自治体や実施年、そして担当教科によって左右される教員採用試験の倍率。

自分が志望する教科の合格倍率はどのくらいなのか、他教科と比べて高いのか低いのかと、受験前に気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、教員採用試験の合格倍率について、校種と教科別に紹介します。

特に倍率が高い教科・低い教科に関しては「なぜ高く・低くなりやすいのか」も解説。

なお、教員採用試験の合格倍率は受験する自治体によっても異なるため、試験前には必ず自治体の公式サイトなどをチェックしましょう。

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教員採用試験の教科別の倍率を紹介

ここでは、文部科学省が公開しているデータをもとに、直近3年間における教員採用試験の合格倍率を校種・教科別に解説します。

倍率は受験者数に対する合格者の割合を見て、試験の難易度の目安にするものです。

例えば、「倍率5倍」の試験の場合は「受験者5人あたり合格者は1人」という意味になり、受験者のほとんどが不合格の難しい試験であると判断できます。

ただし、採用枠に対してもともとの受験者が少ない場合は、試験の難易度にかかわらず倍率は自然と下がります。

必ずしも倍率が高いから難しい・低いから簡単というわけではなく、いずれの試験においても油断のない対策が必要となることは言うまでもありません。

小学教員の教科別の倍率

教員採用試験の小学教員の直近3年間の倍率は、2.3倍~2.6倍で推移しています。

施年度受験者数合格者数倍率
令和5年38,95217,0342.3
令和4年40,63516,1672.5
令和3年43,44816,4402.6

中学教員の教科別の倍率

国語教員の倍率

教員採用試験の中学国語教員の直近3年間の倍率は、3.1倍~3.4倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年4,1531,3563.1
令和4年4,2111,2293.4
令和3年4,3471,4033.1

社会教員の倍率

教員採用試験の中学社会教員の直近3年間の倍率は、6.0倍~6.2倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年7,5501,2576.0
令和4年7,6411,2376.2
令和3年7,8331,2886.1

数学教員の倍率

教員採用試験の中学数学教員の直近3年間の倍率は、4.0倍~4.3倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年5,6001,3984.0
令和4年5,7971,3374.3
令和3年6,0381,4744.1

理科教員の倍率

教員採用試験の中学理科教員の直近3年間の倍率は、2.8倍~3.4倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年3,5451,2732.8
令和4年3,9081,2453.1
令和3年4,2701,2723.4

音楽教員の倍率

教員採用試験の中学音楽教員の直近3年間の倍率は、4.3倍~5.0倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年1,3065374.3
令和4年2,4864995.0
令和3年2,6035814.5

美術教員の倍率

教員採用試験の中学美術教員の直近3年間の倍率は、2.7倍~3.3倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年1,0283762.7
令和4年1,1943613.3
令和3年1,2834093.1

家庭科教員の倍率

教員採用試験の中学家庭科教員の直近3年間の倍率は、2.4倍~2.8倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年8603572.4
令和4年8513172.7
令和3年1,1184032.8

技術教員の倍率

教員採用試験の中学技術教員の直近3年間の倍率は、1.9倍~2.3倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年5152701.9
令和4年4982332.1
令和3年5512382.3

保健体育教員の倍率

教員採用試験の中学保健体育教員の直近3年間の倍率は、8.0倍~9.7倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年10,0951,1358.9
令和4年10,3131,0679.7
令和3年10,2671,2798.0

英語教員の倍率

教員採用試験の中学英語教員の直近3年間の倍率は、3.4倍~3.6倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年4,9971,4773.4
令和4年5,2571,4663.6
令和3年5,3681,5473.5

高校教員の教科別の倍率

国語教員の倍率

教員採用試験の高校国語教員の直近3年間の倍率は、3.4倍~4.3倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年2,1426293.4
令和4年2,2296193.6
令和3年2,5265944.3

地理歴史教員の倍率

教員採用試験の高校地理歴史教員の直近3年間の倍率は、5.8倍~8.2倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年2,7514275.8
令和4年2,9654756.2
令和3年3,1733888.2

公民教員の倍率

教員採用試験の高校公民教員の直近3年間の倍率は、7.6倍~11.1倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年7791037.6
令和4年8371077.8
令和3年9098211.1

