教員採用試験に向けて、「いつから勉強を始めればいいのか」、「どんなスケジュールで進めれば合格に近づけるのか」と悩んでいませんか？

教員採用試験は試験範囲が広く、準備に時間がかかるため、不安を抱えている方も多いでしょう。

このコラムでは、教員採用試験のベストな勉強開始時期や、効率的なスケジュールの立て方、合格を目指すための3つの勉強方法、そして面接対策までを詳しく解説します。

これからの学習計画にぜひお役立てください。

教員採用試験の勉強はいつから始める？

教員採用試験の勉強は、試験の一年前の5月から7月頃に始めるのがベストです。

自治体によって異なりますが、試験は多くの自治体で6、7月頃に実施されるため、1年前から準備を始めれば、時間に余裕を持って対策を進められるでしょう。

一般的な教員採用試験は、筆記試験、論文試験、面接試験、実技試験で構成され、多岐に渡る内容となります。

したがって、早めに勉強を始めることで、各試験科目にしっかりと取り組む時間が確保できます。

倍率の面から見ても、早めに勉強を始める程、有利でしょう。

令和5年度の全体平均倍率は3.4倍、高校では4.9倍と、教員採用試験は難易度の高い試験です。

高い倍率を突破するためにも、早期の準備が合格への近道となります。

早めに勉強を開始し、計画的に進めることが重要です。

教員採用試験の詳細については以下のコラムを参照ください。

関連コラム：教員採用試験とは？試験概要・日程・申込方法・受験料・適性検査を解説

教員採用試験の勉強のスケジュールは？

教員採用試験は、多くの知識とスキルが求められる難関試験。

筆記試験から面接まで、幅広い対策が必要です。効率的な学習を行うためには、綿密なスケジュールが不可欠。

ここでは、教員採用試験の対策を段階的に進めていくための、以下の5項目について解説します。

• 試験を受ける自治体を絞る
• 自治体の過去問を解いて自分の実力を確認する
• 筆記試験の対策を始める
• 小論文対策を行う
• 面接対策を行う

試験を受ける自治体を絞る

まずは、試験を受ける自治体を絞ることが最初のステップです。

教員採用試験は自治体ごとに試験内容や出題傾向、難易度が異なります。

このため、受験する自治体の特性に合った対策を行うために、早期に志望する自治体を決定することが大切です。

また、自治体ごとに採用人数や競争倍率も異なるため、自分の志望する学校種や教科であるか、自分が目指す教育方針や環境に合っているか、なども考慮して、受験先を選ぶことが求められます。

試験準備にかけられる時間を有効に使うためには、できるだけ早い段階で受験する自治体を絞り込み、その自治体の試験内容に合わせて勉強を進めていきましょう。

自治体の過去問を解いて自分の実力を確認する

次に過去問を解いて自分の実力を確認します。

過去問を3年分程解くことで、自分の現時点での実力が、どの程度なのか把握でき、今後の勉強の方向性が定めやすくなります。

過去問を解かずに勉強を始めてしまうと、どの分野に重点を置くべきかがわからず、効率の悪い学習になりがちです。

例えば、過去問を解いてみて8割以上の得点が取れる場合は、基礎力は十分であるため、特定の分野に集中して対策を行うことができます。

一方で5割以下の得点だった場合、中学・高校の勉強の復習が必要になります。

過去問を通じて、自分の実力、強みと弱みを把握し、効率的に勉強を進めるための計画を立てましょう。

参考：【2024年版】教員採用試験の勉強はいつから？勉強方法を徹底解説

筆記試験の対策を始める

まずは、一次試験の科目である筆記試験の勉強からスタートします。

筆記試験には、教養試験、一般教養、専門教養の3つの科目があります。下表は、各科目の出題内容をまとめたものです。

なお、自治体によって出題内容が異なるため、詳しい内容は受験先ごとに確認しましょう。

科目	内容
教職教養	学習指導要領、文部科学省の通知文、中央教育審議会の答申など、日本の教育の方向性を問う試験。 出題分野：教育原理、教育法規、教育心理、教育史、教育時事、道徳教育、人権教育の原理
一般教養	高校までに学習する範囲の国語、数学（算数）、英語、理科、社会の「教科問題」、過去3年程度の社会的な出来事や地域的な話題の「時事問題」、及び「一般常識」について出題。 出題分野：教科問題（国語、数学（算数）、英語、理科、社会）、時事問題、一般常識
専門教養	志望する教科や校種に関する専門知識と、その教科に応じた指導要領や指導方法を問う問題。 出題分野：学校指導要領の目標や内容（各学年の目標）、校種別（小学校または高校までの標準的学習事項、中学・高校は中学校から大学入試レベルまでの学習事項）

