音楽の先生に興味があると、「教員採用試験の倍率はどれくらいなのか」「公立の音楽の先生になるにはどうすればよいのか」などの疑問をもっている方は多いのではないでしょうか。

本コラムでは、教員採用試験のおける音楽教員の倍率を紹介し、音楽教員になるための方法について解説します。

試験を突破するための勉強法にも触れるため、音楽教員を目指している方はぜひ今後の参考にご覧ください。

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音楽教員の倍率は?他科目と比較

過去3年の教員採用試験における音楽教員の過去3年の倍率は、中学校で4.3~4.5倍、高校で5.8~6.9倍です。

なお、紹介する倍率は全国のデータになります。

【中学校】

年度受験者数採用者数倍率
令和5年1,306名537名4.3倍
令和4年2,486名499名5.0倍
令和3年2,603名581名4.5倍
平均4.6倍

【高等学校】

年度受験者数採用者数倍率
令和5年360名62名5.8倍
令和4年441名81名5.4倍
令和3年427名63名6.9倍
平均6.0倍
※参考:公立学校教員採用選考:文部科学省

中学校では、音楽教員の倍率は4.3倍〜5.0倍で推移しており、平均倍率は4.6倍です。

対して、高校での倍率は5.4倍〜6.9倍で推移し、平均倍率は6.0倍でした。

高校の教員採用試験のほうが倍率が高いため、中学校よりも高校の音楽教員になるほうが難しいと考えられます。

ただし、教員採用試験は自治体によって倍率に差があります。

受験する自治体によっては倍率が平均よりも高いケース、低いケースがあるため、紹介したデータは目安にしてください。

音楽教員と他科目の倍率を比較

音楽教員の倍率は、他科目と比較すると中間レベルだと考えられます。

以下、過去3年における教員採用試験の倍率の平均を表にまとめました。

【中学校】

科目平均倍率(全国)
音楽4.6倍
国語3.2倍
数学4.1倍
社会6.1倍
理科3.1倍
美術3.0倍
家庭2.6倍
技術2.1倍
保健体育8.9倍
英語3.5倍

【高等学校】

科目平均倍率(全国)
音楽6.0倍
国語3.8倍
地理歴史6.7倍
公民8.8倍
数学6.5倍
理科6.1倍
美術5.5倍
保健体育11.1倍
家庭3.1倍
書道8.7倍
※参考:公立学校教員採用選考:文部科学省

中学校でもっとも高い倍率の教科は、保健体育の8.9倍です。

また、もっとも低い倍率は技術の2.1倍でした。

主要教科である国語は3.2倍、数学は4.1倍となっているため、音楽教員の4.6倍は他科目と比較すると若干高く、難易度が高めの教科に分類されると考えられます。

高校ではもっとも高い倍率の教科が中学校と同様の保健体育で、倍率は11.1倍でした。

また、もっとも低い倍率の教科は家庭科の3.1倍です。

2番目に低い教科は国語の3.8倍であり、以降は5.5倍〜6.7倍で推移している教科が音楽を含め5教科あります。

【自治体別】教員採用試験の音楽の倍率一覧

自治体別に音楽教員の倍率を比較し、解説します。

以下、自治体ごとの教員採用試験における音楽の倍率一覧です。

【中学校】

自治体倍率自治体倍率
北海道2.7倍山口県3倍
青森県7倍徳島県4.3倍
宮城県2.3倍香川県5.8倍
岩手県3.3倍愛媛県3.6倍
秋田県2倍高知県3.9倍
山形県2.8倍福岡県1.8倍
福島県4.7倍佐賀県2.5倍
茨城県3.3倍長崎県1.6倍
栃木県17.5倍熊本県2.2倍
群馬県2.8倍大分県4.6倍
埼玉県3倍宮崎県2.2倍
千葉県9.5倍鹿児島県5.1倍
東京都7.9倍沖縄県6倍
神奈川県3.4倍札幌市
新潟県2.5倍仙台市31倍
富山県さいたま市3.4倍
石川県千葉市
福井県横浜市5.8倍
山梨県1倍川崎市4.7倍
長野県6.7倍相模原市10倍
岐阜県4倍新潟市1.5倍
静岡県2.8倍静岡市7倍
愛知県4倍浜松市5倍
三重県10.5倍名古屋市11.4倍
滋賀県4倍京都市11倍
京都府7.3倍大阪市3.2倍
大阪府4.6倍堺市5.7倍
兵庫県5.1倍神戸市3.4倍
奈良県3.3倍岡山市6.5倍
和歌山県5.2倍広島市
鳥取県北九州市5.5倍
島根県2.8福岡市1.6倍
岡山県5.3熊本市6倍
広島県5.2豊能地区17倍