数学教員の倍率

教員採用試験の高校数学教員の直近3年間の倍率は、5.5倍~7.9倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年3,2125825.5
令和4年3,4025406.2
令和3年3,7304727.9

理科教員の倍率

教員採用試験の高校理科教員の直近3年間の倍率は、5.2倍~7.3倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年2,4674895.2
令和4年2,9344975.9
令和3年3,0854247.3

音楽教員の倍率

教員採用試験の高校音楽教員の直近3年間の倍率は、5.4倍~6.9倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年360625.8
令和4年441815.4
令和3年427636.9

美術教員の倍率

教員採用試験の高校美術教員の直近3年間の倍率は、4.7倍~7.0倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年342714.8
令和4年337724.7
令和3年379547.0

家庭科教員の倍率

教員採用試験の高校家庭科教員の直近3年間の倍率は、2.8倍~3.4倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年5491563.0
令和4年5351563.4
令和3年6151542.8

保健体育教員の倍率

教員採用試験の高校保健体育教員の直近3年間の倍率は、9.5倍~13.7倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年4,4094629.5
令和4年4,64345410.2
令和3年5,17737913.7

農業教員の倍率

教員採用試験の高校農業教員の直近3年間の倍率は、4.0倍~4.9倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年5191304.0
令和4年5461254.4
令和3年5781174.9

工業教員の倍率

教員採用試験の高校工業教員の直近3年間の倍率は、2.9倍~3.6倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年8412843.0
令和4年9123102.9
令和3年1,0422873.6

商業教員の倍率

教員採用試験の高校商業教員の直近3年間の倍率は、5.1倍~7.4倍で推移しています。

実施年度受験者数合格者数倍率
令和5年8201625.1
令和4年9661476.6
令和3年1,0501427.4

その他教員の倍率

「書道」「看護」「水産」など、その他教科の高校教員の直近3年間の倍率推移は以下の通りです。

  • 書道・・・・・7.0〜10.7
  • 看護・・・・・1.6〜1.9
  • 水産・・・・・2.0〜2.3

特に書道教員の倍率が例年高い水準で推移しており、各自治体の採用枠に対して志望者がかなり多い状況であることがわかります。

一方、看護と水産の合格倍率は例年2.0ほど。

書道教員の倍率と比較すると低く見えますが、採用枠に対して受験者数が少ないために相対的に倍率が下がっているだけで、「合格しやすい試験である」というわけではありません。

教員採用試験の教科別の倍率ランキング

ここでは、中学校と高等学校のそれぞれにおいて、教員採用試験の合格倍率が高い教科・低い教科をランキング化しました。

倍率の高い教科は「先生になりたい人が多い教科」または「採用枠が少ない教科」であると考えられます。

高倍率を突破して採用に至るためには、知識をつけることはもちろん、面接や模擬授業で実力を十分に発揮するための対策が必要となるでしょう。

中学教員の教科別倍率ランキング

高倍率の教科トップ3

中学教員の教科別倍率ランキングでもっとも合格倍率が高かったのは、「保健体育」です。

ランキング教科倍率(直近3年の推移)
1位保健体育8.0〜9.7(平均8.9)
2位社会6.0〜6.2(平均6.1)
3位音楽4.3〜5.0(平均4.6)

高倍率の理由としては、保健体育の教員免許の取得が比較的容易であることなどが考えられます。

保健体育の教員免許は、通常の教育学部のほか、体育大学などの高等教育機関でも取得できます。

2位・3位の社会と音楽に関しても、免許を取得できる機会が多い一方、専門教科である分、採用枠自体がさほど多くないことが倍率を上げていると分析できるでしょう。

保健体育の場合、武道・体操・ダンスといった専門的なカリキュラムを担当する教員の採用に関しては、多少倍率が下がる傾向があります。

低倍率の教科トップ3

中学教員の教科別倍率ランキングでもっとも合格倍率が低かったのは、「技術科」です。

ランキング教科倍率(直近3年の推移)
1位技術1.9〜2.3(平均2.1)
2位家庭2.4〜2.8(平均2.6)
3位美術2.7〜3.3(平均3.0)