教職教養は教員としての基本的な知識や理念が問われる重要な分野です。

単なる暗記ではなく、理解を深めた上で、小論文（論作文）や面接での応用ができるように学習することが求められます。

教職教養の知識は、試験対策だけではなく、将来の教育実践にも活かされるため、しっかりと学びましょう。

一般教養は範囲が広いため、すべてを網羅するのは難しいですが、基本的な科目の理解を確認することが目的です。

過去問を解いて、出題傾向を把握した上で、労力をかけ過ぎずに、60%〜70%の得点を目指すと良いでしょう。

専門教養はその名の通り、自分が専門とする教科の知識を深く問われます。問題の難易度も高く、特に対策に時間がかかる分野です。

自治体によっては専門教養の配点が高いため、早い段階から継続的に学習を進め、実力を高めていくことが必要です。

関連コラム：教員採用試験の勉強法は？勉強方法から対策のポイントまでを徹底解説！

小論文対策を行う

試験を受ける自治体の試験内容に小論文がある場合、筆記試験の対策がある程度進んだら、小論文対策に取り組みます。

小論文は、教員としての考え方や教育方針を論理的に述べる能力が求められる試験です。

自治体によっては小論文が非常に重視されることもあるため、しっかりと準備しておくことが重要です。

例えば、令和6年に東京都の試験で出題された小論文の問題では、「児童・生徒へ他者への共感や思いやりの心を育てることについて、自分の考えを述べ、その考えを教師としてどのように実践していくか」を論じる形式でした。

