教員採用試験は、受験する自治体によって日程や内容に大きな違いがあります。

受験者の中には、出願を検討している・他県との違いを知りたいなど、愛知県での教員採用試験がどのように行われているかが気になっている方もいるでしょう。

この記事では、合格倍率や試験日程、試験の内容など、愛知県における教員採用試験の概要を詳しく解説します。

過去の試験で実際に出題された小論文問題についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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愛知県の教員採用試験の倍率は?

愛知県の教員採用試験の倍率は、過去5年で3.3~4.1倍で推移しています。

愛知県全体の倍率

採用年度受験者名簿登載者数倍率
令和7年度6,0481,6103.8
令和6年度6,4081,7103.7
令和5年度5,7261,7103.3
令和4年度6,0171,5703.8
令和3年度6,2481,5304.1
引用:公立学校教員採用選考(文部科学省)

校種別の倍率

採用年度小学校中学高校特別支援学校養護教諭
令和7年度2.44.35.93.015.1
令和6年度2.54.26.33.58.8
令和5年度2.23.85.43.28.4
令和4年度2.54.17.23.78.9
令和3年度3.03.96.73.98.2
引用:公立学校教員採用選考(文部科学省)

愛知県の教員採用試験の倍率は、年によって多少の前後はあるものの、全体的に低下傾向にあります。

令和元年からの採用者数は増加傾向にあるにもかかわらず倍率自体は下がっている点から、全体の採用枠数は増加・受験者数は減少しているといえるでしょう。

校種別では小中学校の合格倍率が低下傾向にある一方、養護教諭の倍率は年々上がっています。

特に令和7年採用のデータでは15.1倍とかなりの高倍率です。

教員採用試験においては専門職ほど採用枠が少なく、倍率が上がりやすい傾向があります。

全体の受験者数や合格者数自体は前年までと比較しても極端な差がないため、令和7年採用の養護教諭の定員が少なく設定されていたなどの理由が考えられるでしょう。

愛知の教員採用試験の日程は?

令和7年採用の愛知県の教員採用試験の日程は、出願期間が4月6日~5月10日で一次試験が6月15日、二次試験が7月20,21日です。

出願期間4月26日〜5月10日
一次試験6月15日
一次試験合格発表7月6日
二次試験7月20日〜7月21日
合否発表8月30日
参考:愛知県公立学校教員採用選考試験について

他の自治体と併願する場合は、試験日がかぶらないようにしっかり確認しておきましょう。

愛知県の教員採用試験の内容は? 

ここでは、愛知県の教員採用試験の内容について以下の内容で解説します。

  • 一次試験の内容
  • 二次試験の内容

一次試験の内容

愛知県の教員採用試験の一次試験は、筆記試験と小論文をメインに実施されます。

試験内容内容
筆記試験・教職・教養(教職に関する基本的知識及び一般教養)60分
・教科専門(教科に関する基本的知識及び専門的知識)60分
小論文60分
口述試験(加点希望者のみ)外国語堪能者のみ外国語による面接を実施
A評価:10点
B評価:5点
C評価:加点なし
参考:試験内容 – 愛知県公立学校教員採用選考試験について

筆記試験は「教職・教養」と「教科専門」の2科目にわかれており、それぞれ60分の制限時間で解答する選択問題です。

小論文は900文字詰め原稿用紙1枚に、60分間で回答を記述する形式になります。

また、「外国語堪能者」として一次試験への加点を希望する場合は該当外国語による口述試験が行われます。

試験対象となる言語は、

  • ポルトガル語
  • スペイン語
  • 中国語
  • フィリピノ(タガログ)語

の4言語です。

二次試験の内容

愛知県の教員採用試験の二次試験は2日間の日程で、1日目の口述試験は受験者全員が対象となります。

試験内容内容
口述試験(1日目)15分の個人面接を連続して2回実施(場面指導を含む)
実技試験(2日目/該当者のみ)中学校教諭:音楽・美術・保健体育
高校教諭:家庭・英語・農業
参考:試験内容 – 愛知県公立学校教員採用選考試験について

口述試験では15分間の個人面接が2回連続して行われ、3分ほどの場面指導も含まれます。

場面指導とは、学習や生活の場で発生しうる場面を想定したロールプレイ形式の指導です。

面接官を生徒や保護者に見立てて口頭試問が実施され、「教員としてどのように対応するか」が採点対象となります。

2日目の実技試験は、対象教科の受験者のみに実施。

受験教科によって楽譜やデッサン用の鉛筆、水着や柔道着などが必要になる場合があります。

受験案内などをよく確認し、当日は忘れ物がないよう気をつけましょう。

愛知県の教員採用試験の過去問は? 

