教員採用試験の倍率は?全国の倍率の一覧と推移を解説
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本コラムでは、全国の自治体における教員採用試験の倍率や、過去の平均倍率の推移について解説しています。
教員採用試験を受けようと考えている方は、試験の倍率が気になっているのではないでしょうか。
教員採用試験の倍率は自治体によって異なるため、自分が志望する自治体の倍率を把握しておきたいですよね。
教員採用試験の平均倍率や試験の概要について知りたい方は、ぜひ本コラムを最後までご覧ください。
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教員採用試験の倍率は?
令和元年から令和5年までの教員採用試験の全国平均倍率は、3.4倍〜4.2倍で推移しています。
令和元年から令和4年までの4年間における教員採用試験の全国平均倍率は、以下のとおりです。
年度 | 受験者数 | 採用者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和5年 | 121,132人 | 35,981人 | 3.4倍 |
令和4年 | 126,390人 | 34,315人 | 3.7倍 |
令和3年 | 134,267人 | 35,067人 | 3.8倍 |
令和2年 | 138,042人 | 34,875人 | 4.0倍 |
令和元年 | 148,465人 | 34,952人 | 4.2倍 |
同期間における採用者数は例年約34,000人〜35,000人であるのに対し、受験者数は約126,000人〜148,000人であり、年度によって約2万人以上の差があります。
上記の資料からは、最も倍率が低い令和4年は受験者数が少なく、最も倍率が高い令和元年は受験者数が多いことが読みとれるでしょう。
つまり、最近の教員採用試験の倍率は受験者数の影響を受けやすいことがわかります。
自治体ごとの教員採用試験の倍率
令和6年度における平均倍率を見ると、最も低い新潟県は1.27倍であるのに対し、最も高い沖縄県は8.48倍となっています。
令和7年度(令和6年度実施)における自治体ごとの教員採用試験の倍率は、以下のとおりです。
自治体 | 小学校 | 中学 | 高校 | 特別支援 | 平均 | 養護 |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道 | 1.2 | 2.6 | 2.9 | 4.6 | 2.83 | 5.3 |
札幌市 | 2.8 | 5.7 | 5.7 | 2.0 | 4.05 | 7.8 |
青森県 | 1.4 | 3.5 | 8.1 | 2.9 | 3.98 | 9.8 |
岩手県 | 2.3 | 2.3 | 3.9 | 3.9 | 3.10 | 4.6 |
宮城県 | 1.6 | 4.9 | 4.9 | – | 3.80 | 15.6 |
仙台市 | 2.7 | 5.1 | – | – | 3.90 | – |
秋田県 | 1 | 3 | 7.5 | 1.7 | 3.30 | 5.0 |
山形県 | 1.5 | 2.9 | 4.7 | 1.1 | 2.55 | 8.0 |
福島県 | 1.3 | 2.8 | 8.4 | – | 4.17 | 10.4 |
茨城県 | 1.9 | 3.3 | 4.7 | – | 3.30 | 10.8 |
栃木県 | – | – | – | – | – | – |
群馬県 | 2.7 | 2.7 | 4.8 | 2.9 | 3.28 | 6.1 |
埼玉県 | 2.0 | 3.7 | 4.2 | 1.5 | 2.85 | 9.3 |
さいたま市 | 3.8 | 7.7 | 7.7 | 1.5 | 5.18 | 11.6 |
千葉県 | 1.6 | 2.8 | – | 2.7 | 2.37 | 6.5 |
東京都 | 1.7 | 4.0 | 2.2 | 4.5 | 3.10 | 1.5 |
神奈川県 | 2.7 | 3.4 | 4.2 | 2.1 | 3.10 | 10.5 |
横浜市 | 1.9 | 5.2 | – | 3.4 | 3.50 | 11.5 |
川崎市 | 1.7 | 2.8 | 1.6 | 2.7 | 2.20 | 7.0 |
相模原市 | 2.7 | 4.2 | – | 3.45 | 17.0 | |
新潟県 | 1.4 | 1.7 | – | 0.7 | 1.27 | 3.5 |
新潟市 | 2.0 | 2.3 | 2.3 | 1.3 | 1.98 | 7.4 |
富山県 | – | – | – | – | – | – |
石川県 | 2.2 | 3.6 | 3.6 | 1.4 | 2.70 | 17.8 |
福井県 | 2.3 | 3.8 | 2.5 | 2.5 | 2.78 | 7.9 |
山梨県 | 1.4 | 2.8 | 8.2 | 1.8 | 3.55 | 7.0 |
長野県 | 2.6 | 4.1 | 5.4 | 2.2 | 3.58 | 11.3 |