こうした問題に対しては、具体的なエピソードや事例を交えながら、自分の教育観を明確に示すことが求められます。

参考：東京都の試験

面接対策を行う

近年の教員採用試験では、人物重視で採用する傾向が強まっており、面接試験の重要性が増しています。

面接、人物評価試験には次のような形式があります。

• 個人・集団面接
• 集団討議
• 模擬授業
• 場面指導
• 実技試験

これらの試験では、教師としての資質や人間性、コミュニケーション能力が厳しく評価されます。

特に模擬授業や場面指導では、教育現場での実践力が求められます。

例えば、授業の進行方法や生徒の反応にどう対応するか、問題解決のための指導方法などを具体的に示さなくてはなりません。

集団討論では、他者との意見交換を通じて協調性やリーダーシップが試される場面が多いです。

また、筆記試験で高得点を取っても、面接で不十分な評価を受けると合格が難しくなる場合もあります。

自治体によっては、一次試験の成績に関わらず、二次試験の結果が重視されることも。

そのため、面接対策は筆記試験の勉強と並行して進めるべきです。

面接に備えるためには、模擬面接を行ったり、自己分析を深めたりして、自身の教育観を明確にしておきましょう。

教員採用試験を合格するための3つの勉強方法

教員採用試験に合格するためには、効果的な勉強方法を実践することが重要です。

試験の範囲は広く、多岐に渡るため、次に挙げる3つの勉強方法をベースに、戦略的に勉強を進めましょう。

• 合格ラインに到達するための勉強をする
• 過去問を解いて問題の傾向をつかむ
• インプットとアウトプットを繰り返す

合格ラインに到達するための勉強をする

教員採用試験に合格するためには、7〜8割の得点を確実に取れるように学習を進めましょう。

満点を目指す必要はないので、効率よく得点を稼ぐために、自分の得意分野を伸ばすことが重要です。

一方で、苦手な分野については、無理に全てをカバーしようとせず、捨てることも一つの戦略です。

全ての問題を正解することは現実的ではないので、時間をかけて伸びにくい分野に取り組むよりも、得意分野を確実に得点源にすることの方が効率的と言えます。

特に、過去の試験で得点が低かった部分や、どうしても理解が進まない部分は、割り切って捨てる覚悟を持つことも大切。

こうすることで、限られた勉強時間を最大限に活用し、合格ラインに到達する確率を高めることができます。

過去問を解いて問題の傾向をつかむ

過去問を通じて、実際の試験で、どのような形式で問題が出題されるのか、またどの分野が頻繁に出題されるのかといった傾向を把握できます。

出題傾向を理解することで、出題されやすいテーマやポイントに集中して勉強することができ、効率的な対策が可能になるのです。

さらに、過去問を解くことで、自分の弱点を明確にし、どの部分に重点を置いて勉強すべきかが見えてきます。

また、過去問を何度も繰り返して解くことで、その問題のパターンに慣れることができます。問題に対する理解が深まり、解答速度も向上するでしょう。

実際の試験の時間配分の練習も行えるので、本番でのプレッシャーにも対応しやすくなります。

インプットとアウトプットを繰り返す

インプットした知識を活用して、実際に問題を解いてアウトプットを行い、学んだことが理解できているかどうかを確認しましょう。

教員採用試験の合格には、ただ知識を詰め込むインプットだけでは不十分です。

インプットとアウトプットを繰り返すことで、知識が定着し、本試験でスムーズに活用できるようになります。

小論文対策も同様で、単に情報や知識を頭に入れるだけでは上達しません。

実際に文章を書いてみることで、表現力や論理の組み立て方、自分の弱点や改善点を明確にすることができます。

書いてみることで、初めて気づく課題は多いです。アウトプットを意識し、繰り返し文章を書く練習をしましょう。

教員採用の面接対策はどうしたらいい？

教員採用試験の面接は、筆記試験と異なる難しさがあります。

事前に予想される質問に対しての回答を準備することはできますが、瞬時に考え、的確に答える力です。

そのため、模擬面接を通じて実践的な練習を重ねることが非常に重要になります。

しかし、一人で行う練習には限界があり、客観的なフィードバックを得ることが難しいでしょう。

効果的な面接対策として、以下の2つの方法を紹介します。

• 大学など学校の面接対策を利用する
• 通信講座を利用する

大学など学校の面接対策を利用する

大学、専門学校、資格予備校などでは、学生の就職支援の一環として、面接対策を行っていることがあります。

学生課やキャリアセンターで、模擬面接を実施し、面接での受け答えや態度についてのフィードバックを提供することが多いです。

また、教員養成課程の一環として、面接対策の授業を設けている大学もあります。

まずは、自身の通っている大学、専門学校、資格予備校などで、教員採用試験の面接対策が行われているかどうかを確認してみましょう。

学校の面接対策は、費用がかからず、同じ目標を持つ仲間と共に学べるという利点があります。

通信講座を利用する

通信講座では、専門講師による面接対策が行われており、効果的に学習を進めることができます。

通学時間もかからないので、学校に通いながら、仕事をしながらの面接対策がしやすいでしょう。

中でもアガルートの教員採用試験対策講座は、教員試験の面接対策に特化したコースを提供しており、評判が高いです。

アガルートの面接対策では、模範解答をただ教えるのではなく、面接での話し方や振る舞い方などの、実際の試験で求められる総合的な能力を養います。

質問や出題の主旨、面接官の評価ポイントを理解することで、自分らしい発言ができるようになり、準備していない質問や出題に対しても、柔軟に対応できるようになるでしょう。

参考：教員採用試験対策講座｜アガルートアカデミー

まとめ

教員採用試験に向けての勉強は、試験の一年前、5月〜7月頃に始めるのが理想的です。

試験範囲が広く、筆記試験、論文試験、面接試験、実技試験と多岐に渡るため、早めの準備が必要になります。

倍率も高く、令和5年度の全体平均倍率は3.4倍、高校では4.9倍に達しているため、早期の対策が合格への近道となります。

効率的なスケジュールの立て方として、まずは受験自治体を絞り、過去問を解いて実力を確認し、弱点を把握した上で各試験科目の対策を行います。

筆記試験では、教職教養、一般教養、専門教養の3つの科目に分かれており、それぞれの科目に応じた適切な学習が必要です。

また、小論文や面接対策も欠かせない要素。

模擬面接や添削などを通じた、実践的な練習と経験が求められます。

より効果的な対策を行うには、アガルートの教員採用試験対策講座を活用することをおすすめします。

この講座は、教職教養、一般教養、人物試験対策を効率的に学ぶことで、最短での合格を目指します。

充実したフォロー制度があり、志望する自治体に合わせて二次試験対策を自由にカスタマイズできるのが特徴です。

面接での話し方や振る舞い方、質問の主旨や評価ポイントを理解した上で、自分らしい発言ができるように指導するので、万全の試験対策ができるでしょう。