各大学の教育学部のほか、工学科や情報科など免許取得の間口は広め。

しかし、中学校の技術科の授業では、2021年から「プログラミング」が必修化されています。

従来の「ものづくり」の技術に留まらない授業内容が求められるようになったため、需要に対して人材の供給が追いついていないと考えられるでしょう。

2位・3位の家庭科と美術に関しては、それぞれ専門学科でのみ教員免許の取得が可能という難易度の高さが影響している可能性あり。

特に、家庭科の教員免許の主な取得先となる家政学部は女子大学に設置されていることが多く、男女比の偏りに対する修正措置が追いついていないことが一因として挙げられるでしょう。

高校教員の教科別倍率ランキング

高倍率の教科トップ3

高校教員の教科別倍率ランキングでもっとも合格倍率が高かったのは、「保健体育」です。

ランキング教科倍率(直近3年の推移)
1位保健体育9.5〜13.7(平均11.1)
2位公民7.6〜11.1(平均8.8)
3位書道7.0〜10.7(平均8.7)

2位の「公民」とともに、教員免許を取得できる教育機関などが他教科よりも多く、有資格者に対して教員の採用枠が少ないことが理由として挙げられるでしょう。

公民は専門科目ですが、教育学部や社会学部だけでなく、政治行政・法律・経済など多くの学科で取得が可能です。

3位の「書道」に関しては、専門学科である分もともとの採用枠が少ないことで倍率が上がっていると考えられます。

例えば、高校国語や数学の例年の採用数が400〜600人ほどであるのに対して、書道は30〜40人ほどを推移しています。

低倍率の教科トップ3

高校教員の教科別倍率ランキングでもっとも合格倍率が低かったのは、「看護」です。

ランキング教科倍率(直近3年の推移)
1位看護1.6〜1.9(平均1.8)
2位水産2.0〜2.3(平均2.2)
3位家庭2.8〜3.4(平均3.1)

看護教員になるには、特定の教育科目の履修に加えて、保健師・助産師・看護師のいずれかに3年以上の実務経験を有する必要があります。

2位の「水産」の教員は、教員免許のほかに「商船」の免状が必要になることも。

「商船」は3級海技士以上の資格に5年以上の実務経験を積まないと取得できません。

1位・2位ともに、採用に至るまでの条件の厳しさ・道のりの長さが倍率を下げているといえるでしょう。

また、3位の家庭科は教員免許を取得できる専門機関が他教科に比べて少なく、男子学生の取り込みが遅れていることで全体的な志望者が少なくなっていると考えられます。

教員採用試験の倍率は自治体によって異なる

教員採用試験の倍率は学校ごとの採用枠数や教員の勤務状況に左右されるため、自治体や採用試験の実施年によっても大きく異なります。

試験の難易度そのものではなく、受験地によって採用されやすさは変わってくるといえるでしょう。

特に、もともとの採用人数が限られる専門教科の場合は欠員や異動が出た際の影響が大きく、倍率が変動しやすい傾向があります。

受験前には試験対策を怠らずに行うだけでなく、受験予定の自治体の倍率を知ることが重要となるでしょう。

まとめ

この記事では、教員採用試験における教科ごとの合格倍率について以下の内容で解説しました。

  • 合格倍率は試験の難易度そのものよりも、受験者に対する採用枠の数に左右される。倍率が低い=簡単な試験というわけではない。
  • 直近3年間における小学校教員の倍率は2.3〜2.6。
  • 直近3年間で、中学教員の合格倍率がもっとも高いのは保健体育。もっとも低いのは技術科。
  • 直近3年間で、高校教員の合格倍率がもっとも高いのは保健体育。もっとも低いのは看護。
  • 教員採用試験の倍率は自治体や実施年によって大きく変わる。

一般的に合格倍率が高いと難しい・低いと簡単な試験と思ってしまいがち。

しかし、教員採用試験に関しては採用枠の数や採用条件、自治体の状況などに左右されることも多く、一概にはいえません。

倍率が低いからといって狙い目というわけではなく、むしろ実務経験を積んで受験資格を得たベテランばかりが応募してくるため、試験難易度自体はかなり高いということもあり得ます。

教科や自治体の倍率にかかわらず、最終的には受験者の熱意や技量が合否を決定づけます。

数値にとらわれすぎず、いずれの試験においても油断せず合格を目指して研鑽を積むことこそもっとも重要な試験対策といえるでしょう。

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