【高等学校】

自治体倍率自治体倍率
北海道3.8倍山口県2倍
青森県徳島県4.5倍
岩手県12倍香川県7倍
宮城県愛媛県1.5倍
秋田県4倍高知県7倍
山形県福岡県
福島県15倍佐賀県5倍
茨城県12倍長崎県5倍
栃木県7倍熊本県
群馬県10倍大分県12倍
埼玉県6.3倍宮崎県
千葉県鹿児島県6倍
東京都沖縄県6倍
神奈川県8.8倍札幌市
新潟県仙台市
富山県さいたま市
石川県千葉市
福井県横浜市
山梨県川崎市
長野県10.5倍相模原市
岐阜県6倍新潟市
静岡県静岡市
愛知県8.5倍浜松市
三重県名古屋市
滋賀県京都市
京都府大阪市
大阪府30倍堺市
兵庫県9.5倍神戸市
奈良県12倍岡山市
和歌山県広島市
鳥取県2倍北九州市
島根県福岡市
岡山県5倍熊本市
広島県3.5倍豊能地区
※参考:(参考資料1)令和5年度公立学校教員採用選考試験の実施状況(第1~9表)
※中学校・高等学校の採用を(一部)区分を分けずに募集している場合、受験人数は中学校の受験人数に含み、競争率には”-“を記載しています。
※札幌市、千葉市、広島市は、選考試験をそれぞれ所在地の都道府県と合同で実施したため、受験者数は都道府県の欄に含まれてます。

各自治体の倍率を比較すると、差がかなり大きいことがわかります。

令和5年度の教員採用試験では、仙台市の音楽の倍率は31倍でした。

仙台市は中学校・高校の区分を分けずに試験を実施したため、中学校・高校含む音楽の競争倍率が31倍となっています。

対して、山梨県の倍率は1倍です。

山梨県も中学校・高校の区分を分けない採用試験を実施している中で、音楽の倍率は1倍という結果になっています。

そのほかは、約2倍の低い倍率になっている自治体もあれば、10倍以上の倍率の自治体も多くあります。

なお、紹介したデータは令和5年度の教員採用試験の結果です。

実施する年度によって採用人数や試験内容が異なるため、自治体だけではなく実施年度でも倍率が変わってくる可能性が高いでしょう。

つまり、音楽教員の採用倍率は自治体や実施年度によって異なるため、全国平均の倍率は参考程度に捉えておくスタンスがおすすめです。

今年こそは合格したいという場合には、毎年の倍率を調べて、音楽の倍率が低い自治体を選んで受験するという方法もひとつの手ではあるでしょう。

しかし、教員採用試験は実力をつけて、しっかり対策を行えば合格できる試験です。

自分が希望する自治体の過去問や傾向などを調査し、きちんと勉強して試験に望めば合格に繋がります。

音楽の教員になるためには?

音楽の教員になるためには、以下の過程が必要になります。

  • 教員免許を取得する
  • 教員採用試験に合格する

教員免許を取得する

中学校、高校の音楽の先生になるためには、まず教員免許を取得しなければなりません。

教員免許には、普通免許状・特別免許状・臨時免許状の3種類があり、教員になるためには一般的に普通免許状を取得します。

また、普通免許状は最終学歴や取得する過程によって、以下の3区分にわかれます。

免許区分最終学歴・取得した学位指導できる範囲
専修免許状大学院などを卒業し、修士の学位を取得した人が取得できる小学校・中学校・高校
一種免許状四年制大学を卒業し、学士を取得した人が取得できる小学校・中学校・高校
二種免許状短期大学を卒業し、短期大学士を取得した人が取得できる小学校・中学校
※参考:参考資料3 普通免許状の種類について:文部科学省

働いている教員の多くは、一種免許状を取得しています。

一種免許状を持っていれば、小学校・中学校・高校の先生として働けます。

対して、二種免許状は小学校・中学校の教員にのみになれる免許状です。

教員採用試験への影響や業務の内容に関して特にデメリットはありませんが、高校の先生になりたい、将来的に管理職につきたいという方は一種免許状以上を取得しておきましょう。

専修免許状は、修士の学位を取得した場合のみ取得できる資格です。

現職の教員がキャリアアップのために、取得を目指すケースもあります。

また、教員免許状は教科別になっています。

それぞれ中学校教諭一種免許状(音楽)、高等学校教諭一種免許状(音楽)のように区別されています。

なお、教員免許状は全国の学校に適用可能です。

有効期限は10年に設定されており、有効期限満了日までに教員免許更新講習を受講すると有効期限が更新されます。

教員採用試験に合格する

各自治体が実施する教員採用試験に合格する必要があります。

教員免許を取得するだけでは、音楽教員として働くことはできません。

教員採用試験に合格すると、合格した自治体の教員採用試験名簿に登録され、年度の採用人数内に選出されると正式に音楽の教員として働けます。

ただし、教員採用試験名簿は成績順に登録・選ばれます。

試験に合格しても成績が悪い場合、採用人数からもれてしまう可能性があるため注意が必要です。

教員採用試験は、一般的に筆記試験の一次試験と面接や模擬授業などの二次試験が行われます。

一次試験の筆記試験で実施される科目は、以下の3つです。

  • 教職教養
  • 一般教養
  • 専門教養

自治体によっては、3科目すべてを実施しないケースがあります。

また、一次試験で論文試験を行う場合もあるため、受験する際には必ず各自治体の試験内容を確認しましょう。

二次試験では、以下のような人物試験が行われます。

  • 論文試験
  • 面接試験
  • 実技試験(模擬授業など)

