統計(学校教員統計調査の結果)確定値の公表」文部科学省

学校に必要な教員数が増えた

教員を目指す人が減少している一方で、学校に必要な教員数が増えたことも教員数が減少している原因のひとつです。

令和2年から令和6年までの教員採用試験の実施状況を見ると、採用者数が増えていることがわかります。

年度採用者数
令和6年36,421人
令和5年35,981人
令和4年34,315人
令和3年35,067人
令和2年34,875人
※参考:「公立学校教員採用選考試験の実施状況」文部科学省

とくに、特別支援学校では過去10年間で特別支援教育を受ける児童数が約2倍に増加しています。

そのため、6〜8人の生徒に対して一人の教員が必要とされている状態です。

求められている教員数が増えているものの、教員を志願する人が減少していることから、十分な人材を確保できていない現状があります。

※参考:「特別支援教育の充実について」文部科学省

産休や育休が取りやすくなった

働き方改革により、産休や育休が取りやすくなったことも教員不足の原因と考えられています。

実際に産休や育休を取得する教員は急増しています。

しかし、休暇を取得している教員の補充が十分にできていないことがひとつの課題です。

なお、教員が産休や育休を取得すると、臨時教員や時間講師など非正規採用の教員がカバーするケースもあります。

しかし、近年は非正規採用の教員も足りておらず、正規採用の教員とともに人材の募集が課題となっています。

※参考:「教師不足の解消に向けた各教育委員会における取組事例」文部科学省

若手教員の定着率の低下

若手教員の定着率が低下していることも、教員不足の原因のひとつです。

平成25年から令和4年度までの10年間で、25歳未満および25歳以上30歳未満の退職者が約3.8倍まで増加しています。

年度25歳未満25歳以上30歳未満
令和4年975人2,988人
令和3年701人2,511人
令和2年482人1,889人
令和元年467人2,059人
平成30年437人1,824人
平成29年356人1,599人
平成28年307人1,524人
平成27年264人1,511人
平成26年242人1,375人
平成25年256人1,372人
※参考:地方公務員の退職状況等調査 | 総務省

若手教員が辞める背景には「イメージとのギャップ」「他にやりたいことがあった」などさまざまな理由が考えられます。

また、教員不足の現状による業務量増加も若手の退職に拍車をかけているひとつの課題といえるでしょう。

教員不足への対策と取り組みは?

教員不足への対策と取り組み

  1. 教員の働き方改革
  2. 教員採用試験の緩和
  3. 教員人材の発掘などに使える補助予算の確保
  4. 大学・民間企業と連携

教員の働き方改革

教員不足の対策として強力に進められているのが、教員の働き方改革です。

令和6年12月24日、財務省と文科省の間で「教師を取り巻く環境整備に関する合意」が締結されました。

「教師を取り巻く環境整備に関する合意」に記載されている項目内容は次の6つです。

  1. 教員調整額を令和12年までに10%に引き上げ
  2. 令和9年以降で、教職調整額の引き上げ方やメリハリ付け、その他よりも有効な手段なども含めて検討・措置
  3. 学級担任への義務教育等教員特別手当の加算や新たな級による処遇、他の教員特有の給与について見直し
  4. 指導・運営体制の充実を4年間で計画的に実施、令和7年度は小学校35人学級、令和8年度から中学校35人学級への定数改善、外部人材の拡充などの人員拡充策を実施
  5. 令和11年度までに平均の時間外在校等時間を約3割、月30時間程度への縮減を目標とし、外部対応・事務作業等の更なる縮減など業務見直しの厳格化
  6. 時間外在校等時間が月20時間程度に到達するまでに、幅広い観点で諸課題を整理

給与の改善や業務の見直しなど、教員に対するマイナスイメージを緩和できるような項目が目立ちます。

いずれも「学校における働き方改革を強力に進める」ための内容であるため、現役教師のみならず教員志願者からも注目が集まっています。

※参考:「教師を取り巻く環境整備に関する合意」財務省

教員採用試験の緩和

教員不足の現状を受けて、教員採用試験の緩和も進められています。

教員採用試験には受験年齢制限が設けられていますが、近年では年齢制限を撤廃し「制限なし」としている自治体も増加。

また、年齢制限を引き上げる自治体も増加しているなど、教員になるための入り口を広げ、教員不足を解消する対策が行われています。

教員人材の発掘などに使える補助予算の確保

文部科学省は、教員人材を発掘するために利用できる補助予算を確保しています。

教師の人材確保を強化するために確保された予算は、令和6年度で5億円あります。

これまで各自治体では実際のイベントをはじめ、PR動画やパンフレット、ポスターによる広報活動が実施されてきました。

また、大阪府ではフジテレビ系列のドラマ「GTO REVIVAL」と連携した教員採用試験の広報活動が行われるなど、幅広くPRされています。

※参考:「教師不足の解消に向けた各教育委員会における取組事例」文部科学省

大学・民間企業と連携

自治体が大学や民間企業と連携して、教員の魅力を伝えるなどの教員不足への対策と取り組みを行っています。

これまでにもセミナーやスタートアッププログラム、パネルディスカッションなど、教員の魅力を発信する機会が設けられてきました。

大学では実際に教員を志している学生を対象としたセミナーや見学会、民間企業では大型商業施設でのイベントなどが実施されています。

まとめ

以上、当コラムでは教員不足の現状についてお伝えしました。

最後に、このコラムの要点をまとめます。

  • 教員採用試験の倍率は年々低下している
  • 教員不足の主な原因は、志願者の減少、大量採用世代の退職、必要教員数の増加、産休育休取得の増加、若手教員の定着率低下
  • 教員不足の対策として、働き方改革の推進、教員採用試験の緩和、教育分野に利用できる補正予算の確保、大学や民間企業と連携した魅力発信などを実施

教員不足により業務量が増加するなどさまざまな懸念もありますが、現場を打破するためのさまざまな対策が打ち出されているところです。

とくに教員の働き方改革は強力に進められているため、職場環境の改善に期待しつつ、引き続き教員採用試験対策に力を入れていきましょう。

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