岐阜県 | 2.1 | 3.0 | 5.4 | 2.4 | 3.23 | 12.5 |
静岡県 | 3.0 | 6.2 | 5.5 | 1.8 | 4.13 | 21.7 |
静岡市 | 3.1 | 5.0 | – | – | 4.05 | – |
浜松市 | 2.9 | 5.9 | – | 2.1 | 3.63 | – |
愛知県 | 2.6 | 3.4 | 3.9 | 2.3 | 3.05 | 10.5 |
名古屋市 | 2.6 | 5.7 | 5.7 | 1.3 | 3.83 | – |
三重県 | 2.4 | 3.7 | 5.6 | 3.4 | 3.78 | 7.4 |
滋賀県 | 2.5 | 3.9 | 3.8 | 2.5 | 3.18 | 9.7 |
京都府 | 3.0 | 5.2 | 4.6 | 2.3 | 3.78 | 10.2 |
京都市 | 3.2 | 6.8 | 9.7 | 2.8 | 5.63 | 9.3 |
大阪府 | 3.4 | 5.1 | 6.7 | 2.7 | 4.48 | 12.1 |
大阪市 | 2.4 | 3.8 | – | – | 3.10 | 11.6 |
堺市 | 3.1 | 6 | – | – | 4.55 | 12.4 |
豊能地区 | 4.3 | 4.5 | – | – | 4.40 | – |
兵庫県 | 3.9 | 3.6 | 5.0 | 3.2 | 3.93 | 9.3 |
神戸市 | 3.7 | 5.7 | 5.7 | 3.2 | 4.58 | 9.9 |
奈良県 | 4.0 | 5.4 | 5.6 | 3.4 | 4.60 | 12.1 |
和歌山県 | 3.0 | 5.4 | 3.4 | 2.6 | 3.60 | 6.4 |
鳥取県 | 3.4 | 5.8 | 8.5 | 6.9 | 6.15 | 24.6 |
島根県 | 2.1 | 2.7 | 7.3 | 2.4 | 3.63 | 11.0 |
岡山県 | 2.5 | 4.4 | 6.6 | 2.6 | 4.03 | 17.5 |
岡山市 | 3.1 | 5.5 | – | – | 4.30 | 16.5 |
広島県 | 1.8 | 3.8 | 3.8 | 1.6 | 2.75 | 7.8 |
山口県 | 1.7 | 1.9 | 3.9 | 2.2 | 2.43 | 21.0 |
徳島県 | 3.5 | 3.5 | 5.3 | 5.3 | 4.40 | 27.3 |
香川県 | 3.2 | 3.2 | 5.3 | 5.3 | 4.25 | 25.7 |
愛媛県 | 1.5 | 2.1 | 3.4 | 3.4 | 2.60 | 11.9 |
高知県 | 4.4 | 7.8 | 2.5 | 2.5 | 4.30 | 12.7 |
福岡県 | 1.2 | 2.1 | 5.7 | 1.6 | 2.65 | 20.8 |
福岡市 | 2.4 | 2.8 | 8.0 | 1.7 | 3.73 | 16.1 |
北九州 | 2.6 | 3.9 | – | 2.1 | 2.87 | 16.0 |
佐賀県 | 1.3 | 1.5 | 5.8 | 1.5 | 2.53 | 11.2 |
長崎県 | 1.2 | 1.8 | 2.0 | 1.4 | 1.60 | 5.0 |
熊本県 | 1.4 | 2.2 | 6.0 | 2.0 | 2.90 | 8.8 |
熊本市 | 1.2 | 1.5 | 1.5 | – | 1.40 | 4.6 |
大分県 | 1.4 | 2.8 | 5.3 | 1.2 | 2.68 | 10.9 |
宮崎県 | 1.4 | 3.0 | 5.0 | 2.4 | 2.95 | 6.6 |
鹿児島県 | 1.2 | 2.1 | 6.8 | 1.5 | 2.90 | 3.8 |
沖縄県 | 2.8 | 5.3 | 14.9 | 10.9 | 8.48 | 35.0 |
教員採用試験の倍率は、自治体によって大きく異なります。
どの自治体を選ぶかによって難易度が変わるため、各自治体の状況を事前に確認しておくことがおすすめです。
各自治体の倍率ランキング
令和7年度(令和6年度実施)における採用倍率が高い自治体は沖縄県で、最も低い自治体は新潟県でした。
ここでは、令和7年度(令和6年度実施)における採用倍率が高い自治体と、低い自治体のランキングTOP3を紹介します。
・倍率が高い自治体ランキング
自治体 | 倍率 |
---|---|
沖縄県 | 8.48 |
鳥取県 | 6.15 |
京都市 | 5.63 |
・倍率が低い自治体ランキング
自治体 | 倍率 |
---|---|
新潟県 | 1.27 |
熊本市 | 1.40 |
長崎県 | 1.60 |
令和7年度(令和6年度実施)における採用倍率が最も高い自治体は沖縄県であり、倍率は8.48倍でした。
また、沖縄県に次いで採用倍率が高い鳥取県は6.15倍・次いで採用倍率が高い京都市は5.63倍と、TOP3の中でも約3倍の差があることがわかります。
対して、同年における採用倍率が低かった新潟県・熊本市・長崎県の倍率は、いずれも2倍未満となっています。
教員採用試験の採用者の学歴の内訳は?