実技試験は一般的に小学校教員や中学校・高校の英語、音楽、体育、美術、家庭科を志望する場合に実施される試験です。

音楽の先生を目指す場合、実技試験を受ける可能性は高いでしょう。

なお、教員採用試験で実施される内容やレベルなどは、自治体によってそれぞれ異なります。

そのため、受験する際には、各自治体の試験内容や例年の傾向をしっかり調べることが大切です。

試験の概要は各自治体の公式ホームページなどで公開されているため、気になる自治体は早めにチェックしておきましょう。

教員採用試験の音楽の勉強法3選

教員採用試験の音楽に合格するための勉強法を、3つ紹介します。

  • 自治体の過去問をチェックする
  • 面接対策に力を入れる
  • 実技対策で演奏練習を習慣化させる

自治体の過去問をチェックする

過去問を解くと受験する自治体の問題形式や出題分野がわかるのはもちろん、現在の自分の実力を確認ができます。

過去問を解く目安は、最低でも3年分です。

3年分ほど解いて自分の実力を把握できれば、どの分野を重点的に勉強するべきかの目安がわかります。

不得意な分野を克服できるような学習スケジュールを立てて、計画どおりに勉強を進めていけば合格に繋がる実力が身につくでしょう。

面接対策に力を入れる

教員採用試験の対策をするにあたって、面接対策には力を入れましょう。

近年の教員採用試験は、人柄重視で採用を行う傾向があります。

自分の人柄や価値観が問われる面接試験の対策に力を入れると、試験に合格できる可能性が高まります。

おすすめな面接対策は、以下の3つです。

  • 質問される内容を想定し、回答を準備しておく
  • 実際の面接を想定した練習を行う
  • 普段から言葉遣いに気をつける

はじめに過去の試験情報や対策テキストなどを参考に質問内容を想定し、回答内容を考えましょう。

回答内容を用意しておけば、面接当日も質問に対してきちんと返答できます。

回答が準備できたら、実際の面接を想定した練習を実施しましょう。

可能であれば第三者に面接官役を依頼し、模擬面接を何度か繰り返しておくことが理想的です。

模擬面接を行うと、面接独特の空気感や自分の意見を声に出して話すことなどに慣れることができ、試験当日も焦らずに回答することができます。

また、普段から言葉遣いなどに気をつけることも大切です。

面接では、回答内容のほかに受験生の態度や話し方、声のトーンなども評価の対象となります。

普段から丁寧で正しい言葉を心がけておけば習慣づけることができ、試験当日も自然と面接官に良い印象を与えることができるでしょう。

実技対策で演奏練習を習慣化させる

音楽教員の教員採用試験は、難易度が高い課題もあるため、演奏に関してはどんな課題でも対応できるよう練習しておくことをおすすめします。

音楽教員を目指す場合は、教員採用試験で実技試験を受けるケースがほとんどです。

実技対策として、普段から演奏練習を行い習慣化させましょう。

実技試験の内容は、自治体によってさまざまです。

例えば、試験当日にランダムに指定された教材の旋律の楽譜だけを見て、ピアノを弾きながら歌う課題や、1か月前に発表された和楽器で指定された楽譜を編曲して演奏するという課題などが実際に課されています。

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倍率が高い教員採用試験に合格するためには、筆記試験や人物試験など多くの受験対策を行わなければなりません。

独学ですべて対策することは難しいため、最短合格を目指す場合には通信講座を活用して効率的に学習しましょう。

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学習の進め方などを相談できる学習サポーター制度もあるため、アガルートを選べば受験対策に必要なサービスがすべて揃った環境で学習することができます。

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まとめ

本コラムでは、教員採用試験における音楽教員の倍率や音楽教員になる方法などを解説しました。

以下、要点をまとめます。

  • 音楽教員の倍率は中学校で4.3倍〜5.0倍で推移、高校で5.4倍〜6.9倍で推移している
  • ほかの教科の倍率と比較すると特別高いわけではなく、難易度は中間〜少々高いレベルと考えられる
  • 自治体別の倍率を比較すると大きな差があるため、全国の平均倍率は参考程度に捉えておく
  • 音楽教員になるためには教員免許を取得後、教員採用試験に合格して採用される必要がある
  • 教員採用試験に合格するための勉強法は、自治体の過去問のチェック、面接対策への注力、実技対策として演奏練習を習慣化させるの3つがポイント
  • 通信講座を活用した受験対策には、アガルートの教員採用試験対策講座がおすすめ

音楽教員になるためには、倍率が10倍以上の教員採用試験に合格しなければならないケースもあります。

筆記試験だけではなく、面接試験や実技試験への対策にも力を入れなければならないでしょう。

普段学校生活などで忙しい場合には、いつでもどこでも学習できる通信講座の活用がおすすめです。

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