愛知県では、愛知自治センター2階の「愛知県 県民相談・情報センター」にて、過去3年分の過去問題が閲覧できます

さらに、愛知県公式ホームページの教員採用試験ページからも、一部の過去問題を確認することが可能です。

ここでは参考までに、令和4年・令和5年実施の試験で実際に出題された小論文の問題を紹介します。

  • 令和4年の小論文問題

問題:次の図表は、外国籍の児童生徒数についての全国調査からの抜粋である。

この図表からあなたは何を読み取るか。

また、それを踏まえて、あなたは教員としてどのような教育を心がけたいか。

900字以内で述べよ。

平成25年度平成26年度平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度
特別支援学校5886307221,039807897
高等学校8,9848,5848,7258,9689,3189,614
中学校21,31021,14321,43720,68621,82823,051
小学校40,79642,72145,26749,09353,71459,094
合計71,67873,07876,15179,78685,66792,656
(人)

出典:文部科学省「学校基本調査」
調査時期:平成25〜30年度
調査対象:公立小・中・高・特別支援学校(幼稚部を除く)
問題の参考:令和5年度(2023年度)採用愛知県公立学校教員採用選考試験の採用予定人員等

  • 令和5年の小論文問題

問題:次の文章を読んで、この著者の考えをあなたはどうとらえるか。

また、それを踏まえて、あなたはどのような教員を目指したいと考えるか。

900字以内で述べよ。

 答えは確かに〈ある〉。それが初等中等教育における「問題」の大前提である。そして先生はその答えを知っている。その正しい答えに、どうしたら自分たちも到達できるだろうか。先生が知っているはずの答えと自分のものが一致すれば正解で、違っていればバツ。それが入学試験も含めて、高校までの試験の問題であった。

 考えてみると、これは怖(こわ)いことではないか。なぜなら、小学校から高校まで、誰もが一貫して、問題には必ず答えがあることを前提とし、正解は必ず一つであると思い込んできたのだから。教師の側も、答えが二つも三つもある問題は避けてきただろうし、答えのない問題は出しようがなかった。

 どこかに正解があって、その正解は自分が知らないだけであって、誰かが(たぶん誰が偉い人が)知っていると、頭から思い込んでいること、その呪縛のまま、大学においても同じスタンスで教育を受け、そして社会に出ていく。そんな社会人ばかりが増えていくと考えることは怖(おそろ)しいことではないか。

(永田和宏著『知の体力』より)

問題の参考:令和6年度( 2024年度)採用 愛知県公立学校教員採用選考試験の採用予定人員等

まとめ

この記事では、愛知県の教員採用試験について以下の内容で解説しました。

  • 愛知県全体における教員採用試験の倍率は、低下傾向にある。合格者数自体は増加傾向があることから、採用枠が増加・受験者数が減少している可能性がある。
  • 愛知県で実施される教員採用試験の日程は、4月下旬から出願受付開始、6月中旬に一次試験、7月中旬に二次試験。合否発表は8月末頃。
  • 一次試験は小論文・選択式の教養・教科試験がメイン。外国語堪能者としての加点希望者には、口述試験も行われる。
  • 二次試験は場面指導を含む口述試験と、対象教科の実技試験。口述試験は15分の面接が連続して2回行われる。
  • 「愛知県 県民相談・情報センター」では、過去3年で出題された問題を閲覧することができる。また、愛知県の公式ホームページにも一部の過去問題が掲載されている。

愛知県では教員採用試験全体の合格倍率が低下傾向にあり、特に小学校・中学校では採用枠に対する受験者数が年々減少していると考えられます。

採用される確率は上昇傾向にあるといえますが、試験自体の難易度が下がっているわけではないため、しっかりとした試験対策が重要であることは言うまでもありません。

筆記試験に関しては、「愛知県 県民相談・情報センター」にて過去3年分の過去問題を閲覧することができます。

実際に出題された問題を実践的に解いてみたい・本番を想定した模擬試験をしたいという場合は、ぜひ足を運んでみてください。

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