教員採用試験と公務員試験どっちが難しい?試験の違いについて解説
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教員採用試験と公務員試験はどちらの難易度が高いのでしょうか?
教員と公務員、どちらも安定した職種と言えますが、それぞれ試験内容や求められるスキルは異なります。
教員採用試験と公務員試験、どちらを受けるべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、教員採用試験と公務員試験の難易度について、過去3年間の平均倍率を基に詳しく解説します。
それぞれの試験の受験資格・専門試験の種類や人物面接の評価の違いについてもまとめていますので、ご自身に合ったキャリア選択をするヒントにしていただけたら幸いです。
教員採用試験と公務員試験どっちが難しい?
倍率だけで比較すると公務員試験の方が高い傾向があります。
以下は直近3年間(令和3年~令和5年)の教員採用試験と公務員試験(国家総合職・大卒、国家一般職・大卒、地方公務員・大卒)の全国平均倍率の一覧です。
令和5年 | 令和4年 | 令和3年 | |
教員採用試験 | 3.4倍 | 3.7倍 | 3.8倍 |
国家総合職(大卒) | 9.5倍 | 11.0倍 | 10.5倍 |
国家一般職(大卒) | 3.2倍 | 3.4倍 | 4.1倍 |
地方公務員(大卒) | 4.7 | 5.3倍 | 5.9倍 |
【2024年】公務員試験の難易度・合格率・倍率は?難しい理由を解説
国家総合職(大卒)や地方公務員(大卒)は、教員採用試験と比べて明らかに高い倍率となっている一方で、国家一般職(大卒)では令和3年を除いて教員採用試験の方の倍率が若干高い傾向が続いています。
ただし、倍率の違いが必ずしも試験の難易度に直結するわけではありません。
公務員試験と教員採用試験は、自治体ごとに倍率や試験内容が異なるため、平均倍率だけで、一概に「簡単」「難しい」と判断することはできないからです。
また、教員採用試験は、試験そのものの専門性や面接の比重が大きく、学校種や地域によって難易度が異なります。
倍率はあくまで参考程度に考えましょう。
志望自治体の試験要項や受験者の声を参考に、難易度や試験傾向を推測することが大切です。
教員採用試験と公務員試験の違いは?
教員採用試験と公務員試験の違いについて、以下の3つの観点から解説します。
- 受験資格が違う
- 専門試験の種類が違う
- 人物面接の評価が違う
受験資格が違う
教員採用試験と公務員とでは、受験資格が異なります。
公務員試験の受験資格は、基本的には年齢制限が主な条件です。
ほとんどの自治体では、年齢制限のみが受験資格となっており、具体的な学歴や免許の取得は求められません。
一方、教員採用試験は、受験資格として「教員免許の取得」が必須条件です。
小学校・中学校・高等学校の校種ごとに、免許を有していることが求められます。
そのた、、教員採用試験を受けるには、まず教員免許を取得することが大前提です。
ただし、公務員試験も特定の職種や一部の地方自治体では、大学卒業(見込み含む)や、特定の学科の終了(技術職)、一定の資格・免許(資格職)が受験資格になっていることもあります。
また、自治体によっては募集要項やHPを確認しても、受験資格がわかりにくい場合もあるようです。
そのような場合は、直接自治体に問い合わせて確認することをおすすめします。
専門試験の種類が違う
教員採用試験と公務員試験では専門試験の内容が大きく異なります。
教員採用試験の専門試験は「専門教養試験」で、受験する校種や教科に応じた専門知識が問われます。
以下は専門教養科目の一覧です。
教科 | 内容 |
小学校全科 | 小学校全科の専門教養試験では、小学校で指導する基本的な教科を中心に出題されます。 ・主要5教科(国語、算数、理科、社会、外国語)・副教科(音楽、図工、体育、家庭)・学習指導要領と指導法 |
国語科 | 国語科の専門教養試験では、中学校や高校で指導する内容が中心です。 ・国語常識・現代文・古文・漢文・学習指導要領、指導法 |
社会科 | 社会科の専門教養試験では、中学・高校で学ぶ社会科の内容が出題されます。 ・世界史・日本史・地理・政治経済・倫理・学習指導要領、指導法 |
数学科 | 数学科の専門教養試験は、中学・高校の数学科目が対象となります。 ・数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・学習指導要領、指導法 ※自治体によっては数学Ⅲ・Cの出題あり |