令和5年度(令和4年度実施)における教員採用試験の採用者は一般大学卒の割合が最も高く、全体の66.0%を占めています。
学歴別の内訳は、以下の通りです。
区分 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 | 計(※) | |
---|---|---|---|---|---|
国立教員養成大学・学部 | 人数 | 4,857(4,801) | 2,349(2,148) | 691(693) | 8,815(8,578) |
比率 | 28.5%(29.7%) | 24.5%(23.5%) | 15.0%(15.4%) | 24.5%(25.0%) | |
一般大学・学部 | 人数 | 11,042(10,145) | 6,268(6,059) | 3,084(2,989) | 23,756(22,252) |
比率 | 64.8%(62.8%) | 65.4%(66.2%) | 67.1%(66.5%) | 66.0%(64.8%) | |
短期大学等 | 人数 | 444(469) | 124(125) | 39(34) | 825(861) |
比率 | 2.6%(2.9%) | 1.3%(1.4%) | 0.8%(0.8%) | 2.3%(2.5%) | |
大学院 | 人数 | 691(752) | 848(820) | 785(778) | 2,585(2,624) |
比率 | 4.1%(4.7%) | 8.8%(9.0%) | 17.1%(17.3%) | 7.2%(7.6%) | |
計 | 人数 | 17,034(16,167) | 9,589(9,152) | 4,599(4,494) | 35,981(34,315) |
※計(※)小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭の合計
※()内は前年度の数値
上記の資料を見ると、すべての区分において一般大学・学部卒の採用者の割合が高いことがわかります。
また、一般大学・学部卒の次に採用者の割合が高かった国立教員養成大学・学部卒の割合は、全体の24.5%でした。
対して、大学院卒の割合は7.2%・短期大学等の割合は2.3%であり、いずれも10%未満となっています。
教員採用試験の倍率は低下している?推移を紹介
教員採用試験の倍率は、年々低下しつつあります。
平成11年度から令和5年度における教員採用試験の全国平均倍率は、以下の通りです。
参考:教員採用試験の難易度は高い?難しいと言われている理由と試験対策を紹介
上記の資料からは、教員採用試験の平均倍率は平成12年度が最も高く、令和5年度が最も低いことが読み取れます。
平成12年度の平均倍率は13.3倍であり、平成11年度から平成13年度までの平均倍率はいずれも11倍を上回っていました。
対して、平成14年度以降の平均倍率はほぼ低下の一途を辿っており、平成24年度以降は6倍を切っています。
さらに、平成30年度の平均倍率は5倍以下・令和2年度には4倍以下と低下を続け、令和5年度における平均倍率は、過去最低の3.4倍でした。
このように、平成11年度以降の教員採用試験の平均倍率は年々下がり続けています。
教員採用試験の倍率が低下している原因は?
教員採用試験の倍率が低下している主な原因は、採用者数の増加と受験者数の減少にあると考えられるでしょう。
最近は、過去に大量採用された教員が定年を迎える時期に差しかかっているため、採用者数を増やしている自治体が多く見受けられます。
また、教員を目指す新卒者の人数は減少傾向にあり、受験者数が減りつつある状態です。
採用倍率は受験者数÷採用者数によって算出されるため、同じ受験者数に対して採用者数が増加すれば、採用倍率は下がります。
反対に、同じ採用者数に対して受験者数が減少した場合も、採用倍率は低くなります。
ただし、教員採用試験に合格するためには、採用倍率にかかわらず一定のスキルが必要です。
採用倍率にかかわらず、十分な試験対策を行いましょう。
教員採用試験の試験概要
教員採用試験の内容は、自治体によって異なります。
ここでは、一般的な教員採用試験の試験内容を紹介します。
- 筆記試験
- 論文試験
- 面接試験
- 実技試験
筆記試験
教員採用試験の筆記試験は、教職教養・一般教養・専門教養の3つの分野に分かれています。
各分野における主な試験内容は、以下のとおりです。
分野 | 内容 |
---|---|
教職教養 | 教育原理、教育法規、教育心理、教育史、教育時事 |
一般教養 | 教科問題(国語、算数、英語、理科、社会)時事問題、一般常識 |
専門教養 | 志望教科に関する専門知識、指導要領、指導方法など |
教職教養試験では、教員として働くために必要な教養が問われます。
学習指導要領に対する理解を深めるとともに、文部科学省からの通達や人権教育の原理についても学んでおきましょう。
一般教養試験の教科問題では、5教科における高校レベルの知識が求められます。
また、時事問題および一般常識では、過去3年間における主なニュースや出来事に関する内容なども出題されるでしょう。
専門教養試験では、志望教科に特化した専門的な内容が出題されます。
出題内容は志望先の区分によって異なり、中学や高校の各科目を志望する場合は大学レベルの知識が必要です。
論文試験
論文試験とは、定められたテーマについて、制限時間内に指定文字数の論文を作成する試験のことです。
出題テーマは自治体によって異なりますが、東京都の過去の試験では以下のようなテーマが出題されました。
・各学校で求められている「児童・生徒一人ひとりの長所や可能性を引き出し、伸ばすための教育」に対する自分の考えや、志望する校種や教科に即した教師としての取り組みについて
参考:令和5年7月論文問題
・各学校で目指している「他者への共感や思いやりの心を育てる教育」に対する自分の考えや、志望する校種や教科に即した教師としての取り組みについて
参考:令和6年7月論文問題
面接試験
面接試験は、教員としての資質や熱意などを評価するための試験です。
最近ではどの自治体でも人物重視の傾向が高まっているため、面接試験は最も重要度が高い試験であると言えるでしょう。
面接の形式は自治体によって異なりますが、多くの自治体では複数回の面接が行われます。
例えば、愛知県では、2度の口述試験によって「愛知が求める教師像」としての条件を備えているかどうかが試されます。
自分が志望する自治体の試験内容を確認し、十分な対策を行いましょう。
実技試験
実技試験は、志望校種や教科の内容に応じた実技を行う試験です。
実技試験は全員に対して行われる訳ではなく、小学校の教員や、中学または高校における音楽や美術、家庭科や英語、および保健体育などの教員を目指す方が対象となります。
実技試験の内容は教科によって異なりますが、音楽の場合は歌唱やピアノ演奏、家庭科の場合は被服や調理、美術の場合はデッサンなどが実施されるケースが多く見受けられます。
実技試験を受ける際は、事前に自分が志望する自治体の試験内容を確認し、練習しておくことがおすすめです。
参考:教員採用試験とは?試験概要・日程・申込方法・受験料・適性検査を解説
教員採用試験の日程とスケジュール
一般的な教員採用試験の日程は、以下のとおりです。
- 出願時期:3月下旬〜4月
- 一次試験:6〜7月
- 二次試験:8〜9月
- 合格発表:9月下旬〜10月
教員採用試験の出願時期は3月下旬〜4月であり、一次試験は6〜7月に実施されます。
また、二次試験は8〜9月に実施され、9月下旬〜10月には合格発表が行われます。
ただし、教員採用試験の日程は自治体によって異なるため注意が必要です。
また、自治体によっては一次試験や二次試験が複数回実施されたり、三次試験が実施されたりする場合があるでしょう。
詳しい日程は、各自治体のホームページをご確認ください。
まとめ
本コラムでは、教員採用試験の倍率について解説しました。
本コラムのまとめは、以下のとおりです。
- 最近の教員採用試験の全国平均倍率は、約4倍で推移している
- 教員採用試験の倍率は自治体によって異なる
- 令和7年度における教員採用試験の倍率は沖縄県が最も高く、新潟県が最も低い
- 採用者の内訳を学歴別に見ると、一般大学卒の割合が最も高い
- 教員採用試験の倍率は年々低下している
教員採用試験の倍率は低下傾向にありますが、教員に求められるスキルは変わりません。
最近の教員採用試験は人物面が重視される傾向があるため、ポイントを踏まえた対策が必要となるでしょう。
独学での試験対策に不安がある方は、予備校や通信講座の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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