理科 | 理科の専門教養試験では、中学・高校の理科科目が出題されます。 ・物理・化学・生物・地学・学習指導要領、指導法 |
音楽科 | 音楽科では、中学・高校で教える音楽に関する知識が問われます。 ・楽典や楽譜・楽器・民族音楽・童謡・音楽の歴史・学習指導要領、指導法 |
美術科 | 美術科は、中学校や高校で指導する科目から出題されます。 ・美術基礎・美術道具・西洋美術史・日本美術史・学習指導要領、指導法 |
保健体育科 | 保健体育科の専門教養試験は、中学校や高校で指導する科目から出題されます。 ・器械運動・水泳・球技・武道・保健・学習指導要領、指導法 |
家庭科 | 家庭科では、中学・高校での教科に関する内容が出題されます。 ・被服・食物・家庭生活・保育・住居・学習指導要領、指導法 |
英語科 | 専英語科は、中学校や高校で指導する科目から出題され、英語の文法や運用能力が問われます。 ・文法・文章読解・和英作文・リスニング・学習指導要領、指導法 |
特別支援教育 | 特別支援教育は、特別支援教育に関連する専門知識が求められます。 ・特別支援教育の制度・歴史・自立活動・障害児教育・検査法・訓練法・学習指導要領、指導法 |
養護教諭 | 養護教諭は、大学の専門課程で学ぶ内容から出題され、学校保健や健康管理に関する知識が問われます ・学校保健・学校安全・保健室指導・健康相談・観察・疾病と病気・各種法令・学習指導要領、指導法 |
栄養教諭 | 栄養教諭は、大学での専門課程で学ぶ内容から出題され、栄養や食育に関する知識が求められます。 ・栄養教諭制度・食育と文化・学校給食や食育指導・学校給食の管理・学習指導要領、指導法 |
対して、公務員の専門試験(専門科目)は、専門択一試験とも呼ばれ、大学で学ぶ内容が中心です。
特に行政職では、法律系、経済系、政治系などの科目から出題されることが一般的です。
国家公務員や大きな自治体の試験でよく実施されています。
科目ごとの出題数はそれほど多くありませんが、試験範囲が非常に広いため、独学で勉強するのは難しいでしょう。
専門試験は、法学部や経済学部の出身者が有利と思われがちですが、文学部や理系学部出身でも対策可能な出題内容です。
また、自治体によって出題される科目や出題数、傾向が異なるため、自分が受験する試験の募集要項を確認し、必要な科目を早めに把握しましょう。
公務員試験の専門試験の主な3分野は以下の通りです。
専門科目 | 科目一覧 |
行政 | 政治学 |
行政学 | |
社会政策 | |
国際関係 | |
法律 | 憲法 |
行政法 | |
民法 | |
労働法 | |
刑法 | |
経済 | ミクロ経済学 |
マクロ経済学 | |
財政学 |
国家一般職では、心理学、教育学、英語、(基礎・一般)、国税専門官や財務専門官では、情報工学、情報数学、英語などがあります。
人物面接の評価が違う
教員採用試験では、人物評価が重視される傾向にあります。
文部科学省の資料『優れた人材確保のための 教師の採用等の基本的考え方』の「養成・採用の一貫性を重視した質の高い人材確保 (人物重視の多面的な採用選考) 」では、次のような論点例が挙げられています。
“筆記試験、実技試験、面接試験等による受験者評価の方式に限らず、過去の一定期間を通じた実績に基づく丁寧な受験者評価を行うことは、人物重視の 面的な採用選考の観点から有効と考えられる。”
このように、教員採用試験では、過去の実績を含む多角的な人物評価が行われ、受験者の人物像や適性が細かくチェックされます。
一方、公務員試験でも人物面接が重視される傾向はありますが、教員採用試験ほどの厳密な人物評価は行われません。
まとめ
教員採用試験と公務員試験には、倍率や試験内容、受験資格などに明確な違いがあります。
過去3年間(令和3年~令和5年の)平均倍率で比較すると、公務員試験の方が、教員採用試験よりも難易度が高い傾向がみられました。
令和5年の平均倍率で比較すると、教員採用試験3.4倍、国家総合職(大卒)9.5倍、国家一般職(大卒)3.2倍と、国家総合職(大卒)の難易度が飛びぬけて高くなりました。
試験内容は、教員採用試験は、学習指導要領に基づく教科ごとの専門知識が中心で、人物面接の評価も重視されます。
一方、公務員試験は大学で学ぶ法律や経済を含む、幅広い分野からの出題が特徴で、職種に応じた専門科目が課されます。
また、教員採用試験は教員免許が必要であるのに対し、公務員試験は一般的に年齢制限のみであることが多いです。
なお、技術職や資格職では特定の学科修了や免許が条件となる場合もあります。
これらの違いを理解し、自分の適性や学習習慣に基づいた試験選びと、計画的な準備が合格への第一歩です。